こんにちは。シェア=国際保健協力市民の会で在日外国人支援事業を担当している山本です。久しぶりの投稿となります。リモートで活動を再開当会が在宅勤務中心だった5月末、女性普及員(Female promoter。ネパール人保健ボランティア)とともに、間もなく産後3か月になる双子の赤ちゃんのお母さん宅に“リモート訪問”を行いました。産後間もないお母さんと赤ちゃんたちに対して、私たちが新型コロナウイルスの感染源になる可能性を避けるため、対面での訪問活動はしばらくお休みすることにしています。しかし、何か他の方法で妊産婦さんたちと繋がることはできないかと、女性普及員たちとのリモート会議の際に話し合い、決めました。ネパール人の皆さんは、普段から、Facebookのメッセンジャーなどを活用した、母国の家族や友人とのビデオ通話は慣れているようです。リモートでの会話の様子(お母さんのスマホ画面。上下少しトリミングしています)家族の支えもあり、産後の経過や手続きは順調今回リモートでつながったお母さんには、昨年の夏、妊婦訪問でお世話になりました。※妊娠時の訪問の様子を紹介したブログはこちらこのお母さんは、上のお子さんが1人いる、出産経験者です。そして、出産直前にネパールからお母さん(産婦さん)のお母さん(赤ちゃんたちのおばあちゃん)が来日し、育児を手伝ってくれています。そのためか、産婦さんは穏やかで、特に困りごとはなく、気になることは、「最近赤ちゃんが寝てくれないこと」ぐらいでした。この産婦のお母さんは、新型コロナウイルスの影響で、ネパールへの帰国が延期となっているそうですので、しばらく強力な助っ人がそばにいてくれるのは心強いことだと思います。出産までは順調だったのか聞くと、腹痛が起きた後、2か月ほど入院となりそのまま出産を迎えたようです。病院を急遽移動しないといけないという話も出たそうで、悲しんでいた時に病院のスタッフが優しくしてくれたそうです。産後の手続き、入管や大使館での手続きなども全て済んでおられました。外出自粛の影響で、1カ月健診は、2カ月健診に変更となり、自治体の保健センターによる赤ちゃん訪問も延期となるなど影響があったようです。予防接種は病院と相談しながら順調に実施できていました。病院、保健センターと繋がれていることが確認できて安心しました。久しぶりの活動を終えて活動の後の振り返りの時、女性普及員から、妊産婦さんを対象とした活動は久しぶりだったので、緊張し、何を聞こうか戸惑ったという感想が聞かれました。そして、産前産後の話を聞けて、そして手続きや健診なども問題なく進んでいたことをみんなで喜びました。母子健康手帳をその場で確認できないなど、直接対面できないことによる限界はありますが、リモートという手段を通じて繋がり“訪問活動”を本格的に再開できたらいいなと考えています。幸い、女性普及員の皆さんはzoomなどでの会議には慣れている様子ですので、計画している勉強会なども進めていきたいと思っています。山本 裕子シェア=国際保健協力市民の会在日外国人支援事業担当(保健師、看護師)
シェア=国際保健協力市民の会で日本に住む外国人に関する医療電話相談を担当している廣野です。昨年9~10月に挑戦しましたクラウドファンディングでご支援くださいました皆さまに心から御礼申し上げます。今回は、ご協力を得て実施することができた母子保健に関する通訳派遣の調整や相談対応について、報告致します。母子保健にかかわる通訳ニーズシェアは、事前調査を含めると2015年から日本に住む外国人を対象とした母子保健に関わる活動を続けています。母子保健関連の通訳派遣依頼は年々増えていて、2019年では、結核やHIVに関する通訳派遣を除き、全体の78%が妊娠・出産や幼い子どもに関わる通訳派遣でした。具体的には、先天性の複雑な疾患やそれに関わる治療、手術などに関する説明の際の通訳依頼が特に多くなっています。両親共にまったく日本語がわからず、予防接種や各健診などの丁寧な説明が必要になるケースへの派遣もあります。日本で出産したとしても、その後、一時的に帰国をすることもあり、予防接種を正確にフォローすることが必要になることなども、通訳を入れての説明が必要になる背景としてあるようです。また、事情があってシングル・マザーとして出産を迎えることになり、日本に留まるのか、帰国をするのかの意志の確認、そして、その選択に伴う支援体制の検討をする際の通訳依頼もあります。家庭訪問での聞き取りから、通訳派遣につながることも(写真は本文の内容と関係ありません)多くのケースで、それまでは、翻訳アプリを使ったり、家族や知人などが通訳者として関わっていました。しかし、内容によって高い正確性が求められる、また、当事者が構わないと言っていても、個人のプライバシーへの配慮が必要と考えて、中立なシェアへの派遣依頼になるという事情もあります。いずれも、母子の今後の生活や健康にかかわる大切な場面において、通訳のニーズがあることがわかります。今のところ、これまでも連携があった保健所や病院からの通訳派遣依頼が多いのですが、今後は、これまでに依頼のなかった保健医療機関とも繋がって通訳派遣をすることで、母子、保健医療機関側共に、正確な理解ができている状況をつくり、安心して妊娠や出産、病気の治療などに繋げることに協力ができればと思います。