故郷喪失者たち(総勢13名)の作品をまとめた『沈んだ名 故郷喪失アンソロジー』

「故郷喪失」をテーマとした、故郷喪失者の表現を掲載する自主制作誌『沈んだ名 故郷喪失アンソロジー』を制作します。

現在の支援総額

358,800

119%

目標金額は300,000円

支援者数

101

募集終了まで残り

終了

このプロジェクトは、2024/03/30に募集を開始し、 101人の支援により 358,800円の資金を集め、 2024/04/30に募集を終了しました

故郷喪失者たち(総勢13名)の作品をまとめた『沈んだ名 故郷喪失アンソロジー』

現在の支援総額

358,800

119%達成

終了

目標金額300,000

支援者数101

このプロジェクトは、2024/03/30に募集を開始し、 101人の支援により 358,800円の資金を集め、 2024/04/30に募集を終了しました

「故郷喪失」をテーマとした、故郷喪失者の表現を掲載する自主制作誌『沈んだ名 故郷喪失アンソロジー』を制作します。

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こんにちは、故郷喪失アンソロジー主催者の藤井佯(ふじい・よう)です。今回からは、いよいよ各作品のご紹介に入っていきたいと思います。全4回にわけてご紹介していきます。①いとーさん、城輪アズサさん、闇雲ねねさんの作品 ←今回はこちら②オザワシナコさん、江古田煩人さん、伊島糸雨さんの作品③万庭苔子さん、藤井佯、湊乃はとさんの作品④灰都とおりさん、神木書房さん、犬山昇さん、玄川透さんの作品並び順を考えるにあたって意図したわけではなかったのですが、たまたま冒頭3作品は論考・エッセイが続きました。いとー「あらかじめ決められた喪失者たちへ」(約4700字)故郷は始めから喪失されている。「故」という失われたものに対して用いられる記号がついた郷(ふるさと)。そう呼び名された領域はだから、あらかじめ喪失されている。いとーさんは、普段は舞台関係の仕事に従事されています。今回は、故郷喪失とは何かについて、パレスチナで起こっていることに対して特権的傍観者としてしか存在しえない「私」の立場から書かれた論考をお寄せいただきました。「今これを書かざるを得なかった」ことがずしりと伝わってくる文章です。読んだ瞬間、これを冒頭に据えなければと思わされました。故郷喪失者によりそう文章として、故郷喪失を考えていく「はじめのテキスト」として、これ以上のものはありません。城輪アズサ「ロードサイド・クロスリアリティの消失」(約6100字) ——その店の名前を、僕はもはや思い出せない。 ロードサイド、県道沿いにその店はあった。恐らくゲームの専門店だったのだと思う。入口からすぐの場所にはモニターが置かれていて、据え置きゲームの宣伝ムービーを流していた。城輪アズサさんは創作・批評を中心に活動されています。県道沿いにあったゲームの専門店についての回想と、城輪さんにとってのもう一つの故郷、「ミーバース」についての思い出が交差します。どちらも「平成」の印象が強いエピソードであり、すでに失われた時代、故郷としての平成が浮き彫りにされるエッセイに仕上がっています。故郷喪失というと失われた場所を思い浮かべがちですが、区切られたある時間、すでに過ぎ去ってしまった時代も故郷となりうることがわかります。闇雲ねね「これはあくまで私の話」(約2760字) そこに闇雲ねねの故郷はあると他人は言うでしょう。生まれ育ったあの町があるじゃないかと。でも、私にとっては生まれ育っただけの、家族が今も住んでいるだけの町なんです。闇雲ねねさんは小説を書かれています。今回はエッセイでご参加いただきました。闇雲ねねさんは同性愛者を自覚しており、十八歳で上京しました。「カミングアウトという術を速効で身につけて、それをきっかけに社交性を人並みに取り戻した」闇雲さんでしたが、思春期のころの自分が今の自分に向ける暗い目には気づいていました。ジェンダーマイノリティの直面する故郷喪失が真っ直ぐと描かれます。今回は以上となります。引き続き作品紹介をお楽しみに!


