*「IDJで、MITの学生はどんなところを訪問するの?」そんな疑問に答えるべく、今回訪問させていただくナウキャスト様を紹介します。* ナウキャスト様(以下、ナウキャスト)はビッグデータを活用した経済分析を核としてビジネスを展開されている企業です。彼らの主眼にあるのは、社名のとおり、経済の“今”を伝えるため、リアルタイム性の高い新しい経済情報を開発すること。たとえば従来の経済指標は主にアンケートによる統計に基づいており、それが実際に活用される時点では既に古い情報となってしまいます。金融政策や投資の意思決定を行う上で経済の情報は欠かせませんが、こうした理由で「今現在において、経済は一体どのような状態なのか?」を知ることはできませんでした。過去の情報をもとに、推測を重ねていくしかこれまで意思決定を行う手立てはなかったのです。一体どうすれば、経済の“今”を知ることができるのでしょうか? スーパーの商品販売データに基づく物価指数。迅速性が高く、様々な分析に活用できる。 そこで鍵となるのが、近年注目されているビッグデータです。日々生まれる膨大なデータの中から、経済に関連するものを解析することで、即時性の高い経済指標や投資情報を作成し、サービスとして提供する。それがナウキャストが行っている取り組みです。ナウキャストのサービスは、政府や投資銀行、ヘッジファンド等に提供され、より正確な意思決定のために活用されています。たとえば、物価指数。既存の手法では対象商品のサンプルを抽出して統計を作成します。これに対してナウキャストでは、POSシステム(Point-of-Sales、商品売買時のデータを記録)を活用し、オンラインでデータを収集することで一部の限られたサンプルではなく全商品を対象とした分析を行い、日次で算出する世界初の物価指数「日経CPINow」を開発しています。さらに、クレジットカードデータを活用したリアルタイム消費インデックス「JCB消費NOW」や、グループ会社のFinatextが提供する株コミュニティアプリ「あすかぶ!」やTwitterのコメントを分析した「ソーシャルモメンタム」、都市の経済活動を象徴する夜間光の衛星画像から、経済の動向を示す情報を導き出すR&D活動など、様々な独創的な取り組みを進めています。 社内議論の風景。統計学・機械学習理論を駆使して、様々なアイディアの議論が交わされる。 経済分析を行う企業なだけあって、経済学や金融工学の研究者、外資系投資銀行出身者といった精鋭によって構成されたメンバーであることが特徴的です。メンバーの高い専門性を活かして、独自性のある解析手法の開発といったR&Dに注力しながら、挑戦を続けられています。 株式会社ナウキャスト http://www.nowcast.co.jp/
今回は12/1に実施した、IDJ参加予定の学生を対象としたオリエンテーションの様子をご紹介します。当日は本プロジェクトに参加予定の26名のうち、25名が参加しました。 オリエンテーション 来る2018年1月27日~2月3日のスタディツアー(IDJ)本番に向けて、オリエンテーションでは参加者同士の顔合わせに加え、スタディツアーの行程やビザ申請のプロセス、日本滞在中の注意事項等についての確認を行いました。 今回のツアーでは一週間の間に名古屋、京都、東京を中心に計18の企業・研究機関への見学・意見交換を実施します。参加者はそれぞれの研究分野・希望に応じて毎日2~3のグループに班分けされ、別々に企業を訪問することになるため、行程をしっかりと把握して迅速に行動することが求められます。(日本では5分前行動が基本ですが、海外ではあまり一般的ではありません。郷に入っては郷に従え、ということで時間厳守を念押しで確認しました。) また参加者のなかには日本へ旅行したことのある学生も少なくありませんでしたが、本格的なビジネストリップは初めてという学生がほとんどで、訪問先の企業や公共スペースでの立ち振る舞いなどについて多くの質問が飛び交いました。この辺りは異文化に接することに慣れており、異なるバックグラウンドを持つ相手を尊重しようと心がけるMITの学生ならでは、とも言えるかもしれません。 懇親会 オリエンテーション終了後には、参加者同士の交流を深めるための懇親会を実施しました。過去の記事でもご紹介したとおり、今回のプロジェクトには様々なバックグラウンドの学生が参加していますが、根底では皆が日本の技術や文化への興味・関心を共有しているため、すぐに意気投合して大いに盛り上がりました。 彼らのIDJに対する熱意や期待の声を直接聞くことができ、私達オーガナイザーにとっても非常に励みとなりました。参加学生のバックグラウンドや志望動機については、後日別の記事にてご紹介させていただきます。 懇親会の様子(最後まで残って熱く語っていた学生たちと一緒に)
