Fumctoryです。本日2回目の更新は、リプレイの公開です。セッションの参加プレイヤーは2人、シーン数最小構成という、非常にコンパクトな作りになっています。リプレイの執筆はぱらでぃん氏にお願いしました。氏にはオラクルエンジン紹介記事も書いていただいています。いつもありがとうございます。▼トレーラー~プリプレイ 戦いの時は突然に訪れた。 ドライバーが鍛え、学ぶためのアカデミー、その訓練所。 そこに突如、堕落獣が現れたのだ。 これは訓練ではない。 退けば甚大な被害は免れず、よって撤退は許されない。 ドライバーの不退転の覚悟のみが、勝利をもたらす。オラクルエンジン『漆黒龍の奇襲』 発動せよ、神の一撃。GM:トレーラーは以上。続いてハンドアウトとPCの自己紹介です。PC1は以下の通り。◆PC1ロールホイール: アカデミーを守る あなたは一人前のドライバーとなるべく、アカデミーで訓練を重ねるドライバー候補生だ。 その日の訓練は、郊外の森の中に作られた訓練施設を利用した、本格的なものだった。しかし、訓練中に堕落獣の出現が確認される。 アカデミーからの増援を待っている暇はない。自分達の力で堕落獣を倒し、アカデミーを守らなくてはならない。涼花:「三砂涼花、一六歳です。この世界の住人ではないですが……力あるものとして、その責務、十全に果たせるよう、努力していきます。」 その中に宿るのは前世の記憶か。とにかく記憶が蘇ったとき、目の前では堕落獣による殺戮が起こっていた。それを目にした彼女は、力があるのならばそれを振るい、人々を守らなくてはと思い、立ち上がったのだった。 だが、今の彼女には知識も経験も足りない。そのため、アカデミーで修行に励む日々を送っている。GM:涼花さんは今回が『オラクルエンジン』初めてのプレイですね。涼花:とりあえずシステムとデータ感覚を掴みつつがんばります!GM:続いてPC2は以下の通り。◆PC2ロールホイール: 候補生を守るあなたはすでに前線で活躍しているドライバーだ。 今回、あなたはアカデミーに招かれ、ドライバー候補生の訓練を監督する特別講師となっていた。だが、訓練の途中、堕落獣が出現したことが伝えられる。 アカデミーからの増援を待っている時間はない。今いる戦力と候補生、その力を合わせて堕落獣を討伐する以外に、選択肢は存在しない。レーネ:「私はレーネ、枝葉のレーネ。しがない狩人……だったんだけど、今や狩るべき獲物は堕落獣。責任重くなったよねえ。」 レーネの武器は一族に代々伝わる槍。それを操る現役のドライバーだ。元々は無辜の民を守るために野生のモンスター討伐をしていた彼女だが、堕落獣が出現するようになって以降、もっぱらそちらが対象になっている。 彼女にとっての獲物は「無力な民にとって、より危険の度合いが高い方」だ。ゆえに、堕落獣狩りに疑問も油断もない。死地にあってなお冷静な狩人だ。GM:立ち位置としては、PC1を導く先輩や先生役です。レーネ:了解しました。よろしくお願いします。GM:では、プリプレイを進めていきましょう。ロールホイールの獲得です。 ロールホイールはそのキャラクターにとっての行動指針や興味関心のようなものだ。これに関わりのあるプレイングをしたら、このチェックボックスをチェックできる。 そして、チェックしたチェックボックスを塗りつぶせば、即座にリソースであるオラクルを1点獲得できる。GM:ライフパスに決められている3個のロールホイールに加え、ハンドアウトに書かれた4個目のロールホイールを得ます。 加えて、他のPC1人に対するロールホイールを5個目として得ます。相方に取りましょう。どういう関係にするかは、表を参考にROCで。レーネ:レーネから涼花さんに対しては、期待の後輩ということで「涼花への期待」にしておこう。涼花:えーと、5の3は……腐れ縁らしい。レーネ:じゃあ前から先生役を何度かやっていることにしよう。涼花:よく一緒になるので毎回お世話になりつつ、またかーみたいな空気もありつつ、みたいな。「レーネへの腐れ縁」で。オープニングフェイズ ノイン王国南部の、温暖な地域。レーネと涼花はアカデミーの訓練場へ向け、村外れを歩いていた。 片方は槍、もう片方は棍を背負っているという以外は、談笑する村娘たちのような様子である。レーネ:「いやあ、涼花ちゃんとはよく会うねえ。