【早稲田大学 大隈塾 村田信之先生からの応援メッセージ】 職業柄、いろんな学生と出会い、話をします。ときおり、学生たちと「食」に関する問答をします。 ・昨日の夕食、今日の朝食、昼食、何を食べたか覚えてる? もちろん、覚えてます。つぎ。 ・その食事に使われてた食材、野菜や魚や肉やコメ、誰がどこでつくったのか、獲ってきたのか、知ってる? もちろん知りません。でも、だからどうした?って顔です。つぎ。 ・日本の食料自給率、知ってる? ほぼ全員知ってます。38%か39%です。では、 ・自分の食料自給率は? ほぼ全員はっとします。愕然とします。ゼロなんです。 食べるものは買うものだったんです。「国産は安心」は知ってても、そこから先は思考停止です。「食べるもの」と「食べること」の間には、食のカベがあったんです。 わたしたちは知っています。美味しいものはどこで食べられるか。美味しいレストランや鮨屋ではもちろんですが、それよりも産地で食べると安くて美味しい。知っている人がつくったものももちろん美味しい。 NIPPON TABERU TIMES(「食べタイ」)は、大学生が編集して、ネットでお届けしてます。「食べタイ」の学生たちは、「食べる通信」や東北ボランティアで気仙沼に行きます。漁師さんや民宿で牡蠣をむいたりわかめを切ったり、海の幸を商品にする手伝いをします。青森の田子でにんにくの収穫を手伝ってきます、秋田のたそがれ農園で田植えと稲刈りをしてきます。そのほか、生産者の右腕となって全国各地に赴きます。実際に作業をして、五感を刺激します。 その刺激された五感がなければ、「食べタイ」の編集はできません。なければ、ただのきれいな写真のピックアップ作業になります。研ぎ澄まされた五感があるから、生産者さんたちの声がブログから聞こえてきて、野菜の手触りがわかって、どう調理したら美味しいか想像できるんです。 それって、わたしたちも同じですよね。五感が鈍くなっても仕事はできます。だけど鈍くなった感性での仕事の成果はどうでしょうか。 「食べタイ」の学生たちは、ずっと「食べタイ」編集者であり続けるのではなく、就職して社会に出ていきます。会社員として、あるいは家業をついで、あるいは自由な仕事をしながら、日本という社会を支える側に育っていきます。一次産業、生産者、食べるということ、そして五感を研ぎ澄ますことの大切さを知っている若者が増えること、その若者を迎え入れてくれる生産者が増えること、それを支える周辺の人達が増えること。日本の人口は減り続けるのが現実ですが、そうした人たちが増え続ける夢は見ることができます。実現することもできるでしょう。 このチャレンジはその一環です。いっしょに参加してみませんか? 早稲田大学大隈塾村田信之(写真右。10月22日に行われた食べるタイムスの学生も運営に協力させていただいた生産者イベント「リトルタッコ」にて)
【応援メッセージをいただきました!】高校生が伝えるふくしま食べる通信事務局長 椎根里奈さん 私が福島の高校生たちとやっている、食材付き情報誌の「食べる通信」。 今では日本各地でこの「食べる通信」が広がっていますが、ここから派生した「日本食べるタイムス」というウェブメディアでは、大学生たちが大活躍しています。 私たちも、高校生たちに伝えるという役割を託し、2年間ともに歩んできましたが、現場で実際に見て体験することで得る学びは、彼らにとって忘れがたい原体験になり、それが志につながることを今になって実感しています。都市と農村をかき混ぜることに加えて、人を育てること。傍観者ではなく、当事者として応援したい方は、是非ステキなギフトが付いてくるあたたかなご支援を! 【こちらもぜひご覧ください♪】高校生が伝えるふくしま食べる通信ホームページはこちらです。高校生の活動は、Facebookページで発信しています。
