先日から仏像彫刻専門の先生方にファイバースコープでの体内調査を行っていただいております。何分全部で27体ありますのでその作業だけでもかなりの時間を要します。その中で超有名なお方ではありますが、阿弥陀二十五菩薩の群衆の中にはあまり聞かれないお名前の方がいらっしゃいました。『弥勒菩薩(みろくぼさつ』です。お釈迦様が亡くなられてから56億7千万年後にこの世に降り立ち、お釈迦様の後継者と約束された方です。弥勒菩薩の特徴と言いますと、足を組み右手を頬にあてる半跏思惟像を思い浮かべます。いわゆる腰を掛けているお姿が頭に浮かびますが、この弥勒菩薩様はもちろん立像で手は「法界定印」を結んでおられます。二十五菩薩のメンバーはレギュラーメンバーもいれば、そうでない方もいます。そして、その時代や地域、お寺や施主の意向、仏師の気持ちで構成メンバーも変わってくるという事です。来月から野球のWBCが始まりますが、まさにサプライズメンバーと言えるのかなと思いました。
おすすめ返礼品の紹介です。葛井寺には毎年4月中頃になると境内の藤の花が満開になります。そして、境内には藤の甘い香が広がり、街中のお寺である事を忘れるかの如く異空間となります。これは春の風と共に流れる藤の香りをイメージしたお香です。さらに一緒に添えるお香立ては、奈良のガラス職人が一つずつ丁寧する手作りの香立てです。こちらの藤をイメージした紫色のガラスです。
毎日丁寧な作業が工房では続けられています。皆様のおかげをもちまして昨日で目標まで75パーセントになりあと4分の一となりました。なんとか目標に到達できますよう努めます。今日の仏さまは右手が欠けている仏さまです。剥落止めをし、しっかりと直した状態で仏師さんが欠損部分を作成されます。上の画像は施工前の写真。下は剥落止め後の写真です。現在は紙で圧着されています。箔や色などは施してないものの随分と綺麗になったのが分かります。そして今日はお寺の番犬「まさつら」の誕生日でした。まさつらは河内の豪族「楠木正成」の長男からもらった名前です。(菩薩修理とは関係ありません。)
こちらは他の菩薩に先行して修理をした菩薩です。(修理番号:南10)気の遠くなるような剥落止めの作業を丁寧に繰り返し、木部修理(腐食した部分をくり抜き新しい材を入れる)を経て、元のお姿に戻りつつあります。ここから金箔に古色して全体の調和を整えていきます。写真では伝わりにくいところもありますが、実物は写真以上に傷みが激しく痛々しい状況でした。それと比べると今の段階でも既に見違えるようなお姿になっています。
毎日新聞に続き、読売新聞にも掲載いただきました。令和7年で本尊千手観音が造立されて1300年を迎える事と、今回の仏像修復クラウドファンディングの支援の呼びかけを書いていただいてます。また、記事の最後にもありますように、お堂だ完成し仏像もすべて整いましたら、音楽に携わる方々に是非使っていただければと思っています。趣味でもプロでも、日本楽器でも洋楽器でも。雅楽でもロックでも全ての音楽を仏さまと一緒に奏でてほしい。そのように思っています。