こんにちは、故郷喪失アンソロジー主催の藤井佯です。今回は、リターンの紹介をしたいと思います。「プランが多すぎてわかんない!」「結局どのリターンがおすすめなの?」という方は必見です!●リターン一覧!まずは一覧で見てみましょう。①紙の書籍(通常版)②電子書籍③紙の書籍(特装版)④参加者による故郷喪失ブックガイド⑤藤井佯書き下ろし小説(故郷喪失テーマ)⑥アンソロジー制作日誌⑦藤井佯コミッション(5000字、10000字、各3名ずつ)リターンのプランは上記の7種類のどれかが組み合わさった形になっています。一つずつ説明します。①紙の書籍(通常版)「故郷喪失アンソロジー」の紙の書籍です。表紙はこちら!いかがでしょうか。ちなみに表紙画像は藤井が撮影したものです。かつてスペースワールドというテーマパークが存在したのですが、その廃虚を撮影したものです。未確定ですがだいたい250〜260ページになりそうです。②電子書籍pdf形式とePUB形式のデータにて、ご登録いただいたメールアドレスにお届けいたします。ePUB形式は、Kindleやアップル標準の電子書籍リーダーなどでお読みいただけます。リフロー型にて制作する予定ですので、端末ごとに文字を見やすい大きさに変えることができます。③紙の書籍(特装版)本クラウドファンディング限定の特製カバー付書籍です。内容は通常版と同様ですが、トレーシングペーパー製の特製カバーをつけてのお届けになります。こちらがカバーのイメージ図です。表紙の風景がトレーシングペーパー越しに浮かび上がってくるような装丁になります。限定50部(最大)です。④参加者による故郷喪失ブックガイド(おすすめ)故郷喪失アンソロジー参加者有志によるブックガイドです。pdfでのお届けです。「好きな『故郷喪失』作品」を参加者有志に語り尽くしてもらいました。「故郷喪失もの」というジャンルはあまり語られてこなかったため、「たしかにこの作品も故郷喪失かも」「これも一つの故郷喪失なのか!」などなど多くの発見と刺激に溢れたブックガイドになっていること請け合いです。⑤藤井佯書き下ろし小説(故郷喪失テーマ)故郷喪失アンソロジー主催者である藤井佯が、故郷喪失をテーマに小説を書き下ろします。アンソロジー本体には、藤井佯のエッセイが掲載されるのですが、そのB面のような立ち位置の作品になる予定です。未着手ですが、おおむね下記のような話になると思います。「理是ちゃんは父親に殺されかけたことがある。理是ちゃんとは中学のころに出会って、そのまま高校一緒になって、それで同じ部活のマネージャーになった。理是ちゃんに誘われて嬉しかったから、それ以外考えてなくて。でも、理是ちゃんは脆くて、可愛くて、そしてわたしの持ってるものを奪うのが大好きだった。かわいそうな理是ちゃん。でもわたしは理是ちゃんのこと大嫌いで大好きだよ。これから理是ちゃんに手紙、書くね。」⑥アンソロジー制作日誌(おすすめ)故郷喪失アンソロジーの制作を思いついてから制作日誌をつけています。日記のような、仕様書のような、エッセイのような感じです。故郷喪失アンソロジーの企画からクラウドファンディング実施、そしてリターンの送付まで(予定)、実施したことや大変だったことなど裏話を書いていく予定です。故郷喪失アンソロジーの制作背景が知りたい方だけでなく、本がつくってみたい方にもおすすめです。⑦藤井佯コミッション(5000字、10000字、各3名ずつ)故郷喪失アンソロジー主催である藤井佯のコミッションです。いただいたテーマやご要望をもとに、5000字・10000字程度の小説を書きます。完成した作品は、藤井佯個人ブログにて公開する予定です。一年以内に制作いたします。ありがたいことに2名の方からリクエストをいただいているので、残り4枠限定で募集しております。●ぶっちゃけどのプランがおすすめ?以上がリターンの紹介でした。次に、結局どのプランがおすすめなの?ということを見ていきたいと思います。まずは5000円のプランをおすすめさせてください。こちらは、コミッション以外のすべてのリターンがついてくるプランになります。ぜんぶ気になる!という方には迷わずこちらをおすすめします!次にこちら。比較的安価に、すべてデータで受け取れるプランです。紙ではいらないけど中身は気になるという方や、電子派の方はご検討ください!シンプルに、紙の書籍でほしいという方はこちら。めっちゃリーズナブルです!ちなみに、リターン画像の背景色にも一応規則があって、・背景が黄色→電子書籍のリターン・背景が青色→紙の書籍のリターン・背景が桃色→特装版のリターン・背景が緑色→紙の書籍と電子書籍のセットのリターン・背景が橙色→コミッションつきの全部盛りリターンです。迷った際は参考にしてください!●最後に迷ったらGOでお願いします!絶対損はさせません。以上になります。引き続きクラウドファンディング、よろしくお願いします……!


