こちらはウガンダ北部のラチョー病院の様子です。 ラチョー病院はウガンダ北部最大の病院で、最も設備も整った病院であり1日700〜800名の外来患者がやってくる大きな病院です。しかし、ロックダウン以降は交通手段が使えないため多くの患者さんは病院に来ることできなくなり、一時は、患者数が一日あたり200人程度まで減りました。 現在、コロナ患者は公共病院(グル病院)でのみ受け入れされていますが、そこにはICUベッドなどコロナ患者が重症化した際に必要な医療機器がありません。そのため、今後重症患者が発生した場合、ラチョー病院で受け入れる可能性も高いです。幸い、現時点では、重症患者は発生していませんが、先週からウガンダでも初の死亡者が発生(現在3名)するなど徐々に重症化患者への対応を迫られています。 また、ラチョー病院は、設備が一番整っている病院とは言え、日本とは違い、医療用マスクは圧倒的に不足しており、医療従事者や院内で働く人々の多くは布製マスクを使用しています。そのうえ、その布マスクも十分ではありません。 この状況を鑑みて、テラ・ルネッサンスから400枚のマスクを補充、提供、合わせて啓発ポスターも提供、掲示しました。手洗いポスターは以前から配布していましたが、今回、それに加えて、「3密回避」と「マスクの使用・管理方法」を伝える新ポスターを掲示してきました。写真:ラチョー病院に啓発ポスターを供与する様子 現在、コロナ対策も重要ですが、コロナ以外の感染症や病気などの患者への対応が一つの課題になっています。ロックダウン下で病院に行きたくても移動手段がなく、多くの乳幼児や妊産婦が命の危機にさらされていました。 例えば、現在、ウガンダでは年間、約1万人以上の人々がマラリアにより死亡しており、さらに1万人以上は結核で死亡しています。つまり、平均すると、毎日、60人くらいの方がマラリアや結核で死亡しているわけです。ウガンダコロナによる死者が現在2名であることを考えると、以下にコロナ以外の感染症や病気で亡くなっている状況がいかに深刻かが想像できると思います。 先週から庶民の足であるバイクタクシーも解禁になり、一般患者の数も急激に増えている状況です。市中感染も増えてきている中で、コロナに感染した患者さんが感染を知らないままに病院にやってくる可能性もありえます。 さらなる感染拡大を防ぐため、ラチョー病院に加えてグル県の一般病院にも非接触体温計3台、消毒液20リットル、フェイスシールド20個、その他、公衆衛生用品を支援しました。写真:グル県内の病院に物資を供与する様子 それほど大きな支援ではありませんが、最低限の感染予防、院内感染のリスク低減に役立てることができると思っています。 (報告:小川 真吾)
7月中旬、南スーダンとの国境沿いの町、エレグでの感染拡大を鑑みて、WHOスタッフらと共に現地調査を行いました。結果、感染予防が十分なされておらず、国境を警備する軍関係者にも感染が広がり28名が感染、また市中感染も14名が確認されています。この状況を鑑みて、国境の警備をする軍関係者らへ500枚のマスクと、100枚のマスク使用方法の啓発ポスターなどを配布して、感染予防についての啓発活動を行ってきました。軍関係者らに対しては政府からマスクが一人一枚づつ配されていましたが、この数ヶ月間の使用で汚れたり使い古している状況で、改めて全員にマスクを配布しました。日常的に(感染率が最も高い)国境を行き来するトラックドライバーらと接触する治安関係者への感染予防と共に市中に感染が広がるリスクを少しでも低減できればと思っています。写真:軍関係者にマスクを供与する様子 また、エレグではもともと国境を行き来するトラックドライバーの感染が非常に多く、国全体の感染者数約1,000名に対し、トラックドライバーのみで200名以上の陽性者が過去に確認されています。 感染者(陽性者)は病院に移送されますが、同時にその接触者らは隔離施設に収容されます。当然ながら陽性者が出れば出るほど、その何倍もの人々が接触者として隔離されることになります。しかし、どこの隔離施設も、2週間の隔離期間の食料や衛生用品、その他の生活物資も不足している状態で施設内感染も懸念されています。 この状況を鑑みて、このエレグ近郊の隔離施設で食料や石鹸、サンダル、生理用品、歯ブラシ、歯磨き粉などの日用品やマスクなどの衛生用品を支援してきました。写真:隔離施設に日用品やマスクを供与する様子 ちなみに、軍関係者や隔離施設に供与したマスクを製造したのは、かつて政府軍との戦いに駆り出されてきた神の抵抗軍の元子ども兵たちです。引き続き、スマイルハウスで洋裁技術を習得した元子ども兵たちは、エッセンシャルワーカーや難民、最貧困層の方々の使うマスクを生産していきます。同時に、マスクを使う習慣がなかった同地において、マスクの適切な管理・使用方法をポスターやチラシを使って啓発活動を続けていきます。 今後も中長期的には隔離施設の支援は必要となってきますが、援助機関や政府からの支援にも限界があるため、テラ・ルネッサンスとしてもできる範囲で支援を続けていきます。 (報告:小川 真吾)
