
未来につなごう能登/restaurant ecoutieresの川本 紀男です。 連日のご支援、本当にありがとうございます。
クラウドファンディングも、いよいよ残り4日となりました。
昨日の記事では「聴く」ことへのこだわりをお話ししましたが、今日は私の本業である「料理人」としての、少し度が過ぎたこだわりについてお話しさせてください。
■金沢から片道3時間、往復6時間
震災が起きる前、私は毎週のように、金沢のお店から能登内浦の漁港まで車を走らせていました。
朝4時に出発をして、片道3時間、往復で6時間。 仕入れのためだけに、1日の大半を移動に使っていたことになります。
「電話一本で注文すれば、店に届けてもらえるのに」 「そんな時間があるなら、仕込みをした方がいいんじゃないか」
同業者からもよくそう言われました。 確かに、経営効率だけを考えれば、これほど無駄な時間はありません。
それでも、私は通い続けました。 なぜなら、私は単に「必要な魚」を買いに行っていたわけではないからです。
■「その日一番の命」に出会うために
私が欲しかったのは、発注リスト通りの魚ではなく、「その日、海がくれた一番の命」との出会いでした。
漁港に並ぶ魚たちの、透き通るような目の輝き、張りのある肌、持ち上げた時のずっしりとした重み。 それらは、電話やFAXの文字情報では絶対に分かりません。
「今日のブリは、昨日より目が合いますね」 「このカレイ、すごい生命力だ」
現場で現物を見て、触れて、漁師さんと話をして。 そうやって五感で選んだ食材だからこそ、お客様の前に出した時、自信を持って「能登の海そのもの」を提供できるのです。 あの往復6時間は、私にとって料理のクオリティを決める、絶対に譲れない時間でした。
■今度は、私が恩返しに行く番
しかし、あの震災で状況は一変しました。
その愛する漁港も震災で傷つき、氷の施設が壊れるなど、以前と同じようには稼働できなくなってしまい、道路状況も悪化し、以前のように頻繁に通うことは難しくなってしまいました。現在は電話などで注文し、送っていただくことも増えています。
だからこそ、思うのです。 これまで散々、能登の海に素晴らしい食材をもらって、料理人として育ててもらった。 「今度は、私が恩返しに行く番だ」と。
これまでは「食材をいただく」ために能登へ通っていました。 これからは「温かい料理を届ける」ために、キッチンカーで能登へ通います。
■泥つきの野菜の「生命力」を食べてほしい
今回のリターン品にご用意した「NOTO高農園(たかのうえん)さんの野菜セット」も、私のこのこだわりの延長線上にあります。

高農園さんの野菜は、スーパーに並ぶような形が揃った綺麗な野菜とは違うかもしれません。 泥がついていたり、形が不揃いだったりします。
でも、一度食べてみてください。 土の香り、野菜本来の濃い味、そしてみなぎるような「生命力」に驚くはずです。
私が往復6時間かけてでも手に入れたかった「本物」が、そこにあります。
この野菜を食べていただくこともまた、被災した能登の生産者さんを支える大きな力になります。 ぜひ、私の惚れ込んだ能登の味を、皆様の舌で確かめてみてください。

残り4日。 能登への恩返し、最後まで一緒に走ってください。
未来につなごう能登/restaurant ecoutieres 川本 紀男
<次回予告>
かつて私がハンドルを握り、全国のシェフ仲間を乗せて走らせていた「伝説のバス」をご存知でしょうか?
明日は、このキッチンカー構想の原点とも言える、私のもう一つの夢と、それに呼応してくれた熱い仲間たちのお話をします。
明日もまた、この場所でお会いしましょう。