故郷喪失アンソロジー主催の藤井佯です。先日は、PCが故障した件でお騒がせいたしました。結局PCの復旧は難しそうということで、新PCに買い替えました。学生時代から使っていたPCだったので寿命だったのだろうと思います。長い間お世話になりました。新PCは本日届きまして、いまちょうどセットアップを終えたところです。故郷喪失アンソロジーの組版データも、無事完全な形で残っていることを確認できました。実はPCが壊れる前日に、なんとなくGoogleドライブにバックアップを取っていたのですが、もうめちゃくちゃファインプレーだったと思います。何はともあれ、引き続き制作を続けられそうです。現在、参加者の皆様に再校ゲラをお送りして、適宜修正個所をデータに反映させている最中です。第三校まで出して校了かなと思っていますので、だいたいそれが4月末ごろになるかなと見込んでいます。そういえば、勘違いされている方もいらっしゃるかもしれませんので大切なことをお伝えいたします。「故郷喪失アンソロジー」の、5月19日開催・文学フリマ東京での販売は未確定です。藤井個人の事情で今回ブースを申し込んでおらず、印刷が文学フリマまでに間に合うかどうかも現在はっきりしておりません。仮に文学フリマまでに印刷が完了した場合は、知人友人のブースに委託させていただく形でお取り扱いになるかもしれませんが、それも委託ですので少部数ですし未定です。また、大前提として本クラウドファンディングのリターン送付が最優先ですので、そちらが文学フリマまでに完了しないことには、文学フリマでの販売は致しません。クラウドファンディングのリターンの送付が終了いたしましたら、順次、自家通販や書店さまでのお取り扱い(予定)を開始いたしますが、本クラウドファンディングの盛り上がりによって初版部数を決定いたしますので、確実に手に入れたい方はぜひ本クラウドファンディングをご利用ください。基本的には、クラウドファンディングでの注文部数と書店さまからの注文部数を鑑みて初版部数を決定することになるかと思います。初版部数の把握という点でも本クラウドファンディングをご利用いただけますと非常に助けになります。ぜひご検討をよろしくお願いいたします。次回の活動報告では、収録作を掘り下げて紹介する予定です。クラウドファンディングは4月30日まで引き続き実施中です。ぜひご支援いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。


故郷喪失アンソロジー主催の藤井佯です。本当はこんなこと報告したくないのですが……申し訳ございません。朝起きたらPCに「?」が表示されており、調べたところOSが破損してしまっているようでした。現在どうにか復旧できないか調べているところです。『沈んだ名 故郷喪失アンソロジー』の組版データは昨日、最新版のデータを目次やあとがき、奥付などを入れて16時ごろに保存しました。同時にGoogle driveにもバックアップを取ったのでおそらくセーフです。ファインプレーだと思います。しかし、編集・広報その他諸々全てに使用していたPCが使用できないというのは致命的な打撃で、途方に暮れています。こちらでもなんとか復旧できないか粘ってみるつもりですが、最悪PCの買い替えになるかと思います。学生時代から使っていたPCなので、よく保ったなと思いつつ、あと数ヶ月保ってくれれば……という気持ちでいっぱいです。本当にこんなことを言うのは情けないのですが、PCを買い替える余裕がありません。故郷喪失アンソロジーは何があっても出しますが、かなり厳しい状況に立たされていると言わざるを得ません。また、PCの故障によりスケジュールが前後する可能性もございます。入稿や編集作業にはAdobe creative cloudのインストールされたPCが必要ですし、スマートフォンのみでは参加者や皆さまへのご連絡にも不便があります。そうした点からスケジュールが遅れる可能性があります。判明次第アナウンスしようと考えています。故郷喪失アンソロジーの支援金は印刷費に充当させていただきます。こういう形でご支援を募るのは私のポリシーに反するのですが、ご支援いただければいただくほど、主催である藤井佯の負担が軽減するのは紛れもない事実です。本来であれば藤井の貯金から印刷費や参加者への謝礼をお出しする予定でしたので、クラウドファンディングが盛り上がれば盛り上がるほど私の負担は明確に減ります。どうにかお力を貸していただけないでしょうか。また、PCが復旧し、故郷喪失アンソロジーの発行が滞りなく果たされることをお祈りいただけますと幸いです。こんな活動報告になり申し訳ございません。引き続きよろしくお願いいたします。


