40周年記念誌の制作に向けたクラウドファンディングも残り9日。現在、達成率は86%。45人の方からご支援をいただいています。第9回は、宇佐美祥子さんのお話。「飛生を見つめ、外へひらいた人」です。______飛生アートコミュニティーの40年を振り返っていると、その時々で、この場所に新しい視点を持ち込んでくれた人たちがいました。宇佐美祥子さんも、そんな一人です。祥子さんは飛生の主要メンバーとして、芸術祭やさまざまなプロジェクトに関わる一方、北海道大学では研究や展示に携わっていました。飛生の中にいる人でありながら、この場所を少し離れたところから見つめ、考え、言葉にすることのできる人でもありました。2013年、祥子さんが企画したのが「The Time Tunnel」。テーマは「飛生の過去から現在」。飛生という地域そのものの歴史に光を当て、子どもたちも走り回ることのできる体験型の展示としてつくられました。それまで飛生と地域との関係は、決して最初から順調だったわけではありません。旧飛生小学校を共同アトリエとして使い始めた頃から長い時間をかけて、少しずつ関係を築いてきました。そんな中で、祥子さんは「アートを見せる」だけではなく、そこに暮らしてきた人たちの歴史そのものに目を向けました。The Time Tunnelは、飛生の地域の人たちからも大きな支持を受ける作品となりました。そして同じ2013年。飛生アートコミュニティーは、日本都市計画家協会の「優秀まちづくり賞」を受賞します。その受賞を報告する飛生の公式記事を書いていたのも、祥子さんでした。全国で飛生の活動を紹介する機会が増えてきたことに触れながら、彼女はそこで、活動をきちんと伝えるための「紙媒体の必要性」を感じた、と記しています。飛生で起きていることを見つめ、言葉にし、外へ届ける。作品をつくることとは少し違う場所から、祥子さんは飛生の活動を支えていました。2015年10月4日、祥子さんは病により亡くなりました。そして翌年。2013年に祥子さんとともに「The Time Tunnel」を制作した下平雅也さんが、もう一度この作品に向き合います。最初のThe Time Tunnelが扱ったのは、「過去から現在」。新しくつくられたThe Time Tunnelの題材は、「未来」でした。そこには、祥子さんが生前に残した詩と、彼女が思い描いていたものが残されています。過去を見つめるために始まった作品が、大切な人を失ったあと、未来へ向かう作品になった。そしてあれから十年以上が経った今、私たちは40周年記念誌をつくろうとしています。かつて祥子さんが書き残した、飛生の活動を伝えるための「紙媒体の必要性」。今回つくろうとしている一冊も、もしかすると、その言葉のずっと先にあるものなのかもしれません。今回の40周年記念誌では、こうした出来事や写真、関わってきた人たちの声を一冊にまとめます。クラウドファンディングは残り9日。




