皆様ご無沙汰しております。 月日の経つのは早いもので、年越しも間近になってまいりました。私たちはより良いものができるよう相変わらず制作工程を繰り返し続けております。なかなか終わりの見えてこない苦しみもありますが、ささやかな発見や進歩が感じられ充実感も強く感じております。 この一年を振り返っても、友人の結婚式以外他に何も思いつかないほど作業に没頭させて頂いております。奉納の時期はおよそ六月下旬をめどに考えておりますが、許される限りの時間を使って引き続き制作を進めていきたいと思っております。 また、先日阿蘇神社へ伺ったところ、拝殿の撤去作業は順調に進み、本殿が見渡せるほどになっておりました。 楼門は解体を行うための覆い屋根が出来上がりつつありました。元旦までには屋根が完成し、順次楼門の解体が始まるものと思われます。 本当に本年は怒涛の一年でございましたが、皆様からのご声援も頂きまして、何とか年末を迎えることができました。また来年も温かく見守っていただければ幸いです。文末になりましたが、皆様が良いお年を迎えられますよう、九州は豊後の地より、祈念しております。 蛍丸伝説プロジェクト実行委員会 福留裕晃
去る8月27日、無事に製作一振り目の焼入れを阿蘇神社御神前にて執行いたしました。心配いたしました天気も嘘のような好天に恵まれ無事行えましたこと、祈っていただいた皆様のおかげと思っております。当日昼過ぎから焼き刃土を仕上げた刀身に塗り自然乾燥させました。うっかり撮り忘れてしまいましたので、その状態の写真はありませんが…焼入れは、鋼の一定の温度まで加熱し急冷することで硬くなる特性を利用し、刃を硬くする工程です。焼き刃土の薄いところは急速に冷やされて硬くなり、厚く塗られているところはゆっくりと冷えるので柔らかさが保たれます。その硬度差によって、研ぐと刃紋が浮き上がってきます。約800度くらいまで熱して水で急冷しますが、この両者の温度が非常に重要で、 刀身の温度を色で見分けるため日没後行います。水につけた瞬間刃部は急冷され硬い組織になり、 棟側はゆっくりと冷やされ縮んでいくので反りが生まれます。そのため通常どの程度反るか計算して伏せさせ、焼入れして丁度良くなるようにしますが、大太刀の場合は自重で変形しやすいため、異常に反りが出たり全く反りが出なかったりとなかなか難しいです。焼入れ時点で約3キロありましたので通常の刀三振り分程になります。 まず、乾かした刀身を焼柄という鉄製の柄を取り付けます。ナカゴもかなり高温になるため直接つかめませんし、手持ちも悪いため長さを延長して扱いやすくします。 次に、刀身全体を火であぶり予熱しながら焼き刃土を焼き固めます。 折を見て良く熾った炭の中に差し入れ、刀身をむらなく赤めていきます。 程よく赤んだら、一気に水の中へ差し入れます。 焼が入ったら硬くなっていますが、欠けなどが起きにくいよう粘りを持たせるために180-200度程度まで再加熱してアイを取ります。 このときは手で水を弾き掛けて、その蒸発音で温度を測ります。 通常は徐冷しますが、当日は奉献するために水につけて冷やしました。 無事終了です。 今後も来年の奉納に向けて引き続き製作を行って参りますが、よりよいものが奉納できるよう、より精進したいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。 また彫刻などの作業に入りましたら、阿蘇神社境内の一角をお借りして奉納作業などを検討しております。今後日取りが決まりましたら改めてご連絡いたします。 蛍丸伝説プロジェクト実行委員会 福留裕晃
いよいよ奉納焼入れも明日となりました。かなり心配しておりました雨も何とか持ちそうで、延期せずにすみそうです。 念のためテントも立てて頂きましたので少雨決行も可能になりました。(たまたま居合わせた参拝者の方に手を貸していただきました。本当にありがとうございました。) 激しい夕立がない限り予定通り行う予定です。 写真のとおり2月と同じ場所で行います。倒壊した楼門、拝殿はそのままのため規制線も張ってありますので、見学の際にはご注意ください。十分な広さを確保できないため、優先観覧席は設けませんが、見学者受付にてお名前を残していただければ幸いです。 房興も良い焼入れができるよう気合を入れて火床を塗り上げておりましたので見かけた際にはどうぞお声掛け下さい。後は開始時刻には雨が上がっている様祈るばかりです。遠方からお出でになる皆様もどうぞお気をつけてお越しください。 蛍丸伝説プロジェクト実行委員会 福留裕晃
