ご支援いただいたみなさまいつもお世話になっております。NPO法人POSSE外国人労働サポートセンターの岩橋です。NPO法人POSSEが年3回発行している雑誌『POSSE』最新号(43号)にて、外国人労働者の問題を大きく取り上げましたので、今回はそちらをご紹介させていただきます(3万円以上ご支援いただいた方にはすでに郵送させていただいております)。雑誌『POSSE』では、今年の3月に発行した41号で、入管法改正が審議されるなか外国人労働者の受け入れをめぐる日本経済や人権に関する問題を中心に扱いました。https://info1103.stores.jp/items/5c822ac3a341d01d938e3841その後、外国人労働サポートセンターを立ち上げ、本格的な相談受付とアンさんの事件をはじめとする支援活動を開始するなど、POSSEにおいても取り組みが進んで参りましたので、それを踏まえ最新号では、外国人労働者の人権を守るためにどのような支援ができるのか、という、より実践的な内容が中心になっています。また、台湾で移民労働者の問題に取り組む団体を招いて8月5日に行ったイベント「外国人労働者の人権を守るために何ができるか 〜日本と台湾の経験から学ぶ〜」の内容も紹介しております。雑誌POSSE vol.43 第二特集「外国人労働者とともに」のラインナップは以下のとおりです。◆私から見た、ふるさと日本のいま ナディ(『ふるさとって呼んでもいいですか』著者)◆「失踪」した外国人労働者はどこにいったのか?――外国人が「逃走」ではなく「闘争」できるために 巣内尚子(ジャーナリスト、『奴隷労働』著者)◆外国人技能実習生を守るための新たな試み――SNSを駆使した「相談室」の取り組みと支援の輪 榑松佐一(愛知県労働組合総連合(愛労連)前議長)◆台湾における若者の労働運動と外国人労働者の組織化――台湾青年ユニオン95と桃園市家事労働者労働組合 周于萱(台湾青年ユニオン95)×黃姿華(桃園市家事労働者労働組合)◆グローバリゼーションと低賃金移民労働者――21世紀における人の移動が抱えるジレンマ 伊豫谷登士翁(一橋大学名誉教授)どの記事も、今後の外国人労働者をめぐる問題を考えるうえで外すことができない論点を含んでいます。取材を進めるなかで私たちも、今後の取り組みを考えるうえで勉強になることがいくつもありました。ぜひみなさまもお読みいただければ幸いです。【書籍販売サイト】https://info1103.stores.jp/items/5dbd0539745e6c46a381b40d【デジタル版】https://www.fujisan.co.jp/product/1281692431/b/list/
POSSE外国人労働サポートセンターの岩橋です。日本語学校から強制退学・帰国を促された事件は現在、こちら側と学校側の書面上でのやり取りが続いています。進捗があれば、またご連絡差し上げます。さて、その被害を受けた留学生のアンさんが記者会見をしたことをメディアでみた、フィリピン人の方から相談が寄せられていました。この事案は、アドバンスコンサルという行政書士事務所(神奈川県横浜市。代表者:小峰隆広)が、通訳や翻訳者として雇っている外国人に対して、実質的に転職できないようにパスポートや卒業証明書などを会社に預けさせ、本人が「返してほしい」と主張し続けたにも関わらず、頑なにパスポートなどの返還を拒否するという極めて悪質なケースです。7月に相談が寄せられて以降、POSSEと、連携する労働組合「総合サポートユニオン(http://sougou-u.jp/)」が支援してきましたが、会社側はパスポートの返還を拒否し続けています。外国人労働者に対する人権侵害が起こっているのは技能実習生や留学生の働く職場だけではありません。一般の就労ビザ(「技術・人文知識・国際業務」など)や、定住・永住の資格で働いている外国人も、賃金未払いや不当解雇、労働災害という労働問題に直面しています。中には、技能実習生のように会社の寮に閉じ込められたり、パスポートなど身分証明書を預けさせられて逃げたくても逃げられないという実質的に「現代的奴隷制度」と呼んでも過言ではない環境で働かせられています。私たちは今後、こういった問題に対して個別の事件に取り組みながら、外国人労働者の労働環境全体を変えていくことを目指しています。もし、お近くに同じような被害を受けている外国人の方がいれば、POSSE外国人労働サポートセンター(https://foreignworkersupport.wixsite.com/mysite)に相談することを伝えていただければと思います。●パスポート取り上げ事件に関するメディア報道2019/11/5東京新聞:外国人旅券職場で管理 帰国も転職も阻む「不当契約」 横浜の行政書士事務所https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201911/CK2019110502000104.html2019/11/4東京新聞:外国従業員の旅券取り上げ 横浜の行政書士、返還拒むhttps://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019110401002172.html
