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「紙の雑誌」を続けることで、「ゆっくり」考える場を守りたい。(宇野常寛責任編集)

現在の支援総額

4,893,584

326%

目標金額は1,500,000円

支援者数

912

募集終了まで残り

終了

このプロジェクトは、2022/01/22に募集を開始し、 912人の支援により 4,893,584円の資金を集め、 2022/02/20に募集を終了しました

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「紙の雑誌」を続けることで、「ゆっくり」考える場を守りたい。(宇野常寛責任編集)

現在の支援総額

4,893,584

326%達成

終了

目標金額1,500,000

支援者数912

このプロジェクトは、2022/01/22に募集を開始し、 912人の支援により 4,893,584円の資金を集め、 2022/02/20に募集を終了しました

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こんにちは、PLANETS副編集長の中川大地です。昨年秋刊行の創刊号につづき、一昨日から『モノノメ #2』のクラウドファンディングをはじめました。あれだけの熱量をこめて作りあげた雑誌を「続けていく」ということにはまた違ったハードルがあるなと、編集長の宇野ともども日々痛感しています。そうした創刊のご祝儀の過ぎた2号めの展開にもかかわらず、多くの方々のご支援で、すでに70%(100万円以上)を超える達成率にまで到達しました。心から感謝申し上げます……!批評や言論をめぐるSNS上の動向は、気に入らない誰かを潰すための点数稼ぎばかりがますますエスカレートしていて、用事でタイムラインを開くたびに暗澹たる気持ちにさせられます。そんななか、今回ご支援いただいている皆様には、ほんとうに必要なことをゆっくり考えていくための場をネットの外側に(しかし惨状から目を背けることもなく)守り続けようという本プロジェクトの真意に深く共感してもらえていることがわかって、感激しきりです。Amazonも大手書店チェーンも利用しない茨の道をあえて選んでいるところ、編集部一同、とても勇気づけられています。ぜひ「モノノメ」の今後を、末永く見守っていっていただけると嬉しいです。さて、前号の「都市」に対して、2号の特集テーマは「身体」。その目玉企画の一つとして、乙武洋匡さんが最新鋭のロボット義足を装着して歩けるようにすることを目指す「OTOTAKE PROJECT」の立役者たちの鼎談を、昨年末に収録してきました。このプロジェクトについては、すでに多くのメディアで「五体不満足」の乙武さんが困難を乗り越えていくパラアスリート的な挑戦物語のトーンで紹介されていて、ご存じの方も多いでしょう。▲「OTOTAKE PROJECT」の様子(写真提供:遠藤謙)ただ、それは間違いなく貴重な技術開発の取り組みである一方で、そもそも先天性四肢欠損で「足で歩く」という経験もモチベーションも持つことのなかった乙武さんに健常者のような二足歩行をさせようというのは、ある意味で「五体満足」主義の押しつけではないのか。それは四肢欠損という身体の多様性を認めない、形を変えた優生思想にもつながるのでは──?そういう「思想」としての論点やプロジェクトを通じて考えてきたことについて、ロボット義足技術の開発を担当するソニーコンピュータサイエンス研究所の遠藤謙さん、プロジェクトの母体である「xDiversity」のチームを統括する落合陽一さんに集まってもらい、じっくり語り合っていただきました。取材場所は、為末大さんが館長を務める新豊洲Brillaランニングスタジアム。屋内に60mのランニングトラックを持ち、パラアスリート用のスポーツ義足の開発などを行うラボラトリーも併設されたユニークな施設で、OTOTAKE PROJECTの研究開発もここを拠点に行われてきました。撮影:小野啓ここを宇野・中川・フォトグラファーの小野啓さんの3人で訪ねたのですが、実は中川が来たのは2回目。数年前にもPLANETSの読者コミュニティであるPLANETS CLUBのメンバーと一緒に施設を見学に来たことがあって、そこで案内してくれた遠藤謙さんから、健常者中心の社会が期待する「障害のある人ががんばる姿」へのステレオタイプなイメージと折り合いをつけながら、それぞれに異なる事情と身体をもつ当事者たちに寄り添っていくことについての複雑な思いと戦略的なイメージ発信への強い意志を聞くことができたのが印象的でした。「ああ、この人はマジョリティが『普通』だと考える身体イメージが容易に変わらないのを百も承知のうえで、それでもテクノロジーを投入することで少しでも多様な身体を社会が面白がって受け入れられるようにするための勝負を仕掛けているのだな」と。そういう人間についてのどこか醒めた諦念と、だからこそ技術によって社会のゲームボードを変えていこうとする静かな情熱のあり方に、とても心惹かれるものを感じていました。なので個人的には、そのときの遠藤さんの腹の底にあるものを、ようやくきちんと聞き出せる機会でもあったわけです。残念ながら前後の予定の都合で、この日に乙武さんに実際に義足を装着してもらう時間はとれなかったのですが、技術者・研究チーフとしての遠藤さんのモチベーションと、「実験台」として身体を差し出した乙武さんの述懐、そして俯瞰的な視点でプロジェクトの収穫や社会的な意義をさぐる落合さんの洞察が、お互い「今だからこそ言える言葉」として引き出されあっていく、非常に濃密で刺激的なセッションになりました。撮影:小野啓司会の宇野もまた、身体のイメージをめぐる文化論の立場から、当事者たちが思いもしなかった切り口で光を当て、単なる「プロジェクトX」的な感動物語には回収されない、意外な側面を引き出しています。この社会をワクワクさせる、ほんとうの多様性とは何なのかを考えるヒントを、ぜひ読み取ってもらえればと思います。誌面をお届けできる日が、今から楽しみです。撮影:小野啓『モノノメ #2』はPLANETSオンラインストアにて販売中。・宇野常寛 書き下ろし 解説集つき・対談集つき・創刊号とのセット