開発秘話 その8 この路は間違っていたのか? いよいよあと4日となりました! 支援を本日もいただき、大変ありがたく、心強く感じます。 引き続きご支援よろしくお願いいたします! 開発秘話 その8をお届けいたします。 紆余曲折、七転八倒とはよく言いますが、ありふれた言葉では到底表現しきれないドラマが、本当にありました。 これから数日は、そんなエピソードがたくさんあります。 ぜひ、お読みください。 ------------------------------------------------- 開発秘話 その8 この路は間違っていたのか? 精度向上に関する「産みの苦しみ」は、技術的にも非常に興味深いものなので、 もう少し詳しくお話ししたいと思います。 研究チームと東京大学(本間先生)は、正式に2014年5月に契約を締結し、ともに製品化に取り組むことになりました。 本間先生は、尿の流れを整えることが必要であることをご存知でした。 より具体的に言えば、尿はまっすぐに尿路から出てきて乱流になるのではなく、 トルネードのように、ある意味回転しながら出てくることを知っていたのです。 2014年9月11日、はじめて正式な技術指導の機会を持った時、本間先生は最初に、 擬似膀胱の中を手のひらで撫でて尿の流れを示し、そのことを示されました。 そしてこれを解決すれば高精度な尿流量計が開発できる、と可能性を語ったのです。 しかし、本間先生も研究チームも、この課題の克服がどれだけ困難か、当時は知る由もありませんでした。 課題を示された研究チームは、チームなりの方法で整流機構を開発し、 最初の会から半年余りを経た2015年3月、本間先生にプロトタイプの精度を見てもらいました。 その計測結果を確認した本間先生は、こう言いました。 「計測精度は20%‥僕の考えは間違っていたのかもしれない」 自信を持ってプロトタイプを持ち込んだ研究チーム全員、一気に顔面蒼白になりました。 本当に方法は正しかったのか?そもそも整流なんてできないのではないか? この日から、ゼオシステムの下川信子さん曰く「知っていたらこんな難題に向かっていかなかった」 と述懐するほどの苦しい日々に、研究チームは飛び込むことになります。
開発秘話 その7 精度、精度、精度! こんにちは、クラウドファンディング担当の河田です。 終了まであと6日になりました! 社会に役立つ医療機器を、皆様のもとに早くお届けする 仕組みの一環として実証実験を企画しています。 引き続き、ご支援をお待ちしております! 開発秘話その7をお送りします。 列島は昨日今日と、少し暑さが和らぎましたが、こちらはどんどんアツくなります。 ----------------------------------------------------- 開発秘話 その7 精度、精度、精度! 本間先生とゼオシステム、その協力者の方々がいよいよ協働することになり、研究は俄然加速していきます。 ゼオシステムはもとより、さきにご紹介した神奈川大学山崎研究室、MDRSの山末先生をはじめとした先生方、神奈川産業技術センター(現KISTEC)の研究員の方、地元企業を支援する横浜経営支援財団の指導員の方まで加わり、気がつけば一大チームになっていました。 これだけの方々が総力を挙げて取り組んでいましたが、それでも乗り越えることが困難な、大きな壁が立ちはだかります。 それは、尿の「流れ」を整えることでした。 当然ながら、尿は静かな川のせせらぎのように流れることはありません。勢いも量も随時変わりますし、飛び跳ねもあります。 そのままの状態ではとても計測できる状態ではなく、機器としてはそれを受け止め、 流体の動きとして美しいものに整えてから計測しなければなりません。 世界の先行研究では、この問題を克服することができず「正確な尿流量計は実現不可能だ」と結論付けていました。 それほどの難題、つまりこれは当時世界の誰も突破できていなかった、世界初への挑戦だったのです。 流れを整えるための機構を作り、実験し、精度を追求する。だめなら、最初からやり直し。 研究室の中で、本間先生とのやり取りの中で、これを幾度となく繰り返しました。 本間先生に研究経過を報告する前、精度が悪いときは徹夜だったこともあります。 とある日は、先生1人に研究チーム10人で説明することもありました。 それでも、最高の精度を求める先生から、厳しい言葉をもらうことも一度ではありませんでした。 一も二もなく、とにかく精度。 世界の誰も到達したことがない高みは、 それを見たことがなければ、どこまで登ればいいのか分かりません。 どこまでいけばいいのか。果たしてこの道は正解なのか。 研究チームと本間先生は、苦しい試行錯誤を2年近く続けたのです。
