『ブラックバサルト』。「きなり と ひきだしかくれ の章」の絵の左側部分です。特にこの部分をブラックバサルトと呼んでいます。本来、ブラックバサルトとは、ジョサイア・ウェッジウッドによる黒いストーンウェア(炻器:せっき:陶磁器の一種)のシリーズで、カップ内側に釉薬を施し、カップ表面には研磨仕上げを施した、玄武岩をイメージした黒色器のことを指します。けれども、ここでは、「黒い光を出すストーンウェアが、いっぱいぶら下がったひきだしの内部」のことをそう呼んでいます。『ひきだしかくれ』とは、ひきだしの中に住む小人たちの名称です。
『頭の窪地にできたマリオネット劇場』。実は、マリオネットが被っている四角い帽子も劇場なんです。女の人が歌っている姿も見えます。落語の「頭山」に通じるところがあります。
『よつばの木』。小さな製紙工場にあった杉材の黒板に、絵を飾っています。まだパネルに水張りされた状態のままです。黒板の左上にある丸っこいのは「からろど」。牛の首につけて「カラロド カラロド」と牧歌的な音を奏でます。黒いシザーランプは、「床から生えた青い魚と終わりのないしりとりをする王様」にも描かれています。
『トロットロット』。6.5×8.5cmの小さな版画です。1版1色摺りの手彩色です。額縁には鉄錆や炭、栗の渋皮からでた灰汁を擦り込み、仕上げに河原で拾った鬼胡桃の油を染み込ませています。背面の留め金も錆びた鉄板から切り出して作っています。「トロットロット」のモデルは、牧場にあった大きいコンプレッサーで、今にもトロトロ走り出しそうな愛嬌のある姿が印象的でした。
『落書き』。コンクリートの上にチョークで落書きをしました。なんの生き物でしょう?今はもう、うっすらとしか残っていません。