2020年4月19日、コンゴ民主共和国南キブ州(ウビラ地域)にて洪水が発生しました。テラ・ルネッサンス コンゴ事務所からの報告に由ると、24名死亡、45名負傷、3500世帯が半壊、全壊でした。7万人以上が被災しました。↓当時の様子はこちら↓【速報】コンゴ民、南キブ州で洪水発生 (2020年4月20日)テラ・ルネッサンスでは、南キブ州ウビラ地域で先月から洪水被災者への食料や衛生用品の支援を行ってきました。治安が悪い上に、新型コロナウィルスの感染者も増えており、国連の人道援助を調整する機関と協議しながらのオペレーションで現地スタッフたちも現地に何度も足を運びながら頑張ってくれました。現時点で、支援が行き届いていない65歳以上の高齢者を抱える200世帯、約1500名に対して、主食のメイズや豆、石鹸やポリタンクなどの衛生用品の配布が完了しています。写真:物資配布の様子もともと、テラルネはこの地域で、紛争被害を受けた女性や国内避難民を対象に、国連開発計画(UNDP)とともにチーズなど乳製品の製造技術指導や協同組合の設立を支援してきましたが、昨年度は治安が悪化していました。そんな中、今回の洪水があり、幸い、協同組合のメンバーの多くは被害を逃れることができましたが、コロナの影響もあり、被災された方々は住む場所もなく、学校の敷地や教室で雑魚寝状態で避難生活を送っています。屋根近くまで土砂に埋もれたままの家や学校、教室の中も黒板の高さまで土砂で埋れていたり、と洪水被害の大きさが伺えます。写真:土砂が屋根の高さまできている建物写真:学校の教室の様子。黒板の高さまで土砂が来ている写真:土砂に埋もれたトラックまた、避難している場所も、劣悪な場所でコロナ対策など、できるような状況ではなく、とにかく、雑魚寝でも寝る場所があれば、という状況が洪水があってから2ヶ月半以上、今も続いている状況です。写真:避難所の中の様子写真:避難所の様子1写真:避難所の様子2治安悪化とコロナの影響で、現場での支援活動もスムーズにはなかなか進みませんが、少しでも多くの方々に支援を届けられるように活動を続けていきたいと思っています。報告:小川真吾
カロンゲ区域は、これまで、相対的にコロナ感染拡大の懸念はされていませんでしたが、感染が拡大していることを鑑みて、カロンゲ区域でも活動をはじめました。下の写真は、大型トラックで州都のブカブからカロンゲへ物資を運搬している様子です。この道中は、雨季にはアクセスが不能になることも多く、今回も物資運搬には相当な困難に直面しました。もともと、紛争の影響を受けており、治安も不安定な中、比較的道路状況がいい日に全てトラックで運搬しました。しかし、想定済ではあるものの、途中何度かスタックしながらその度、泥を排除して運搬し終えました。南キブという地域と紛争鉱物南キブ州は、タンタルや金などの紛争鉱物の問題が起こっている場所でもあり、このカロンゲにもタンタル鉱石や金はたくさんあります。ここで採れた金やタンタルなどが武装グループの資金源となり、紛争が継続している背景もあります。一方、地元の最貧困層の若者たちは、低賃金で鉱山で働いたり、あるいは武装グループに入隊するなどするしか生きる術がないと考え、こうした紛争鉱物のビジネスに巻き込まれているという構造もあります。外部からこうした紛争鉱物の問題を解決していくとともに、地元の若者たちに働く場を提供していくこともミクロレベルでとても大切な活動です。近年は日本のメディアでもこの問題について取り上げられています。https://news.yahoo.co.jp/articles/a3193529727f99d7be11a5aeaec8fc6829e8c48bテラ・ルネッサンスでは、現場でのこうした活動とともに、外部から根本的にこの問題を解決するための取り組みを両輪で行っています。