コンゴの中央カサイ州の状況コンゴでは感染者が5000名に迫る勢いで増えており、私たちの活動地域である南キブ州でも100名弱の感染者が出ています。幸い、中央カサイ州の方では、まだ感染者が出ていませんが、社会経済活動の制約は続いており、紛争の影響を受けた女性や国内避難民の方々の生活が困窮しています。コンゴでは各州ごとに、それぞれ独自の規制(対策)も講じており、ここ中央カサイ州は、感染者の90%以上が集中する首都キンシャサに比べれば、社会経済活動の制約も比較的緩やかです。ただ、道路事情が劣悪で、首都キンシャサから中央カサイ州へ陸路での物資運搬は、雨季はほぼ不可能で、空路も閉鎖されている状況で、地元の経済活動も大きなダメージを受けています。経済が停滞するというのは裕福層にとっては商売ができなくなるという程度の問題ですが、大多数の貧困層にとっては、今日、明日の生活に直結する命の問題です。コロナ禍で、紛争被害を受けた女性たちが24,000個の石鹸を生産できました。さらに、もともと数年前の紛争によって学校や病院、村々が焼かれ、多くの方々が家族を失い避難民になるなどの紛争の影響を受けており、コロナショック以降は、食料価格も高騰する中、避難民や最貧困層の人たちは1日一食を食べるのがやっとの状態です。そんな中、テラ・ルネッサンスではコロナの感染予防の支援とともに、コロナ禍で生活に困窮している方々への生活物資支援や生計支援を行ってきました。ここ、カナンガでは、昨年、石鹸作りの技術訓練をして、自立していた紛争被害を受けた女性たち100名に、石鹸作りの仕事を担ってもらっています。彼女たちは全員、紛争の影響で、家や、夫や子どもを亡くした女性たちです。この仕事を提供することで、彼女たちはこのコロナ禍でも最低限の生活を維持することができています。この2ヶ月間で、24,000個以上の石鹸を生産してもらうことができました。生産した石鹸は、国内避難民や最貧困層や、障害者、高齢者などコロナ禍で衛生用品さえ購入することができない方々に配布しています。女性たちが生産した石鹸を地元の方100世帯以上に配布しました。生産した石鹸は、地元の最貧困層やシングルマザー、高齢者、障害者など、最も脆弱な方々に配布しています。現時点で100世帯以上に配布が終わっており、今も継続して配布を続けている状況です。写真は、生産して箱詰めした石鹸を出荷準備している様子です。もちろん、今回はこれらの石鹸は全てテラ・ルネッサンスが買取り、それを他の方々への支援物資として無償で配布しています。スタッフが一軒一軒訪問することで、地元の方と対話しています。配布先は、スタッフたちが、他の援助機関や、各村々のリーダーたちと相談し、戸別訪問をして最も脆弱な対象者を優先的に支援しています。また、配布する際も、1箇所に集めて配布することはコロナ対策上できないので、一世帯一世帯、スタッフが戸別訪問して配布しています。炎天下の中、うちの現地スタッフも結構、体力を使う仕事ですが、スタッフたちの話を聞くと、直接、訪問することで、コロナ禍で生活苦とともに精神的にも不安を抱えている最脆弱の方々から様々な話を聞いたり、状況を把握することができています。写真:ベージュのベストを来ているのがテラルネスタッフさらに、戸別訪問の際、対象者の方々から悩みや、苦しみを直接話を聞いたり、また、世間話や楽しい話もしたり、写真をとったりするなどインフォーマルな対話をすることで、対象者の方々からは、支援に対する喜びとともに、「話ができてよかった。家まで来てくれて本当にありがとう」という言葉をたくさんもらっているとのことでした。一人ひとりの状況や、抱えている悩みや苦しみは様々で、多くは物理的な支援も必要としていますが、それでも、それぞれの心に寄り添い、可能な限り、それぞれの状況に応じて支援を行っていくことが大切だと感じています。もともと紛争により家族や家を失い、喪失感や孤独感、心の傷を抱えながら、コロナ禍で明日の生活も見えない最脆弱層の方々に対して、「顔の見える誰か」が側にいてくれているという安心感をテラ・ルネッサンスのスタッフが与えることができればと願っています。まだまだ、コロナ禍で生活が困窮している方々がたくさんいる中で、現場のニーズは十分満たせていませんが、今回、コロナ対策のご支援で多くの方々から募金を頂いたことで、さらに食料や衛生用品を、現地の方々に届けていくことができます。パイナップルジュース作りと農作物一次加工で、コロナ禍を乗り越えようとしています。