開発秘話 その6 医師とエンジニア、それぞれの魂 こんにちは、クラウドファンディング担当の河田です。 終了まで1週間を切りました! 連日ご支援をいただき、感謝しきりです。 成立までもう少しになってきています。 皆様のさらなるご支援、心よりお待ちしております。 開発秘話 その6をお届けいたします。 まだまだエピソードはありますので、今後も楽しみにしてくださいね。 ----------------------------------------- 開発秘話 その6 医師とエンジニア、それぞれの魂 本間先生の研究のご意向を知り、さっそく東大へ訪れたゼオシステムの下川夫妻。 前回ご紹介したように、公表された情報では研究相手の企業を求めるとはあったものの、 当然ながら、申し出れば必ず受け入れてくださるわけではありません。 ゼオシステムの研究する「羽根車方式による尿流量の計測」という考え方が、 専門家である本間先生の視点から有用であると認めていただかねばならないのです。 一方、本間先生は日本の泌尿器科のオーソリティとして、以前からポータブルに扱える 尿流量計のコンセプトはお持ちであり、ゼオシステム以外の企業の開発動向も把握されていました。 世界的な動向でいえば、いわゆる「ロードセル方式」と言われる、物体の重力からくる圧力を電気信号に変換し、 そこから重量等を導き出す方式が主流でした。 実は最初の回でゼオシステムが繋がろうとした別の研究者も、この方式で研究を続けていたのです。 そのことも含めすべての状況把握した上で、本間先生は、ゼオシステムが目指す方式のほうが「見込みがある」と判断し、 ゼオシステムを研究パートナーとして採択することを選びました。 ついにゼオシステムは、最良のパートナー、本間先生にたどり着くことができたのです。 しかしその出会いは、決して甘いものではありませんでした。 出会った最初から、下川夫妻は本間先生の医療者としての理想の高さ、そして厳しさに圧倒されます。 「排尿障害の治療は、人間の尊厳を守ること」 「高齢者にとって、自分の力で最後までトイレに行けることが大切」 この機器の開発は治療の質を上げるだけでなく、高齢者の人生をも左右すると力説し、 崇高な使命感をもってあたることを求めた本間先生。 その想いにゼオシステムと協力者たちは、羽根車方式の計測結果の正確さで応えるべく、 以前よりも増して精力的に研究に注力していきました。 この邂逅は、ある意味、さらに厳しく長いワインディングロードの始まりでもあったのです。
開発秘話:その5 志は繋がる こんにちは。クラウドファンディング担当の河田です。 いよいよ終了まであと1週間となりました! ご支援の輪が広がり、大変嬉しく思います。本当にありがとうございます。 あと少しですので、引き続きよろしくお願いいたします! さて、開発秘話その5をお送りいたします。 エピソードは、いよいよ佳境に入りつつあります。 ぜひお読みください。 ----------------------------------------------------- 神奈川大学との共同研究に注力するさなか、泌尿器科の医師とつながるべく、 様々なアプローチを試みていたゼオシステムの下川さんたち。 以前から、さまざまな協力をいただいていた横浜国立大学の技術移転機関、 よこはまTLOの関係者から、変わった要望を受けました。 それは地元パシフィコ横浜で開催される、医療とICTに関するシンポジウムで 「大学の先生方が困るような質問をして欲しい」 というものでした。 その方にとってみれば、シンポジウムを盛り上げたい、 そんな気軽な申し出だったのかもしれません。 しかし医師とのコネクションを一度絶たれてしまったゼオシステムとしては、これはチャンスでした。 もしかしたら、ご協力いただける先生が見つかるかもしれない。 