もう何回目だったか覚えてないよ。」涼花:「私も同じですよ、レーネ先生。前世の学校の先生より会ってます。」レーネ:「前世か。君も運がいいのか悪いのか分からないね。危険な堕落獣がしょっちゅう現れるノインに生まれてしまうなんて。」涼花:「どちらかといえば幸運な方だと思います。生きるための、抗うための力もあるので。」レーネ:「君は保有オラクル量も多いし、ドライバーの素質も十分ある。戦い方を身に着ければ、すぐに私を追い越すかもね。」涼花:「すぐにでも追い越せるよう努力します!」レーネ:「お、言うねえ。この先が楽しみだ。」レーネ:ここでロールホイール「人々を守る」、「ドライバーの務めを果たす」をチェックします。涼花:私も「自分の意志に従う」、「勝利する」にチェックを入れておこう。 ロールホイールはチェックをする他、シーンに1回、自由な内容で新たなロールホイールを得ることができる。 レーネはこのルールを使い、「訓練をまっとうする」、涼花は「ドライバーになるため邁進する」というロールホイールを作り、即座にチェックした。ミドルフェイズ 話をするうちに訓練場に着いたふたりは、訓練の準備をする。 レーネは分厚いオラクルウェポンの盾を構え、涼花に言う。レーネ:「さ、一撃打ち込んできなさい。」涼花:「では私の成長度合い、しっかり刻み込ませてもらいましょう。」 レーネに向かって棒を構え、精神を集中させる涼花。 彼女たちの武器――オラクルウェポンは、オラクルエンジンを発動させなければ機能しない。 その出力は不安定で、常に使い手による制御が求められる。『オラクルエンジン』では、これをクラッチロールと呼ばれるルールで再現している。 1~6の値を宣言し、1D6を行ない、宣言以上の出目が出れば成功し、宣言した値にオラクルエンジンの出力段階(シフト)が移行する。 そして、『オラクルエンジン』ではあらゆるダイスロールの直前に、1点オラクルを払うと+1D6、もう2点で+1D6、もう3点で+1D6……というように、オラクルさえあればどんどんダイスを増やすことができる。 この豪快さと繊細さを併せ持つシステムで、強大な力を持つ不安定な武器を表現しているのだ。レーネ:「それじゃ、涼花ちゃんの攻撃に耐えられるように、構えてみるかな!」涼花:「はい! 胸をお借りします!」 レーネは目標シフトを4と宣言。オラクルを3点消費してダイスを2つ増やし、3D6でクラッチロール。5が出て成功。現シフトが4になった。 涼花も同じくシフト4でクラッチロールを成功させる。レーネ:「いい感じだ。よし、一発打ち込んでおいで!」盾を構える。GM:攻撃してみましょう。判定の基本は「2D6+能力値=達成値」です。 シフト性能表、あるいは「種別:攻」パーツの「判定:」欄に、攻撃の命中判定に使う能力値が書いてあります。涼花:接近して長棒型のインパクトウェポンで殴る!GM:攻撃に対する防御判定は、「命中判定の能力値の両隣どちらか」で行います。 インパクトは【耐久】で攻撃するので、その両隣の【筋力】か【感覚】どっちかで防御判定です。 攻撃のダメージに属性などはなく、「命中判定に使用した能力値に対応する装甲値分、ダメージを軽減」します。 インパクトウェポンは【耐久】で命中判定するので、ダメージ軽減する装甲値は【耐久装甲値】というわけです。涼花:ダメージは42点! 涼花の一撃はレーネの盾を強く叩き、彼女を大きく後ずさらせた。レーネ:「うーん、さすが涼花ちゃんだ! こりゃ今日の訓練で教えること、あんまりないかな?」涼花:「と、というか、レーネ先生は大丈夫ですか?」レーネ:「ちょっと休めば大丈夫。ちょうどいいから、今から5分間、出力を落とさない様に維持する練習してみようか。」GM:次のラウンド開始時のクラッチロールです。また新たに目標シフトの値を宣言しないといけないし、クラッチロールに失敗すればシフトは当然落ちます。涼花:今度は5を宣言してみようか。オラクルを5点打ち込んで、4D6にしてみよう。……ミスった!GM:4しか出てないので、4引く1のシフト3になります。涼花:「うっ……!」レーネ:「オラクルの制御、オラクルエンジンの出力維持は、現役のドライバーでもミスすることがあるほど高度な技術だからね。体に叩き込むこと。」涼花:「はい……!」レーネ:「理論教えるの苦手なんだよね。