こんにちは!TORICOTORの「ぼを」でございます。さすがに毎日書いているとネタが尽きてくる訳ですが、ついに日本民謡にまで話を広げてしまいました。小学校なんかでも有名どころはいくつか歌いますが、日本民謡こそ、拍の感覚が非常に難しい(逆に拍、というか伸縮を操れれば一人前とか)音楽のひとつではないかと思います。そして、当然私は専門家ではないので、知っている範囲というか、解る範囲で少しだけご紹介します。民謡は拍子の観点から、大きく「有拍」のものと「無拍」のものに分かれます。前者が一般的に「八木節様式」、後者が「追分節様式」と呼ばれます。つまり、変拍子というか、拍のない歌を求めるなら「追分節」を探せばいいわけですね(ボカロで追分節やるのも面白そうですが…)。では、折角なので、江差追分をお聴きください。江差追分の解説をした動画がありましたので、よろしければご覧ください。比較して、八木節です。八木節は物語や人生を謳った物が多いようですが、国定忠治について歌った物が有名みたいですね。↑の動画では、八木節の方は伴奏がついているので、目立って拍子感が解りますね。対して江差追分の方は、拍をとるのが難しいというか、言葉の伸縮の妙味があります。因みに、私の地元では小学校の音楽の授業で「木曽節」を聴ききます。私の遠い記憶では、この歌は追分節様式だと思っていたのですが、どうやら一部地域では盆踊りで使っているようで、であれば八木節様式なんでしょうね。日本民謡については、NHKが編纂している「日本民謡大観」というものがあります。日本中の民謡の録音を収集した物で、かなり以前にFMのNHKで毎日15分くらいずつ録音を紹介していたような記憶があります。恐らく、既に消滅してしまった民謡も、多く録音されているのではないかと思いますよ。因みに、民謡ではないですが、同じく日本の歌である短歌は「57577」なので、「お、変拍子じゃん! プログレ~」って思われるかもしれませんが、少なくとも現代においては各節のあとに空拍がおかれるので、「88888」です。変拍子じゃないです。お蔭様で、間もなくプロジェクトは100%を迎えます。近々、実製作に向けて動き出す予定ですので、ご期待下さい!また、まだ一部早割のリターンも残っていますので、気になる方は是非このタイミングにどうぞ!おまけ。追分節様式「桶洗唄」です
こんにちは!TORICOTORの「ぼを」でございます。今回はまた少し趣向を変えまして「映像界のプログレ」という事で、ちょっと変わった映画や映像作品について触れてみようと思います。正直、映像となると素人からプロまで結構なんでもありなので、専門学校や芸術大学の卒業制作展なんかにでも足を運べば、映像を使ったプログレッシブなインスタレーション作品には比較的容易に出会うことが出来たりするかと思います。以前にも書きましたが、かく言う私自身も映画製作サークルで「ジョン・ケージを模倣した映像」や、今回ご紹介する「スタン・ブラッケージに影響を受けた映像」なんかを作っては上映し、誰にも理解されなかったという経験を持っております。では、まずは有名どころでゴッドフリー・レッジョの「カッツィ3部作」についてです。映画作品で、1982年に製作された「コヤニスカッツィ」、1988年の「ポワカッツィ」、2002年の「ナコイカッツィ」と3作品が存在しています。この映画の最大の特徴は「セリフやナレーションが一切なく、音楽に合わせて映像が永遠と流れ続ける」という事です。「100分前後のMVを3作品見ている」と考えればイメージがつくかと思います。youtubeで、それぞれ冒頭の映像を見つける事ができましたので、まあご覧ください。映画のタイトルはホピ族の言葉で「混沌とした世界」とか、そんな感じの意味合いがあるようです。私は最終作のナコイカッツィのみ劇場で観たのですが、当然シネコンなどの一般的な劇場で上映される事はなく、小さな単館系の映画館でした。次はスタン・ブラッケージの作品です。この人は映画監督というカテゴリでいいんだと思いますが、実験映像、記録映像のような作品が多く、特に8mmや16mmフィルム時代に絵を描いたり、昆虫や植物を貼り付けたりと、かなりアヴァンギャルドな方法で映像作品を作っています。このDog Star Manは最も有名な作品のひとつです。音声はありません。こういった作品以外にも、人体解剖を撮り続けた作品、日常風景を映し出した作品など、色々な物が存在しています。