昨日11月3日、文化の日に「下谷上(しもたにがみ)農村歌舞伎上演会」が開催されました。 舞台を守り保存する地域の人たちと上演団体が協力して開催する上演会、今回の演目は『新版歌祭文 野崎村』(神戸すずらん歌舞伎)、『子宝童謡夢物語』(六甲丹生かぶき親子教室)、『仮名手本忠臣蔵 道行旅路の花聟』(六甲丹生かぶき)の3本です。 開演前の様子。大きな定式幕(じょうしきまく)も舞台とともに保存されているものです。開演に先立ち、地元の山田中学校の吹奏楽部によるオープニングコンサートが開かれました。3年生が文化祭で引退し、2年生以下新たな体制による初めての演奏です。曲目は「ふるさと」。皆さんもよく知っている曲です。 神戸すずらん歌舞伎による『新版歌祭文 野崎村(しんぱんうたざいもん のざきむら)』。若い男と生まれも育ちも対照的な二人の娘の恋模様、最後は悲しい結末を迎えます。写真の場面のあと、舞台が回転し別の場面となり、男「久松」と町家の娘「お染」が出て行くのを、尼姿となった百姓の娘「お光」が悲しく見送ります。 演目の間には、園田学園女子大学名誉教授の田辺眞人(たまべ まこと)先生による講演がありました。「神戸の俚謡(りよう)〜民俗芸能の調査〜」という内容で、各地に伝わる歌を楽しく聞かせていただくことができました。 六甲丹生かぶき親子教室による『子宝童謡夢物語(こはたから わらべうた ゆめのかけはし)』。親子教室に参加した子どもたちが、おとぎ話の桃太郎や金太郎などを演じて見得を切ります。おひねり(飴玉)がたくさん飛び交いました。 六甲丹生かぶきによる『仮名手本忠臣蔵 道行旅路の花聟(かなでほんちゅうしんぐら みちゆきたびじのはなむこ)』。「勘平」と「お軽」の恋の逃避行の物語、「お軽」を奪おうとする「伴内」(舞台左)がユニークなキャラクターで会場を沸かせますが目論見は失敗します。「伴内」の手下「花四天(はなよてん)」(花道上の7人)は子どもたちが演じました。花道が裏返り反り橋になっています。前の写真と見比べてみてください。 天候にも恵まれ、下谷上農村歌舞伎上演会は大盛況のうちに幕を閉じました。来年が楽しみです! 実は上演会では、どんなあらすじか分からずに見ていました。帰ってユーチューブで初めて知った次第です。事前に予習しておけばもっと楽しめますよ!
明日は下谷上農村歌舞伎舞台で歌舞伎上演会が開催されます。今日は地域住民と上演団体が準備作業を行いました。 10月26日の活動報告では、上谷上(かみたにがみ)農村歌舞伎舞台を紹介しましたが、ここ丹生山田の里には多くの舞台が残っており毎年秋に農村歌舞伎の上演会が開催されています。農村歌舞伎とは、江戸時代、京や大坂で演じられた歌舞伎に魅了され、村の人たちが自ら演じ楽しんだものといわれます。幕府は娯楽を禁じましたが、神様への奉納という形で上演が続けられてきました。したがって今回の下谷上農村歌舞伎舞台も天津彦根神社の境内にあります。 農村歌舞伎舞台は、舞台により多彩な装置が附属されており、地域の独自性を見ることができます。下谷上農村歌舞伎舞台には、「回り舞台」や「花道の裏返し機構」という装置が設置されています。「回り舞台」は直径5.6m、心棒にくさびを打ち込むことで回り舞台が浮き、これを舞台上から棒で押して回す「皿回し式」と呼ばれるものです。「花道の裏返し機構」とは、花道の一部がシーソーのように180°回転し、裏側に取り付けられた反り橋が出現するもので、全国唯一のものです。規模の大きさ、機構の精緻さでは全国的にも比類のないものとして国指定重要有形民俗文化財に指定されています。地域住民と上演団体のみんなで準備中です。回り舞台が見えますか?この溝の上に花道を組みます。溝が深いのは花道を回転させるためです。花道を下から見たところ。裏側に反り橋があるのが分かります。 このような装置が組み込まれた舞台が農村地域で江戸時代に作られ、現代まで受け継がれています。面白いですね。 上演団体は地域の愛好家で結成されており、子どもたちも出演します。もちろん「回り舞台」「花道の裏返し機構」も実際に使いますよ。
35年ぶりに刷新したい! 丹生山田ガイドマップ ~歴史と文化財を訪ねる~ 神戸市北区 ふるさと「丹生山田の里」に多くの方々に興味を持っていただきたい、そして当地域の活性化につなげていきたいとの思いで始めた「丹生山田ガイドマップ」クラウドファンディングプロジェクトは、残り1か月となりました。 ご支援いただいた皆さまには感謝申し上げます。本当にありがとうございました。 しかしながら・・・目標金額達成にはまだまだご支援が必要な状況です。歴史が詰まった「丹生山田の里」にすこしでも興味を持っていただいた皆さま、どうかご支援をお願いいたします!
実は・・・ 神戸市北区には約700棟の茅葺き民家が現存しています!!みなさんの「神戸」のイメージと合っていますか? 先日も神戸新聞で北区が「茅葺きの里」と紹介されました。 下の写真は、兵庫県の重要文化財に指定されている「内田家住宅」です。江戸時代中期の建物で、当時、摂津に7か村あった上皇の領地(仙頭御料[せんとうごりょう])の一つ、西小部村の庄屋をつとめた旧家で、古文書や駕籠、鎧兜なども保存されています。このような建物が神戸電鉄鈴蘭台駅から徒歩10分のところに残っているのです。現在は誰も住んでいませんが 神戸市文化財課が管理、公開していますので、是非おいでください。 まちの中には、今も人が住んでいる茅葺き民家もちらほら。こんな神戸もあるんです。運が良ければ葺き替え工事の様子が見れるかもしれませんよ。
◆上谷上農村歌舞伎舞台は、三宮から電車で10分の谷上駅から徒歩15分。天満神社境内にあり、普段は舞台の中央を割り参道に使用し、「床几(しょうぎ)回し」という舞台変換装置があるのが特徴です。1863(文久3)年の建立で、兵庫県の重要民俗文化財に指定されています。◆天満神社は1232(貞永1)年に祭神・菅原道真を京都より勧請。学問の神様として、付近団地等の皆様の参拝も多く、先日10月25日には秋祭り(例祭)が行われました。作製中の「丹生山田ガイドブック(第2版)」をお供に、身近な歴史と文化財を訪ねてみてはいかがでしょう。