

今回の料理は北イタリア 水の都ヴェネツィアがあるヴェネト州の郷土料理
●Sarde in saor
●サルディン・イン・サオール

を魚種を変えて作りました。
本来は鰯で作りますが、八重山諸島の大衆魚であるシーラ(マンビカ)を使いました。
イタリアでもシーラはランプーキ lampuk シチリアの方言では「カポーネ(capone)」と呼ばれ食されています。
この料理の歴史は古く、1300年代、日本の鎌倉時代に遡ります。
昔は砂糖を精製する技術に乏しく、砂糖は高級品で庶民には高嶺の花でした。
よって甘味を加える手段として水分を飛ばして甘味を強めたドライフルーツを使いました。
この手法をアグロドルチェAgrodolceと言ます。
またサオールの語源はイタリア語で「香り」を意味し「サポーレ(sapore)」に由来するヴェネツィアの方言で、「味」「風味」「フレーバー」を意味します。
つまり風味を良くするために使われた手法です。
この料理が誕生した背景
サオールが玉ねぎをベースとするマリネで、船乗りや漁民が多かったヴェネチアで、保存がきき、船内病を予防する栄養素が含まれた料理として食べられてきたのです。
さて当店の作り方です。
玉ねぎをゆっくりソテーして色をつけないように甘味を引き出します。


甘味が出たらワインビネガーを加えて加熱して酸味を飛ばして丸いイメージの付け汁を作ります。バットにソテーした玉葱を敷いて、脱水絞めにした魚に粉をつけて揚げて玉葱の上に並べます。





ここにローリエ、レーズン、ローストした松の実を乗せて、最後にソテーした玉葱を敷き詰めて一晩冷蔵庫で馴染ませます。此をお皿にもって完済です。
ヴェネツィアの酒呑みに
「ヴェネツィアで食べた方が良いという料理があったら教えてください」
と言うと十中八九
「サオールは食べておきな」
といわそうです。
是非、北イタリアと南日本の出会いから作られた伝統的な料理をお楽しみください。





当店での価格
900円(税別819円)