コンゴでは感染者も増え、多くの人々が失業、収入を亡くし、暴動が起こったり、犯罪が増えたりする中、多くの最貧困層が人間として最低限の生活すら維持できない状況になっています。もともと、紛争の影響で多くの人たちは、援助に依存して生活していましたが、昨年から、紛争被害を受けた女性たち280名は、石鹸作りや、パイナップルジュース作りや、農作物の一次加工技術を習得して、相互扶助グループを形成して自立することができました。彼女たちは全員、紛争で夫や子どもを亡くした女性たちでしたが、ようやく自立した生活ができるようになっていたところにコロナ危機がやってきました。社会経済活動や移動の自由が制限される中、地元の人々は収入源を失い、生活苦に陥っています。テラ・ルネッサンスも今、こうした生活が困窮した方々の暮らしを守るために、生活物資の支援や生計向上支援を行っています。一方、パイナップルジュース作りと農作物の一次加工に従事する女性たちの暮らしを守るためにどうするかをいろいろ検討してきました。オプションとしては、彼女たちに生活物資を配布することで生活補助するというやり方もありましたが、最終的に本人たちの希望もあり、今、行っている生産活動を側面からサポートすることにしました。3密を避けながら交代でグループのメンバーが仕事を行っていますが、ジュース作りのメンバーらは、生産したジュースを販売しようとしても、これまでジュースを下ろしていたレストランやホテルも軒並み営業が停止したり縮小している中、収入が減少してしまいました。しかし、それでも、援助に100%依存するような生活には戻らないように、テラ・ルネッサンスからは、物資運搬や移動のサポートをしながら、彼女たちだけで、コロナ禍を乗り切ろうと頑張っています。ホテルやレストランでの売上が減少した分、メンバーが協力して、アイスボックスに作ったジュースを詰め込んで、それを街中で、歩いて売りに回るという方法で、懸命に仕事をしています。また、農作物の一次加工をする女性たちも、材料の運搬などのサポートはテラ・ルネッサンスから受けながらも、自分たちでマーケットを周り、売り上げをあげようと努力しています。今も多々困難はあるものの、この2ヶ月間、彼女たちは自分たちの力で生活を守り抜いています。多少のテラ・ルネッサンスからのサポートはあるにしても、ほとんどのことは彼女たちがグループの中で話し合い、レジリアントにこの危機に対応しています。多くの人たちが、コロナ危機に心が折れたり、あきらめたり、安易に物資支援を求める中、彼女たちの取り組みは、彼女たちの底力を感じさせられます。どうしても、援助する側は、対象者に「無いものばかりを探してしまいがちですが、彼女たちの中にある在るもの」をしっかりと見守っていく大切さを改めて感じています。とは言いつつも、不安定な状況には変わりなく、いつ彼女たちが耐え切れないほどの危機に直面するかもわかりませんので、私たちとしては、彼女たちの生産活動を見守りながら、できるだけ彼女たちの「できること」をしっかりと側面から臨機応変にサポートしていきたいと思っています。報告:小川真吾
日本をはじめとし、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の感染が世界的な拡がりを続けています。現在、私たちが活動しているアフリカのウガンダやコンゴなどでも感染者が確認されている状況です。これらの地域は、もともと紛争の影響で、多くの避難民や貧しい人々が劣悪な環境下での生活を余儀なくされています。医療体制や衛生管理が不十分であり、今後さらなる感染拡大が懸念されます。「ウィルスに殺される前に、失業に殺される」感染予防の対策として経済活動が制限されていますが、これにより新たな問題が浮上しています。 多くの住民が失業もしくは一時的に収入源が絶たれ、現地の人々の生活が圧迫されているのです。労働者の大半が、日払い、週払いで生計を立てており、生活の糧を失った最貧困層の人々の生命を脅かす事態が生じています。 残念ながら、過去にテラ・ルネッサンスの社会復帰支援センターを卒業し、自立を果たした元子ども兵の人々も同じような状況にあることがわかりました。元子ども兵のモニカさん(仮名)も、そのなかの一人です。新型コロナの猛威が迫る以前、彼女はどのような過程を経て自立を果たすことができたのでしょうか。以下より、少しだけご紹介させてください。人はその日一日を穏やかに過ごすことができる。そう話してくれたのは、テラ・ルネッサンスの元子ども兵社会復帰支援センターの卒業生であるモニカさん。彼女は、ウガンダの反政府軍に誘拐され、2003~2004年の2年間を『子ども兵』として過ごしていました。