LITALICO研究所OPEN LAB主宰の鈴木悠平です。毎日、応援ありがとうございます!本日も、障害のある当事者からの応援メッセージをご紹介します。聴覚障害・ADHDがあり、企業で働きながらブログ・note・書籍での情報発信やイベント企画をされている、友人のくらげさんより。これは「社会」のための投資だ、と力強いメッセージをいただきました。--------こんばんは。聴覚障害者のくらげと申します。この度、友人の鈴木さんがクラウドファンディングを立ち上げましたが、ぶっちゃけ「このクラファン、何をやりたいのか」がよくわからない人がいると聞きまして、聴覚障害者の私が「誰もがオープンにアクセスできる学びの場」ってどういうことなのか自分の経験から説明できればと思います。■「障害がある」とは学べないということ現在、大学への進学率は50%を超え、全入学時代、と言われます。で、大学に入る人が多いということは学習塾や家庭教師の需要もうなぎのぼりですよね。大人になっても、雑誌や新聞を開けばIT講座だの経理講義だのの広告が山ほど入っていて、テレビをつけても「学びませんか!?」というお誘いがバンバン流れてきます。また、勉強じゃなくても、ネットでつながっている人から「こういうイベントあるけど来ない?」とか誘われた経験がある方も多いでしょう。世の中は今、「セミナーブーム」とも言える状態です。でもですね、こういう「ブーム」って私には無縁なんですよ。だって、聞こえないから。講師の話が聞こえないし、聞こえたとしてもすごく必死に聞いてるからすぐ疲れる。面白そうな講義があっても、「手話通訳や要約筆記はありますか?」と質問しても「なんですか、それ?」と言われます。例えば、私はうちでは料理を作るんですけど、そろそろレパートリー増やしたいな、と料理教室を探しますよね、男向けの。あることにはあるんですけど、「聴覚障害あるんですけど…」と連絡すると「危険じゃないですか?」とか「聴覚障害なのに料理するんですか?」みたいなこと言われるんですよ。それに、以前、ある政治的な勉強会に参加したくて「情報保障ありますか?」と聞いたら「予算がないです、無理です」と断られたことがあります。お前、その口で言っている障害者に優しい社会ってお題目はどこに行ったんだ。お前には絶対投票しねぇ!となりました。じゃ、聴覚障害者が何を学べるか、というと、私の住む江戸川区では聴覚障害者向けのセミナーってのがあるんですけど、毎回毎回文章講座なんですよね。他にネタはないのか。で、他に手話通訳がついているというと、福祉関係ばっかりなんですよね。ぶっちゃけ「つまらない」ものばかりですよ。んじゃ、手話通訳とかを自費でつければ、となりますけど、1時間1万円以上かかりますし、こういう「自己研鑽」のための情報保障って公的な補助つかないことが多いんですね。給料アップのために学びたくてもそのための金が出せねぇよ!ってことになりますよね。つまり、私のような障害者は「学ぶ意欲」があっても「学べる機会」なんて本当に無いんです。学べても「障害がどうの」とか「福祉は云々」とか、そういう限られた範囲になります。そうじゃなくて、障害があろうとなかろうと「学びたいときに学びたいことにアクセスるする権利」ってのがあるはずなんですよ。今の障害者福祉はこの「学ぶ機会」ってのが全く抜け落ちてるわけです。■「誰もがオープンにアクセスできる学びの場」にするためにそういうわけで、「LITALICO研究所 OPEN LAB」の取り組みは本来「あるべき学びの姿」を体現してる、と言えると思うんです。しかし、「誰もが学べる環境」っていうのは、現実問題として金がかかります。たかだか数回の講座に350万円もの資金を集めなければいけないってなると、他の講義だと絶望的じゃないですか。でも、今の世の中、以前に比べたら「学べる環境」は広がっていますよね。日本にいてもリアルタイムで海外の一流大学の講座を受講できたり、ライブチャットアプリを使ってオンラインミーティングをしたり。これはちょっと前なら膨大な手間も金もかかりました。それをテクノロジーが超越したわけです。それなら、障害者の学びも、テクノロジーや様々な工夫で乗り越えられるはずです。それこそライブチャットを活用したり、そのライブチャットに自動文字起こしアプリを組み込んだり…。すでに出来ることはたくさんあります。では、何が足りないかと言えば、ノウハウの蓄積です。「LITALICO研究所 OPEN LAB」でどんどん「障害者を含むマイノリティー」が学びやすい環境を低コストで構築するためのノウハウを研究して社会に広めていけば、間違いなく障害者でも学べるチャンスは増えていくはずです。この350万円って、「LITALICO研究所 OPEN LAB」の講義だけじゃなくて、そういう「社会」のための投資だと思うんですよ。というわけで、伏して投資のほどよろしくお願いいただければと存じます。