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『ブレヒトの芝居小屋』に変わる、新しい演劇の発信・人が集う文化の場をつくる!

東京演劇アンサンブルは、40年間拠点劇場としてきた「ブレヒトの芝居小屋」を、2019年3月公演を最後に閉じることになりました。今後も「ブレヒトの芝居小屋」の精神を受け継ぎ、人が集う空間をつくっていきたいと考えております。東京演劇アンサンブルは移転し『新しい演劇の発信・人が集う文化の場』をつくります!

現在の支援総額

753,000

37%

目標金額は2,000,000円

支援者数

67

募集終了まで残り

終了

このプロジェクトは、2018/07/09に募集を開始し、 67人の支援により 753,000円の資金を集め、 2018/09/22に募集を終了しました

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『ブレヒトの芝居小屋』に変わる、新しい演劇の発信・人が集う文化の場をつくる!

現在の支援総額

753,000

37%達成

終了

目標金額2,000,000

支援者数67

このプロジェクトは、2018/07/09に募集を開始し、 67人の支援により 753,000円の資金を集め、 2018/09/22に募集を終了しました

東京演劇アンサンブルは、40年間拠点劇場としてきた「ブレヒトの芝居小屋」を、2019年3月公演を最後に閉じることになりました。今後も「ブレヒトの芝居小屋」の精神を受け継ぎ、人が集う空間をつくっていきたいと考えております。東京演劇アンサンブルは移転し『新しい演劇の発信・人が集う文化の場』をつくります!

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メールインタビューvol.7は、ピアニストの菊池大成さんにお聞きしました。 『はらっぱのおはなし』稽古場風景 劇団の魅力について 高校生の頃手にした「日本オペラの夢」(林光)から初めてその存在を知り、音大で聴講した池辺先生の劇伴講座で『走れメロス』の上演VTRに驚き…それから幾多の月日と奇跡的な出会いを重ね、2013年から今日に至るまで東京演劇アンサンブルに関わらせて頂いております。 『音楽劇 はらっぱのおはなし』(2013~)がその手始めでしたが、「キャスト自ら劇中歌を作曲」という前代未聞の注文に対して、戸惑いを隠さず、しかし真正面から取り組んでくれる東京演劇アンサンブルの皆さんの、打てば響くような率直さが第一印象として強く心に残っています。稽古の初期は音楽創成のワークショップの体となり、作曲した歌を鼻歌で披露するキャストと、それを聴きその場で微修正や肉付けを行う私とのキャッチボールが続きました。演出の関根さんも交え、妙な汗でどろどろになりつつ、腹の底から笑い合いつつの一週間でしたが、その作業は音楽創成だけでなく、東京演劇アンサンブルと私とが互いに受け止め、受け止めてもらう大切な作業でもあった、と今では考えています。 その後、『屠畜場の聖ヨハンナ』(2014)、『第三帝国の恐怖と貧困』(2015)、『沖縄ミルクプラントの最后』(2017)に奏者や音楽スタッフとして関わらせて頂きましたが、『はらっぱ…』同様、いつでもどんなことでも投げた球をしっかり受け止め投げ返してくれる東京演劇アンサンブルの皆さんの芯の通った率直さは常に気持ちのいい張り合いをもたらしてくれます。稽古場では私も率直にいろんな話をし、そうなれる自分に嬉しくなって(そして稽古上がりの一杯がまた堪えられなくて笑)つい足が稽古場に向かいます。 『第三帝国の恐怖と貧困』(2015年3月12日~22日 作=ベルトルト・ブレヒト 演出=松下重人 音楽=菊池大成 撮影=松浦範子) 『沖縄ミルクプラントの最后』(2017年3月9日~19日 作=坂手洋二 演出=松下重人 音楽=菊池大成 撮影=松浦範子) 今後への期待 東京演劇アンサンブルの本拠である「ブレヒトの芝居小屋」が来春閉鎖されるとの報せを受け取りました。歴史があり、同時に豊かな可変性を具有するがゆえ、微塵も古びることなくアンサンブルの発信を支えてきた類まれなる空間であり、非常に優れた音響空間でもある「ブレヒトの芝居小屋」がここで失われてしまうのは、小屋を心から愛する者の一人として、ピアニストとして大変残念に感じます。一方で東京演劇アンサンブルは、新たな拠点からの船出を機に、ますますその魅力に磨きをかけ、より豊かで率直な発信を行って下さるであろうとも確信し、その新たな発信を心から楽しみにしております。 『走れメロス』(1976年~ 作=太宰治 脚本・演出=広渡常敏 音楽=林光 撮影=高岩震) 現在とこれからの活動について 東京演劇アンサンブル『音楽劇 はらっぱのおはなし』(作=松居スーザン 脚本=篠原久美子 演出=関根信一 音楽=菊池大成)に引き続き関わって参ります。 劇団風の子『陽気なハンス』(作=多田徹 演出=中島研 音楽=岸功・菊池大成)『風の子バザール』(演出構成=藤井郁夫 音楽=岸功・菊池大成)各地で公演中。 劇団風の子北海道『マーレンと雨姫』(原作=T.シュトルム 脚色=多田 徹 ・中島 茜 演出=鳴海輝雅 音楽=岸功・菊池大成)     『ボクラのばにしんぐぽいんと』(作・演出=向後俊一 音楽=菊池大成)各地で公演中。 日本児童・青少年演劇劇団協同組合『ちゃんぷるー ~私が幽霊!?修学旅行~』(作=西上寛樹 演出=大澗弘幸 音楽=菊池大成)2018年10月より各地で公演。 アート企画陽だまり『ドラマリーディング 空の村号』(脚本=篠原久美子 演出=関根信一 音楽=菊池大成・松田玲)2018年12月、ブレヒトの芝居小屋で上演。  