軍隊を除隊後、彼女はなんとか自分の村に戻ることができました。ですが、周囲からの差別や偏見を受け、自分は何の価値もない人間だと塞ぎ込むような生活を送ることになります。このような状況だったことから、彼女は2013~2015年にかけてテラ・ルネッサンスの施設で社会復帰のための支援を受けることになりました。自立を目指して訓練に励んでいくモニカさん。彼女自身の変化のキッカケとなったのは、支援の一環として学んだ「平和教育」だったと話してくれます。「平和教育」の授業で、彼女は「人はその日一日を心穏やかに過ごすことができる」ということを知り、人生を変えることができたと語ってくれました。支援を受ける以前、「毎日が嵐の中にいるような日々だった」と話す彼女。「でも、その嵐は自分が作り出していたものだと気がつきました」といいます。また周りの人と、どのように付き合えば良いのかといったことも学び、たくさんの新しい友達にも恵まれます。職業訓練として洋裁の技術を身につけた彼女は、村に戻ったあと洋裁店を開業することができました。気づけば、私に夢中。テラ・ルネッサンスで受けた社会復帰の支援を通じて、人生を変えてきたモニカさん。そうした変化は、一日一日の生活、まさに今この作業に集中することの連続の中で生まれた結果でした。目の前の訓練を一つひとつこなしていくことで、ミシンが使えるようになり、その技術で収入を得ることができるようになり、そして洋裁店を開くことができていた。気がつけば彼女は、自分の人生に、夢中になって生きていたのです。内戦後も続く苦しみを乗り越えて。ウガンダ北部では、2000年代に内戦が終結しました。しかしその爪痕は今日まで消えずに残っています。反政府軍に誘拐されていた元子ども兵は、今も隣国からウガンダに帰還することがあります。自分の村に帰ったあとも、元子ども兵たちの苦しみは続きます。多くの元子ども兵は、帰ってきた村で差別を受けたり、また戦闘に参加していたため教育を受けておらず、自分の力で生活することができない場合が多いためです。私たちは、そうした元子ども兵をウガンダ北部の町(グル)にある施設に受け入れ、職業訓練などを通して社会復帰できるようにサポートしています。身体だけでなく、心に深い傷を負った元子ども兵の人々。施設にきた最初の頃は、多くの場合、自分の心を閉ざしてしまうことがほとんどです。それでも、日々の訓練を通して、そんな状況が少しずつ変化していきます。「洋裁の技術を活かした仕事をしたい」「子どもに教育を受けさせたい」「町に出てもっと勉強したい」など、笑顔でそれぞれの夢を語ってくれる人たちもいます。そんな彼ら彼女らの姿から、私たち自身も学ぶことが多いです。「自立」と「自治」を促進するテラ・ルネッサンスの支援自立支援において、私たちが大事にしている考え方があります。それは「自立」と「自治」を促進した支援のあり方です。「自立」とは一人ひとりが自らの力で立ち上がり、周囲との関係性の中で生きていくこと。そして「自治」とは、その人たちが互いに手を携え、さまざまな問題を解決していくことです。さらにもう一つ、個人個人の状況に合わせて支援の方法をカスタマイズすることです。これは、一人ひとりが「やりたいこと」「できること」に焦点を当てるこのオーダーメイド型の支援です。これらの方法にもとづき、これまでに、208名の元子ども兵がテラ・ルネッサンスの支援を受け、自立への道を歩んでいます。支援の成果の一部をご紹介します。手に職をつけ収入を得られるようになったことから、収入面の変化は支援前の約50倍に。さらに、自分の村で差別や疎外感を感じずに生活できる元子ども兵の割合も3倍以上になりました。そのなかで、自尊心の回復も確認することができました。経済的にも自立しながら、周囲との関係性の中で、自分の人生を歩むことができるようになったのです。 気がつけば、村の人々を支える存在へ現在は洋裁店を営んでいる卒業生のモニカさん。大勢の人がお店に訪れるようになり、なかには「洋裁の技術を教えてほしい」と相談する人も現れるように。このことから、彼女はそんな人たちに、洋裁の技術を教えるようになりました。かつて、「自分には何の価値もない」と思っていた彼女も、今では村の人々から頼りにされる存在になってました。彼女は笑みを浮かべて、このように言います。「このように、いまではコミュニティの人々もサポートすることができ、以前よりも良い関係になりました。平和に暮らせるようになって、とても幸せです。」そんな彼女には夢があります。ひとつは、プロの洋裁家として仕事と講師を続けること。そして、子どもたちに教育を受けさせることです。