*「IDJで、MITの学生はどんなところを訪問するの?」そんな疑問に答えるべく、前回訪問させていただいたteamLab様の紹介です。今回のIDJでも訪問させていただきます。* teamLab様はサイエンス・テクンロジー・デザイン・アートを融合してものづくりをしている会社です。多岐に渡る作品の中でも私が一番面白いと感じるのは「体験できるデジタルアート」です。デジタルアートというと目で見て楽しむものと考えがちですが、teamLab様がつくるデジタルアートは実際に自ら体験できるところが魅力です。例えば下の滝のデジタルアート(花と人、Transcending Boundaries - A Whole Year per Hour / Flowers and People, Transcending Boundaries - A Whole Year per Hour)では、人が立つ場所に応じて水の流れが変わります。立つ場所が変われば、あるいは人が増えれば、それに応じて印象が変わります。このように、「見るもの」ではなく「体験する、交流する場所」を提供することで新しい価値を生み出し、数多くの人を魅了しています。 teamLab様には前回のツアーで訪問させていただき、これまで展示した作品や、独自に設計したオフィス・家具について紹介していただきました。訪問したMITの学生は、見るだけではなく体験できるアートやユニークなオフィスの環境・仕事の進め方に深く興味を持っていました。今回も引き続き訪問させていただく予定です。 花と人 https://www.teamlab.art/w/flowerandpeople-transcendingboundaries 昨年の訪問の様子
*今回はIDJを企画・運営しているオーガナイザーの紹介第一弾です。トップバッターは今年の夏からMITに留学し、アメフトで鍛えたリーダシップでばりばりと勉強にもIDJにも取り組んでいる生川さんです。* 建設会社からMITへ 初めまして、オーガナイザーの生川です。私は、大学院修了後に日本の建設会社に就職し、主に国内の建設工事現場で働いてきました。その中で、これまで国内で培ってきた建設技術の高さを肌で感じ、それを海外にもっと展開していきたいと思うようになりました。一方で、近年のITや自動化、AI等の他産業の急速な発展に建設業が十分に追随できていないとも感じました。今後建設業がさらに発展していくためには、他産業やベンチャー企業との連携が不可欠だと思うようになりました。そこで、どうやったら異業種とうまく連携できるのか?もっと海外展開ができるようになるのか?ということを学びたいと思い、MITへ留学することを決めました。 SDM (System Design Management)コースでの学び MITでは、SDM(System Design and Management)というコースに所属しています。SDMは「世界中の大規模で複雑な問題を解決していくリーダーを育てる」ことを目的としていて、メーカー、ソフトウェア、システムエンジニア、国家機関等、様々な業界を経験した人が世界中から集まっています。まだ最初の学期のため、基本的な内容を学んでいる段階ですが、授業の課題では仮想の自動車メーカーのプロジェクトをチームで取り組むといった実践的なものです。異なるバックグラウンドを持つチームメイトと課題に取り組むのですが、最初はお互いの常識や考え方がうまく共有できずに苦労しましたが、お互いの意見をうまく統合でき、それぞれの得意なところを結集できると想像以上の成果が出ます。その時は達成感と共に、こうした連携が大規模で複雑な問題を解決していくことにつながるのだろうと感じました。 IDJの取組 MITに入学するタイミングで在校生の方からIDJを紹介していただきました。IDJは日本の技術力をMITの学生にアピールすることでMITと日本の企業の連携を深めることを目的としていて、まさに自分自身がやりたいことと一致していました。そして、私がSDMのコースで体感している、異なるバックグラウンドを持つもの同士が連携して大きな成果を出すことが実現できる取組だと思います。 IDJの活動はMITの学生と日本の企業の両者にとって有意義なものだと思います。まず、MITの学生にとっては、日本の高い技術力を自分の目で見て感じられることが魅力です。残念ながら、アメリカの学生にとって日本は技術力が高いというよりも、アニメや日本食のイメージが強いのが現状です。一方で、MITの学生は良いものは良いと素直に認めるところがあり、そして良いと思ったらすぐに行動に移します。