白雪牧場クラウドファンディングへの応援ありがとうございます。プロジェクトオーナーの坂口です。しばらくご無沙汰しておりましたが、立山では連日の晴天が続き、山では木々が紅葉して色とりどりの景色が広がっています。秋の風景さて、前回のピザ石窯づくりの報告をしてから随分と時間が空いてしまいました。この夏から秋にかけて、①牧場水回り建設、②農作業(稲刈とぶどう収穫)、③立山農芸祭(11月3日)準備開催と、三つの仕事を行ったり来たりしながら過ごしておりました。この11月3日に立山農芸祭を無事開催して、怒濤の如く続いたもろもろの仕事もひと段落。しばらく間が空きましたが、その間の牧場プロジェクトの活動報告をゆるりと再開したいと思います。前回の報告で、ピザ小屋・石窯づくりの様子をお伝えしましたが、今回からは牧場整備で最も大きな部分を占める水回り工事(アウトドアキッチンとトイレ)の様子を紹介します。おさらいとなりますが、6月に建設予定地にあった廃屋を解体して、7月に敷地に砕石を敷いて造成。8月頭から、今回報告するキッチンとトイレの二つの小屋づくりをはじめました。もともとあった廃屋(6月)解体後に整地(7月)ところで建屋を作る上でポイントとしたことは、限られた予算の中で実行するため、費用と時間をかけないセルフビルドでできること。工法として採用したのは、技術を持たない素人でも簡単に組み立てられる単管パイプです。まずは、キッチン小屋。床面積を6メートル四方の大きさで設計。単管パイプは組立簡単とはいえ、小屋は6メートルのパイプを使う大きなもの。人力でやるのは少々難しい作業でしたが、お世話になっている土建屋の野村さんにお願いして、ユニック車でパイプをつってもらい作業を進めました。大枠ができると、同じ移住者の友人・村田さんに助っ人してもらいながら、パイプを次々に足して行き、小屋の構造を少しずつ補強していきました。ユニック車でパイプをつり上げ土建屋の野村さんとキッチン小屋の骨組みが一段落すると、今度はトイレ小屋の組立。素人二人での作業も、キッチン小屋で組立作業にも慣れて、あっという間に骨組み完了。その勢いで、一気に屋根トタンも貼って屋根を完成させました。素人二人で協力しながら作業トタンを張って屋根完成なお、小屋の組立作業は村田さんと小生のほぼ二人で行いましたが、土建屋の野村さん、同じ集落の土木のプロ・長嶋さんなどベテラン職人さんたちがたまに覗きに来ては、「ここは補強でパイプが必要」「水平を出すには」と様々なアドバイス。熟練の職人さん二人には、単管パイプの小屋づくりを通して、土木現場で使う様々な基本を教えてもらいました。素人二人を「にわか職人」に仕立ててもらったことはとてもありがたかったです。灼熱の中、8月最初にはじめたトイレとキッチンの小屋組立も8月末に完成。次回は土中配管とコンクリート打設作業の様子をお伝えします。
白雪牧場クラウドファンディングへの応援ありがとうございます。プロジェクトオーナーの坂口 創作です。ここ最近の立山はお盆前までの暑さがやわらぎ、朝晩は涼しくなってきました。先日、石窯を置く東屋の完成を報告させて頂きましたが、お盆前の8月11日と12日、プロジェクトの目玉である石窯設置を行いました。このたび石窯を制作頂いたのは、上市町・立山町で石材店を営む杉本工業所さん。杉本工業所さんとの付き合いがはじまったのは、さかのぼること2年前。DIYで薪ストーブを設置するため炉台となる石を探していた折、偶然石材所の看板を目にして飛び込みで訪問。飛び込みだったものの、炉台づくりの相談にも親切に乗って頂き、薪ストーブの炉台用の石を作ってもらうことになりました。石で作ったDIYの炉台実はその時、石材所をいろいろ案内頂いたのですが、石材所でつくる様々な製品の中で一番目を惹いたものが、杉本さんオリジナルの石窯。話しを伺うと、移動もできる石窯で、あちこちでピザを焼いて色々な方に振舞って喜んで貰っているとのこと。それ以来いつかは農園にも石窯があればとの思いをあたためていました。こうした二年越しの構想とクラウドファンディングを経て、生まれたのが白雪牧場の石窯です。「いしころや。」の屋号でイベントでピザを出されています。9月の牧場イベントでも出店頂く予定です。まず、サイズとデザインを相談した上で作った石窯を杉本工業所さんで加工。そして、先日活動報告で紹介した東屋の完成を待って、8月11日に土台となる石を搬入しました。手際よくモルタルを捏ねて、土台が出来上がってきました。仔馬も見学(野次馬)土台が組まれました土台づくりをした翌日の8月12日に、工事の本番となる石窯の積み上げ。