Desig-win 2026のカードデザインを担当されている方の、制作秘話、制作中のエピソードをインタビュー形式で随時ご紹介! 今回は、前回の「タイポラプソディ」(https://camp-fire.jp/projects/898536/view/activities/874251#main)に引き続き、「タイポスライダー」の制作を担当された、やぶちゃん(以下敬称略)のインタビュー第2回目をお届け!ーーー今回の「タイポスライダー」はどんな技なのですか?やぶ:今回も、カードジャンルは「タイポグラフィ」。 「伸ばした文字で写真をクリッピングマスクする。言葉と写真を結び付け、テーマを印象づける。」技です。 ボツにしたい気持ち、再燃ーーーこのカードに取り組むことになった経緯を教えてください。やぶ:別の方から引き継いだカードだったんです。プロジェクトのコアメンバーの方に「もう一枚できるんちゃう」と言われて任せてもらったんですが、正直、こっちもまた苦労しました。ーーーまた文字系のカードなんですね。 やぶ:そう。またタイポやんって。 写真の一部に文字のスリットを入れるような技だったんですが、参考になりそうな事例が3枚くらいしか見つからなくて。「この3枚しかないのに、必殺技としてどう使うねん(笑)」って、ボツにしようボツにしようってずっと言ってました。 ーーーここで、ボツ作戦再び(笑)?やぶ:そう。ボツにしようと思って、もともとモチーフとして使ってたチンアナゴの英語名でラフをまず出しました。ほんまに、これでいくの?って。▲ボツを狙って、チンアナゴの英語名で作った初回ラフ。分割細かすぎる、、!ーーーそれでもボツにはしなかったんですね。 やぶ:アートディレクター(以下AD)白旗さんが「これでいいです」と言いはったのと、チーフデザイナー(以下チーフD)のアフさんに「事例ちゃんとあるよ」と言われて。あかんかったらアフさんが引き取ってくれるって話もあり、それならと開き直って向き合うことに。引継ぎカードだったので、チーフDのかなころさんが作ってくれた言語化シート(※)も参考にしつつ。 (※言語化シートとは、AD白旗さんが制作メンバー向けに用意した、目指すデザインを共有しやすくするシート。参考事例や配色・構図などを言語化する欄で構成されている。)▲「タイポスライダー」の言語化シート風景か、イラストか、羊か。二転三転した展開ーーーそこからどういう展開に? やぶ:マエデ。には写真投稿スレがあるのですが、みんなが送ってくれていたベルギーやヨーロッパの写真を使わせてもらいながら、4文字か5文字かで文字の大きさを調整したりして作っていきました。▲マエデ。素材投稿スレッドで挙げられている写真をモチーフに検証。4文字5文字が良いという結果に。ーーーここで、文字数が決まっていったのですね!フォント選びでも一悶着あったとか。 やぶ:一度、風景を「TRIP」という文字列で、前田さんのフィードバック定例会に出したんですよね。「必殺技カードとして、なんか物足りない」と言われて。▲前田さんのフィードバック定例会で提出した、風景モチーフの1枚。必殺技カードとして物足りなさがある、とご指摘。ーーーもうちょっと作り込んでる感が欲しい。ということですかね?やぶ:うん。でもこっから何作り込むねんってなるじゃないですか。フォントもゴシック体を使っていたのですが、「セリフ体で試してみて」と言われたんですよね。セリフ体か〜と思いながら。 ーーーなるほど。そこでいろいろと検証を?やぶ:「オブジェクトマーチ」制作途中で行っていたお野菜選手権、「サーモンシャドウ」で使用したサーモンオーディションに軽く乗っかって、「フォントオーディション」をやってみたり。 (※)サーモンオーディションのご様子はこちら!https://camp-fire.jp/projects/898536/view/activities/868615#main▲使用するフォントのオーディション、「フォントオーディション」ーーーここから羊が登場するんですね。 やぶ:そうなんです。写真投稿スレでみんなが送ってくれてた写真がいくつかあり、誰も使ってなかったので使ってあげたくて。 ーーー優しい世界。▲試しに、他のマエデ。内で、使われていない写真も使ってみたら、、、羊推しへ!やぶ:写真をイラレのクリッピングマスクで組み合わせて、羊の写真を入れてみたら「羊がいいね」って空気になってきて。正直、羊の解像度や風景の歪みがすごくて、「やばい」と思いながら進めてました。ここでも「ほんまにこれでいいの?風景でなくていいの?」ってなってました。 ーーーデジャヴ。▲「羊でほんまにこれでいっていいのか!?」と、最終的に戦わせた案やぶ:そのタイミングでAD白旗くんや前田さんも「羊いいやん」って言い出して、そこから一気に羊推しが加速し、決定へ。 細部への並々ならぬこだわり ーーー色味についてもフィードバックがあったとか?