少しずつ自分で家族信託の仕事を受任することが出来てきた頃。一定の自信を持っていた私は、以前からやりたかったことを行動に移しました。それは、沖縄県内の金融機関と一緒に、全国初の家族信託業務の標準化を行うことです。それまで東京や福岡で書籍を出している方の研修を聞いていても、「家族信託の契約書に雛型はない。」というのが常識のように語られている頃でした。ですが私は、法律の契約書なんだから、一定の割合で標準化は出来るはずだし、出来ないとすれば信託法という法律に不備があるか、法律家の能力に問題があるのではないか、と考えていました。「沖縄県内の金融機関と一緒に、全国初の家族信託業務の標準化を行う。」の目的は2つありました。1、沖縄発のビジネスを産み出すことで、県外から資本を稼ぐ。2、金融機関が標準化を行い、利用者の窓口になってもらう。イレギュラーな案件は私のような士業に担当させてもらい、業務の棲み分けを行う。→私の利益にもなる。そして行動に移します。県内の金融機関(ゆうちょ銀行を除きます。)全ての本店に飛び込みで行きました。1.5m×1mのフェルトボードに図解した表を貼って、標準化したチェック方式の信託契約書と小冊子を持って。 まずは(株)琉球銀行。要件を伝えると、担当の法人事業部がいないので、名詞だけください、と言われました。その後連絡が来ることはありませんでした。次は(株)沖縄銀行。本店の2階に案内していただき、10分ほど説明をさせていただきました。答えは、現在顧問の税理士や司法書士と勉強会や研修を行っていて足りている、必要ない、ということでした。コザ信用金庫。要件を伝えると、上の階から担当者が降りてきました。説明の準備をしようとして書類を取り出すと、「時間ないんで説明は早めにして下さい。」と言われたので、カチンときて説明せずに帰りました。沖縄県農業協同組合。「担当者がいないので、渡しておきます。後で連絡させます。」その後、連絡はありませんでした。(株)沖縄海邦銀行。本店で説明資料を渡すことが出来ました。しかし、その後事務所近くの支店から電話が来て、話がある、ということで向かいました。副支店長の名刺を持つ方が10分ぐらい説明してくれました。「私が本店にいた頃も、あなたのような方が毎日営業に来て、その度に説明を聞いたりするのが若手の仕事で大変だった。仕事が忙しいので、正直そういうことは止めて欲しい。」というようなことを言われたので、直ぐに帰りました。2015年。沖縄県内の金融機関と一緒に、全国初の家族信託業務の標準化を行うことは、見事に失敗しました。考えが甘かったのかもしれませんが、あの時は怒りと無念さしかありませんでした。
私が家族信託を専門にしていこう、と決めたのが、2015年です。専門にしていこう!とは決めたものの、その時点で実務経験は0でした。書籍を読んで、研修に東京や福岡に足を運んで勉強するインプット。そしてHPで、ほぼ毎日記事を配信。小冊子を作って会う人に良かったらどうぞ、と配る。無料雑誌が置かれている店舗に、小冊子を置いてもらえるようにお願いする。そして、約半年後に税理士さんからの紹介で、1件目の仕事に繋がりました。その頃はまだ全国的にも家族信託を専門としている方は少なく、様々な場面で発信していた結果なのかなと思います。勉強して自分のものにしている自信があったので、依頼を受けて半年後に完了しました。その後は、実務経験を基にして、月に1回家族信託の講座を開きました。月に1回、地味に続けてきて、現在28回になります。そこからは、紹介、HPを読んで、講座からと実務経験を積むことが出来るようになってきました。