だから、ひたすら実戦形式で行くよ!」涼花:「お願いします!」レーネ:「涼花涼花への期待」のロールホイールにチェックを入れておく。涼花:同じく、「レーネへの腐れ縁」にチェックを入れておきましょう。 盾を構えたレーネの指導を受けながら涼花が棒術の訓練をしていると、森の中に甲高い旋律が響き渡る。 彼女がそちらを向くと、みるみるうちに漆黒の堕落獣が森の中で形成され、体を持ち上げながら誕生の産声を轟かせた。 その呼び声に応えるように、魔力で形成された真紅の球体――最下級のスポーン級堕落獣――が周囲に浮かび上がる。「あんなに成熟した個体が、なぜここに!」「この距離、タイミング……最悪だね。ここで逃がせば、近くの村まで奴を足止めできる存在は何もない。」 レーネは堕落獣を見ながら、冷静に分析する。 彼女とそれの視線が交錯する。それを確認したように、彼女は笑った。「だけど希望はある。奴は私たちのオラクルを取り込んでから、よそへ向かいたいらしい。」 つまり迎撃できる。そう宣言すると、レーネは槍を構えなおす。「はい! ここで食い止めます!」 涼花もそれに応じ、棍を堕落獣へと向けた。涼花:「アカデミーを守る」、「後悔しない」のロールホイールふたつにチェックを入れます。レーネ:「堕落獣を倒す」のロールホイールにチェックを入れ、「近隣の村を守る」のロールホイールを作って、即チェック。ランニングイン 『オラクルエンジン』では戦闘に入る前、1ラウンドの猶予が与えられる。これを「ランニングイン」と呼ぶ。この間は、RI特技と呼ばれるシナリオで用意された専用の特技を使用し、戦闘への準備を行なう。 PCは1ラウンドに2回行動できるので、ランニングイン中はRI特技やその他の能力を2回使えることになる。 このラウンド、レーネはシフト5、涼花はシフト6でクラッチロールを成功させた。レーネ:〈奇襲経路へ向かう〉をやっておこう。【敏捷】は3なので。オラクルを1点……12で成功。続いて再び私の番で、〈遮蔽を作る〉をやっておく……ギリギリ成功。 この行動で、レーネは堕落獣の側面に移動し、さらに攻撃を避けるための遮蔽物を作ることに成功した。 戦場となるマップには、さまざまな障害物や、戦闘に利用できる防壁などの「地形効果」を設定することができる。 ランニングイン中、RI特技によって地形効果を増やしたり減らしたりすることも多い。今回は「PCを有利にする遮蔽」と「PCを不利にする障害物」が設定されている。涼花:〈敵を観察〉します……失敗! しかし、オラクル1点でオーバードライブ《※神髄》を使用、現シフトだけ達成値を増加、無理矢理成功だ!GM:では堕落獣の〈習性:○○〉特技を把握することができます。これらは、堕落獣の行動を定義するものです。 漆黒龍は「オラクル現在値が最大のPC、同値ならシフトが高い方」を、魔力球は「【HP】が最大のPC、同値ならオラクル現在値が高い方」を狙って攻撃してきます。 さて、続いて涼花のメインプロセス2回目です。涼花:〈障害物を取り除く〉かな。こういうのはきっと邪魔になる……よし、今回は普通に成功しました。クライマックス レーネが側面を突き、涼花が正面から敵を迎撃する準備を整えたところで、漆黒の堕落獣が訓練場へとやって来る。 広場に出てきた堕落獣が再び咆哮すると、堕落獣が持つ特有の響きである甲高い旋律、“堕落の歌”が響き渡る。 しかし、ドライバーたちはそれに屈することなく、堕落獣を睨みつける。レーネ:「いくよ、涼花ちゃん!」涼花:気圧されそうになるのを振り払いつつ「はい!」と、レーネ先生に返事する。GM:では戦闘開始です。セットアッププロセス、先に堕落獣の行動値発表および処理を。堕落獣は大量のオラクルを獲得します。今回の漆黒龍だと50点。レーネ:「オラクルエンジン発動! まずは堕落獣のオラクルの装甲を削り取るんだ!」オラクルを10点消費し5D6振って、目標シフト6……よし出た。涼花:「了解しました! 堕落獣迎撃に入ります!」オラクル6点で4D6振ってシフト5を目指す……(しかし最大の出目が4、シフトは3になる)「すみません、出遅れます!」レーネ:「奴は涼花ちゃんを狙うはずだ、防御を固めておきな!」ムーブで移動、マイナーで〈殺戮技巧〉を使用。ダメージが伸びる。 メジャーで〈徹し〉〈旋風〉〈骨割り〉〈極大破壊〉を組み合わせ、槍で貫く攻撃。