相談から見える保健医療従事者の思い母子保健にかかわる相談で圧倒的に多いのは、先にも述べた通訳派遣に関する相談です。そして、通訳派遣以外も、「妊娠したら仕事が続けられなくなり、就労の在留資格を維持することができないかもしれないがどうしたらよいか」、「両親の在留資格が不安定で、自治体から予防接種の補助が受けられないので困っている」、「超過滞在になってしまったが、母子手帳はもらえるのか」などの相談が、当事者や当事者にかかわる医療ソーシャルワーカー、保健師、また、シェアと母子保健分野で一緒に活動しているネパール人女性普及員などから寄せられています。外国人の場合、在留資格の維持は生活の多くの側面で、大変切実な課題です。子どもについても同じことが言えますが、一方で、子どもの福祉の観点から、例えば、超過滞在であったとしても、母子手帳をもらうことは可能ですし、在留資格の有無よりも「居住の実態(実際にその自治体に住んでいること)」に重きが置かれ、予防接種を含め多くの母子保健サービスを受けることは可能です。しかし、それが広く知られていないこともあり、保健所が限定的なサービス提供に留まっている実態があります。行政が、母子保健分野でサービス提供を抑制すると、早い段階で妊娠、出産やその後の発達の異常に気づけない、感染症のリスクになる、など負の連鎖に繋がります。シェアでは、特に地域の保健師に対して、相談対応を通じて、早い段階でかかわることこそ、地域が外国人母子の健康を守ることになること、後々の社会的なコストの節約に直結することを伝えています。幸いなのは、シェアに相談をする保健医療従事者は「この母子を何とか支援したい!」と考え、その手立てを知るためにシェアに連絡をしてくれていることです。これからもこうした外国人母子を支える保健医療従事者の熱い思いにも応えられるよう、シェアは取り組みを続けてまいります。廣野 富美子シェア=国際保健協力市民の会在日外国人支援事業担当 社会福祉士
大変ご無沙汰しております。シェア=国際保健協力市民の会の山本です。寒い日々が続きますが、風邪などひかれていませんか。昨年10月のクラウドファンディングではご支援いただき誠にありがとうございました。おかげさまで、Female promoterと呼んでいる保健ボランティアさんたちとともに、活動を行うことができています。1月中には、皆さまのもとへ、寄附金受領証明書(領収書)を発送予定としていますので、ご確認いただきますようよろしくお願いいたします。さて本日は、12月22日に高円寺保健センターと共催で開催しました妊産婦セミナーについてご報告いたします。12月22日ネパール人妊産婦対象セミナーを開催2019年、Female promoterと呼んでいるネパール人の保健ボランティアたちは、妊産婦向けに栄養のセミナーを開催するという計画を立てていました。せっかくなので、妊婦だけでなく3歳以下の子どもを育てるお母さんたちも対象として、高円寺保健センター共催で12月22日に妊産婦セミナーを開催しました。ちょうどその3週間前に、高円寺保健センターがトライアルとしてネパール人妊婦を対象に母親学級を開催していました。その際参加した妊婦さんも参加しやすいよう、同じ高円寺保健センターで開催させていただきました。今回は、栄養だけでなく、ネパール人の中には、妊娠中、出身地域や民族の伝統的習慣の影響で、歯の手入れを避ける人がいることから、妊婦に歯科健診の必要性を伝えられるよう、歯科衛生についても取り上げることとしました。地域の“保健センター”についての理解が広がっている?当日は、雪が降りそうなとても寒い日となりました。参加者は誰もいないかもしれない、と覚悟していましたが、それでも3名の方が参加してくださいました。参加者たちが到着してすぐ、「あれ、なぜネパール人がこんなに来ていないの?」「もっと来ていると思った。来たらいいのに」というつぶやきが聞かれました。“せっかくの機会なのにもったいない”、というような発言に、言葉の問題が解決すれば、実は参加のモチベーションが高い人たちも多いのではないか、と感じました。また、「保健センターからの手紙が来たから開けなければいけないと、と思って開けた。」「何が行われるか良くわからなかったけど来た。」という声も聞かれ、保健センターからの案内なら行ってみよう”という行動に至っていることがわかりました。保健センターから何か得られるものがあるということが理解できている、ということです。参加者のうち1人は、過去にシェアがFemale promoterとともに妊娠中と出産後に訪問したお母さんでした。訪問の度に、保健センターからの手紙は捨てないように、必ず開けるようにと説明してきたお母さんです。移動の際も夫の同伴がないと難しかったお母さんが、今回は“ママ友”と来てくれるまでになり、うれしくなりました。保健センターからは、対象の方々にネパール語で作成したチラシを送っていました。その際、封筒の表にネパール語で「母親学級」というネパール語文を張り付けてくださっていました。