故郷喪失アンソロジー主催の藤井佯(ふじい・よう)です。昨日、クラウドファンディングのページを公開しまして、さっそく目標金額の25%を達成いたしました!ありがとうございます。4月30日までクラウドファンディングは実施されますので、引き続きよろしくお願いいたします!「活動報告」ではこれから、掲載作品の紹介や、まえがき・あとがきの一部公開などを行っていこうと思っています。あわせてお楽しみください。さて、今回は「そもそも藤井佯って誰やねん」という話についてと、個人で自主制作誌をつくることについての話をしようと思います。藤井佯って、誰すみません知名度などと程遠い場所で活動しているもので…。今回クラウドファンディングのページを見て「いや誰の何やねん」と思った方もいらっしゃるかもしれません。「藤井佯」責任編集の「故郷喪失アンソロジー」です。よろしくお願いします。藤井佯(ふじい・よう)というのは、ふだん小説を書いていて、小説で金を稼ぎたいと夢見ている、いわばプロ志望のアマチュア小説家です。書くジャンルとしては主に純文学と奇想の間の子といった感じです。今回「故郷喪失アンソロジー」にはエッセイを寄せたのですが、ふだんはあまり書かないです。もっぱら小説を書いています。現在のところ短編が多いです。歳は20代後半です。https://yo-fujii.parallel.jp/実はブログがありまして、そこに「今までどんな作品を書いてきたか」とか「何が好きか」とかまとめています。自己紹介のときはいつも「鳥の神話を伝えます」と添えています。鳥が大大大好きです。なぜここまで鳥に惹かれるのかわからないのですが、鳥が好きなので鳥の登場する小説ばかり書いています。藤井佯『平熱の君』たとえばこれ。pixiv主催の「第五回pixiv百合文芸小説コンテスト」に応募した作品(約9000字)なのですが、これは「ハシビロコウ(♀)とその飼育員の女性の奇想百合」を書きました。藤井佯『鳩造りの工程』たとえばこれは、「『鳩が造れること』を発見した二人の女子高生たちの話」です。大体1万字です。あといくつか作品を紹介させてください。藤井佯『とり、の、しんわ、を、つたえ、ます』これは、翻訳家/書評家である鯨井久志さん主催の「カモガワ奇想短編グランプリ」の最終候補に残った作品です。鳥だらけの惑星に調査員として降り立った「わたし」が、鳥の歌声の中のみに存在する知的生命体と遭遇し、惑星の過去の遍歴を伝え聞く話です。だいたい6千字くらいだったと思います。藤井佯『大移動』その他、小説家/翻訳家である紅坂紫さんが運営されている、「紙×Instagram」でおくる新しいフラッシュフィクション専門週刊誌「CALLmagazine」に1000字のフラッシュフィクションを寄稿したこともあります。……そんな感じで、ふだんは鳥の小説ばかり書いています。ではなぜ今回は「故郷喪失」だったのかといいますと、そちらも今の私にとっては大切なテーマだったから、と言うほかありません。私は、個人で小説を書くという活動と並行して、「集団で本をつくって出す」という活動をこれまで行ってきました。2021年から2023年まで、文芸同人サークル「造鳩會」の主宰として、文芸誌『異界觀相』vol.1,vol.2をつくりました(通販では品切れとなっていますが、大阪・中崎町の書店『葉ね文庫』さんや、喫茶『マンサルド』に少しだけ在庫があるようです)。また、2023年に、「鳩」をテーマとしたアンソロジー『鳩のおとむらい』を発行しました(こちらも一部書店さまに在庫があります)。なんで「集団で本をつくって出す」ということに惹かれているのだろうと考えますが、こちらも明確な答えは出ず、ただ「好きだから」なのだと思います。しかし、プロ志望であるがゆえに、公募に集中したいとは常々思っていまして(小説家って基本的に公募で賞とらないとデビューできないから)、でも「本をつくりたい」という熱はそんな事情とはお構いなしにやってくるんですよね。「故郷喪失アンソロジー」について着想を得たのは1月24日でした。日付まで覚えてます。その日はなぜか眠れず徹夜したのですが、ちょうど「●●県にまつわる文芸作品のアンソロジー」を募集している投稿を見ちゃったんですね。それで、私は出身が福岡県なんですけど、「さ、福岡県を舞台とした小説を書いてください!」