魔力球と漆黒龍を対象に取る……クリティカル!GM:漆黒龍は「判定に常にフリードライブ(ダイスボーナス)を得る代わり、クリティカルが発生しない」特技を持っているから回避できない。 魔力球はダイスを振れずクリティカルが出せない。よって両方命中。レーネ:ダメージはクリティカルボーナス合わせて11D6+39だ。GM:魔力球は当たり前のように四散する。漆黒龍は装甲値で12止めて57ダメージ、オラクルで30点受け止めて27点本体に通った。レーネ:さらに漆黒龍に「出血7」のバッドステータス。このラウンド中、メジャーアクションかリアクションを行うたびに7点【HP】が減るよ。GM:次は漆黒龍のメインプロセス。オラクルが一番多い涼花を狙いに行く。ムーブで移動。マイナーで〈猛攻〉、ダメージを増やし、メジャーで〈なぎ倒し〉。 さらに本来は至近距離攻撃のこれに、オーバードライブ《※カーネイジ》を使用! 対象を直線6に変更! 漆黒の龍がその尻尾を力強く振り下ろすと、衝撃波が駆け抜ける……達成値は【筋力】15!涼花:オーバードライブ《※鏡面反射》を宣言! 判定に勝てば攻撃は漆黒龍にのみ当たる! ……達成値は【耐久】14、では足りないので《※神髄》で+3して17! 棍をくるりと回し、相手に円の動きで跳ね返す!GM:ダメージロールは……【筋力】で29。装甲値で19点止め、オラクルで5点止め、【HP】が5点減った。涼花:「やった……!」実戦で初めて成功したので手応えを感じる。レーネ:「よし、よく返した! 私も続くよ!」ムーブで歩いて魔力球のところへ。魔力球と漆黒龍両方を突き刺す……今回はそこそこ止まり。GM:……避けた。魔力球は固定値なので当たり。すごい威力の一突きで魔力球が四散する。レーネ:「本命を逃したか!」涼花:「先生の一撃を避けた!?」GM:次は涼花のメインプロセスです。ムーブとマイナー両方で全力移動、4マス歩けます。涼花:ふふ、障害物を消したのは素晴らしい一手でした! ムーブとマイナーで全力移動! オーバードライブも突っ込もうじゃない。〈振り下ろし〉に《※神の鉄槌》! 命中にオラクル1点入れて……【耐久】で11!GM:【筋力】……達成値13で避け。涼花:《※神髄》! その達成値を-3! 長棒を振り下ろす直前で軌道を変える!GM:当たった!涼花:「入った!」34点装甲無視! そして〈生体魔力増幅器〉の効果でオラクル回復!レーネ:「その調子、このまま追い詰めるよ!」GM:次は漆黒龍の行動。ムーブは移動せず、マイナーで〈猛攻〉、メジャーで〈なぎ倒し〉を使って涼花を狙う……【筋力】14。涼花:お、【耐久】なら、期待値で避けられそう。普通にオラクル1点使って……回避!涼花:「敵の動きをよく見て、次の動きを予測し、対応する」棒でさばきつつステップで避け、このまま漆黒龍をやる! ムーブ、マイナーはない! メジャーでバンバカ使うぞ〈振り下ろし〉&《※神の鉄槌》! ダイスも増やす……! おおっとクリティカル。ダメージボーナスがついて……33点装甲無視! そしてオラクル回復。涼花:「龍はここで止めます! レーネ先生は魔力球を!」レーネ:「よし来た、防御は任せるよ!」GM:ラウンド最後の漆黒龍の手番。オラクルが一番多い涼花を狙い〈猛攻〉からの〈なぎ倒し〉……クリティカルはしないが【筋力】18!涼花:18は……無理だ。せっかくだしダメージを受ける場合も見ようじゃないか……当たった!GM:ダメージは【筋力】で29。これを装甲値で引いて、オラクルと【HP】に割り振って受ける。涼花:「重い、これが実戦……」【筋力】で装甲が7あるから、22点。全部【HP】で受ける!GM:では全員の行動が終わったので、クリンナッププロセス。 堕落獣はセットアッププロセスでオラクルを得る代わりに、この時ダメージを受ける。7点食らって累積ダメージ120。 ここで【HP】が尽きるので《※ラストダンス》を使用! 以降1点でも【HP】ダメージを受ければ死亡するが、次ラウンド以降追加のアクションランク(行動権利)を得る! PCはイナーシャルゲイン分オラクルを回復させる。レーネ:レーネの回復量は27点、残してたオラクルを合わせて33点になった。涼花:20点回復して22点になった。GM:2ラウンド目のセットアッププロセスで漆黒龍はふたたびシフト6に移行し、オラクルを50点得る。