地元の若者への仕事支援先述の背景もあり、カロンゲ区域では、コロナ禍における若者への仕事の提供をしています。地元の木工大工の仕事をしている若者たちにも仕事を提供することで、コロナ禍での生活支援を行っています。地元の若者たちにとって仕事がないということは、武装グループや鉱物資源のような問題に巻き込まれる原因になっています。仕事がないため、反政府軍に徴兵されたり、不法な鉱物資源の採掘に従事するリスクが高くなるのです。コロナ禍で多くの若者たちが仕事や収入をなくしていますので、この若者たちへの就業の機会提供は、紛争予防の観点からも中長期的に取り組んでいかなければいけない大きな課題です。今回は、感染対策で配布している大型の手洗いタンクの土台を木材で製造してもらいました。 合わせて当会の支援で養蜂活動をしている受益者向けの、養蜂箱を作る仕事も提供しました。(養蜂活動は、ブルンジでの活動です。現在、ブルンジから備品を運ぶことができず、停滞している状況ですが、今後のことも考え、先に養蜂箱作りの仕事を担ってもらいました。)報告:小川真吾
コンゴ民 、南キブ州、カロンゲ区域では、テラ・ルネッサンスの事務所があるブカブ事務所から車で(乾季であれば)6時間ほどの農村部に位置しており、これまで、相対的にコロナ感染拡大の懸念はされていませんでした。しかし、南キブ州での感染者の数が100名を超えて、急速に同州(主に州都のブカブ市)で拡大していることを鑑みて、カロンゲにおいても、手洗い用の大型タンクの設置や、マスクや石鹸など衛生用品の配布を開始しました。手洗い設備の設置カロンゲの市場や診療所、病院、洋裁店や雑貨店など、人の出入りする場所、70箇所に手洗い設備を設置しました。うち、市場など人の出入りが激しく、人が密になる場所20箇所には、大型の手洗いタンクを設置しました。こうした手洗いタンクは、市場の管理者や市場で販売する住民らが交代でタンクの水汲みや備品管理をする体制を整えています。写真:大型の手洗いタンク農村部なので、顔見知りも多く、誰がどこで何をしているかもお互い、よく把握していますが、中には、山を越えて、近隣の街へ農作物や炭を運ぶ女性たちもおり、今後、他の街からウィルスが持ち込まれる危険性も十分あります。村々で週に一度、開催される市場では、1000人以上の数の住民が村中から、カロンゲの市場に一気にやってきますので、そこで感染が広がらないように手洗いタンクの設置とともに、手洗い方法や感染予防の啓発活動を合わせて行っています。写真:手洗い設備とポスターを掲示する様子。手洗い啓発ポスターの掲示続いて、カロンゲでの手洗い方法を啓発するポスターの配布・掲示の様子をお伝えします。手洗いタンクの設置を診療所、病院、学校、軍基地などなどで設置するとともに、ポスターやチラシの配布を医療関係者者など、それぞれの場所の方々にお願いして配布、掲示をしています。写真:手洗い啓発のポスター来月初旬には、「マスクの着用方法」と「3密回避」を啓発するポスターの掲示・配布なども合わせて行っていきます。洋裁技術を学んだ女性たちによるマスク生産テラ・ルネッサンスの活動で洋裁技術を身に付け、洋裁店を始めた女性たちがマスク作りを進めています。カロンゲでは都市部と比べるとまだマシですが、それでもコロナ対策により、社会経済活動が制限する中で彼女たちの仕事も困難に直面しています。マテリアルとなる布の仕入れが、道路状況の悪さと相まって、この制限下で都会から調達するのが難しくなっています。また、もともと、現金収入を都会で稼いでいた人たちからの仕送りも途絶え村人たちも、現金がなく、村での売り上げも落ちています。写真:マスク製作の様子そんな中、マスク作りの仕事を提供してきましたが、今回、出来上がった3000枚のマスクを、カロンゲの診療所や病院、市場、行政の人間、軍人、貧困層、子どもたちなどに配布しました。写真:カロンゲの女性たちが製作したマスクを配布する様子。もともと、マスクをつける習慣がなかったので、布マスクの使い方などを同時に伝えていかなければいけませんが、今、コンゴでは、キンシャシャやブカブなどでは、マスク装着を厳しく義務付けているので、住民たちもある程度の重要性は理解しています。とにかく、コロナがこの農村部まで広がってこないことを祈るばかりですが、遅かれ早かれ、感染が広がることも想定して、その時に、少しでも多くの方々が感染予防できるよう、引き続き、マスクの生産と配布は続けていく予定です。報告:小川真吾