打って変わって、サルバトーレ・ダリの作品です。この人は有名な画家で、かのチュッパチャプスのパッケージデザインをした事でも知られていますね。夢を題材に作品を作るために、口にスプーンを加えたまま寝て、スプーン落ちる音で起き上がる事で直前の夢を覚えている状態で製作にとりかかる、というスタイルでも知られています。実は、映像作品が存在しています。冒頭の女性の目をカミソリで切るシーン(実際は豚の目を切っている)や、蟻が手に集っているシーンなんかが有名ですね。サイレントだったと思うのですが、当てられている音楽の違う、複数ヴァージョンを観たことがあります。また、この作品をオマージュした「サルバトーレとなんたらの犬」という作品もあった記憶があるのですが、こちらは情報を探す事ができませんでした。マヤ・デレンです。ウクライナ出身の女性前衛映像作家ですね。映画作家以外に、ダンサーでもある事から、ダンスをテーマにした作品なんかもあります。前に書いたかもしれませんが、ジョン・ケージが音楽を提供している作品もあったと記憶しております。モホリ=ナジ。映像作家というよりは前衛写真家だと思うのですが、バウハウスに居た事でも有名な方です。なんか古い作品の紹介ばかりになってしまいましたね。現在はテクノロジーが発達しているので、より前衛芸術の手法や選択肢の幅は広がっているかと思いますが、当時の環境の中で新しい事をやろうとした人たちの作品は、今見ても新鮮に映りますね。「人類には早すぎる音楽+」は、ある種のアヴァンギャルドなカテゴリである「変拍子」を、如何にPOPsの世界に落とし込むか、をひとつのテーマに製作しております。ですので、聴きやすく仕上げておりますが、背景には、こういったある種の「振り切った」作品の印象が潜んでいることも、是非知っていただければと思います。今回は以上です。引き続き「人類には早すぎる音楽+」を宜しくお願いします。
こんにちは!TORICOTORの「ぼを」でございます。今回は本来の趣旨に立ち返りまして、変拍子曲をご紹介したいと思います。今回はアラカルトで、「え? あの曲って変拍子だったんだ」というものをいくつかご紹介します。いいですか?日本民謡のプログレ of プログレ。「あんたがたどこさ」です。数えると解りますが、4→2→3→3→4→2→4→4→…てな感じになっています。これを自然に口ずさめるのって、意外とすごくないですか?ビートルズの「All need is Love」ですね。サビ部分は4拍でとれるんですが、メロディ部分は7拍子で構成されています。こんな有名な曲が、実は変拍子だった、というのは面白いですよね。ゴジラのテーマです。この曲が変拍子である事は有名ですね。サビ? というか、一番有名な旋律は2→2→5→2→2→5で拍がとれると思います。ちょっと古いCMですが、一世を風靡しましたね。この歌は4→5→4→6→4→4で拍がとれるんですが、当時誰もがこの拍子で口ずさむ事が出来たのではないかと思います。まさに「妙な違和感ありつつもなんとなく歌えちゃって、印象に残る」という、変拍子の利点を存分に発揮したCMソングだったと思いますね。ムソルグスキーの「展覧会の絵」。11拍子ですね。5→6→5→6の繰り返しで拍子がとれるかと思います。長谷工のCMです。この曲について、ずっと「CMだから短時間に歌詞を詰める為に7拍子にした邪道CM」だと思ってきたのですが、この30秒バージョンは、7拍から8拍に転拍子して、また7拍にもどります。つまり「意図的」にやってます。そして実は、8拍で貫き通しているverも存在しています。「意図的に変拍子を使う事で印象づける」戦法が、ここでも垣間見えていると言えます。う~む。長谷工やりおる。いかがでしたか?なかなか面白かったのではないでしょうか。本日はここまでです。引き続き「人類には早すぎる音楽+」を宜しくお願いします。