見学に来たご近所さんや地元テレビ局のカメラに囲まれる中、ひとつずつ位置を正確に出しながら、石窯が積まれていきました。ひとつずつ正確に位置出しして組み上げテレビクルーが撮影していました杉本社長(中央)と職人さん(右)無事完成して、その日のうちに初焚。無事、白煙が上がりました。ススが着いたことで、早速風格が出て来ました。初焚前に家族で記念撮影装飾で雪タイルと蹄鉄を置きましたなお、杉本さんの石窯は大きな特徴があります。それは、もともとは取り壊された石塀だということです。立派な石を再活用できないかとの思いの下、杉本さんが取り壊された塀の石を大切に保管。それを加工してリサイクルして生まれたものです。身近にある「石を大切にする」杉本さんの温かな思いが乗っています。さらに、その塀に使われていた石は、半世紀ほど前に採掘が終わった富山・庄川産の金屋石。これから新しいものが出て来ない貴重なものです。石窯は、かつては富山で広く使われていた金屋石の記憶を継ぐものでもあります。こうした杉本さんの思いや金屋石の思い出を乗せたのが白雪牧場の石窯です。石窯料理はこれからゆっくり練習と研究を進めて行きたいと思いますが、どのような料理が生まれるか楽しみなところです。また、これから白雪牧場では、農園食材を使ったピザなどを作って出すだけでなく、参加者が自分で持って来た材料を自由に焼ける「石窯デー」を定期的にもうけ、石窯を様々な人に開放しながら使っていけたらと思っています。さらに、杉本工業所さんには、石窯として再生を待っている金屋石がまだ沢山あるそうです。将来、再生金屋石の窯が白雪牧場のほかでも設置され、地域の石窯仲間でいろいろと交流したりイベントを行えるような日が来ることを夢見ております。さて、工事全体を見ると、お盆前の猛暑とお盆から始まった長雨で工事全体にはやや遅れが出ていますが、廃屋の解体工事、石窯小屋づくりが終わって、ほぼ折り返しを過ぎました。残すはトイレやアウトドアキッチンといった水回り、そして新たな馬小屋となります。次回の活動報告では、工事後半の山場となる水回り工事の模様をお伝えします。
白雪牧場プロジェクトの応援ありがとうございます。プロジェクトオーナーの坂口 創作です。本日の立山は晴れ。ここのところ毎日、炎天下が続いています。猛暑の中で作業となることも多く、一年の中でも踏ん張りどころの今日このごろであります。活動報告が前回からすこし経ちましたが、今回の牧場プロジェクトの一つの目玉であるピザ小屋づくりが進んでいます。今回のピザ小屋づくりの現場を中心になって進めてくれたのは、立山・岩峅寺で親子二代に渡って大工を営む山本建築さん。4年前に薪風呂改修ではじめてお世話になって以来、山本さんは、我が家のかかりつけ大工さんとして、洋間改装、トイレ増築と毎年のようにお世話になっています。また、山本さんの手による空間は民泊に滞在したり我が家を訪ねて来るゲストのみなさんにも喜ばれています。左が大工の山本さん薪風呂改修洋間の改装ところで、4年前に薪風呂の改修から始まった大工さんとの現場ですが、材料調達、解体、現場の片付け、塗装など、自身で出来ることはこれまでもできるだけ現場に入って一緒にやってきました。ただし、大工工事は全く触ることはなかったのですが、今回のピザ石窯の東屋作りでは、はじめて山本さんから「よろしくね」と手元としてご指名。見習いのような形で参加させて頂くことになりました。工事は何よりも基礎づくりです。最初にピザ小屋となる場所に、建物を立てる場所の土を削り、石をしきました。また、当初の予定には無かったのですが、クラウドファンディングで目標以上のご支援が集まったことや、今後の使い勝手も考えて、しっかりとしたコンクリート基礎としました。山本さんの仕事仲間である土建屋・野村組さんの指揮の下、レッカーも動員した大掛かりな基礎工事を行いました。コンクリート基礎が出来上がると、山本さんと二人でブロックを積んで土台づくり。モルタルとコンクリートを手で練っては、ブロックの間に詰めて行く作業を行いました。さらに、ブロック基礎ができると、大工さんの作業所で予め刻んでいた柱も持って来て、組立作業がはじまりました。山本さんの指示にしたがって、材料を運んだり、柱を立てたりの作業を行うこと二日。無事、石窯を置く東屋が完成しました。コンテナと並ぶランドマークになりそうです立派な床柱が使われています完成した東屋ですが、前回の活動報告で紹介した上田工務店さんから提供頂いた木材が使われています。とりわけ柱には、工芸品のような床柱が贅沢に使用されており、小さいながらも立派な存在感を放っています。