1980年(昭和55年)生まれ那覇商業高校卒業名桜大学卒業社会福祉法人名護学院2007年(平成19年)司法書士試験合格2008年(平成20年)司法書士登録 ・司法書士になるまで大学卒業後、知的障害者更生施設で契約社員として働いていました。そのとき、本屋で介護福祉士の資格の本を立ち読みしていたら、司法書士について書かれた本が同じ棚に並んでいます。手に取って読んでみると、やりがいがありそうだと思える内容でした。離婚、養子、離縁、成年後見、連帯保証、競売、相続放棄、金銭消費貸借契約などが私の身近にあるものでした。そこから独学で3回受験して合格することが出来ました。1年間は介護の仕事をしながら勉強、2年間は半年働いて半年勉強する日々。独学は自分に自信があったわけではなく、単純にお金がなかったからです。合格は、愛知県にある洗濯機の部品工場で働いているときに知りました。合格時、受からなかった人の分も背負わなきゃいけない、と勝手に思っていました。・民事信託・家族信託を専門にするまで開業した頃は、成年後見業務を専門にしていました。そこから民事信託・家族信託を専門にしていこうと決めたのは2015年のことです。私が合格したのがちょうど信託法が改正された年であり、2015年は信託が実務で使えるようになってきそうなときでした。そして、私が成年後見業務に一定の限界を感じ始めたときでもありました。民事信託・家族信託を専門にし始めてからは、本来の司法書士業務である不動産や企業法務に加えて、海外の信託を勉強するに伴いアメリカのトラストに関係する仕事や台湾の企業に関する仕事も何とかこなしてきました。今後、どのように変化していくのか分かりませんが、何かを積み上げていくのでよろしくお願いします。実績 ・2018年 西原町都市計画マスタープラン委員会委員 ・2018年 西原町景観委員会委員 ・「チェック方式の遺言代用信託契約書1,2」『市民と法112号、113号』 2018年 (株)民事法研究会・2018年 (一社)家族信託普及協会による講座と、沖縄県民向けセミナーを沖縄に誘致・「民事信託はなぜ利用されるのか:土地建物の円滑な権利移動に資することの検討」(公社)不動産学会 2019年秋季全国大会 一般発表論文 ・(一財)司法協会 平成30年度研究助成事業 採択 ・「沖縄県における所有権等不明土地等への対応調査」(公社)不動産学会 2019年秋季全国大会 一般発表論文・「民事信託に関するアンケート調査」『市民と法121号』 2020年 (株)民事法研究会
ここにプロジェクトに関する事を書いていいんですね。初めて知りました。今日で開始から1週間。Twitterでは1日に2~3回、Facebookで週に1回、私の事務所ホームページでは固定ページにして告知しています。以下はクラウドファンディング開始日にnoteに書いたことです。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3月16日から4月19日まで昨日開始となりました。初めてのクラウドファンディング。初めて動画を撮って、初めてリターンというものを考えて、丁寧なクラウドファンディング会社(CAMPFIRE)からの修正を受けて。初めて尽くしですが、修正を終えて即日公開しました。公開まで告知だけしておいて、公開初日~1週間で集中して支援していただく映画のような方法もあるのですが、その方法は採りませんでした。中身は家族信託の相談家族信託の相談をテレビ電話で受け付けます、というような内容です。土日祝日も時間調整が可能であれば、引き受けたいと思います。また事前にメールでやり取りして、中身の濃い相談にしたいと考えています。周りに必要としている方がいたら、声掛けをしていただけると助かります。「届くといいな。」2015年から、家族信託を専門として事業を行ってきました。今回の目的は、離島や田舎の士業がアクセスしにくい場所に届くことです。どのようにアプローチすれば届くのか、少し実験的にクラウドファンディングを利用してみることにしました。すぐに公開したのは、実務経験上、相談段階で手遅れの場合が半分くらいあるからです。手遅れというのは、契約の一方(一般的に高齢の親です。)が認知症で、法律上契約が出来ないとみなされてしまい、家族信託契約を利用することが出来ないことをいいます。これによって起こるのは、お金が流動性を大幅に失う、という結果です。届くといいな。必要としている人に。司法書士宮城事務所note