■何よりも大事なこと最後に。「LITALICO研究所 OPEN LAB」に投資出来ない人もたくさんいると思うんです。でも、一つだけ、お願いしたいことがあります。それは、「障害者だから勉強できないだろう」とか「別に学ぶ必要がないのでは?」と思わないでいただきたいのです。私達、障害者でも「学びたい」という気持ちはみなさんと一緒です。好奇心もあれば様々なことを経験したい。でも、障害があるから、聞こえないから、頭が悪いから、そういう理由で押さえつけられて、学ぶことを諦めていく。私は今、35歳ですが、私が高校生の頃、障害者は大学に行くことはとても難しかったのです。「聴覚障害があるのになぜ大学に来ようと思うのか」と大学当局から実際に言われた経験がある方も少なくありませんし、実質的な門前払いをくらった同級生もいます。私も本当は大学で歴史を学びたかったのですが、障害があることが大きな理由で大学への進学を諦め、このことは今でも大きな心の傷になっています。だから、もし、まわりに「学びたい」人がいたら、応援してほしいのです。無理や無駄、ではなく、「学ぶこと自体が大切なのだ」と考えていただきたいのです。ただ、邪魔をしない。それだけでいいのです。そのためにはお金はいりません。どうぞ、よろしくお願いいたします。------寄稿してくださった方: くらげさん Twitter: https://twitter.com/kurage313book note: https://note.mu/kura_tera Blog: https://kurage-official.com/ くらげさん、ありがとうございました!昔と比べると、情報保障のためのテクノロジーや方法論はずいぶんと増えてきました。でも、質の高い講義に、誰もがアクセスできる状態にはまだまだなっていない、というご指摘。OPEN LABを通してノウハウを蓄積し、みなさんに共有していきたいと思います。実現のためにも、ぜひクラウドファンディングへのご支援をお願いします!https://camp-fire.jp/projects/view/162982
LITALICO研究所OPEN LAB主宰の鈴木悠平です。クラウドファンディング公開後、障害や病気のある当事者の方から、たくさんの応援メッセージをいただきました。今日はそのなかのお一人、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)当事者の佐藤さんからのメッセージをご紹介します!はじめに:私は10年ほど前に筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)という病気を発症し、自宅療養者/電動車椅子ユーザーとなりました。この企画を目にした時に「ほぼ全ての配慮が、自分が求めていて、でもなかなか得ることができなかったものだ!」と思って、本当に感激しました。と、同時に元々健康なときには社会人向けスクールの運営事業に携わっていたこともあり、また会社を離れた後も疾患啓発関連で大小いくつかのイベント・講演会等を主催する側にまわる機会があり。「こうした配慮には、実はかなりコストがかかる」ことを身をもって実感しています。また、こうした配慮の必要性というのは、健康な方になかなか伝わりにくいことも痛感しています。しかし【社会的マイノリティ当事者を取り巻く状況を改善しようとするNPOや企業のサービスが、様々なバリアによりマイノリティ当事者を実質的に排除してしまう】現実に何度もなんどもぶつかって寂しい・悔しい思いをしてきた中で、今回のプロジェクトを知りました。このプロジェクトが成功裏に終わることを切に願い、また障害や病気を持った人が必要な情報にアクセスする権利があたりまえに認められる世の中になることを願ってこの文章を書いています。長文になりますが、ぜひ読んでいただきたいです。----------自己紹介:私は筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)患者です。2007年に発症、体調不良が続くも診断がつかず、2009年に当時在職していた職場を休職・復職できずに退職しました(その後2011年にME/CFS確定診断)。その後フリーランス的な形での短期間就労を目指して療養をしていましたが、体調は悪化する一方で、結局就労はかなわず今でも自宅療養を続けています。気候条件がよければ月に数度外出が可能ですが、筋力低下等のため外出時には電動車椅子が必要で、家事は全て家族に頼っています。病状は比較的重度の部類に入ります。今は、体調が落ちて活動を休止していますが、2012-17年までは様々な形で筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)の疾患啓発活動を続けていました。