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メールインタビューvol.6は、company ma 主宰で、アシテジ世界理事でもある大谷賢治郎さんにお聞きしました。   ブレヒトの芝居小屋の思い出 最初観劇で訪れた時はその独特の雰囲気に圧倒されました。創造空間としての自由な空気を感じました。のちにかつての映画スタジオと聞いて納得しました。また僕自身、気づけば何度もこの創造空間に足を運ばせていただくこととなりました。東京演劇アンサンブルの作品観劇は勿論のこと、様々な創造の現場としてこの空間にお世話になりました。真冬の「紛争地域の演劇」のリーディングの稽古でストーブを焚きまくり、上着を幾重にも重ねて最初の顔合わせをしたことが今でも忘れられません。 アシテジ日本センター×児演協 Next Generation in Asia(2015年12月@ブレヒトの芝居小屋) 東京演劇アンサンブルの作品の思い出 東京演劇アンサンブルの作品は2013年以降、数多く観させていただいていますが、印象に残っているのは、2014年の創立60周年記念公演『屠畜場の聖ヨハンナ』と、2016年にパレスチナのイエスシアターと共同制作した『ミラー』です。『屠畜場の聖ヨハンナ』は僕にとっては東京演劇アンサンブルによるブレヒト作品の初体験で、心を震わせ興奮したことを今でも覚えています。『ミラー』はディバイジング(戯曲のないところから作品を創造する手法)を行なった劇団のチャレンジ精神を感じました。未だ戯曲中心主義の日本の演劇界にしかと挑戦しているその姿に心が打たれました。一方、先述の通り、僕自身も様々な創造をこの空間で行わせていただきました。ITIによる「紛争地域の演劇」の稽古、児演協とアシテジによる「ネクストジェネレーション」の稽古と公演、日韓演劇交流センターによる韓国現代戯曲リーディング『アメリカの怒れる父』の稽古、児演協による「ベイビーシアター」のレクチャーやワークショップなどどれも思い出深い創造体験ですが、あえて一つだけあげるとすれば「ネクストジェネレーション」でしょうか。アジアと日本の児童演劇を実践する若いアーティスト約30名が一同に集結し、短期間においてお互いの体験を共有、交換しながら「平和構築」をテーマに作品を作り上げて行くという企画。この空間での彼らとの創造体験は一生の宝物です。 『屠畜場の聖ヨハンナ』(2014年3月20日~30日 作=B.ブレヒト 構成=庭山由佳・小森明子 演出=小森明子 音楽=かとうかなこ 撮影=松浦範子) 新たな芝居小屋への期待 是非とも今の芝居小屋同様の自由な創造空間を見つけてください!勿論、至難の業とは思いますが・・・。劇団にとっては調理場があることも必須かと思います。いろいろな創造仲間と一緒にまた鍋を囲める空間であってほしいと願う次第です。 今後の活動 company ma 第4回公演 「カバンの中の記憶」構成・演出 大谷賢治郎 2018年9月15日(土) 17:009月16日(日) 11:00 / 15:009月17日(月) 11:00 / 15:00 劇場・川崎市アートセンター アルテリオ小劇場