涼花:外部装甲が毎ターン50点も付くってことか。 PCのクラッチロールは、レーネはシフト6、涼花はシフト5を指定し、いずれも成功した。レーネ:ここはフルパワーでいこう。マイナーの〈殺戮技巧〉から、メジャーで〈徹し〉からのコンボで攻撃、命中判定直前にダメージロールに+6D6するオーバードライブ《心臓穿ち》を使用。 これで命中判定にロールホイールも塗りつぶしてオラクル消費……出目が振るわない、達成値14!涼花:先生のオラクルが、0に!GM:こんなもん食らいたくない、回避判定にオラクルを6点突っ込んで3D6追加……避けた!レーネ:「全力の一撃を避けるか……!」GM:続いては漆黒龍の番ですね。オラクル多い方、つまり涼花を狙う。ひたすらに。ムーブ+マイナーで突破移動を行ない、妨害されずレーネと同じエリアに。涼花:なにぃ!?GM:続いてメジャーで〈真紅の魔力〉、赤いブレスを吐き出す。もちろん対象は涼花……【敏捷】で15。涼花:しかしこちらには《※鏡面反射》がある、なんでも【耐久】で回避……反射成功だぁ!GM:漆黒龍はダメージをオラクルで受け止め、残り39点。そして、このブレスの追加効果は「攻撃の命中したキャラクターの隣のエリアに、真紅の魔力球1体を行動済の状態で配置する」だ。レーネ:「このままスポーン級に囲まれるわけにはいかないね、なんとか倒さないと!」レーネ:レーネのメインプロセス。ムーブ動かず、マイナー〈殺戮技巧〉から、メジャー〈徹し〉からの素殴り……。GM:それだと……同値で避ける。このように、オラクルが尽きるとじり貧になって行くのだ。涼花:次は私。レーネ先生のエンゲージにムーブで移動、マイナーはない! 「レーネ先生!」と吶喊する。妥協はしない、〈ぶんまわし〉に《※神の鉄槌》! 命中にもオラクルで……クリティカル! 必中するのでダメージダイス増加でダメージロール! 70点の装甲無視ダメージだ! 《※神の鉄槌》は高シフト下では恐ろしいダメージを出すな。GM:オラクルで39点止めても本体に31点、堕落獣を守るHPはもうない! 少女が細腕で振り抜いた木の棒と、大の男が一抱えしても足りない龍の首。どちらが強いかは幼子でもわかる。 しかし、それがドライバーの操るオラクルウェポンとなれば話は別である。 横薙ぎに振り抜いた棒の先が漆黒龍の喉元を掠め、捉える。 手応えを感じた涼花は、それをオラクルの導くままに振り抜く。 ただの棒きれに見えるそれが、水のようにしなやかで、金剛よりも硬い凶器となり、龍の首筋を横殴りに叩く。 何かのひしゃげる音が森に響いた。 次の瞬間。折れたのは龍の首であった。 漆黒の体が魔力に還元され影のように森へ崩れ消えると、魔力球もまた、風に散じる。 息を上げつつも涼花は残心を取り、レーネの前に立っていた。エンディングフェイズレーネ:「やるじゃないか、涼花ちゃん。奴の攻撃をひとりで受け切って、とどめまで刺していった。」涼花:「や、やりました……?」と、ここで緊張の糸が切れて、ふらっとする。レーネ:とっさに体を支え「やったはいいが、ふらついているようじゃまだ未熟。時には連戦だってあるんだぞ?」涼花:「あ……ありがとうございます……。」レーネ:「まだ鍛えなきゃいけないところはあるね。ただ、それは実戦の中で磨いた方がよさそうだ。卒業を早めてもらえないか進言してみよう。実地で厳しくやっていった方が、君は強くなれる。」涼花:「……ついに先生との縁もおしまいです?」レーネ:「まさか! 私が一緒に仕事に出て、色々指導するよ。」涼花:「あらら。じゃあ、もうしばらく、未熟な私をお願いしますね?」レーネ:「はは、私も追い抜かれない様に気合を入れないとね。」
▼公式サイトはこちらhttps://oracleengine.tumblr.com/ Fumctoryです。今回は前回に引き続き、世界設定に関する解説です。今回は、PCが属することがある主な組織を紹介します。▼ドライバーと組織そもそもドライバーとは「オラクルエンジンを発動させられる」「オラクルウェポンを扱う戦闘技術を持った」者のことです。そしてノイン王国には、ドライバーと関わる組織が複数あります。・ハンターギルド元々、ノインには人に害なす危険な動植物「モンスター」が存在します。それらを駆除することを生業とする者を束ねる組織、それが「ハンターギルド」です。