食べタイ編集部早稲田大学3年の松本華です。 今年の夏、一年間の米留学から帰ってきました。アメリカと日本の消費者はある一点において圧倒的な違いがあると思いました。 それは、「買う」という行為の理解の深さです。 「この農家を応援したいから、その農家の農作物を買う」 「ここのスーパーは、この地域の農家の農作物を多く置いている。少し高いけど、応援したいからここのスーパーで買うの」こんな会話が日常的に繰り広げられていました。 「生産物を買う」という行為は、すなわち「生産物の向こう側にいる生産者を応援すること」という考え方は、私にとってはとても新鮮でとても感動しました。 【日本に帰ってきて…モヤっ】 先日、SNS上に「200円で岩手県産の生ガキ食べ放題の店オープン!」という広告を見た時、「え!安い!!」と驚きと共に、なんだかモヤッとした気持ちになりました。 今年の夏休み、宮城の東松島と、岩手の釜石の牡蠣の養殖漁師さんに会いに行きました。お二人とも、先月の台風の被害を受けて、養殖ガキは壊滅的だ、と嘆いていました。 そのとき、あの「モヤっ」とした理由がなんとなく分かった気がしました。 「正当なお金が生産者のもとに届いているのだろうか、私たちは200円で生産者を応援できているのだろうか。いや、違うのではないか?」直感的にと思いました。 【日本の”消費者のチカラ”を引き出しタイ】 「安ければ安いほど良い」という考えの根本的な理由は、価格しか比較するものがないからなのか、スーパーに並ぶ生産物の向こう側を想像できないからなのか。もしそうであるなら、私はその数字では表せない生産現場の裏側をもっと見せたいです。 スーパーに並ぶ生産物の向こう側には、生産者の方々がいてそのご家族がいて、リアルな生活が広がっています。クラウドファンディングを達成したあかつきには、みなさんとそのリアルな生活を見に行く「食べタイツアー」を企画したいと思っています! 生産物を買って食べる本当の意味を、日本食べるタイムスを通して、もう一度皆さんと一緒に考え直したいです。 皆さんのご支援よろしくお願いします! 編集部 早稲田大学3年 松本華
小学生の頃、私は魚嫌いの少年でした。いわゆる食べず嫌いです。回転寿司屋に行っても、絶対生魚は食べませんでした。食感や生臭さが苦手でした。 そんな私が変わったのは2013年夏。宮城県気仙沼市唐桑町のメカジキ漁師の家で、夕飯をご馳走になったときでした。 ーーーーーーーーー 「さあ、け〜(食え〜)」漁師さんに言われて席に着くと、目の前にはアツアツの白いご飯、漬物、漁師さん自慢のメカジキの刺身が並でいた。 「やべ、食えねえ」(私は漬物も苦手でした) 「どうした?腹へってないのか??」 漁師さん自慢の刺身を目の前に、“苦手(食べれない)”とは言えず…「腹ぺこです!いただきます!!!」磨り下ろしニンニク入りの醤油と共に、メカジキの刺身を恐る恐る食べた。 「!!!!!」体全体に衝撃が走った。 「う、ウマい!!!」 魚の肉とは思えない脂に、にんにく醤油が絡み合いご飯が進む。その夜は4回もおかわりしました。 「刺身ってこんなに美味しいのか!」新しい扉を開いた瞬間でした。これ以降、寿司屋では魚を中心に注文。両親からは「金がかかるようになった」といわれるようになりました(笑) ーーーーーー 気仙沼での活動を通じて、想いを持った一人の養殖牡蠣漁師さんと出会いました。「震災前のやり方を変え、質の良い牡蠣を作る。そして多くの人に食べて貰いたい。」 彼は地域に貢献するために観光客を受け入れたり、ブランド力を高めるための挑戦をし続けていました。 私はキラキラと輝く目と、その人柄に惚れました。「もっと多くの人に彼の姿を知って欲しい!」と思ったのが、私が日本食べるタイムスを始めた理由です。 一番ワクワクする瞬間は現場に行き、生産者と一緒に作業をすることです。一緒に作業をすると、パソコン上ではわからない空気感や想いがヒシヒシと伝わってきます。 「社会を変えたい。」なんて想いはありません。 普段、日の目に当たらない人達にスポットライトを当てたい。楽しい事をして、少しでもプラスに働けばいいな〜!とは思っています。 食べるタイムスで紹介しつつも、パソコン上では伝わらない人柄やカッコいいポイントを伝えるために東京での交流をデザインしていきます! 過去のイベントはこちら♪【満員御礼!】伊勢志摩からオイスターマンがやってくる。ヴァージン牡蠣で梅雨と疲れをぶっ飛ばせ!