ご支援・ご協力いただいているみなさま2019年9月9日の23時59分をもって、このクラウドファンディングが終了しました。目標金額は届きませんでしたが、274人もの方から2,123,833円にのぼるご支援をいただき、大変感謝しております。私たちNPO法人POSSEは、このフィリピン人留学生の事案をきっかけに、今年から本格的に外国人労働者の問題に取り組み始めました。6月末の提訴後、様々なメディアでこの件が取り上げられましたが、日本語学校「ホツマインターナショナル」は依然として責任を認めていません。今回のような「強制退学」や「強制帰国」の被害に遭っていたり、そこまで至らなくとも自分で「逃げる」ことを選択せざるを得ない留学生が日本にはたくさんいると思われます。しかし、そういった人権侵害はほとんど表に出ることはありません。それは、ほとんどのケースで、帰国させられてしまったり、時には暴力などの脅しによって、被害を受けた当事者が自身の経験を誰かに話すことができなくなっているからです。権利侵害の被害に遭っている外国人労働者が声を上げるのは容易ではありません。日本語が話せず、日本の法律についての知識もほとんどなく、支援団体の存在を知らなければ、「おかしい」と思っても相談する先がありません。また仮に「おかしい」と思い誰かに相談できたとしても、訴訟を起こしたり団体交渉などを通じて就労先の企業に責任を取らせるには、精神的なサポートだけでなく経済的支援も必要です。今回のように、留学生が置かれている過酷な実態を告発し現に訴訟を提起できたのは、皆さんからのご支援があったからにほかなりません。もし、訴訟を起こすための時間やコストを全てアンさん自身で負担しなければいけない状況になっていたら、借金を負って来日している彼女には負担が重すぎて、提訴を諦めていたはずです。改めて皆様にお礼申し上げます。ありがとうございました。外国人労働者が働きやすい職場をつくるためには、権利侵害の被害に遭った外国人労働者をサポートすることを通じて、おかしいことがあった際に「おかしい」と声を上げられる社会を築くことが重要です。今後も私たちは外国人労働者の権利を守るために活動を続けていきますので、引き続きフォローしていただけると幸いです。なお、ご支援いただいた方へのお礼の送付は、数日以内にメールでご連絡差し上げます。どうぞよろしくお願いします。
私たちの活動にご支援いただき、ありがとうございます。クラウドファンディングも残り9日となりましたが、クラウドファンディングの期間が終了した後も、外国人労働者の支援はもちろん継続していきますので、引き続き注目していただければと思います。さて、先週、8月23日(金曜日)の10時に東京地方裁判所民事第4部で第一回目の裁判が行われました。しかし、被告の日本語学校側は、提出した書面のなかでアンさんの主張を全面的に否定してきました。まず、アルバイト先の介護施設を辞めさせられた直後に退学を言い渡された件については、「被告(日本語学校)の退学勧告に応じて、原告(アンさん)が退学したこと」とし、あくまで学校側は退学を勧めただけで、本人が「自ら退学を決めた」と主張しました。そして、退学手続き後に、アンさんが生活していた寮に男性職員が入室し、アンさんがどこにも行かないように見張っていたというこちら側の主張に対しては、寮の部屋に職員が入ったことは認めたものの、部屋では「原告(アンさん)は自由に電話をかけることができたのであり、被告(日本語学校)の職員らの行為に監禁や不法侵入などの問題があれば、ただちに110番通報や支援者らが駆けつけて救助することも可能であったが、当日そのようなことは一切なく、原告と話をした後、職員らはそのまま帰宅した。職員らに監禁と評価されるような行為はない。」と述べています。さらに、成田空港にアンさんを連れて行こうとしたことに対して、「退学日にすみやかな帰国を指導し、空港まで付き添って出国を見届けるようにしており、本件も正当な職務行為にあたる」と主張して、学校側に問題はなかったと言います。しかし、これらの主張は事実に則しているとは到底言えません。当日アンさんに渡された学校側が作成した資料を見ると、「退職勧告」「退学手続き」「寮出発、成田T3到着、チェックイン、成田発、マニラ着」という計画が予め準備されていたことがわかります。学校側が一方的に作成したこのプランには、アンさんの合意を取るかどうかについてどこにも書かれていません。