これまでのワークショップで、参加者は自分の喪失と真剣に向き合い、その思いを作品のかたちへと模索してきました。しかし、深く向き合えば向き合うほど、心は疲弊してしまうこともあります。そこで第5回は、協会理事でもある公認心理師の清水智子さんをゲストに迎え、喪失と向き合う際に生じる心の疲労や、その対処法について学びました。智子さんは「マインドフルネス」の実践を紹介しながら、こう語ります。「私たちの注意は、過去や未来にさまよいがちです。けれど、いまこの瞬間に気づきを向けることで、心の揺れに振り回されにくくなります」呼吸に意識を向ける。身体の感覚を丁寧に観察する。判断せずに「いま」を味わう。小さな実践が、やがて自分を認め、感情を調整し、他者を思いやる力につながっていく――そんな視点を得られたのは、これから作品制作を進めるうえで大きな支えとなりそうです。後半は、メンバーの希望もあり、さらにブラッシュアップしたアイディアを発表し合いました。前回よりもぐっと具体性が増し、素材や演出についての議論も活発に。互いに意見を交換しながら、実際に作品化へと歩み出す力強さが見えてきました。「心のケア」と「表現の深化」。その両輪を確かめたことで、喪失を見つめる時間は、より安心で、より創造的なものになっていきます。







