福島の子どもたち応援する保養キャンプの目的は、放射能から離れ自然の中で思いっきり遊んでもらうことです。でも一年間続けてきて少し欲が出てきました(笑)。子どもたちに福島の現状をはじめこれからの厳しい時代を生き抜く力を養ってもらいたいとの願いを持つようになりました。 そこでこの夏の「青空キャンプ」では、"できるおとな" に接してもらうつもりです。この場合の "できるおとな" とは、なんらかの専門性を発揮できる人をさしています。プロフェッショナルを目の当たりにする体験です。たとえば去年のツリークライミングだってそうでした。遊び重視の雰囲気を変えるだけで、もっと深い体験になるような気がします。ひと言で言えば、「おとなってすごいなあ」と感じられる出会いをプレゼントしたいんです。キャンプではいつも大自然が先生ですが、その自然に分け入り親しむ術を持っているおとなに出会ってもらいたい、ということです。いきいきと生きてるおとなに、今のこどもたちはどれだけ出会っているでしょうか。眩しいばかりのおとなの背中を知ってこそ、後を追いかけ追い越す未来が開けるのではないでしょうか。
テーマは、今ではメインテーマの感がある「ぬくもり村の大家族」は変わらず、今回は「野生になる!」を掲げます。福島をはじめこれからの厳しい時代を生き抜く力を少しずつ養って行こうとの願いを込めて、たくましいキャンプ生活を目指します。この観点からのプログラム的なものとして、飯ごう炊飯などの自炊やドラム缶風呂、ピザ釜で焼くピザなど生活そのものを楽しむものから、講師を招いての自然体験教室、海ではカヌーにも挑戦する予定です。ぼくの個人的な志向として、創作的な場も作りたいので、陶芸家の指導による野焼きなども。自然と人に出会うキャンプ、といったところです。ミーティングで上がったアイディアを下記に列挙してみますね。 火起こし、自炊(飯ごう、缶飯)、洗濯(手洗い、)畑の収穫、魚釣り、貝獲り、タコ釣り、魚をさばく、太陽熱で目玉焼き、ドラム缶風呂、ピザ釜、自衛隊の指導による飲み水作り、漁港めぐり、地引き網体験、カヌーに挑戦、野焼き(縄文人体験)、紙漉で葉書作り(投函もする)、草木染め、日光写真、音楽のあるパーティ、ツリークライミング、沢遊び(滝壺)、夜間など変わった時間帯に歩く、民泊、ラジオ体操、宿題などなど。 この中から厳選したキャンプ、ちょぴりぜいたくでしょ?
夏に開催する「ふくしま・かなざわキッズ交流 青空キャンプ」の日程が決まりました。前後期の二期に分け、森と海で「野生になる」を目指します。これまでに参加してくれた子どもたちにまず呼びかけたところ、一日で11人もの応募がありました。ことし6年生になる子たちが多いので、これが最後の参加になる可能性もあります。みんなで思いっきりビッグな夏を作ります。ご支援のほど、どうぞよろしくお願いします。 前期 森 7月25日(木)〜8月1日(木) 娚杉少年自然の森 後期 海 8月2日(金)〜8月13日(火) 能登島勝尾崎キャンプ場 定員 前後期とも20人(福島15人、石川5人)
福島の子どもたちを応援する保養キャンプの活動が二年目に入り、参加児童の保護者のみなさんとも少しずつ交流が深まって行く。福島市に住むおかあさんから近所の様子を知らせる写真が届いた。市の中心部でようやく除染が始まったそうだ。これがその一枚。 原発からいくらか離れているせいか福島市の状況を知らせる報道は少なかった。実際には高い線量を示す地区が点在しているというのに。行政が動かず、報道されなければ、知らないままで有耶無耶と過ぎてゆく。あれから二年あまり、ようやく除染がはじまった。除染は"移染"だと、効果が疑われもしながら。 除染後の汚染物が街中に山と積まれて行く異様な風景。おかあさんは言う、「悲しい…」。ある除染現場では0.8μSvの表示だった。暑くなる日々、窓を開けろとせがむ子ら、清しい風を感じることにさえ躊躇する。この日常がいつまで続くのかと、悩ましい日々の福島を忘れてしまっていいものか。
福島の子どもたちの笑顔と元気を応援しようと2012年に発足した「ふくしま・かなざわキッズ交流実行委員会」は、一年の間休みなく活動してきました。少人数の参加者だった夏、一挙にふくれあがった大家族生活の冬、人数をある程度調整した春、そして障害児を迎えたこの「春の和・めぐるキャンプ」へと、経験を積み重ねながら適正な規模や内容を探ってきたように思います。出来るかぎり大勢の子どもたちをなるべく長期間招きたいとの思いは常に変わらずにありますが、放射能問題から遠ざかるという視点だけでなく少しでも深い交流を忘れないでいたいのです。今だけでなく、未来へとつながる友だちとして出会って欲しいと願っています。 交流は子ども同士に限らずスタッフのおとなとも、おとな同士も、さらには障害の有無にとらわれないものへと自ずと発展してきました。今後の形が徐々に定まってきたようです。障害児と過ごすにはある程度の専門知識が必要です。安全面への心がけもますます重要になってきます。アドバイスを受けて、参加者とスタッフがマンツーマンで生活するキャンプを試みました。全体のまとまりという観点から見ると物足りない様にも感じられましたが、一般社会に果たしてまとまりはあるのだろうかと考えを新たにしました。まとめることより、ひとりひとりへの関心を深めることこそこのキャンプの取り柄にしたいと思います。思いやりは、出会ったあなたがどんな人なのかと思いをめぐらす好奇心から生まれることを、あちこちで繰り広げられた二人一組でふれあう姿から学びました。 有志が集いスタッフとして応援する輪がどんどん広がっています。食事面では玄米菜食を取り入れるなど素朴で美味しい食卓を囲むことが多くなり、主に参加者とのふれあいを担うリーダーの若者たちにはそれぞれが独自に取り組む姿勢が見えてきました。創造性こそ、フィールドに飛び出すキャンプには必要です。思いっきり遊ぶ子どもたちにそんなおとなの背中を見せてあげたいものだと考えています。