
未来につなごう能登/restaurant ecoutieresの川本 紀男です。昨日は支援額がついに300万円を超えました。 連日のご支援、本当にありがとうございます。
クラウドファンディングも、いよいよ残り5日となりました。
今日は、私たちが炊き出しの現場で、料理を作る時間と同じくらい、あるいはそれ以上に大切にしている「もうひとつの仕事」についてお話しさせてください。
■空っぽの寸胴鍋のあとで
300食の炊き出し。 必死に調理をして、皆様に温かい食事をお渡しし、すべての寸胴鍋が空っぽになる。
通常のキッチンカーやイベントであれば、ここで「完売御礼、撤収!」となります。 しかし、私たちの活動は、実はここからが「第2の仕事」の始まりです。
私たちは、配食が終わった後の約2時間、すぐに帰ることはしません。 会場に残ったり、仮設住宅のベンチを回ったりして、住民の方々と話をします。
「最近、体調はどうですか?」 「夜は眠れていますか?」 「あそこの角の道、やっと直りましたね」
たわいもない世間話ですが、私たちはこの時間を何よりも大切にしています。 なぜなら、今の能登において、この「会話」こそが、温かいスープと同じくらい重要な「命綱」だからです。
■「直接死」の2倍を超えた「関連死」
皆様は、衝撃的なデータをご存知でしょうか。
先日(1月22日)報道されたニュースによると、能登半島地震における「災害関連死」の認定数がさらに増え、ついに483人となりました。 これは、地震による「直接死(228人)」の2倍以上という数字です。 (※出典:2026年1月22日の報道、石川県発表資料より)
震災から2年が経ちましたが、建物の倒壊や津波で亡くなった方よりも、その後の避難生活で亡くなった方のほうが、圧倒的に多くなってしまっているのです。
石川県危機管理部の分析によると、災害関連死の39.2%に「避難所等生活の肉体的・精神的負担」が影響しているとされています。 慣れない環境、狭い部屋での孤立、誰とも話さず冷たい弁当を食べる日々。 終わりの見えないストレスが、じわじわと被災者の生きる力を奪っています。
■「聴く」というレストラン
私の店の名前「ecoutieres(エクティル)」は、フランス語の「Ecouter(聴く)」という言葉に由来しています。
本来は、食材が焼ける音、煮える音に耳を傾け、素材の声を聴くという意味で名付けました。 しかし、今の能登の現場では、その意味が少し変わりました。
「被災された方々の、心の声を聴く」
「寂しい」「辛い」「誰かに聞いてほしい」 そんな行き場のない感情を、食事というきっかけを通じて、少しでも吐き出してもらいたい。 私たちがカウンセラーの真似事はできなくても、美味しい料理で口をほころばせ、隣で「うん、うん」と話を聴くことはできます。
話を終えた後、「あぁ、スッキリした。聞いてくれてありがとう」と笑顔を見せてくれる瞬間。 その時初めて、本当の意味で「お腹も心も満たせた」と感じるのです。
■命を守るキッチンカー
私たちが作りたい大型キッチンカーは、単なる「移動調理場」ではありません。 温かい食事の湯気に誘われて人が集まり、会話が生まれ、心の重荷を下ろすことができる。 災害関連死の原因となる「孤立」を防ぐための、「心の避難所(コミュニティ・ステーション)」なのです。
この車があれば、もっと多くの場所へ行き、もっと多くの声を聴くことができます。 これ以上、悲しい数字を増やさないために。
私たちは、料理を作り、そして声を聴き続けます。
残り5日。 どうか、この活動を続けるための力を貸してください。 最後まで応援よろしくお願いいたします。
未来につなごう能登/restaurant ecoutieres 川本 紀男
<次回予告>
震災前、私は金沢から往復6時間かけて、能登の漁港に通い続けて仕入れをしていました。 なぜ、電話一本で済ませず、自分の足で通わなければならなかったのか。
明日は、私の料理人としての少し「バカ」なこだわりと、そこまでして惚れ込んだ「能登の魚」や「能登の野菜」への愛についてお話しします。
明日もまた、この場所でお会いしましょう。



