『フェアフィールドbyマリオットみなみやましろで、貴重な紅花染めを体験する旅』が公開されました。
以下、記事一部引用
大人になるにつれ、日本の歴史や伝統文化に以前より興味が湧くようになってきた。趣味が合う先輩と話をしていると、「奈良の月ヶ瀬に日本で唯一の烏梅(うばい)職人さんがいて、紅花染め体験ができるらしいよ」と、新しい情報が。
「日本で唯一!? しかも、烏梅って何ですか?」。「気になるでしょ。一緒に行ってみない?」と盛り上がり、週末に出かけてみることにした。
中略
烏梅×紅花の美しい色を自分で染める喜び。
●化学染料の普及によって需要が激減した烏梅。月ヶ瀬の職人・中西さんが作る烏梅が、伝統技法を守る染色家を支えている。
翌朝、道の駅のモーニング「茶粥御膳」で心も身体もあたたまり、いよいよ烏梅を使った紅花染め体験に出発。車中で早速、先輩からのレクチャーが。
そもそも烏梅とは、梅の実を黒く燻し乾燥させたもの。約1400年前に薬として日本に伝わって、その後は紅花染めや化粧用の口紅の媒染剤(染料の発色を助け、色を定着させる助剤)として使用されてきたんだとか。
「今から行く『梅古庵』は、700年前から烏梅作りを続けている最後の一軒らしいよ」と話を聞くうちに月ヶ瀬に到着。烏梅職人の中西さんが出迎えてくれた。
●完成したばかりの新しい工房で体験をさせてもらえることに。伊賀の職人が手掛けた組子窓の美しさにも惚れ惚れ。
●染料となる紅花を入れる木桶も職人さんによる手作り。随所で日本の手仕事の素晴らしさにふれられる。
「700年前当時の職人の環境を再現したいという思いがあり、工房には伝統的な建築様式を取り入れているんですよ」と中西さん。工房にも趣があって、体験への期待が高まる。
天然材料の紅花と灰汁、烏梅だけを使う染色体験。手間暇をかけて昔ながらの色彩を再現するのが醍醐味だ。
●紅花染めのTシャツを身にまとう中西さん。烏梅や紅花染めについて語る端々に、実直な人柄が伝わってくる。
まずは、紅花に含まれるたった1%の赤色色素を染色に使うため、不要な黄色色素を洗い流す。冷たい水の中で紅花を揉むこと約90分間。「紅花栽培から染物まで体験するワークショップも行っているので、うちで栽培も始めています。今後はもっと増やそうと考えていますよ」。「烏梅を使った口紅も制作していて完成間近なんです。後で見てみますか?」。
烏梅や紅花について語る中西さんのお話が興味深く、手を動かしながら話も弾む和やかな時間に。「昔の人たちもこうして話しながら作業したのかな」と、ふと思いをはせてみる。
昼食を終えると「裏手に蕗(ふき)が生えているので、よかったら採りに行きますか?」と中西さんに誘われ、思いがけず草の中に分け入って蕗を摘む時間に。「これが蕗なんだね。初めて見るかも」「私、こんなにたくさん採っちゃいました!」と、思わぬ自然とのふれあいも楽しい。
●一緒に体験したお客さんと、それぞれの色味比べ。半日かけて染め上げた完成品への愛着はひとしお。
「工房に戻り、灰汁や烏梅汁を加える工程を経て、いよいよ染色はクライマックスへ。「素材によって色が微妙に違うね」「天然の材料でこんなにきれいな色に染まるんだ」と、仕上がりに見とれる私たち。
「見たり聞いたりするだけでなく、実際に手を動かして体験する方が面白いですよね。手間暇はかかるけれど、昔ながらの良さがある日本の伝統を見直してもらえたらうれしいです」と中西さん。伝統を受け継ぎ、未来へ伝えようとされている職人さんの言葉には重みがある。自分の手で染めた美しい紅色にふれるたびに、きっとこの場所を思い出すはずだ。
●今回染めたストール、Tシャツ、エコバッグを月ヶ瀬の絶景を背景にパシャリ。今度は梅が咲き誇る時期に、またここに戻ってこよう。
記事全文
https://www.tripbasestyle.com/articles/11
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