学校側が作成した計画書さらに、映像に残っているアンさんと学校職員とのやり取りを見れば一目瞭然ですが、学校側は最初から退学を前提で話を進めています。それは、アンさんの「なぜ会社を辞めたら学校もやめなくてはいけないのですか」という問いかけに対して、学校職員は「(介護施設名)と学校はセットだから」と述べていることからはっきりしています。退学・帰国を告げられた際のやり取り(テレビ東京ゆうがたサテライトのスクリーンショット)寮でのいわゆる「監禁」についても、いきなり退学と帰国を告げられてパニックになっている外国人が、退学・帰国を告げた職員がいる目の前で、110番などできるでしょうか?あまりに無茶苦茶な主張です。裁判はこれから本格的にはじまっていきます。重大な人権侵害を行った日本語学校にきちんと責任を取らせるために、今後も、この裁判そしてPOSSE外国人労働サポートセンターの取り組みに注目していただければと思います。●ボランティアを募集していますPOSSE外国人労働サポートセンターは、大学生や社会人ボランティアが中心となって活動に取り組んでいます。これから、ますます寄せられる外国人からの労働相談(電話、メール、対面)の対応や、街頭でのアンケート調査、調査報告書の作成、啓発イベントの企画・運営などは、ボランティアが集まれば集まるほどその活動の幅を広げていくことができます。現在では英語と日本語での相談対応になりますが、今後、留学生が多い中国や韓国、さらにはこれからますます増えていくと考えられるベトナムやネパールといった国々出身の方の相談に対応するために、対応可能な言語の幅を広げていきたいと考えています。月1回から、在宅などでも構いませんので、外国人の人権を守る取り組みに関心がある方は、ぜひお問い合わせいただけると幸いです。お問い合わせ:NPO法人POSSE外国人労働サポートセンターsupportcenter@npoposse.jphttps://foreignworkersupport.wixsite.com/mysite
昨日(8月6日)、読売新聞の朝刊とNHKなどで今回の事案が取り上げられました!アンさんが働いていた介護施設を運営する会社では、おおよそ10人ほどのフィリピン人留学生が働いていましたが、その10数人全員が、アンさんと同じように「ボランティア」という名目の無賃労働、寮費の給料からの違法な天引き、そして実際には取れていなかった休憩4時間分時間とさせられていた部分に対する未払いといった労働基準法に違反する働き方を強いられていました。アンさんと同じように「ホツマインターナショナル」に通いながらこの介護施設で働いていたあるフィリピン人留学生は、2017年6月から2018年12月まで働いていましたが、「ボランティア」分や違法な天引きなどを合計すると、トータルで112万円もの未払い賃金などがありました。このフィリピン人留学生の申告に基づいて調査が行われた結果、今年3月、川崎北労働基準監督署はこの介護施設のある事業所に対して、労働基準法24条および37条に違反するとして、是正勧告を行っています。24条は「ボランティア」分の未払いに対して、37条は休憩時の割増賃金の未払いに対してそれぞれ違反すると労働基準監督署は判断しました。アンさん自身に対しても、働いていた約9ヶ月間で60万円以上の未払い賃金がありました。その後、アンさんたち留学生がPOSSEと連携する労働組合(総合サポートユニオン)に加入して会社と団体交渉を行った結果、会社は非を認めて未払い賃金などの支払いに応じました。また、アンさんを一方的に辞めさせたことに対しても会社は責任を認めました。しかしながら、労働環境に異議申し立てをしたアンさんをフィリピンに「強制帰国」させようとした日本語学校「ホツマインターナショナル」は、未だに責任を認めていません。このままでは、「強制帰国」をさせても、何の責任を取らなくても良くなってしまいます。今回の訴訟を通じて、留学生を含めた外国人労働者の権利が守られるような前例を作っていきたいと思いますので、引き続きご支援いただけると幸いです。読売新聞:2019/8/6留学生の労働超過 偽装…「ボランティア」扱い 川崎の介護施設https://www.yomiuri.co.jp/national/20190806-OYT1T50076/NHK:2019/8/6介護施設が外国人留学生に賃金未払い 超過分「ボランティア」https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190806/k10012024641000.html沖縄タイムス:2019/8/7留学生賃金未払い介護施設に勧告 川崎、ボランティア名目https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/455430