3日間に及ぶ映画『沼影市民プール』FIRST CUT LABでの編集セッションが終了しました。さいたま国際芸術祭2023で試写をしたバージョンに対して、ヨーロッパの映画祭関係者らがメンターとなり、アップデートの方向性を模索する実りある時間でした。今回、僕らのチームの担当をしてくれたのは『逆転のトライアングル』や『フレンチアルプスで起きたこと』などのリューベン・オストルンド作品の編集者でもあるベンジャマン。試写会で上映したバージョンを緻密に紐解いて映画編集者ならではの的確な視点でより広く伝わり得る普遍的な物語として沼影で起きていることを物語るための視座を見つけることができました。今後、2月より映画は完成に向けてさらなる再編集のプロセスに前進して参ります。
【解体が宣告された“さいたま市の海”を映像で後世に残したい!】これは昭和53年の沼影市民プールの様子です。小学生の頃から暮らしてきた埼玉県さいたま市で映画を撮ろうと決意を固めたのは、ちょうど1年前の2022年冬のことでした。沼影市民プールの近くで弁当店を営む男性より、「解体される沼影市民プールを記録映画として後世に残せないか?」という相談をいただいたのです。当初、私たちとしては企画に賛同したい気持ちもありつつ、プールというプライバシーに関わる場での撮影は許可が降りないだろうと難しさを感じていました。しかし、沼影市民プールの所長さんをはじめ、利用者の方・近隣の皆さまの賛同やご理解をいただくことができ、プールでの撮影を許可いただくことができました。また、さいたま市が募集をした「さいたま市レジャープールのあり方方針(案)」パブリックコメントにはさいたま市発足以来、過去2番目の多さとなる710名から905件のコメントが寄せられるなど、地域のプールへの関心の高さも再認識することができました。私自身もさいたま市で小学生の頃から育ってきてプールで遊んだ記憶もあり、残念な気持ちでいっぱいです。世界各地で都市開発が実施されていますが、大切な場所を失う地域の住民への心のケアは充分に考えられているでしょうか?人間の肉体的な死と建物の解体に差はあるのでしょうか?止まらない再開発の計画に対し、地域の思い出・記憶の集積の場所でもあるこのプールを映像で残すこと、再開発のあり方を問い直すことなどは社会を映す鏡としてドキュメンタリーという表現で社会に向き合ってきた私どもの使命だと考えています。 映画『沼影市民プール』監督 太田信吾写真提供:さいたま市総務局総務部アーカイブズセンター
雨上がり、ふらりと立ち寄らせていただいた沼影市民プールでは、スケートを楽しむ人たちの長閑な光景が。夏にお世話になったスタッフさんたちとの再会もありました。休憩中の近隣の中学生たちが「この場所がなくなるのは困る」とスマホでパブコメ投稿をしてました。(太田)
日曜日、キャップアートの調整と追加撮影で沼影市民プールにお邪魔すると、私たちの映画のポスターが、子供たちのメッセージで覆われていました!!心のこもったメッセージがたくさん。私たちが夏季営業中に始めた、「沼影市民プールさんにお手紙を書こう!」プロジェクトのスピリットが受け継がれていて本当に嬉しいです。来週末はナイトイベント。また平日昼間のスケートは人が少ないので超穴場だそうです!
1月20日(土)は沼影公園アイススケートナイトイベント初日です!19時より30分間照明が消え、アイススケート利用者さまのフィンガーライトのみとなるようです。映画『沼影市民プール』制作チームも撮影に行きたいと思っております。