と言われて、屈託なく書けるか?と考えこみました。いま私は地元である福岡を出て関東で活動しているわけですが、地元にはとても複雑な感情を持っていて、正直もう帰れないし帰りたくないなと思っています(詳しいことは故郷喪失アンソロジーに寄稿したエッセイに書いてあります)。それで、そういう人って実は多いんじゃないかなと思ったんですよね。そういう人たちのことを想像していたら、ふと「故郷喪失」という言葉が降りてきました。で、「あ、これは本にしなきゃダメだな」と思ったことがこのプロジェクトの発端になっています。個人で自主制作誌を出すということいや〜〜〜〜めっちゃ難しいです。自主制作誌って、売れたくて出すってことあんまりないと感じていて、基本的に「出さざるを得なかった」から出ているんだと思います。私はなんかその辺の感覚がバグっていて「公募をすると作品が集まる→集まるとどうなる→知らんのか、本ができる」という単純すぎる計算で、お金のことなど無視して、故郷喪失アンソロジーの公募を始めちゃったんですよね。で、公募をかけたら作品が集まるじゃないですか。じゃあもう本格的に本にしなきゃダメですよね。少なくとも公募に出してくださった方々は、多少なりともこのプロジェクトを「面白い」と感じてくれたから大事な作品を預けてくれたんだと思うんです。だったら、全力で応えるしかないですよね。私はこれまで何冊か本をつくってきているのでまだなんとかなるし、「本って出そうと思えば出るよ」と言えちゃうんですけど、実際に何も知らない状態から、衝動だけに突き動かされて「やばい、本つくらなきゃ!」ってなったときは大変だと思います。たとえば今回の「故郷喪失アンソロジー」では、どんなタスクがあるか見てみましょう。・応募要項を過不足なくつくる。画像もあると尚良し・自分の作品も書く。文章もしくは画像など素材を用意する・関連しそうな参考図書を集めてきて読む・応募フォームを過不足なくつくる・応募作品を全部読んで審査する・採用者に連絡する。一斉送信の場合は絶対bccで!・採用者に必ず作品の感想を伝える(絶対!)・(今回はクラファンしたので)クラウドファンディングの文言やリターンを考える・クラウドファンディングに使用するサムネイル画像などを制作する(Illustratorを使っている)・適宜クラウドファンディングでの活動報告や告知を行う・装丁案を考える・資金繰りを考える・作品を組版していく(InDesignを使っている)・参加者のみのdiscordサーバーをつくる・discordで作品の校正やコメントを出す・初校、再校、念校などの赤字を組版データに反映させる・参加者に確認のためのゲラをお送りする・本を置いてくれそう、置いてもらいたい書店さまのリストをつくる・ZINEやリトルプレスを取り扱っている書店さまに営業をかける・初版部数の決定・印刷会社に見積もりの依頼や装丁についての問い合わせを送る・印刷会社に入稿する・本が届いたらリターンの送付を行う・その他、リターンの「書き下ろし小説」「ブックガイド」「制作日誌」の組版を行う・電子書籍化のための作業を行う・参加者への献本と謝礼の送付・送金・電子書籍を配信する・書店さまへ商品の送付・自家通販にて本の販売開始・リターンの「コミッション」の小説を執筆する……どうでしょうか。大変ですね。もちろん、本作りってこんなガッチリしたのばっかりじゃないですし、もっと気軽に始めることはできます。ただし、人を巻き込んである程度の規模でやろうと思うとこうなってきます。もう仕事ですよね。なんでこんな大変なのに本つくってるんだ、と言われると「気が変になっているから」としか言いようがないんですが、実際勢いでなんとかするみたいなことが多いです。というか、それでも届けたいから作ってるんですよね。だけど、自主制作誌ってま〜〜〜〜〜〜手に取ってもらえない。冒頭でも述べたように「誰の何?」状態なので。だから、こういう「活動報告」などを活用して「私が誰で、こういう考えのもとこの本はつくられています」ということをわざわざ表明しているわけです。文学フリマとかもう盛り上がりすぎてなんなんだという感じですけど、みんなどれくらい本売れてるんだろう。あんまり知名度ない個人でやるなら10部売れたら万々歳とかの世界だと思いますよ。