手紙が自分たちネパール人に向けであることが明確で、その効果も大きかったと思います。実演交え自分の歯と向き合えた歯科衛生セミナー今回は、ご縁があり、「ネパール歯科医療協力会」の歯科衛生士、白田さんに講師としてご協力いただきました。白田さんは自治体の歯科衛生士としても活躍されながら、30年以上ネパールでも活動されてきました。歯の手入れの必要性や、自分の歯の状態のチェック方法、手入れの方法として磨き方やフロスの使い方、食事の際はよく噛むようにすることなど、わかりやすいように、実演や目で見て伝わる方法などを用いながら、説明してくださいました。参加者からは、「爪楊枝をつかうなどして、自分の歯の状態をチェックする方法がわかってよかった」など、いろいろな感想が聞かれました。鏡を用いて、自分の歯や歯茎の状況をチェック!笑いが絶えなかった栄養セミナー2018年に初めてシェアの健康相談会で開催した、沐浴と栄養教室に協力してくださった、栄養士さんに、今回も講師をお願いしました。今回はまず3つのグループに食材を分け、1つのグループに偏った食事をしないようにバランス良くたべることや、食べる量を意識できるように、目でみて伝わるように工夫しながら説明してくださいました。油、どのようにフライパンにそそぐか、という質問に対して、参加者は、「量は意識せず直接ドボドボとフライパンに注いでいる」という回答でした。大さじを見せながら、適量を説明してもらうと、「普段の使用量は多すぎだわ」と笑いながら、みんなで盛り上がりました。ネパールは大きなお皿いっぱいにご飯(お米)が盛り付けられることもあるということで、1回に摂取するのに適正なご飯の量も栄養士さんが説明してくれました。終了後、「適切なご飯(お米)の量がわかってよかった。」という感想が聞かれ、加えて「でも、すぐに忘れてしまいそう。出されたご飯は食べてしまうから」と素直にコメントされていて、また笑いに包まれました。この日参加した理由として「栄養のことを知りたかったから」という声が聞かれました。「豆腐や納豆の食べ方なども知ることができてよかった」などの声もあり、保健センターの保健師さんとともに、栄養のテーマは今後も取り上げていく必要性を感じました。食物の摂取量など笑顔で話し合う参加者と講師今後の取り組み2019年12月に、シェアが申請していた杉並区協働提案事業が採択されました。今年4月から高円寺保健センターの保健師の皆さんと共に、正式にネパール人対象の母親(妊婦)学級開催を目指し、活動していくことになります。クラウドファンディングで応援していただいたFemale Promoterとの活動も並行して進めてまいります。Female Promoterとも協力しながら、対象者の特性に合わせた母親学級が実現していけたらと思っています。保健機関側そして外国人コミュニティ側の双方から積極的なかかわりを増やし、連携して様々な課題を解決していけたらと考えています。これからも活動をご報告してまいりますので、引き続き応援をよろしくお願いいたします!山本 裕子シェア=国際保健協力市民の会在日外国人支援事業担当
皆さまの温かいご理解、ご協力のおかげをもちまして、目標額を超えることができました。本当にありがとうございました。ご存じのように、国連が2030年までの人類の共通目標として掲げているSDGsでは、目標3の中にUHC(Universal Health Coverage:普遍的医療保障)が含まれています。これは、ある国に住むすべての人にとって、国籍や在留資格、人種などの差を越えて、基本的に認められるべき権利で、だからこそ「普遍的」と呼ばれるものとなっています。さらにUHCの3つの原則としてWHOが掲げているのが、1)公平性、2)医療の質の担保、3)医療費による家庭や個人の破産予防、です。さまざまな社会サービス、公的補助へのアクセス権の保障や周知、通訳の派遣などで、外国人のお母さんたちはまだ、この3つの原則を十分に享受したとは言えない状態におかれています。その意味では、このクラウドファンディグの達成は、ほんの小さな一歩にしか過ぎず、私たちはまだまだ市民社会として、このお母さんたちや子どもたちとともにして成し遂げていくべき仕事をいっぱい抱えていることになります。皆さまの引き続きのご鞭撻とご支援をよろしくお願い申し上げます。シェア=国際保健協力市民の会 共同代表本田 徹
こんにちは。シェアの山本裕子です。あっという間に、あと7時間で45日間のチャレンジが終了しようとしています。この数日間で、さらにたくさんの皆様にご支援をいただき、目標額の90%を超え、あと約18万円となりました。3年前、シェアが初めてクラウドファンディングに挑戦した時よりも、かなり多くのみなさんに応援をいただきました。ここまで来られたのも200名近くのご支援くださった皆様のおかげです。女性普及員のみんなもここまで進めたことに大変喜んでおり、目標達成に向けて働きかけを続けながら、今後の活動への意気込みを新たにしています。あと7時間だけ、引き続き見守っていただけますと有難いです!!よろしくお願い致します。山本 裕子シェア=国際保健協力市民の会在日外国人支援事業担当(保健師、看護師)