IDJの活動を通して日本の技術力が高い、もっと知りたいと感じたら、IDJが終わった後も自ら日本との連携を求めていくと思います。実際に前回の訪問先へインターンをした学生もいます。また、日本の企業にとっては将来MITの学生とのビジネスチャンスがあることが有意義だと思います。日本の企業がMITの学生と交流する機会は決して多くありません。IDJの活動で訪問した時に実際にMITの学生とディスカッションを通して新たな視点に触れることで、海外との連携をより推進していくきっかけになると思います。さらには、将来的にMITの学生と協同でビジネスができれば、企業としてさらに飛躍できると思います。 2017年1月の懇親会の様子 IDJの1度きりの活動で何かが急激に変わるものではないと思います。しかし、IDJは日本の企業とMITの学生がお互いの魅力を感じる絶好の機会だと思います。これをきっかけに両者の関係が深まれば、日本企業とMITという場所も環境も異なるもの同士が連携し、将来大きな成果を上げるものと確信しています。
*活動報告では、MITについてや、昨年度のIDJの様子について、オーガナイザーが順番に記事を掲載していきます。IDJの活動を一人でも多くの皆さんに知っていただければと思います!* IDJ2018オーガナイザーの加藤です。今回は「MIT生を日本に!」というスローガンの「MIT生」の部分を具体的にご紹介したいと思います。 私たちオーガナイザーチームは6月頃から、「日本の技術に興味のあるMITの学生」にアクセスすべく、校内各地に数百枚のポスターを張ったり、各学科や各寮のメーリングリストで周知を行いました。その結果、250人を超えるMITの学生がプレエントリーを行い、説明会には83名が訪れ、46名のエントリーがあり、最終的に26名にオファーを出しました。今回は、どんな学生がIDJに興味をもっているかをご紹介したいと思います。 1.MITの概要 工学系大学の世界最高峰とも呼ばれるマサチューセッツ工科大学は、工学部のみならず、社会科学部、人文科学部、MBA(Sloanスクール)など幅広いプログラムを提供しています。そのため、学生の専攻は、電気工学やコンピュータサイエンス、数学、建築学、機械工学、物理学等の学問から、ビジネスマネジメントやバイオエンジニアリングなど多岐にわたります。また、日本の多くの大学とは異なり、複数の専攻学問を学ぶことができるのが特徴の一つとなっています。MITには学部と大学院課程を合わせて1万人以上の学生が在籍しており、そのうち留学生は約3割を占めます。様々なバックグラウンドを持った学生が集まり、世界をリードする研究に日々打ち込んでいます。 2.プレエントリー 大学内のメーリングリストや広告掲示等を通して、9月上旬までプレエントリーを行っていました。上述の通り、約250名の学生がプレエントリーをして、各コースの内訳は以下のようになります。 機械工学科と電気工学科の人数が多いですが、専攻に関係なく「潜在的に日本との架け橋になりうる」学生にアクセスすることができました。 ※学部1年生は、まだ専攻を選んでおりませんので「未決定」にあたります。 3.説明会 プレエントリーをした学生を中心として、9月14、15日にIDJ2018の説明会を行いました。2日間の合計で83名の学生が参加し、IDJ2018の目的から出願方法や旅程を説明しました。また、説明会の後半では、昨年催されたIDJ2017の参加者との意見交換会の場を設け、活発な質疑応答が行われました。 説明会終了後から、本格的な学生の出願を受付けました。 説明会の様子 (MITでは教授を囲むように半円型に机が配置されており、授業内の活発な議論を行いやすい環境になっています。) 4.選考 提出されたエッセイと履歴書をもとに、選考を行いました。応募者のエッセイは本当に素晴らしいものが多く、日本の固有の技術や研究に興味がある応募者もおりましたが、日本の技術を使って世の中に生かす側面に興味を持っている応募者も多く存在します。彼らの熱意と我々の引率キャパシティを考え、26名を選出しました。参加者のうち約半数を占める14名が修士課程の学生であり、学部生8名、博士課程4名という構成になっています。また、9つの専攻分野を持った学生が集っております。 参加者の内訳(学部、修士、博士の構成割合) 参加者の内訳(専攻別の構成割合) ※学部1年生は、まだ専攻を選んでおりませんので「未決定」にあたります。 5.最後に 以上のように、「日本の科学技術とビジネス」という共通の興味を持ちつつ、様々なバックグラウンドを持つ学生26名が集っています。IDJ2018という企画が日本とMITを繋げ、新たなイノベーションを生み出す試金石となれるよう、何卒、ご支援のほどをよろしくお願いします。