世の中あまりにも良い本が多いから、それに本以外のものとも闘わなきゃいけないから、本当に本って買われない。買われるのは奇跡です。私は幸い、TwitterやMastodonに小説を書いているフォロワーがたくさんいて、ありがたいことに仲良くしてもらっているので、こういう企画を立ち上げるとき、拡散を手伝ってくださったり、実際に支援してくださったりするのですが、ぶっちゃけるとそれ以外のツテを持っていません。完全にそれ頼りになっちゃってます。良い本なのはわかってる、でもそれを広く伝えるのは難しいんです。でも、売りたいですよね……。だから足掻いています。良い本なのは自分自身が誰よりも理解しているから、諦めたくないですよね。個人で本をつくっているひとって、多かれ少なかれみんなこうした葛藤のなかにいると思います。とにかく言葉を、アクションを重ねるしかないと思っています。もう頼れるものが熱い気持ちしかないんですよね。一人でもそれが届けば、些細な変化だろうが着実に何かが変わるのだと信じるしかない。なんだか私の信仰表明みたいになってしまいましたが、個人で本をつくるということはそういうことだと思っています。特に今回ってクラウドファンディングで、まだ本の中身ってわからないわけじゃないですか。それでも支援してくださった方というのは、この本のことを「面白い本だと信じて」くれたということなので、全力で応えたいです。故郷喪失アンソロジーは、本当に良い本なので、発行後はクチコミなどでじわじわと買われ続ける本になるんじゃないかと思っているのですが、やはりクラウドファンディング時点で買ってもらいたい。それはやはり、クラウドファンディングでの支援額に応じて初版部数を調整するからという実際的な問題もあるし、内容に自信があるからでもある。「故郷喪失アンソロジー」のもっとぶっちゃけた話しますね。この本って、フックがあまりないんです。もちろん「故郷喪失」という単語にピンと来てもらえるならそれが一番良いですし、その他「好きな作家が寄稿している」という興味の抱かれ方も嬉しいです。しかし、たとえばジャンルでいうとこの本は純文学なのかノンフィクションなのかSFなのかファンタジーなのか判然としません。だからまず「百合SFです!」みたいなわかりやすい売り方ができないわけですよね。だから、中身を判断してもらうしかない。だけど、読めば必ず伝わると信じています。というか、それしか私にできることがないです。今後、「活動報告」では、より詳細な各作品の内容紹介を行おうと考えています。それで少しでも「面白そうだな」と思ったら「買い」ですということを何度でも言いたい。「故郷喪失」という言葉ってめちゃくちゃ広いんですよね。地元に帰れないというレベルでの故郷喪失もあるし、住んでいる土地が被災して住めなくなったという場合も、絶対に忘れてはならないのが現在パレスチナで起こっていることなどもそうですよね。一方で、生まれながらにして漠然と喪失感を抱えているという感慨も「故郷喪失」に含まれると思うし、かつて存在したが今は存在しないもの、たとえばインターネット上の終了したサービスとか、だって「故郷喪失」になり得ます。今回、本当に多岐にわたる「故郷喪失」が集まっていて、この言葉に関心がある方には必ず何かしらの発見を得られるような本になっていると思います。だから、この文章を読んでいるあなたにしてもらいたいことを今から言いますね。少しでも関心があれば、リターンを覗いてみてください。あわよくば支援してください。そして、SNSでこの記事なりクラウドファンディングのことなりを拡散してください。あなたに関心がなくても、あなたのフォロワーには関心がある人がいるかもしれない。まず「こんな本が生まれようとしている」ということを知ってもらうことから始めないといけないんです。どんなに良い本でも知られないと埋もれてしまうのです。ぜひあなたの力が必要です。よろしくお願いいたします。最後に長々と語ってきたけど、結局言いたいことってこれだけだな。「故郷喪失アンソロジー、めっちゃいいよ!」「今読まれるべき作品が揃ってるよ!」「支援と拡散の協力よろしくね!」よろしくお願いいたします。


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