「なぜキム・ギドク特集上映が中止になったのか」を考えるためにJFPでは、テレビ番組「PD手帳」を製作した放送局MBCと連絡をとり、番組に日本語字幕をつけました。 2021年12月に都内劇場で予定されていた特集上映「キム・ギドクとは何者だったのか」が多くの反対の声により、中止となったことは記憶に新しいと思います。しかし、そもそも日本の映画人や観客は、「キム・ギドクが何をしたか」を知っているでしょうか?前提条件が共有されなければ、議論をすること自体が難しいのではないか、とJFPでは考え、一連の経緯を紹介するとともに、キム・ギドク問題を追ったテレビ番組「PD手帳」を製作した放送局MBCと連絡をとり、番組に日本語字幕を挿入しました。2022年3月以降、日本でも映画界での性加害の問題が次々と明るみに出ました。日本の現状を改善していくための参考になれば幸いです。記事はこちら→ https://note.com/jpfilm_project/n/n1c09427c481f注意*記事内リンクの「PD手帳」動画には過激な描写が多く、二次被害の危険があります。ご視聴なさる方は、ご自身の判断でご無理のないようご視聴ください。尚、キム・ギドク作品に出演なさっている出演者を調べるような二次加害行為もやめてください。ーーーーーーーーーーーーーーーーー【実施中】「映像制作現場の労働環境改善に向けたアンケート」【一度でも】映像制作現場で働いたことのある方、是非ご意見をお寄せください。(間も無く!6/30締め切り)今後ともJFPの活動を応援してください!
【応援コメント】JFP の取り組みを応援しています。映画業界は映画を愛する多くの人たちの有形無形の尽力と努力によって支えられてきました。映画を作るという産業的かつ創造的行為は確かに、事務仕事や工場労働とは質が異なり、オフィスワークと同じ労働形態や条件が可能であるとは限りません。とはいえ、多くの製作現場ではスタッフの努力と尽力に対して正当な評価と報酬が与えられてきたとは言いがたいのが現状ではないでしょうか。搾取までとはいかなくても、過重労働やジェンダー間の不平等な関係性が続いてきたことは徐々に明らかになってきています。こうした現場の労働問題の根底にあるのは、制度的問題であるというJFP の認識は正しいでしょう。したがって、産業界を動かすには統計的な根拠が絶対的に必要になります。近年のハリウッドの意識が変わってきたのも、南カリフォルニア大学アネンバーグ・インクルージョン・イニシアティブのようなプロジェクトなどが地道に進めてきた映画業界のジェンダーや人種などの問題を調査した統計的事実を突きつけた各種団体や俳優たちの働きかけがあります。日本の映画業界も少しずつ変わってきているとはいえ、徒弟制度的な慣習がまだ残っており、その現状把握さえあまりできていないのが実情でしょう。これからの日本映画産業が残っていくためにも、現在も、そして未来にも映画を愛し、映画を作ろうとする人々を支えるためにも、JFP の調査活動と取り組みを支える運営基盤を維持出来るように、より多くの方に理解・賛同していただけることを願っています。 斉藤綾子(映画研究者/明治学院大学教員)【プロフィール:斉藤綾子】上智大学文学部心理学科卒。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)映画テレビ学部大学院博士課程修了、PhD(映画学)。明治学院大学文学部芸術学科教授。専門は映画理論、特にフェミニズムや精神分析理論とジェンダー分析を中心とする。編著に『映画と身体/性』(森話社、2006)、 共著に『映画女優 若尾文子』(みすず書房、2003)、『映画の政治学』(青土社、2003)、『男たちの絆、アジア映画』(平凡社、2004)、『ヴィジュアル・クリティシズム』(玉川大学出版部、2008)、『戦う女たち』(作品社、2009)、『横断する映画と文学』(森話社、2011)、 Reclaiming the Archive(Wayne State University Press, 2010) 、 The Oxford Handbook of Japanese Cinema (Oxford University Press, 2014), Tanaka Kinuyo: Nation, Stardom and Female Subjectivity (Edinburgh UP, 2018), A Companion to Japanese Cinema(John Wiley and Sons Inc., 2022)など。