https://cfstokyo2015.jimdo.com/----------筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)という病気について:ざっくりと説明すると、下記のような病気です。・原因不明の難治性疾患、根治療法なし・少し動いだだけで生じる強度の疲労感・倦怠感が主症状(労作後の独特の不調を「クラッシュ」と表現することも)・その他、微熱、頭痛、筋肉痛、脱力感や、思考力の障害、抑うつ等の精神神経症状などが長期にわたって続き、健全な社会生活が送れなくなる・一般的な検査では異常が見つからない(詳細な検査で、脳機能、免疫機能、自律神経機能、内分泌系評価等に異常が見つかる)・自力で外出困難な重症患者が全体の3割(要補装具・介助、寝たきりに近い患者も)・患者数は推定12-24万人程度(患者数参考:2018年度のがんの部位別患者数1位の大腸がんが患者数15万、2位胃がん12万人)症状を説明するのは難しいのですが、患者さんがよく言うのは「ほぼ毎日がひどい風邪やインフルエンザにかかったときの具合悪さ・倦怠感・頭や体の動かなさで家事・仕事をやっている感覚(やろうとしてもすぐ動けなくなる)」というような状態です。----------例えば…ME/CFS患者の置かれた環境:「社会的マイノリティ」といっても様々な立場の方がいらっしゃるので、私自身の例を取り上げてみたいと思います。「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)」という病気の患者は、下記のような状況下に置かれています。・病気の原因が未解明、客観的診断基準(血液検査など数値でわかるもの)がない・病態が複雑なため診断・研究に携わる医師が増えない(全国で10数名)・鑑別診断できる医師が少ないので、ME/CFSと判明するのに時間がかかる診断されても、・疾患・病態の世間的認知が低く、就学・就労の際に必要な配慮が受けにくい・客観的診断基準がないことなどからME/CFSは「指定難病」になっておらず、医療費や福祉の助成が受けにくい・障害年金・障害者手帳等取得に必要な診断書を書ける医師が少なく、申請しにくい根治療法がないので、せめて必要な支援を得てなんとか回復に望みをつなごうと思っても、申請しにいった窓口で「そんな病気には適用されない」などと言われて用紙さえもらえないという笑えない話も多々聞きます(実際に私も経験しました…)。患者を取り巻くこのような環境を改善していくには、もちろん・国・地方自治体への訴え・医師への働きかけが必要です。しかし、それだけではなかなか現実は変わっていきません。本当はもっと幅広く・学校・企業・産業医・社会保険労務士、社会福祉士といった支援者といった関係者にも直接認知を広め、必要な配慮が得られた事例を増やし、共有していかなければなりません。個別に対応してうまく配慮を得られてもその過程が知られなければ、また違うところで新しい患者が同じ困難に直面しなければならないのです。----------「支援を考える」場に、当事者が参加できない:私の場合は、自分自身の職歴から比較的企業人事といったあたりと接点が多かったり、異業種のコラボレーションの取り組みを目にする機会も多くありました。外部のセミナー・イベントに参加したり、キャリアコンサルタントの資格取得のスクールに通ったりして、情報収集をしたり人脈を広げていくことが認められやすい環境で働いてきました。そのため、病状が安定し、電動車椅子を入手したあたりから「ME/CFSの現状改善につながりそうな」イベントを探しはじめました。都内のアクセスのよい場所に住んでいるため、実際に行ける範囲で行ってみたいイベントが数多く見つかりました。しかし、月に最大数回しか外出ができない体調調整の難しさもさることながら、それ以外の様々な理由で「申し込みができない」ことが多々ありました。・人数限定のため、当日ドタキャン不可→電動車椅子と体力低下のため、雨・雪の日は外出が難しい。また気温・気圧等の変化で前日まで体調がよくても、当日の天候次第でどうにも外出できないことがある。・会場もしくは移動途中の駅にエレベーターがない・階段/段差がある→筋力低下と動いた後の症状悪化(極度の筋肉痛・倦怠感・風邪様炎症感等が発生)のため徒歩移動だけでなく階段昇降が困難。・音響環境がよくない→強い自律神経失調から多少聴覚過敏があり、負荷がかかると強くなる・途中退席NG→電車移動や講座聴講程度の負荷でも、突然調子が悪化することがある・写真撮影NG/手元資料なし→内容によってはやむを得ないとは思うが、動くと症状が悪化し目がかすんだり、認知機能が落ちて言葉が頭に入りにくくなる(外国語を聞いているような感じ)手書きが筋力的に厳しいので、PC等を持参してメモしやすいようにはしている。