
アートヒストリーと事例を学んだ第1・2回を経て、いよいよこの日はメンバーそれぞれが企画を発表する番。
「自分の喪失をどう表すか?」――その問いに、ひとりひとりが向き合いました。
とはいえ、発表後のフィードバックは難しいものです。誰かの試みに欠点を指摘するのは勇気がいる。最初は「素敵ですね」「面白いです」と褒める言葉ばかりが並びがち。率直な意見を述べるよう促し、ようやくメンバーも少しずつ本音を口にしはじめました。ワークショップの難しさと面白さが同居する瞬間です。
発表の内容はどれもユニークでした。
記憶障害のある家族と暮らす方は、「底の浅いジョウロみたいなんだよ」と語った本人の言葉から着想を得て、記録された言葉がジョウロから流れ出してしまう装置を構想。ただ、言葉が流れた先をどう表現するかは未定で、「一緒に考えてほしい」と会場に問いかけました。
マスクを外せなくなった方は、小学校時代の思い出――ひとりだけ水色のランドセルを背負い「自分らしさ」を認められていた記憶――を手がかりに、マスクとランドセルを組み合わせたインスタレーションをスケッチ。けれど「これで伝えたいことが伝わるのか?」と迷いもにじみました。
息子を亡くした母親は「どんなに小さな存在も周囲に影響を与えていることを水の波紋で示したい」と、展示会場に水を敷き詰める案を発表。壮大で魅力的だが、現実的には難題も多そうです。
試みはどれも未完成で、答えはまだ見えません。けれど「どうしたらもっと伝わるのか?」を語り合う時間そのものが、すでに次の表現を育てているように思えました。
最後には、それぞれが持ち寄った雑誌と、昭和初期の雑誌とを使ったコラージュの実践を全員で体験。切り貼りするうちに思いもよらないイメージが立ち上がり、ものづくりの純粋な楽しさを再発見しました。
この日生まれたコラージュ作品は、クラウドファンディングのリターンにも設定しました。A4サイズで、額に入れて飾れる手軽なアート作品として、みなさんの応援を形に変えていきます。