こんにちは!TORICOTORの「ぼを」でございます。ここの所、変拍子から少し話題がずれてばかりな気がするので、そろそろ本来路線に戻したいと思いつつ、今回は「ヨナ抜き音階」について少しだけご紹介します。夏なので。「音階」と一言で言っても、色々なものが存在していますが、小中学校の音楽の授業なんかで「沖縄っぽい音階」とか「演歌っぽい音階」といった感じで習った方も多いのではないでしょうか。「ドレミファソラシド」の主に12平均律の中から、特定の音を抜くなどして構成された音の並びの事を指します。「ヨナ抜き音階」もその一つで、シンプルに言ってしまえば「ドレミファソラシド」の「4番目(ソ)」と「7番目(シ)」を抜いた「ドレミファラ」で構成する音階です。ソとシは使っちゃいけません。この音階を使うとどうなるかって? 「夏っぽい」「どこか懐かしい」「和風の曲」になるんです。では「夏のヨナ抜き音階」3連発でご紹介しましょう。米津玄師さんなんかはこの音階を多用していると言われますし、有名なボカロ曲ですと「千本桜」なんかもヨナ抜き音階です。それ以外にも・perfumeの「レーザービーム」・AKBの「恋するフォーチュンクッキー」・きゃりーぱみゅぱみゅの「つけまつける」・スプラトゥーンの「シオカラ節」など、多くの有名曲でこの音階が使われています。日本人の耳に馴染みが良いのでしょうね。私は意識して使った事はありませんが、和風の曲、夏の曲を次に作る時には、取り入れてみようと考えていますよ。余談ですが「打ち上げ花火下から見るか横から見るか」ですが、アニメを初めて見た時に、異様な既視感があったのを記憶しております。で、なぜなんだろう、と調べてみたところ、1993年頃にテレビドラマで放映していたんですね。私は当時小学生だったと思いますが、破傷風の下りとか、トイレで着替える下りとか、強烈な印象を持って記憶に刻まれておりました。今回は以上です。次回は、また何か変拍子の楽曲をご紹介できればと思います。
こんにちは!TORICOTORの「ぼを」でございます。さて、今回は私自身がノーマークだった「現代音楽」について、少しだけ触れてみようと思います。「現代音楽」…。イメージとしては「無調」「無拍子」「不協和音」「ノイズ」「多重録音」などを多用した音楽の事かなあ…と。デリダ的に言えば「音楽の脱構築化」といった体でしょうか。Wikipediaを紐解きますと、こう書かれています。――西洋クラシック音楽の流れであり20世紀後半から現在に至る音楽を指す。(中略)その定義も非常に曖昧・抽象的であり、他の時代の西洋音楽史の区分のように、様式によって区分されたものではない。現代音楽は調性をはじめとする従来の音楽様式を否定・更新した先鋭的な音楽を指すことが多い。最も顕著な特徴は無調への傾倒と不協和音の多用である。なお、現代音楽という用語自体が、「現代の音楽」全体の中で特権的であり、エリート的であるとする批判もなされている。う~ん。あまりにもイメージ通り。でも皆さん、現代音楽ってどういう所で耳にしますか? ジョン・ケージは確かに代表者の一人なのかもしれませんが。。。私は、ぱっと思いつくのはモダンバレエ(コンテンポラリー)の曲です。例えば、こういうやつとかですね。あとは、土方巽や白虎舎とかに代表される「暗黒舞踊」でしょうか。「玉砂利姫」くらいは見た記憶がありますね。はたまた、ノイズミュージックなんかも。カールマイヤーなんかは個人的にすごく好きですね。現代音楽と言った時に、特徴の一つとして語られるのが、音楽の進行が「水平」ではなく「垂直」である、という事のようです。水平である、とはつまり、曲自体にコンテクストが存在しており、アリア形式とかソナタ形式とか色々な形式はありつつも、曲としてまとまった構成をなしている物で、POPsなんかでも大抵は水平音楽に入ると思います。翻って「垂直」とは、「突然立ち上がる音」「文脈を無視して不意に現れる音」といった事を指すようです。現代音楽を語る時に、名曲として語られる「ノヴェンバー・ステップス」は、尺八を多用した楽曲ですが、まさにこの尺八という楽器は「垂直な音」を出す事ができる楽器として捉えられているようです。この曲のスコアを見ると、ちゃんと「8分の4拍子」といった拍子が設定されていますが、尺八のソロパートには音階はあっても音価がなかったり(ただの●が記載)、カデンツが図形で示されていたりして、詳細な演奏法については「口伝」だったそうです。我々の言葉でいう「プログレ」は、こういった現代音楽の一種、または流れを汲んでいる物なのかもしれませんが、より理解がしやすく、曲として成立が難しくない「変拍子」や「微分音」は、現代の音楽シーンのパラダイムをシフトし得る可能性を秘めているかもしれませんね。どなたか現代音楽に詳しいかたがいらっしゃったら、是非、お勧めの曲を紹介して頂きたいですね。不協和音と言えばこれ。お耳なおしに、ピチカートファイブでもお聴きください。