NHKラジオ「Nらじ」さん特集『相次ぐハラスメント告発 映画の現場を変えるには』にて、JFPより近藤香南子が出演し、お話しさせていただきました。聞き逃し配信は→ こちらのリンク よりどうぞ!(6/23まで)リスナーの皆さんからのご意見なども こちら より見ることができます!映画制作の労働問題は、社会全体の労働問題とつながっています。現状を調査し、可視化することで問題点を広く共有し、解決に向けた動きを作っていきたいと思います。ラジオでも、下記のアンケートからの声を取り上げさせていただきました。【実施中】「映像制作現場の労働環境改善に向けたアンケート」(6/30締め切り)【一度でも】映像制作現場で働いたことのある方、是非ご意見をお寄せください。今後ともJFPの活動を応援してください!Japanese Film Project
【応援コメント】JFPの活動を応援したいです。男女問わず、若い人達が次々に辞めていき、入ってこないのが今の業界の状況。かなり絶望的です。「好きなことをやっているのだからこれでいい」という風潮を作ってしまっているのは、それを是としてきた我々の責任でもあります。業界のあり方を見直すには、数年かけて少しずつ改善の芽吹きを起こすための種蒔きが必要です。そして環境が改善されても、作るものの質が低下しては意味がない。多方面に対する働きかけと自分達の意識の改革が必要だと思います。今やらなければ手遅れになります。河津太郎(撮影監督)【河津太郎:プロフィール】1969年東京出身、武蔵野美術大学造形学部映像学科卒業。学生時代より佐藤信介や永井聡らと共に多くの自主映画制作を行い、佐藤と映像制作レーベル、アングルピクチャーズを立ち上げ。ライティングも自分で設計する撮影監督スタイルをモットーとして数多くの劇映画、CF、MVに関わる。劇場作品:『GANTZ』シリーズ、『図書館戦争』シリーズ、『アイアムアヒーロー』、『いぬやしき』、(いずれも佐藤信介監督)『隣人13号』(井上靖雄監督)、『日本沈没』(樋口真嗣監督)、『去年の冬、きみと別れ』(瀧本智行監督)ほか。『キングダム』(佐藤信介監督)にて第43回日本アカデミー賞最優秀撮影賞受賞。更にNetflixオリジナルドラマ『今際の国のアリス』、NHK Eテレの『ハルカの光』で配信やドラマ作品も手掛け、『今際の国のアリス シーズン2』が今年12月に全世界配信予定。
【応援コメント】やっぱり。そうだったのか。そんなことがあってもふしぎはないと思っていた…映画界での性暴力が次々に明らかになってきました。ハリウッドでの#MeToo運動も映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインの性暴力に対する告発がきっかけでした。問題化のためには、まず実態が「見える化」しなければなりません。そのためにはデータによるエビデンスが必須です。JapaneseFilmProjectは、映画界の構造的な性差別にはじめて斬り込もうとしています。上野千鶴子(社会学者・東京大学名誉教授)【プロフィール:上野千鶴子】社会学者・東京大学名誉教授・認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。1948年富山県生まれ。京都大学大学院社会学博士課程修了。社会学博士。平安女学院短期大学助教授、シカゴ大学人類学部客員研究員、京都精華大学助教授、ボン大学客員教授、コロンビア大学客員教授、メキシコ大学院大学客員教授等を経る。1993年東京大学文学部助教授、1995年同人文社会系研究科教授。2012年立命館大学特別招聘教授。元学術会議会員。専門は女性学・ジェンダー研究。高齢者の介護とケアも研究テーマとしている。『当事者主権』(中西正司と共著、岩波新書)、『ケアの社会学』(太田出版)『おひとりさまの老後』『男おひとりさま道』(法研)、『おひとりさまの最期』(朝日新聞出版)、『在宅ひとり死のススメ』(文春新書)等がある。