~昨年度ビジネスコンテスト優勝チームGreen Cake 代表 マジットさんのストーリー~ こんにちは! ジャパンガザイノベーションチャレンジ(ガザビジ)のメンバーの一人、高原です。 私たちガザビジメンバーはパレスチナやソーシャルチェンジといったキーワードに興味を持つ若手社会人、学生が集まり、「希望を蒔き、育てる」という思いで、昨年初めてガザ現地でビジネスコンテストを開催しました。そしてこの夏、2回目のビジネスコンテストを開催いたします。 今回はこのビジネスコンテストの活動、私たちの取り組みを知っていただくため昨年度ビジネスコンテスト優勝チームGreen Cakeの代表であるマジットのストーリーを紹介します! マジットは大学で土木工学を専攻した23歳の女性です。彼女は前年度に私たちが開催したビジネスコンテストに参加し、軽量、安価、強固で建設に耐えうるブロックを作る「Green Cake」の代表として見事優勝しました。 [優勝後Green Cakeのメンバー、メンターと共に。賞状を持ち中央にいるのがマジッド] ガザ地区は度重なる紛争によって60%以上の若者が失業しております。2014年の50日間に及ぶ「ガザ戦争」はGDPの15%に当たる4.6億ドルの経済損失をもたらしました。 そしてイスラエル軍の攻撃によって破壊された建物の再建も進まず、電気、水道などのライフラインも不安定な状況が続いています。 彼女が開発した製品であるGreen Cakeは一日に約20,000個の建設用ブロックが必要とされているにも関わらず壁による輸入の制限や限られた技術と資源などの問題で需要に合った供給ができていない、というガザ地区が抱える社会問題に着目し考案、開発されました。 「女性は家庭で」という考えが強いガザでは、「婚期を逃すぞ!」、「女はラボではなくキッチンでケーキでも作ってれば良いんだ!」といった周囲からの風当たりも強く、最後のチャンスをかけて挑んだのが私たちのビジネスコンテストでした。 下記は優勝後マジットが語ってくれたメッセージです。 ▼優勝チームのリーダーマジットからのビジネスコンテスト優勝後のメッセージ 私の好きな言葉に「成功とは、普通のことの毎日の積み重ねにすぎない」というアメリカの著名な起業家Jim Rohnの言葉があります。 私は常に、人生において、この世界に自分が生きてきた足跡を残したいと考えてきました。これは個人的な願望というより、私自身が一人の人間として負うべき責務として捉えています。 ガザチャレンジでGreen Cakeプロジェクトが優勝したことは、この私の目標達成のための第一歩であり、来たるべき自身の未來に役立つであろう一生に一度の経験でした。 Green Cakeのメンバー全員も、ガザに住む人々の人生をも変える、このチャンスを与えられたことに本当に本当に感謝しています。 ビジネスコンテスト優勝後の現在マジットさんは「デザインのノーベル賞」とも呼ばれるINDEX: Awardのファイナリストに選ばれるなどGreen Cakeの大量生産を目指し製品の改善を重ねています。 彼女が優勝を果たした第1回のビジネスコンテスに続き今回のビジネスコンテストでも熱意あふれる起業家たちへのサポートを行っていくべく今後とも頑張ります! [マジッドと技術サポート中の株式会社JM大竹社長。国籍を超えた親子のような存在です]
[上の写真:3月のマジッド、アマル来日時の集合写真。中央の青いTシャツの男性が清田さん] 僕らのパートナーである国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の清田保険局長より応援メッセージを頂きましたので掲載させていただきます。 実は2015年の11月、日本へ出張された清田さんに税所と2人で「ガザでビジネスコンテストをやりたいんです!」と訴えたのが僕らのプロジェクトのはじまり。 清田さんの全力での情熱的なサポートなしには、ガザでビジネスコンテストをやるなどというクレイジーなアイデアの実現はありえませんでした。 以下にメッセージを紹介させていただきます!清田さんありがとうございました。 ▼UNRWA清田保健局長からの応援メッセージ 2年前に、ガザで企業を支援するんだ、と言ったら、間違いなく一笑に付されていた。 ガザは2007年からの封鎖で経済が崩壊し、若者の失業率7割、人によっては「世界最大の監獄」とも言う。その絶望の地のガザで、いったい何を支援するの、と聞かれただろう。 1年前、このプロジェクトは、それが全くの間違いであることを証明した。人間に不可能なことは本当はないのだ、と言うことを、絶望の地、ガザで示した。ガザの若者の未来に対する強い思いを真正面から受け止め、このプロジェクトは奇跡を起こした。 ガザは封建的な世界だ。事実として、生活・社会の決断は男性が行う。家長は必ず男性だ。そのガザで、プロジェクトの優勝者、準優勝者とも女性だった。それも20代前半と若い。そして底抜けに元気だ。笑顔が素敵だ。こっちも楽しくなってくる。 [マジッドのコンクリブロックを吟味する清田局長、第1回ビジネスコンテスト] 何よりもすごいのは彼女たちの将来への思い、強いビジョン、ガザへの愛情だ。自分たちの発表の後、時に意地悪とも思えたガザの男性陣の矢継ぎ早の質問を一網打尽に切って捨てた彼女たち。本当にすごかった。奇跡に出会えた幸運を感謝した。 優勝者発表の際の会場の興奮、熱狂、そして最高の笑顔。今でも思い出す。その場には勝者も敗者もいなかった。皆、何かを成し遂げた達成感、そしてこれから何かを成し遂げようとする希望で沸き立っていた。そこがこのプロジェクトのすごいところだ。 実はガザには希望はたくさんある。どんなに苦しくても、希望は生まれる。このプロジェクトはそれを見つけ育てる。将来のリーダーを育てる。優勝者・準優勝者のふたり、今年4月に来日した。彼女たちの企業は続いている。 今年、また奇跡が起こる。絶望の地に希望の星が生まれる。どんな素晴らしい人に会えるか、どんなすごい話が聞けるか、今から楽しみだ。その楽しみをぜひ皆様と共有したい。プロジェクトの支援、ぜひお願いしたい。 [メンター、参加者と歓談中の清田局長、第1回ビジネスコンテスト]