◆NIPPON TABERU TIMESがぶつかった壁 ゼミとしてNIPPON TABERU TIMES編集部に参加させていただいて1年が過ぎました。 この間,「農業・漁業のことを何も知らない学生に何ができるのか」「NIPPON TABERU TIMESは中途半端で緩すぎる」というご意見もいただきました。おっしゃる通りだと思います。 旬を大切にしながらも,一次産業の本質を伝えるキュレーションというのは,当初予想していたより難しいことでした。はっと目に留まる絵がなければ「旬」は伝わりにくいですが,かといって綺麗で面白そうなもの,美味しそうなものだけを並べればいいわけでもない。 現状の矛盾や問題を指摘する現場の主張を伝えることができる数少ない媒体として存在意義を発揮していきたいところですが,それだけでメディアとして成立させることは難しいでしょう。どういう視点で,どういうバランスで何を伝えるべきなのか,もがき続けているというのが,NIPPON TABERU TIMESの現状だと思います。 ◆グラウンドに降り始めた学生たち 東京の大学生の99.9%は1次産業にも,NIPPON TABERU TIMESの活動にも関心がありません。「食べる通信」の知名度はほぼゼロでしょう。 その中で,高橋博之編集長の呼びかけに応じてやりたいと言って手を挙げてくれた学生でも,続けていくだけのやりがいが見いだせず降板した学生もいます。 ただ,このままやめて何もなかったことにしてしまうには,もったいない。なぜなら,動き出した人がいるから。 編集長のことばを借りれば,観客であることをやめて「グラウンドに降りる」ことを選んだ人たちです。彼らは自らの意志で全国の生産現場に出かけ,作業を経験して話を聞き,何をどう伝えるべきなのか必死に考えています。その中には,卒業して社会人になってもなお,休みの日を使ってNIPPON TABERU TIMESに関わり続けているケースもあります。 彼らのもともとの関心の方向,持ち前の勇気と好奇心が貢献していることは間違いないと思います。しかし,NIPPON TABERU TIMESが彼らに「グラウンドに降りる」チャンスを与えたことも事実です。 ◆大学生の閉ざされた世界に一石を投じる 東京の大学生はとても狭くて閉ざされた世界に生きています。 彼らの生活は一昔前の学生とは比較にならないほど忙しそうですが、その時間の大半は、授業、サークル、アルバイト、友だちとの付き合いをぐるぐる回り,同世代で構成されるいくつかのコミュニティの中で完結しています。外の世界との接点はアルバイトくらいでしょうか。それも意外に学生ばかりの世界だったりします。 おそらく彼らが1次産業が抱える問題のリアリティを感じることは一生ないでしょうし,農家漁師の働く姿や,そのしごとの苦しさや喜びが目に入ることもありません。大げさに聞こえるかもしれませんが,NIPPON TABERU TIMESはその閉ざされた世界に一石を投じる役割を果たします。 学びの現場には,波及効果というものがあります。教員が学生を変えることはできませんが,何かのきっかけで1人の学生が変われば,周囲にいる10人の学生に影響を与えます。その波及効果は,おそらく皆さんが考えるよりもずっと大きなものです。 ◆クラウドファンディングに参加することは,期待を背負わせること NIPPON TABERU TIMESがこれからメディアとしてどうなっていくかは分かりません。しかし,少なくとも,この1年間で学生の最初の小さな変化を起こすことには成功しました。1年後には,さらに何人かがこれに続く予感があります。 そして彼らは,次の大きな変化を起こすリーダーになるでしょう。 クラウドファンディングへの参加を検討されている皆さま,ぜひNIPPON TABERU TIMESに関わる学生たちに期待を背負わせてください。彼らは一円の援助がなくても,自腹を切って現場に通い続けるでしょう。しかし,誰かから期待を託されることで,彼らはもっと速く,遠くまで行くことができるようになります。 日本食べるタイムス編集部 アドバイザー慶應義塾大学商学部教授・牛島利明