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メールインタビューvol.5は、パントマイミストの清水きよしさんです。昔、東京演劇アンサンブル俳優養成所の授業でマイムをご指導頂きました。   芝居小屋の思い出 お芝居はもちろんだけれど、皆さんの養成所に声をかけて頂いて、あそこで皆さんと出会ったことですね。当時、教えることがあまり得意ではなかったので、これでいいのかなと半分は不安を感じつつ、でも当然ですけど教えるって勉強することなので、そういう意味では色んなことを皆さんと一緒に経験させてもらった、そういう思い出の場所です。   空間としての印象 元撮影所だった大きな稽古場と、それから普段公演の時にロビーに使っていらっしゃる小さな場所と両方で(稽古を)やらせて頂いたと思うんですけど、なんという広い贅沢な空間で稽古をしてるんだろうかと。普通ではありえないですよね。タッパも高いし、空間自体も広いし、そういうところで稽古をやるっていう経験はそれまで無かったですからね。最初はやっぱり戸惑いました。単純に自分がちっぽけに思えてね。 役者って、マイムも芝居の方も一緒だと思うんだけど、与えられた場所によって無意識の中に変わる部分っていっぱいあるでしょ? 空間そのものから感じる部分、影響受ける部分ってすごくあると思うんですよね。広かろうが狭かろうが、空間に左右されないというか、自分自身の空間に対する認識みたいのをしっかり持っていないといずれにしても負けてしまうっていう部分があるんで、ああいう空間で普段稽古できるっていうのは皆さんにとっては非常に貴重だったと思います。   東京演劇アンサンブルの作品 私が初めて観たのはたぶん以前の高円寺の稽古場だと思うんだけど。ぼくが芝居はじめた頃はアンサンブルっていえばね、もう憧れみたいなものがあったような劇団だから。それがあの芝居小屋に移った時、役者さんたちってどんな気持ちだったんだろう…と。今でも聞いてみたいですね。 あそこで飾りこめるもの、制限なく存分に好きなように舞台を組みつつ、装置だって好きなように創れて…。それまでは全然経験できない芝居の作り方になったんじゃないかなと思います。なんせ舞台を設定するところからもう芝居作りでしょ。空間をまるごと、あそこでお客さんとどういう向き合い方をして、どういう舞台づくりをして、客席づくりをして、そこでどういう芝居になるかっていうことは、ずいぶん関連していくと思うんだけど。あそこに移ったことでアンサンブルの芝居も変わっていったんじゃないかな?という気がします。 『銀河鉄道の夜』などはもう名作になってると思うんだけど、ぼくも何回観ても本当に舞台素敵だなと思っていて。やっぱりあの芝居小屋だからこそ、ああいう舞台になったんだなと。『櫻の森の満開の下』もやっぱりあの空間だからこその面白さがありますね。観客として自分の居場所も含めて作品の空間と一つになれるんですよね。客席に座っていても一緒にそこに、なにか物陰からこう見ているような、そういう感覚っていうのはあの空間ならではと思うんですよ。能舞台もそれに近い…自分も時々能舞台でやったりするんですけど、お客さんと共有してる感覚が強いです。観る方もやる方もお互い向き合っていわゆる対決するようになっちゃうのではなく、劇の空間の中に自分が入っていくような錯覚、アンサンブルの芝居小屋はそれがとても大きな魅力だったと思うんですね。 『銀河鉄道の夜』(1976年~ 作=宮沢賢治 脚本・演出=広渡常敏 音楽=林光 撮影=松浦範子) 『櫻の森の満開の下』(作=坂口安吾 脚本・演出=広渡常敏 撮影=松浦範子)   これからの東京演劇アンサンブルへ 芝居小屋が使えなくなってしまうというのは寂しいことだし、同時にこれからアンサンブルの芝居がどう変わっていくのか、楽しみでもあり心配でもあり。 ブレヒトの作品を中心にやってこられたこと、その中であの小屋に出会って、そこで芝居を作ってきたっていうこと、なんかこう全てアンサンブルの必然の歴史みたいな感じがするんですよね。他にも(場所が)あったでしょうがあそこを選んだっていうことは、やっぱり広渡さんの思いがあったんでしょうね。稽古場としてだけではなく自分たちの作品を発表する場としても、当然最初から考えてあそこを選ばれたと思うんですね。それ自体は芝居作りに大きく関わることだから、そういうことをかなり意識的にやってこられたわけだろうし。 でも単なるノスタルジーとか懐かしさじゃなくて、今回出て行かざるを得ないっていうことで逆にもう一つそこからじゃあ次はどうしようか!っていう展望が見えてくるといいなと思いますよね。今の芝居小屋に変わるものとして似たようなものをというのもあるでしょうが、いっそのこと今度は何をやるか!っていうのが若い人たちから出てくるといいなと思うし。空間も開拓していくようなね。そういうことができたら面白いですよね。   清水きよし  ヨーロッパのマイムの流れをベースに、日本の伝統的な演技様式を吸収して独自のスタイルを作り上げた。軽やかで透明感のある演技で空間に自在に景色を描き出す。詩情溢れる数多くの作品から「空間の詩人」と呼ばれ、そのユーモアとペーソスに満ちた舞台は海外でも高い評価を得ている。  次回公演 『幻の蝶』 2018年10月28日(日)16:00開演  梅若能楽学院


