いつも大変お世話になっております。「フェードル公演収録DVD」の発送時期につきまして12月頃のお届けを予定しておりましたが、予定より早まりまして発送できる段取りとなっております。到着までお待ち頂けますようお願い申し上げます。何卒よろしくお願い申し上げます。

【中村京蔵連載企画】連載５５回｢三島由紀夫からフェードルそしてNINAGAWAマクベス｣ーフェードル上演までの軌跡小道具５第２幕の冒頭、フェードルとエノーヌのやり取りは、第１幕とはトーンがかなり違います。自己嫌悪と原罪意識に苛まれいたフェードルは、夫の逝去とイポリットの拒絶によって、逆に開き直ったような気持ちを吐露し、エノーヌを困惑させます。で、私はフェードルに飲酒させて、その溝を埋めようと思い、大河内さんの了解を得ました。御殿物でよく使う黒塗り唐草蒔絵の酒器一式です。盃は赤の漆器です。パノープが持って出る燭台は、｢眠り灯台｣と云って、油皿灯芯の後ろの円い反射板に、眠っている人物が描かれているところから、そう呼ばれています。

【中村京蔵連載企画】連載54回｢三島由紀夫からフェードルそしてNINAGAWAマクベス｣ーフェードル上演までの軌跡小道具４第２幕になります。幕開きに、アテネの使者から届いた信書をフェードルが読んでいますが、その文面は狂言作者の竹柴潤一さんが創ってくださいました！実に歌舞伎風に認められた文章で、よく出来ています！潤一さんのご了解を頂きましたので、ご披露させて頂きます。

【中村京蔵連載企画】連載53回｢三島由紀夫からフェードルそしてNINAGAWAマクベス｣ーフェードル上演までの軌跡小道具３花道よりアリシーとイスメーヌの出になります。アリシーは姫なので、房(朱色)付きの金銀塗り骨の扇を帯に差し、京草履を履きます。赤地の鼻緒、紫地の縁取りがある京草履は姫専用で、浅葱の鼻緒になると奥方や御台専用になります。イスメーヌは浅葱鼻緒の二枚草履になります。二枚重ねと云う意味で、身分の高い武家の人間は二枚重ね、町人は一枚です。パノープは藤色の鼻緒です。イポリットが下手の渡り廊下から出て、縁伝いに庭先へ下ります。ここで履き物の問題が出ましたが、歌舞伎は便利で(笑)、アリシー達の花道の出のきっかけで、黒衣に庭下駄を三段前に出して貰いました。庭下駄は木地で白地の鼻緒です(姫などは黒塗り、赤地の鼻緒になります)。この場合、御殿から庭に出るので、庭下駄がいいと私が判断しました。いい風情だったと思います。

【中村京蔵連載企画】連載５２回｢三島由紀夫からフェードルそしてNINAGAWAマクベス｣ーフェードル上演までの軌跡  小道具２ イポリットの前半の大小刀は、若殿らしく浅葱柄蒔絵入り蝋色大小に致しました。蝋色(ろいろ)と云うのは上等な光沢のある黒漆塗りです。 前回、副草履と記しましたが福草履の誤りです。訂正させて頂きます。福草履とは、おもに武士が履く白地鼻緒の草履です。幕開きではテラメーヌが履いています。 順を追いますと、ここでエノーヌの出になります。今回、女性陣の持ち道具は全員懐紙と金銀塗骨の扇だけに致しました。錦の袋入り懐剣を持つ(帯に差す)かどうか相談致しましたが、フェードルがイポリットの脇差を取って自害するのが効かないので、懐剣は止めにした次第です。