ハンターギルドは、堕落獣出現以降、堕落獣も駆除対象に含めることに決定しました。そのために組織再編を行い、現在では堕落獣討伐を行うドライバーに対する支援を多角的に行っています。他組織との連携の中心となり、ギルドに在籍しているドライバーを堕落獣討伐に派遣し、またドライバーへの福利厚生なども管轄しています。ハンターギルドという組織の意思決定には、グランドマスターと呼ばれる人物達が関わっていますが、このグランドマスターについては謎が多く、構成人数も明らかにされていません。ただし、いずれも腕利きの狩人であることは間違いない、と言われています。・六神教六大神と名を持たぬ死の神を信仰する、ノイン王国の国教、それが「六神教」です。六神教の聖職者の中には、自らオラクルウェポンを手に戦うことを選ぶ者もいます。そのような、教会に属するドライバーは聖騎士と呼ばます。六神教は各地に教会を持っており、聖騎士はそこを拠点として、都市の防衛や堕落獣討伐などを行っています。六神教には、教会および聖騎士団にのみ口伝される魔術があり、それによって信仰心を力に変えることができるのです。・アカデミーノイン王国主導で設立された、ドライバー養成機関が「アカデミー」です。アカデミーは全国に設置されており、定期的にドライバーの素質がある者(つまりオラクルエンジンを扱える者)を探し出す適性試験を行っています。適性試験に合格すれば、アカデミーには無料で入学することができます。アカデミーへの入学には年齢制限はなありません。そして、卒業の要件はただ一点、「堕落獣を討伐できる実力を身に着ける」ことのみです。年を追うごとに、アカデミー出身のドライバーは増加しつつあります。・王国騎士団シルバーガントレットノイン王国直属の四騎士団の内のひとつ「シルバーガントレット」は、堕落獣対策を専門的に取り扱うための組織です。シルバーガントレットには四騎士団の中でも優れた実力の持ち主が集められており、少数精鋭の部隊となっています。他組織と協同して堕落獣討伐に向かうことも多く、特に王国管轄下の場所(例えば古代文明の地下遺跡など)で堕落獣が発見された際には、監督役を兼ねてシルバーガントレットから人員が出されることとなります。PCであるドライバーが主に属する組織は、以上のものが挙げられます。他にも、ルールブックにはいくつかの組織が紹介されています。
▼公式サイトはこちらhttps://oracleengine.tumblr.com/ Fumctoryです。またもTwitterて疑問を見かけたので、回答していきます。Q:なんでOCEにしたの? OEでいいでしょ?A:OEには先駆者がいました。守山義和の開発するゲームには、アルファベット3文字で開発コードネームがつけられます。なぜ3文字かと言えば、名前重複回避のために安全率を取っているためです。例えば『オラクルエンジン』をOEと略した場合、OEという略号の先駆者には「Outlook Express」「Overwatch Origin Edition」がいました。また「Oなんとか Edition」は今後も現れることでしょう。26×26=676通りの組み合わせでは、先駆者との名前被りを回避するには足りないのです。OCEでは、目立った先駆者はいませんでした。26×26×26=17576通りの組み合わせの方が、略号重複回避もやりやすくなります。質問者は「世に氾濫する3文字略号が気に入らない」そうですが、3文字であることには一定の妥当性があるのです。Q:なんで書籍版に無料でpdf版をつけないの?A:もうつけてます。現在のリターン設定では、「pdf版3000円、書籍版4000円、両方セットで6000円」という設定になっています。そして本リリース価格は、「pdf版4500円、書籍版6000円」です。現時点ですでに「書籍版の本来の金額を出せば、書籍版とpdf版の両方が手に入る」状態なのです。実際、このセット版をリターンに選択して支援されている方が多数となっております。もし「高いから値引きしろ」と言っているのであれば、本リリースの際に簡易版ルールブックを無料配布しますので、そちらで遊んでください。前回回答した通り、本プロジェクトは赤字回避どころか印刷費回収すらも怪しい状態にあります。値下げの余地はありません。本リリース後に10500円出してpdf版と書籍版を揃えるか、今の内に6000円出して揃えるか、好きな方をお選び下さい。