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メールインタビューvol.4は、東京演劇アンサンブルの作品に音楽で参加していただいている国広和毅さんにおききしました。   (TOP画像とこちらの写真 PHOTO BY MIKOMEX) ブレヒトの芝居小屋との出会いは?2017年「泥棒たち」の音楽の依頼を頂いて、まず劇団のHPをチェックしたんです。それが出会いといえば出会いでした。その時「ブレヒトの芝居小屋」というワードが何を意味するのか瞬時に解りませんでした。そのくらい劇場名としては攻めたネーミングだと思います。日本にもブレヒトの心の継承者が大勢いる中で、自らを「ブレヒトの」と名乗る芝居小屋って凄いな、きっと確固たる演劇の信念を持ったとっつきにくい人達が運営しているんだろうな、と身構えたのを覚えています。でも実際に会ってみると皆さん気さくで。公家さん(公家義徳 東京演劇アンサンブルメンバー/演出家/俳優)の声が普段から大きくてビックリしましたけど。劇場も大きくて驚きましたね。そして本番までまだ何週間もあるのにセットが組まれていて照明もついて、そこで芝居の稽古をやっている。炊き出しがあったりして、ホーム劇場があるっていいなあ、うらやましいなあ、と思いました。 『ビーダーマンと放火犯たち』(作=マックス・フリッシュ 訳・ドラマトゥルク=松鵜功記 演出=小森明子 撮影=松浦範子)稽古場より   ブレヒトの芝居小屋での公演「泥棒たち」では音楽によってポップでライトなタッチを付加するよう心がけました。内容はユーモア満載なんですが言い回しに現代ドイツ戯曲特有の難解さがあって。だから音楽で「これ楽しいお芝居ですよー!どうか最後まで!」と補足説明するようなプランをたてました。派手さや説明臭さは避けながら。2018年「ビーダーマンと放火犯たち」ではコロスによるソングを沢山作って歌唱指導もしました。日本語の詞に節をつけて、「印象的に/前時代的でなく/言葉も聞き取れて/劇中充分機能する」歌を作る、ってとても大変ですがその課題に取り組むのはつくづく好きです。挑みがいのある課題を前にすると例えば「何故台本のこの部分は歌なのか。」なんていうそもそも論的な問いは傍らに置いておくことが簡単にできてしまう。そんな時やはり自分は生粋の音楽家なのかもしれないな、と思ったりします。「何故台本のこの部分は歌なのか。」その答えは稽古が進んで歌が歌らしくなった頃にやっと見えて来たり…。皆さんとの濃い稽古が懐かしいです。 『泥棒たち』(作=デーア・ローアー 訳=三輪玲子 演出=公家義徳 撮影=松浦範子)   新たな芝居小屋にむけて昔、六本木にあった自由劇場では劇団のメンバー達がステージの床をスコップで掘って人が何人も入れる程の仕掛けを作ったり、手作りで相当無茶なことをやっていたらしい。話を聞いただけでワクワクします。しかしそんな無茶ができたのは自前の劇場だからこそなんですよね。一観客としては不可能を可能にしようと最大限奮闘する姿を見たい。そのために東京演劇アンサンブルには次なる拠点を手に入れて欲しいと思います。そしてそれが有機的に人と人を繋ぐ風通しの良い「場」であったら嬉しいですね。その「場」の中に僕も風通し良く混ざっていられたらさらに嬉しいな、と。 『ビーダーマンと放火犯たち』(作=マックス・フリッシュ 訳・ドラマトゥルク=松鵜功記 演出=小森明子 撮影=松浦範子) 今後の活動について 音楽を担当するお芝居が色々とあります。 9月8日〜 パルコプロデュース「チルドレン」(栗山民也演出) 10月5日〜 こまつ座「母と暮せば」(栗山民也演出) 10月13日〜 しんゆりシアター「三人姉妹」(五戸真理枝演出) 10月26日〜 新国立劇場演劇研修所公演「トミイのスカートからミシンがとびだした話」(田中麻衣子演出) 11月9日〜 世田谷パブリックシアター「銀杯 The Silver Tassie」(森新太郎演出) 2019年1月24日〜 こまつ座「どうぶつ会議」(田中麻衣子演出) これらの合間に長年やっているバンド「ダた」のライブを開催していきたいと思っています。来年には僕が文章を担当する絵本の出版もあります。 国広和毅ホームページ