今後、東屋はコンテナと並ぶ牧場のランドマークとなるでしょう。ところで、小さい東屋ではありますが、今回は基礎作りからはじまり、柱を立てて屋根をつけるまで、一連の建物づくりを大工さんの傍らで学ばせて頂きました。とりわけ、今回は軸組による伝統的な在来工法による建て方でした。樹種やサイズの異なる木材を、お互いが組合わさるように刻んで、一つの建物にまとめていく過程は、息をのむような見事なものでした。こうした技術を受け継ぐ大工さんが身近にいることは、本当にありがたいことです。一方、山本さん曰く、最近は大工さん含めて職人さんのなり手がなかなかいない状況だそうです。また、プレカットによる工法が主流になる中、山本建築さんのような在来軸組工法を使いこなす大工さんは少なくなっているとのこと。素晴らしい技術ですが、大工さん自体のなり手が細り、工場加工による建築が進む今の世の流れが続くと、将来、伝統工法の担い手を地域で探すことは難しくなるかもしれません。今回お世話になった山本さんも、弟子となる人材がおらず、探しているとのこと。地域で技術を継ぐ方が現れたらとの思いで、「将来の棟梁はどこに?」と微力ながら私もアンテナをはっている所です。「我こそは」の志願だけでなく、「いい人がいます」との紹介もお待ちしております。牧場づくりの話題に戻りますが、ピザ小屋に続き、今後は石窯づくり、アウトドアキッチンとなる東屋、トイレと今後も工事が進んで行きます。また、秋の完成後に予定しているイベント準備も並行して進んでいます。その様子もまたの活動報告でご紹介できたらと思います。
白雪牧場プロジェクトへの応援ありがとうございます。プロジェクトオーナーの坂口 創作です。本日の立山は曇り空です。過ごしやすい涼しい天気になっています。先日、お伝えしました通り、7月7日23時59分にインターネットでのクラウドファンディングの募集が終了して、おかげさまで目標を超える金額の支援を頂くことができました。一方、インターネットでのクラウドファンディングに不慣れのためネットでの参加ができない方々も。実は、こうした方向けに、ご近所さんを中心に、現金で手渡しする昔ながらのローカルなクラウドファンディングも行われておりました。このたび集計しました所、本日時点で16名の方々から合計308,000円をご支援頂いております。インターネットでの支援を合わせると、今回のクラウドファンディングには127名の方から1,396,500円(目標の約140%)を頂くという大成功で幕を下ろした形です。なお、目標を超えた支援金については、当初予定していた工事や設備のグレードアップ(駐車場を砂利でなくコンクリートで舗装など)、そして、少し先に予定しているXプロジェクト(近日別に報告いたします)の着手金として、全額をありがたく活用させて頂きたいと思います。さて、クラウドファンディングは終わりましたが、これから牧場建設工事が本格化します。先日の活動報告では、多国籍チームによる廃屋解体作業をお伝えしましたが、解体がひと段落してからは、建物基礎工事と材料準備の二つに取り組んできました。まず、建物基礎工事。先日解体した廃屋の跡地には、駐車場と東屋(アウトドアキッチンやトイレ)を作るため、砕石を敷いて土台を作る作業を行っています。基礎工事(敷地整備)を主に担当するのは、同じ集落に住む長島さんという80代半ばのじっちゃん。長島さんは土木工事暦半世紀以上となる熟練の職人さんです。立山有数の土木工事会社である丸新志鷹建設に40年勤務し、暴れ川である常願寺川の治水工事などで活躍されてきました。これまで田んぼの畦直しなどでお世話になってきましたが、自在にショベルカーを扱える素晴らしい技術があり、今回の工事でもお願いして出役して頂くことになりました。土木歴半世紀となる長島さん指先のごとく自在にユンボを操作なお、最近では現役の人こそ少なくなってはいるものの、かつては農業の傍らで土木に従事した人が集落には多く、土木工事に明るい人が揃っています。土木のことで手を貸してくれたり、アドバイスを求めることができる人も多く、今回の工事ではそうした集落の蓄積を存分に活かして進めています。私自身は全くの土木初心者ですが、近くにある中央石産さんから砕石を調達してダンプで運んだり、測量助手をしながら手元のお務め。年の差40歳以上のコンビによる二人三脚で作業をしながら、土木工事見習いをしています。近くにある砕石業の「中央石産」さん農業で必要となる畔直しや用水維持管理にはある程度の土木作業も伴います。