▼公式サイトはこちらhttps://oracleengine.tumblr.com/ Fumctoryです。Twitterやマシュマロで、『オラクルエンジン』への質問がいくつかあったので、ピックアップして回答していきます。Q:なんで悪名高いORACLE社を連想させる『オラクルエンジン』というタイトルにしたの?A:そんなこと言われましても。開発最初期において、このゲームは「神啓機関TRPG」という仮タイトルがついていました。堕落獣という脅威に対し、神が天啓を与えたかのように世界各地で同時に発明された対抗手段「神啓機関」。これを駆使して堕落獣と戦う……というストーリーラインになっていました。このストーリーラインはゲームシステムの大枠が完成するまでの間にボツになりました(古代文明の遺産とか出したいやん? という理由で「レガシー」を作るべく、今の設定になりました)が、「堕落獣」はそのまま残り、「神から授かったもの」はオラクルという名の生体魔力、オラクルエンジンという名の機械、という形に分離されました。ネーミングとしては、「技術のジャンプアップって言ったら「オラクル(アポロ神殿)」でしょ?」というのが由来です。どうしてもオラクルと呼びたくない場合、ゲームのことは『OCE』、オラクルのことは「生体魔力」、オラクルエンジンのことは「生体魔力増幅型発動機」と呼んでください。Q:イラストないの?A:発注はしました。今はないです。元々『オラクルエンジン』は、ゲーム・フィールド大賞への応募だけ考えて、同人誌リリースの予定はない作品でした。これはデザイナーの守山義和の意向によるものです。ゲーム・フィールド大賞への応募においては、イラストは必要ないとされているので、イラストレーターへのコネもなければ支払える報酬もなし、ということでイラスト一切なしに『オラクルエンジン』が作られました。蓋を開ければ準入選という評価をいただけたので、『オラクルエンジン』制作に協力したFumbleguyが守山を説得し、Fumctoryを設立、『オラクルエンジン』同人誌版リリースに向けて活動開始。そして今に至る、という流れです。そういう経緯があるので、『オラクルエンジン』は現状イラストがありません。タイトルロゴも、まだ仮のものをクラウドファンディングのために使わせてもらっている状態です。(タイトルロゴデザインを担当していただいているレク様、ありがとうございます)すでにイラストレーターにイラストの発注はしているので、その内公開できると思います。Q:『アサルトエンジン』とは関係あるの?A:偶然名前が似ただけです。開発中に『アサルトエンジン』の事は全く触れられませんでした。上記の通り、開発初期はタイトルからして違ったし、オラクルエンジンという単語は後から出てきた上に、「オラクルを払ってダイスを増やす」ルールができたのも後の方だからです。ただ結果から見れば、タイトルは似ているし、クラッチロールという「リソースを賭けてからダイスを振る」要素も似ていることになりました。不思議なこともあるものです。Q:何部印刷してどれくらい売上出すとか、金銭勘定大丈夫なの?A:100部も売れる訳ねーだろ、程度に考えてます。クラウドファンディングの目標金額は40万円としていますが、これが全部印刷費に化けるわけではありません。半分以上がイラストレーターやロゴデザイナーへの報酬、広告宣伝費などに消えていきます。印刷費としては、初期ロットを100部(印刷費17万円くらい)出して、だいたい30部売れたら黒字ライン。ただしこれは印刷費だけしか考えていない場合の黒字なので、実際には開発費用の回収まで含めると60部売れる必要があります。無名の新人サークルがいきなり新作出してそこまで売れる訳ねーだろ、はいはい赤字在庫赤字在庫、くらいの流れだろうなーという予測です。万が一完売するようなら、価格改定も視野に入れつつ黒字分はサプリメント開発のための予算とします。(イラストを増やす予定なので、開発費はルールブック本体よりももっと上がります)