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メールインタビューvol.3は、燐光群の坂手洋二さんにお聞きしました。   ブレヒトの芝居小屋との出会い 最初は『ハムレット・マシーン』ですね。四半世紀近く前になるかな。演出はオーストリアのヨゼフ・ザイラーだっけ。彼と劇団員の皆さんで、稽古なのかワークショップなのか知らないけど、富士登山したとか自慢してたでしょう? 空間は、とにかく二つの立派なスタジオ(当時)に驚いた。映画の撮影所みたいな、タッパのある大きさと肌触りに魅せられた。「こんな場所があるんだ!」という驚き。大学の中の自治区でもなく私有地のはずなのに、これだけの広さがあり、誰の所有物でもない。歴史を感じさせるというか、時代に取り残されたイメージ。旧世代の贅沢とも感じた。残念ながらやっている『ハムレット・マシーン』は「実験的」という名の「独善」に感じられて、観客参加・ハプニング歓迎の建前で、上演中に移動自由、好きなことをしていいという、挑発なのか傲慢なのかわからないその姿勢に応えて(笑)、私は電気をいじってみたりした。ブレーカーを落としたんだよ。演出放棄みたいな芝居だったからね。もちろん真っ暗になった。すぐにスイッチはまた入ったよ、たしかザイラー自身が慌ててブレーカーを上げに来たのだったか。「記述係」として出演中の女優が「電気が消えた。事故だろうか」とかノートに書いていたのを後ろからふむふむと眺めていた。良い観客だね(笑)。その後ザイラーは、1994年〈ウィーン芸術週間〉に参加した僕らのヨーロッパ公演(燐光群『神々の国の首都』)を観にきてくれたな。そのとき「あれは俺がやったんだよ」と告げました(笑)。 『ハムレットマシーン』(作=H.ミュラー 訳=岩淵達治・谷川道子 演出=J.サイラー 1992年9月12日~10月3日)   ブレヒトの芝居小屋での上演 もちろん鄭福根さん作『荷』を演出したこと。今でも、ブレヒトの芝居小屋でなければできないことの、一つの頂点だったと言われて、やってよかったな、と思います。制作の太田昭さんとは「日韓演劇交流センター」でもご一緒しているので、この日韓合作の共同作業は、自然な成り行きでもありました。竹林功、島猛、加藤ちか、矢内原美邦といった私のふだんのスタッフを仲間として受け入れてくれたし、その直後にテレビ『あまちゃん』でブレイクする古い仲間である大友良英をオリジナル音楽担当者として連れてきて俳優にも生演奏させるプランも、すべて許してくれた。沢野ひとし画伯の宣伝美術も含め、充実した交流が出来たと思う。ありがたかった。大友の作曲者としてのある方向が、唱歌を引用することで、彼の映画音楽第一作・中国映画『青い凧』以来の方法論で、充実した手応えを持てた。韓国で私の作品に出てくれていたウ・ミファ、チョン・スンギルという二人の実力ある俳優も、ゲストに招いてくれた。そして、アンサンブルの俳優さんたちも、とてもがんばってくれた。伊藤さん、原口さんとご一緒できたのは嬉しかったし、若手の皆さんも身体を張った。劇団特有の演技のクセをみたいなものも、今後の課題だと思った。ともあれとても印象深い上演でした。再演を望む声が高いのも頷けます。 『荷』(作=鄭福根 訳=石川樹里 演出=坂手洋二 2012年2月24日~3月3日) 写真左=チョン・スンギル 右=ウ・ミファ   新たな芝居小屋にむけて 言えば、きりがない。何が目的なのか、ということです。長きにわたって、みんなが羨む環境での活動を可能にしてきた皆さんだから、これからも半端なことはしないでしょう、と信じたい。劇団の存続のことだけ考えるくらいなら、解散して仕切り直す覚悟で臨んだ方がいいと思う。そして、外から見ると、劇団に新たなリーダーが必要なのではないかという気がします。 『荷』チラシ 絵=沢野ひとし   今後の活動について 11月以降、十年目を迎える座高円寺と、国内ツアーで、燐光群の新作をやります。来年は『九月、東京の路上で』を再演します。劇場でなく街で、路上で、演劇をやりたい、という気持ちが高まっているのは確かです。 燐光群HP