しかし後で質問するときなどのために、退室前に削除するならOK等だとありがたい体調の急変がありうるので、できるだけ負荷の少なく、途中退席・休憩が可能な状況が望ましいいつも気になる講演・イベントを見つけたときには実際に申し込む前に、まずイベントの申し込み条件をチェックし、会場と会場までの移動区間のバリアフリー状況を確認します。問題がありそうな場合には電話やメールで問い合わせをし、了承を得てから参加申し込みをするようにしています。しかし、問い合わせをした際に「こんなに外出が困難なのに、なぜここまでイベントに参加しようとするのか?」といぶかるようなそんな反応を受けたことも一度ではなかったのが事実です。なんでもかんでもすべてが整っていてあたりまえ、と思っているわけではありません。冒頭に書いたように、自分自身が講座運営に携わっていたのでそうした配慮に相当のコストがかかることも知っています。また会場費を抑えるために公共の施設を予約すると、施設が古かったりと意外とエレベーターを備えていないことが多いことも、発症後に講演会等を開催してわかりました。また、もしかしたら今までは「当事者支援」のイベントに「重度(電動車椅子使用など)障害者」が来ることが少なかったのかもしれません。それでもなんらか「マイノリティ支援」をうたっているイベントで、バリアフルな状況になっているのを目にすると、とても複雑な気持ちになります。「なぜ当事者が参加できない状況になっているのだろう」、と…。----------今回のクラウドファンディングへの想い:そう思っていた中で、このクラファンを知りました。「株式会社LITALICO」さんという、すでに障害のある方の就職支援や子どもの発達を支援する教室の運営といった分野でのファーストランナー的存在である会社が今回のクラウドファンディングを実施していると知り、とてもうれしくなりました。(別の見方をすると、クラウドファンディングでの費用建が必要な程度にまだメジャーではない、とも言えますが…)今回のプロジェクトを見ると、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)患者の私ひとりに取ってみても、掲げられた5つの配慮のうち4つが「私のための配慮だ!」と思えるようなものになっています。----------①社会的マイノリティ領域への興味・関心の輪を広げる②遠方の方も聴講ができるようオンライン受講制度③障害・病気による聴講の困難さへの環境整備④経済的に困難な方向けのスカラーシップ制度----------最近はデジタルデバイスも発達してきました。音声の文字書き起こしや、動画配信等も10年前よりずっと手軽にできるようになっています。2020年のオリンピック・パラリンピック東京開催に向けて、障害者スポーツやその競技者の環境が以前より多く取り上げられるようにもなっています。今回のクラウドファンディングが成功し、その取り組みが多くの方に知られることによって、マイノリティのための合理的配慮がより「あたりまえ」のこととなり、主催者側にとっても負担が軽いものになっていくことを、心から願っています。------------------------------------------------------------佐藤さん、応援のメッセージをありがとうございました!佐藤さんのように、外出や受講に困難のある方もオープンにアクセスできる知のコミュニティづくりに向けて、ぜひともクラウドファンディングをご支援ください。どうぞよろしくお願いいたします。https://camp-fire.jp/projects/view/132015
OPEN LABのクラウドファンディングを応援してくださっているみなさま、どうもありがとうございます!LITALICOの鈴木悠平です。プロジェクト公開から、さっそくたくさんの方にご支援いただき、20%の70万円を突破しました!目標の350万円に向けて、引き続き応援お願いします!本日は、リターンチケットのうち、OPEN LABの講義先行予約チケットの追加のご案内です。OPEN LABの講義は、各回50名の参加枠となっておりますが、20名分をクラウドファンディングでの先行予約枠としてご案内します。 ※残りの参加枠は後日抽選での申し込みとなります本日追加リリースしたチケットは2つOPEN LAB第6回福田智史さん、昆野祐太さんによる講義「障害者雇用の現在と未来 - 『自分らしさ』と市場経済のはざまで」OPEN LAB第7回小澤いぶきさん、北川雄史さんによる講義「コミュニティは誰を救うのか - 関係の網の目から希望を紡ぐ」上記2つの講義それぞれの、先行予約チケットとなります。第6回は、障害者雇用や、障害のある人のキャリア・就労支援について、第7回は、多様な人が共に生きる地域コミュニティのあり方について関心がある方にオススメの講義です。ぜひご支援ください!