炭窯の口かけという作業です。窯に原木を詰めた後、窯の入り口を土で塞ぎます。練った土を手でぺたぺた打ち付けていく作業です。窯口の下部で火を焚いているのは、原木を乾燥させるためです。これから約10日~2週間火を焚き続け、しっかり乾燥させていきます。
炭窯から出した直後の炭は金色に輝いていて、まるで異世界の物質のようです。打ち合わされると「カン、カン」と金属のような音がします。炭の窯出しは通常夜中の2時位から始まり、朝までかかります。この瞬間がいつも幻想的で心躍ります。
見渡す限りの樫の原木。樫は切り立った崖っぷちに生えていることが多いので切るのも集材も大変です。最初のころは崖山に登るのも一苦労でしたが今はいくら登っても息が切れることがありません。樫は大体15~20年位で炭焼きに適した成木になります。
理論的には、有機物でできているもの(木、草、布等)は全て炭になるはずと考えおせんべいを炭にする実験をしてみました。自分の炭焼きの技術の向上にも役に立つので一石二鳥です。しかし結果は、黒い綿のようなふわふわした炭になってしまいました。これでは火を付けることはできません。失敗です。これからもいろいろな素材で面白い炭をつくる実験をしていきたいと思います。
遺跡ではありません。先日修行先の窯元の炭窯の一つが壊れ、天井が抜けてしまいました。炭窯は四六時中、内部で火を焚いているので、内側から圧力がかかり段々天井が脆くなってしまいます。ちょくちょく修理はするのですが、天井が落ちてしまう事例はたまに聞きます。修理には約半年の期間を要します。修理に適した時期もあり、春から夏に行うのが普通です。(冬に修理すると土に含まれた水分が凍ってしまい、脆くなってしまうので)ただの土でできた穴なのですが、実は奥が深いです。