皆様ご無沙汰しております。6月末には横浜の研師の方よりご連絡を頂き、新たな資料を拝見させていただきました。最近資料整理をされた折に見つかったそうで、丁寧に刃紋の様子などが書き込まれており、これまでに足りなかった部分を補う素晴らしい資料で、焼入れに向けて大いに活用させていただきます。7月に入ってからは、貸主の都合により房幸鍛錬場を一時閉鎖移転することになりましたので、移転作業を行い、8/2大分県竹田市の房興鍛錬場へ合流いたしました。当分の間、荻町にて駐鎚することになります。 さて、表題の奉納焼入れですが、今月3日に神社様と確認を行い、8/27土曜18時より神事、19時ごろ焼入れ開始の予定でお許しを頂きました。今回も悪天の場合翌日に延期ですが、台風などの場合数週間ずれる可能性がありますのでご了承ください。なお場所につきましては奉納鍛錬実施場所とほぼ同じ場所で行います。奉納焼入れも公開で行われますが、楼門等倒壊の影響で仮殿や札所などが建てられている関係上、状況によっては安全確保のため立入り制限をかける可能性もございます。この半年様々なことが起こり少々予定が遅れ気味ではありますが、無事に奉納焼入れができますよう尽力してまいります。 蛍丸伝説プロジェクト実行委員会 福留裕晃
5月15、16日に大分県竹田市、熊本県阿蘇市及び熊本市を回って参りました。震災より1ヶ月を数える日でしたが、県庁の前庭にも崩れた歩道の石垣がまとめて積んであったり、歩道脇にも回収されていない崩れたブロックがあったりと手が回らない様子が散見されました。阿蘇、竹田に向かう道中も、場所によって道が崩れていたり、多数の屋根がブルーシートで覆われたりしているところがあれば、建物被害は見られない地域もあり、僅かな場所の違いによって大きく状況に差がある様でした。長くなってしまいますので少しだけ状況をご報告いたしましたが、目を疑う様な光景も多数ありました。目に付かない被害はその何倍もあるのだろうと思います。少しずつでも日常を取り戻されるよう願っております。 阿蘇神社の皆様とも諸々話をさせて頂きました。まず、プロジェクトの日程についてですが、可能な限り予定どおり行っていくことになりました。8月27日に公開で行う神前での焼き入れも延期せず行います。また、焼き入れ以外にも火を使わない工程で数日間神前での奉納作業を実施することになりました。主に彫刻などになるかと思いますが、詳細が決まりましたらご連絡いたします。 倒壊した建物について伺ったところ、解体撤去だけでも2年近くかかるとのことでした。再建には約10年程度かかるのでは、とのお話でした。金額的にはおよそ20億円を見ており、国庫からの補助を考えても10億円近くを神社の独力で集めなければならない見通しのようです。 阿蘇神社様の公式サイト http://aso.ne.jp/asojinjya/ 公式Facebook https://www.facebook.com/asojinjya/では最新の状況をお伝え頂いております。また、YAHOOネット募金も行なっているそうです。 http://donation.yahoo.co.jp/detail/5066001/ 今回特にご紹介したいのは有志によるyoutube阿蘇神社公式チャンネルで1再生につき約0.1円の募金が行われます。再生するだけで支援ができますので、ご覧いただけますようよろしくお願いいたします。 https://www.youtube.com/watch?v=T-eezrjVkX8 他にも様々な話し合いが行われましたが、長くなりすぎてしまいますのでまた改めて投稿させて頂きます。 蛍丸プロジェクト実行委員会 福留裕晃