やぶ:前田さんからも「ちょっと写真の色味がアメリカっぽいから、ヨーロッパっぽい空で」と色味を細かく調整しました。近所のお寺で撮った京都の写真を色の確認用に使いながら、ヨーロッパの映画のパンフレットで見たような空の色をイメージして調整していきました。▲色味がアメリカっぽい(左)とのフィードバックが。ヨーロッパの黄味ぽさへ調整。▲手元の写真で、色味の方向性をチェックやぶ:写真に写っていた扉「DOOR」のフォントが気に入って、そこから改めてゴシック体に戻し、最終的なフォントの着地点を見つけるきっかけにもなりました。ーーーここからも、かなり細部までこだわられたんですね。 やぶ:「S」の形にはずっとこだわってました。建物の歪みもきれいに直したくて、チーフDのアフさんにフォトショの補正のやり方を教わりながら練習して。羊が一匹だと寂しいと言われて、マエデ。メンバーに写真をもらって群れっぽく増やしていきました。▲「S」の細かい検証AD白旗さんの「造形力」にハッとし、完成へーーー納期が迫る中での作業での細部調整だったのですね。そのあと、どのように完成へ? やぶ:そうですね。さすがに巻き取り(チーフDに最終調整を託すこと)だけは死んでも嫌だったので、終わらせなきゃとなって、最終的にはAD白旗くんとFigmaで一緒に配置を詰めました。置いて、削って、色味を合わせて。最終的にはヨーロッパの映画のポスターみたいな雰囲気に落ち着きました。 ーーー終盤で、大きな気づきがあったとか?やぶ:配置を詰めていく段階で、AD白旗くんから「ここの区切りのブロックに建物を入れる」という具体的な指示があり、それを聞いて「デザインってそうやって考えるものなのか」という気づきになりました。 ーーー近景、中景、遠景というか。配置に意図があるという感じなのですね。▲細部の細かい調整を重ね、フィニッシュ!「S」、「H」、「E」、「E」、「P」のそれぞれのブロック内に、近景、中景、遠景と、意図的な配置が。やぶ:そう。「これが造形力なの?」と。頭の中でレイアウトの余白や配置が見えている白旗くんのすごさを、このカードを通して実感しましたね。気づいたのは、自分なりの作り方ーーー今回の制作を振り返って、どんな発見が? やぶ:デザイナーさんと、完成へのアプローチの仕方が違うなと感じました。就労移行支援でプログラムを教えてたときの「まずは小さい機能から作って積み上げる」やり方が、そのまま制作に出ていて。デザイナーさんの「全体から完成イメージを考えて創り上げていく」やり方とは、過程が違うんだなと。ーーー例えばどんなときですか?やぶ:「何を今検証しているか」の共有をしきれていなかったのもあると思います。例えば色味だけの確認で提出した下記のお寺・扉の写真が、「羊」って決まっていたのに後戻りでモチーフを変えているように見えてしまったこともあって。▲色味確認のために、検証して提出した一枚やぶ:「一回決まったのに後戻りするのはよくないよ」って言われたんですけど、いや今は色味だけ検証してるのにな〜と思ってました(笑)。 ーーー確かに、プログラミングの積み上げの考え方とは、アプローチが少し違うと捉えられてしまうかもしれないですね! やぶ:そう。反抗期みたいな時期もありましたけど(笑)。違いはあれど、最終的には投げ出さず、ちゃんと着地させられて良かったです。ゲームで楽しく、デザインでウィン!ーーー最後に、おすすめなDesig-win 2026の使い方があれば教えてください。 やぶ:一つのデザインは、必殺技(一つ一つのデザイン表現)の組み合わせで成り立っているんだなあ、というのが今回よくわかりました。ぜひどんな必殺技があるのか、眺めてみてください。あとは僕自身、普段からテストプレイやゲームで遊ぶのが好きだったんですが、それがすごく良かったです。まずは実際に遊んでみてもらえたら嬉しいです。 ーーーありがとうございます!迷走の谷を超えて完成した1枚。以上、2回に分けて、やぶさんのインタビューをお届けしてきました!※制作途中の画像を含むため、カードデザイン等は一部変更になる場合がございます。・・・・・・・・・・プロフィールマエデ。ネーム:やぶちゃんプロフィール:着物作家のもとでの企画営業やカバンメーカーでの商品企画を経て、ものづくりの面白さに惹かれ、デザインの世界へ。デジタルハリウッドでWebデザインとFlashを学び、Web・システム制作会社でUIデザインやWebサイト制作に携わる。あわせて同校でティーチングアシスタント(TA)を務め、IT業界向け就労移行支援事業所ではWebデザインやコーディングを指導。現在は親の介護の合間に前田デザイン室で活動し、Desig-win 2026ではカード制作や新ルール開発を担当。遊びながらものづくりをすることが好きです。SNSアカウント:・X:@yasu_dspro担当カード:タイポラプソディタイポスライダー




