署名活動の一方、あらゆる手を尽くしていこうと、地権者さんとのやりとりも同時進行していました。
「こんなことになるとは思わなかった。自分たちは、ソーラーパネルじゃなくてもいいから、契約を解除してもいいんだよ。」
そう意思を示してくれた地権者さん。しかし、地権者さんが事業者に連絡しても「もう何千万もかかっているから無理です」と言われるだけ。
人のいい田舎のお年寄りは、事業者に対して太刀打ちできないと思います。
わたしは怒って「何千万もかかっていないですよね?そもそも、そういう規模の施設じゃないですよね?」と担当者に電話すると嘘だということを認めました。
本契約が済んでいましたが、望みは、契約書にある手付金ももらっておらず、土地代も一切支払われていなかったこと。お金が絡むデリケートな問題なので、いろんな情報に振り回されながらこの事実にたどり着くまで、とても時間がかかりました。
わたしとひとみさんで、地権者さんと一緒に、弁護士事務所に同行させてもらいました。
そして、年内に間に合うように、急いで弁護士さんを通して契約解除の内容証明を送りました。
弁護士さんからは「地域内で、(契約解除の意思表示をした)地権者さんを応援する空気を作ってください。そうすれば止まると思いますよ。がんばりましょう。」とアドバイスをいただきました。
地元で生まれ育った地権者さんの応援なら、地域で賛同を得やすいだろうと考えていましたが「彼のことはプライベートで応援してるから、あなたたちのやることには協力できない」と言われることもありました。
ソーラーパネルができてしまったら、地権者さんは長い間ずっと「なぜ土地を売ったのか」と言われ続けることになると考えていました。周りの住民に何かあったら、絶対に地権者さんが責められる。今こそ、応援すべき時なのに....
そんなこんなで気持ちの浮き沈みが激しいながらも、希望を持ち続けることは決してやめませんでした。そして、少しずつ前進していることも肌で感じていました。
「あとは神様お願いします。みんなが幸せに暮らせますように。」
毎日、そんな想いでした。
つづく
もくじ
~プロローグ~はじまりの日
Episode1 二人だけのミーティング
Episode2 神様からの届け物
Episode3 防災に絶対はない
Episode4 地元民がやるしかない
Episode5 そこに愛はあるのか?
Episode6 救世主あらわる
Episode7 新しいことを学ぶ日々
Episode8 不穏な住民説明会
Episode9 土地の売買契約解除にむけて