▼公式サイトはこちらhttps://oracleengine.tumblr.com/ Fumctoryです。今回は今まであまり触れてこなかった、『オラクルエンジン』の舞台となる世界に関する解説です。▼ノインの歴史この世界に住む人々は、自分達の住んでいる大陸を「広大なるノイン」、あるいは縮めて「ノイン」と呼んでいます。大陸の東西と南には海が広がり、北には断崖のごとき大山脈がそびえ立ちます。かつてノインには、今よりもずっと優れた科学技術と魔術によって発展した古代文明がありました。しかし「終末戦争」と呼ばれる大戦により、ノインからは何もかもが消え去ったと伝えられています。その終焉の地ノインに、唯一残ったもの。それが「死の神」です。死の神は、滅びたノインを再び蘇らせることを決意しました。己の名と引き換えに六柱の神「六大神」を作り出し、ノインを再生させることを命じます。生命を蘇らせることに成功した六大神は、ノインを豊かな地へとするために、高度な自我を持った生物である人類を作ることにしました。結果として、四種族の人類が作り出されます。名を持たぬ死の神は力を取り戻すべく眠りに就きます。その間、六大神、そして人類は、共に力を合わせてノイン再生のために力を尽くしました。しかし、極北の山脈から現れた破壊神「ドラクル」が、人類を操り六大神を引き裂き、ノインは再び滅亡の危機にさらされます。六大神すべてが殺される間際に、死の神が目覚め、ドラクルを討ち取りますが、ノインはまたも荒れ果ててしまいました。死の神と六大神なき後、人類はまた、ノインを再生させます。現代では、破壊神の爪痕はほとんど再生されましたが、それでもまだ一部地域では破壊神の影響が残っています。そして時は流れ、現代。破壊神の再来と恐れられる怪物「堕落獣」が現れます。人類は最初、なすすべなく堕落獣に蹂躙されましたが、古代文明の遺産「オラクルエンジン」によって機能する武器「オラクルウェポン」によって、堕落獣に対抗する手段を得ました。堕落獣出現から15年。未だに戦いは続いています。堕落獣根絶はおろか、堕落獣という存在を構成するメカニズムすら解明できていないのが現状です。▼国家と宗教広大なるノインを統べるノイン王国は、ノイン唯一の国家です。ノインには他の国というものがなく、「外国」という概念がありません。ノイン王国初代国王は神話にも語られる人物であり、その系統が今に至るまで国王を務めています。ノイン王国の王都ロスジェミニがあるのは、大陸の南部の海沿い。六大神の中の二柱、緑と黄の双子神が殺された場所であるとされています。ノイン王国の国教は「六神教」といい、死の神と六大神を奉じています。その聖都は大陸中心にあり、またその地は六大神が生まれた場所にして、神々が眠る死の国へ通じる入り口がある場所、と伝えられています。ノインの住民のほとんどは六神教の信徒であり、不信神者でも祈りの作法くらいは知っています。▼テクノロジーノイン全域には、「魔力」という普遍的なエネルギーが存在します。魔力は六大神に由来する六色の属性を持ち、そのバランスによって周囲に及ぼす影響が変化する性質があります。この魔力を、精神力、呪紋と呼ばれる文様、そして力ある言葉である呪文によって操ることを「魔導」と呼び、魔導を利用する技術を「魔術」と呼びます。魔導も魔術も、高度なことをするには才能や修練が必要ですが、それ自体はノインの住民なら誰でも行えるものであり、ノインにおける重要なテクノロジーです。また、魔導によって制御された魔力を動力源とする魔導機械(アーティファクト)、魔力を必要としない科学機械(メカ)という科学技術も、ノインの文明を支えています。▼異世界人、イレギュラーノインには時折、異世界からの来訪者や、異世界での記憶を持った人物が現れます。彼らは「イレギュラー」と呼ばれています。公的な記録では、50年前に初めてイレギュラーが現れたことになっています。イレギュラーは最初、破壊神のような災厄をもたらす存在ではないかと警戒されましたが、現在では基本的に受け入れられている存在です。ノインでは、イレギュラーがもたらした知識や技術が、様々な革新を生んだこともあれば、トラブルを招いたこともあります。しかし、どちらかといえばメリットの方が大きかったのが実情です。そのためノインの住民は、イレギュラーに対し何かと期待を持つところがあるようです。ワールドパートの内容を一部、かいつまんで解説しました。次回は、オラクルウェポンの使い手、PCである「ドライバー」に関わる内容を解説します。