近年土木に従事する村人は少なくなっていますが、農業の継続には何らかの形で今後も土木の基盤を集落に残すことが大切です。こうした集落の職人さんと作業する機会は、農業をする上でも貴重な学びとなるものと考えています。長島さんのような方が担ってきた土木のインフラとノウハウをどう残していくか、あれこれ考えを巡らせながら作業を進めています。でこぼこした廃屋跡も綺麗に工事の傍らで、今回の工事で活用する材料も次第に揃ってきました。まず、解体した廃屋の元住民の方は、鳶職を生業にされており、敷地に足場板や単管パイプを大量に残されていました。その単管パイプを活用して、廃屋跡に屋外キッチンとなる東屋を建てる予定です。また、地域で水回り工事をされる原配管さんからは、公共施設で使用されていた程度が非常によいトイレ一式をご提供頂きました。一般的に費用がかかる水回りを作る上で、こうした支援はとてもありがたいものでした。トイレの他にも、地域から現物による支援(クラウドファンディング)がいろいろ集まっています。とくに、要となるピザ小屋の木材は、五月に廃業された上田工務店さんよりご提供頂くことになったものです。ところで、上田工務店さんとはつい最近まで全く面識はございませんでした。お互い知らなかったものの、ある時、クラウドファンディングに参加したご近所さんのお友達を介して、工務店のご家族が牧場づくりを耳にされたそうです。そして、廃業によって処分する予定であった倉庫に眠る材料の活用を思い立って、材料提供のお申し出を牧場宛にして頂いたという経緯があります。見事な材をご提供頂きました上田工務店さんは地域の住宅を建てて50年の歴史ある工務店です。その半世紀にもなる歴史と思い出の詰まった木材を受け継ぐことになったのは、こうした思いがけないご縁があったからでした。ウッドショックの最中において、偶然にも材料を頂くことになったのは、大変ありがたいことです。また、長らく地域に根ざした会社から材料という形でバトンを継ぐ流れになりましたが、これから育っていく白雪牧場にとって何とも縁起のよい吉兆に感じています。創業者の上田会長(88歳) 力強い方でした来週からは基礎へのコンクリート打設、さらには大工さんによる木工事へと進んでいきます。
白雪牧場プロジェクトへの応援ありがとうございます。プロジェクトオーナーの坂口 創作です。今日の立山は梅雨らしく雨が降ったり止んだりです。ここ最近の雨で植物たちがますます元気で大きくなってきました。白雪牧場プロジェクトを応援し、地域を一緒に作っていく仲間たちを紹介する連載。最終回となる第七回目は、牧場近くに住む「池照さん」(いけしょう)です。池照さんは今年で75歳になる近所のおばあちゃんです。終戦の翌年に富山・滑川に生まれ、20歳の時に「池照家」に嫁いで立山へ。それから牧場近くにある家でほぼ半世紀を過ごして来ました。なお、各家をまわる売薬を家業とする実家で育ったこともあり、生まれながらの話し好き。よく近所にいる人を捕まえては、おしゃべりを楽しんでいます。2年前に馬の親子が最初にやってきた時、「動物は苦手」と語っていたものの、散歩の時に少しずつふれあう中で、次第に馬好きに。牧場で馬たちの様子を見ることを楽しみに、ひとり散歩でやってくるのが日課です。なお、おしゃべり好きな池照さん。馬たちにも毎日話しかけているうちに、馬たちが自分の思っていることをわかるようになったとのこと。今ではすっかり馬たちと心を通わせているようです。クローバーが赤ん坊のころ特に、赤ん坊の頃から可愛がってきた仔馬クローバーとは大の仲良し。池照さんの姿を見つけると、クローバーは真っ先に柵の方に駆け寄っていく。池照さんも、コンテナにある椅子に腰掛けて、「クローバー、クローバー」と語りかけながらエサをあげています。風雨が強い時も、ちゃんと元気に過ごせているか心配で、放牧場まで様子を見に行くことも。クローバーの様子を語るときは嬉々とした感じになるあたり、まさに73歳年上のガールフレンドといってよいかもしれません。クローバーに何か語りかけていますさて、白雪牧場の日常は、のんびり草を食べる親子ポニーと、ひと時を過ごす「池照さん」のようなご近所さんの姿があるだけの静かなものです。将来的には、アウトドアパーティーを楽しんだり、農業・芸術・障害のある子供たちの可能性を探求する場としてみたい思いもありますが、一方で、人と馬が素朴にふれあうこうした日常も、牧場の変わらない原点として大切にしたいと思っています。ボーイフレンドであるクローバーと願うことは同じ。「池照さん、これからも毎日あそびにきてね」池照さん