今回、今まで躊躇していた八重山の誇るべき食材
『車海老』
を使って
料理を3品を試作しました。
車海老を躊躇していた最大の理由は価格です。
ただし申し添えたいのは決して高価だから使わないと言うわけではありません。
養殖には手間がかかり、これだけの鮮度で提供頂くのは適正な価格だと思っています。
しかし、石垣市の方々に日常的に使って頂きたい事から、前菜を含め1200円近くもしくは超えてしまう事に成ってしまうのが良いのか悩んでいたのです。
他の料理と比べた場合、果たして召し上がって頂けるのだろうか・・・・
ユーグレナ竹富海老養殖←タップ
今回は竹富島で作って頂いている車海老で試作してみて決めました。
旨い!!
まずはAntipasuto 前菜2品です。
南イタリアの居酒屋さんに置いてある定番おつまみ
【Impanata di Gamberi dell'isola di Taketomi】
竹富島産車海老の香草パン粉焼き
です。
極上の鮮度である海老は可能な限り引き算、つまり素材を生かした料理の方がより素材の旨味が際立つと思いシンプルに仕上げました。
料理の肝は火入れです。
昨日もお話致しましたが、海老は身を縮める程火を入れると旨味が全て絞り出され不味くなります。
ですから海老を縦に切り分けて強火で一気に火を、入れてミディアムレアに仕上げます。
海老を2%の塩水で解凍するか、一晩冷蔵庫で解凍します。
海老を縦に割って平たくします。
ニンニク、アンチョビ、パセリ、タイムとパン粉、オリーブオイルをフードプロセッサーに入れて撹拌します。
縦に割った海老にブランデーを塗ります。
(パン粉に加えてしまうとアンチョビの香りと個性を消してしまうので、必ず塗ってください)
海老の上に香草パン粉をたっぷり乗せて温めて置いた、魚焼機かオーブントースターで最大の強火で焼いていきます。
この時に火を早く入れたいことから、何も敷かずに一気に焼きます。
パン粉がコンガリ焦げたら皿に盛り付け、好みで柑橘を添えて完成です。
ミディアムレアレアで仕上げた海老は絶句するほど甘味を湛えています。
香ばしいパン粉との愛称は抜群
次の前菜です
【Gamberi e tonno dell'isola cruda battuta al
coltello con verdure dell'isola di Ishigaki】
竹富産車海老と石垣産マグロ、
野菜のタルタルステーキ、
海老煎餅を添えて
北イタリア ピエモンテ州に
【Carne cruda battuta al coltello con cristalli di sale e erbe di provenza】
と言う郷土料理があります。
簡単に言うと生の牛肉のタルタルステーキです。
塩とハーブを使ったユッケのような料理です。
余談ですが、昔々ヨーロッパの東部から北部は狩猟民族であるタタール人が多く暮らしていました。そのタタール人が好んで食べていたのがタルタルステーキ、そのタルタルステーキが悪くなりそうなので、食中毒に成らないように焼いて食べた最初の人がドイツのハンブルグの方で、それがハンバーグの誕生に繋がったそうです。
ハンブルグ→ハンバーグ
この文化的な歴史背景から和食文化が世界に広まった事と合わせた影響から生まれた料理が生の魚のタルタルです。
今回はこんな事から完全と言える地産地消の前菜を作りました。
材料は全て石垣島と竹富島の海老から出来ています。
作り方です。
以前投稿したJAゆらてぃく市場から島らっきょうと島ネギの根元部分でピクルスを作り、荒く微塵切りにします。
島のキュウリを同じく切り分けて塩を軽くまぶしてマリネしてから流水で塩を抜いて水気切っておきます。
マグロは1%の塩を当てて暫く置いて酒で拭いて冷凍した物を解凍して小さなサイコロ状に切り分けます。
先程のキュウリとピクルス、マグロをボールに入れて隠し味にほんの少しの醤油を加え(色が付かない程度)黒オリーブの微塵切り、オリーブオイル、塩で味付けして皿に盛ります。
竹富島の海老は頭と尾の部分を切り分けて、身を軽くシャブシャブのように湯引きして刻み、マグロの上に盛り付けます。
切り分けた頭と尾は小麦粉をまぶして油で揚げて塩を軽く振りかけタルタルの脇に飾ります。
最後にオリーブオイルをかけて、シークワーサーを飾り完成です。
最後に
Purimo piatto パスタ
です。
ソースは以前、作り投稿したクスクスのソースを使いました。
【Spaghetti alla livornese con gamberi
dell'isola di Taketomi】
竹富島産 車海老のリヴォルノ風
トマトソースのスパゲティ
です。
《リヴォルノ風とは》
北イタリア トスカーナ州チェルタルドに
「バッカラのリヴォルノ風」
という郷土料理があります。
バッカラとは干しダラで、塩抜きして戻したタラをトマトソースやハーブと煮込む料理です。
そして余談ですが、
リヴォルノはトスカーナ州西端にある港町で、メディチ家の主要港として繁栄しました。
この港町の名物は5種類以上の魚介とトマト、ハーブ類を煮込んだスープ
「カッチュッコ」
いわゆるブイヤベースに似た魚のごった煮があります。
平たく言うと漁師さんが漁から戻り、ペコペコにお腹を空かせて商品に成らない規格外の取ってきた魚をぶつ切りにしてトマトソースに放り込んで煮込んで食べた野手溢れる漁師料理なのです。
そして、この2つの料理が地域も近いことから近年合わさり
【リヴォルノ風カチュッコ】
となり、これを目当てにフィレンツェから車を飛ばす食通たちも多い程の有名な料理になりました。
さて話を戻して
今回はクスクスの時に作った赤海老、島魚のビタローのアラで煮込んだトマトソースを使います。
車海老は頭と尾を切り離して小麦粉をまぶして油で揚げ、軽く塩を振っておきます。
こうすることで海老の頭も食べることが出来て、竹富島の車海老を丸ごと頂けます。
次に胴体は塩を加えたお湯で、海老に串を打ち、だいたい30~40秒芯が半生くらいで仕上がるように茹でます。
(甘味が出て美味しい)
パスタを茹でてソースと合わせ、皿に盛り付けて、上に海老を飾りつけ、最後に上から香草パン粉をローストしたものを振りかけて完成です。
(香草パン粉は前々回投稿した香草パン粉焼きの時に使った物です)
Dai!!
buon appetito!!
さぁ!!
召し上がれ!!