2013年3月5日、下川信子さんはシンポジウムを聴講し、パネリストの先生方に 「医療現場に入るにはどうすればよいですか?」 と、ストレートに聞いていました。 「ウチにはいつも企業の方がみえてますよ」 そう答えてくれた先生が、いらっしゃったのです。 その先生が、いまもFreeflow®の開発にMDRSの一員として支援してくださっている、山末耕太郎先生でした。 医学(横浜市立大学)と工学(横浜国立大学)双方で研究活動をしておられる、まさにFreeflow®のアドバイザーにふさわしい方でした。 シンポジウム後、すぐに山末先生の元を訪問しご協力をお願いすることができたのです。 その直後に、さらに嬉しい出会いがありました。 ともに神奈川大学との共同研究に協力してくださっていた 神奈川産業技術センター(現KISTEC)の研究員の方が、 尿流量計の開発をしたいという、泌尿器科の先生を発見したのです! http://proposal.ducr.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/ccr_usr/detail.cgi?num=6485 「患者の一日における排尿や尿量の状態を把握することは治療上きわめて重要である」 「排尿時の尿の流速を、採尿することなく測る携帯式の尿流計があれば、排尿状態や尿量を把握することが容易になる」 まさに探し求めていた、共通の志を持つ泌尿器の専門医。 この方こそが、当時東京大学大学院医学系研究科 泌尿器外科学教授として 日本の泌尿器科診療のオーソリティでいらした本間之夫先生でした。 下川夫妻はもちろんすぐに、本間先生へコンタクトを取ったのです。
開発秘話:その4 その夢は、地域の夢へ こんにちは、クラウドファンディング担当の河田です。 週が明け、いよいよあと8日となりました。 まだまだ、皆様のご支援が必要な状態です。 どうぞよろしくお願いいたします。 開発秘話:その4をお送りいたします。 ----------------------------------------------------------- 神奈川大学での先行技術に希望を見出したゼオシステムは、同大学工学部機械科山崎研究室と共同研究を開始しました。 社長以下、奥様の信子さん、専任の社員が毎週1回、2年間通い続けました。 この写真は、お世話になった研究室での一コマです。 この研究室では、現在のfreeflow®の根幹をなす技術を行いました。 導管を流れる流量計算から始まり、羽根車の枚数・大きさなど、地道なトライアンドエラーを 研究室に通う学生さんと一緒に取り組み、この間に3名の学士卒論を支援してきました。 この研究ですが、実はゼオシステムだけでなく、様々な方にご協力をいただいています。 実証実験が成立した場合、実験実施にご協力いただけるMDRS(かながわ医療機器レギュラトリーサイエンスセンター)の先生方、県内企業に対する支援を行う神奈川産業技術センター(現KISTEC)の研究員の方も加わってくれていました。 気がつけばこの研究は、ゼオシステム単体のものではなく、 神奈川のものづくりの夢として、大きく育っていたのです。 話は少し前後しますが、研究と並行し、新たな医療者の研究パートナーを引き続き探し求めました。 やはり臨床で課題に直面している医療者の方の声を活かさなければ、本当に使える医療機器にすることができない。 研究を続けながら、機会をとらえ様々な方にコンタクトをし続けました。 ゼオシステムには、当初、そういった方々コネクションがありませんでした。 どういった方に話をすれば繋がるのかすら分からず、とにかくいろんな方に話をする、そんな状態でした。 いわゆる医工連携という分野ではよくぶつかる問題ですが、単に医療者であればいいわけではなく、 泌尿器であれば、泌尿器の専門家とつながらなければならない。 一度その扉を閉じられたゼオシステムにとって、これは想像以上に困難なことでした。 しかし。暗闇に向かって手を伸ばす、そんな行為にしか思えなかったこうしたアプローチが、 ふとしたことがきっかけで、そしていろんな方の協力で一気につながり、ある日実を結ぶのです。-----------------------------------------------------------





