バリュープラス アーカイヴ プロジェクトです。本日もみなさまにフィルムの中から厳選してご紹介します。『快傑ライオン丸』からこちら!おそらく第40話「大魔王ゴースン 再び怒る!」の1シーンで撮影されたと思しき1枚です。タイガージョー関連の紹介が3連発で恐縮ですが、『快傑ライオン丸』を代表するキャラクターだけあって残されたフィルムの数も群を抜いて多いため、手厚く紹介させていただきます。 前回の記事でも述べた通り、元々は「獅子丸/ライオン丸を倒す」ことがアイデンティティのキャラクターとして登場した虎錠之介/タイガージョー。彼は第28話において、ライオン丸を一度完膚なきにまで負かすことで、獅子丸が自身のヒーローとしての在り方を見詰め直す展開へと作品を導きました。それまで品行方正で完成された善人だった獅子丸が初めて弱さを見せることで、沙織や小助との関係性も揺らぎ、主人公の内面に深く切り込んでいくというハイレベルなドラマが生まれたのです。また、タイガージョーに必殺技の「ライオン飛行斬り」が破られたことで、ライオン丸の新たな技である「ライオン飛行返し」を編み出すきっかけにもなりました。 そして錠之介は、以降も獅子丸とぶつかり合う中で、徐々にお互いを認め合い、剣を交えながらも相棒のような関係へと変化していきます。第38話、怪人タツドロドから獅子丸が死んだと告げられた際、錠之介が「何故俺と……何故俺と立ち合わなんだ!」と叫び、内心で「獅子丸が死んだ」と噛み締める場面は、彼が既存の悪役の枠から大きく一歩を踏み出した瞬間と言えるでしょう。そして錠之介はゴースンを裏切り、獅子丸たちとともに襲い来る敵と戦うようになります。こうしたドラマを通して描かれる、獅子丸と錠之介、ライオン丸とタイガージョーの関係性の変遷こそが、『快傑ライオン丸』最大の魅力であり、この作品を唯一無二の傑作足らしめていると言って良いでしょう。 紹介しているフィルムは、まさにそんな獅子丸と錠之介の関係性が変わっていく瞬間を写し取った1枚。敵怪人ハリザンザによって毒針を撃ち込まれ、川べりで苦しむ獅子丸をタイガージョーが助け起こし、「貴様をこんなことで死なせるわけにはいかん」という熱いセリフが飛び出す場面だと思われます。川面にきらめく光も美しく、2人の関係性が情感を持って伝わってくるフィルムです。改めて、この虎錠之介/タイガージョーというキャラクターの魅力を再認識できる1枚なのではないでしょうか。