5人の子を持つ彼女は、子どもたちの将来について話してくれました。「子どもたちにはまず、十分に教育を受けてもらって、二人の男の子には先生と医者になってほしいです。そして、女の子たちには自分の洋裁のビジネスを続けてほしいですね。」ここには、今も変わらず、自分の人生に夢中で生きている彼女の姿がありました。日本の皆さんにお願いしたいことは…テラ・ルネッサンスでの支援を通して、自分の人生を切り開いていったモニカさん。私たちとの会話の最後には、このようにも話してくれました。「皆さんからの支援があったからこそ、いまの私になることができました。心から感謝しています。私に支援してくださったように、私も他の人々を支援するように務めることを誓います。そして日本の皆さんにお願いしたいことがあります。世界中のあらゆるところで、私にしてくださったように他の人々の支援も続けていってください。」新型コロナを生きる、彼女たちの今。現在、新型コロナの影響によりモニカさんの洋裁店も営業することができない状態に陥っています。 やっと掴んだ自立した暮らし。そこに対するこれまでの努力を思うと、とてもやりきれない気持ちです。このような状況のなか、私たちはモニカさんをはじめとする人々に対して、布マスクの生産を発注し収入を得られるようにサポートを開始しました。現地では、日本同様にマスクの需要が高まっています。また、輸入物のマスクが通常価格よりも数十倍に高騰しているため、貧困層の人々ではとても手にいれることができません。そのような人々をはじめ、病院や医療従事者へも布マスクを配布し、非常に良い評判をいただくことができました。紛争を生き延び、差別や偏見を受けるなどさまざまな困難を受けた人々ですが、今ではマスクの制作を通じて、人と社会になくてはならない存在になっています。皆様と一緒に。「新型コロナウイルス対策緊急支援プロジェクト」では、5月31日をもって、本キャンペーンにおけるご支援の呼び掛けを終了しました。結果、921名の方々から24,460,616円のご支援をお寄せいただきました。日本国内も大変な状況であるにも関わらず、お一人お一人からの温かいお気持ちとご支援が本当に嬉しかったです。重ねて御礼申し上げます。新型コロナウイルスの感染拡大のなか、弊会の事業地であるコンゴ民主共和国では大規模な洪水災害が発生し、多くの人々が生命の危機にさらされる事態となっています。また、ウガンダやコンゴに加え、私たちが活動する隣国ブルンジにおいても新型コロナウイルスによる被害が深刻化しています。その中で、テラ・ルネッサンスだからこそ「できることがある」と考え、感染予防活動や生活に困窮している人々へ生計支援活動を実施しています。キャンペーンとしてのご寄付の呼びかけは終了しましたが、これからも活動地でのコロナ対策のための支援は続いていきます。テラ・ルネッサンスでは、月々1,000円から継続的に支援していただけるファンクラブ会員制度をご用意しております。ファンクラブ会員になって、テラ・ルネッサンスの活動を継続的に支えてくださいませんか。これからも、みなさまと一緒にテラ・ルネッサンスの活動を推し進められることを心よりお待ちしております。2020年6月25日 テラ・ルネッサンス一同
グルでの手洗い啓発ポスター貼りの様子です。(写真)ポスターを貼るスタッフこちら、2ヶ月前からずっと続けていますが、現地スタッフがとにかく、地道にあちこち回って、ポスターを貼り続けています。病院や地域の市場などの人たちも手伝ってくれてはいますが、炎天下の中、なかなかハードな作業です。また、今後、ロックダウンが徐々に解除されて、人の移動が増えていくことが予想されるので、「3密回避」と「マスクの使い方」を啓発するポスターなども、合わせて作成、配布、張り出しを行っていく予定で準備を進めています。(写真)手洗い設備にもポスターを貼りつけるちなみに、以前のブログを読んでくださった方は気づいたかもしれませんが、写真のグルのスタッフたちが着用している赤いベストは、実はアジュマニのスタッフたちが着用しているのと同じベストです。先々週くらいに、アジュマニスタッフのベストを見て、これはいい!ということで、グルのスタッフの分も洋裁の受益者たちに仕事として作ってもらいました。(写真)アジュマニのスタッフと同様のベストを着るグルのスタッフ余談でしたが、引き続き、手洗い啓発も続けていきます。(報告:小川真吾)
ウガンダ グルの隔離施設での緊急支援の様子です。グルの隔離施設でも、マスクの配布や緊急の食料援助を行っています。(写真)隔離施設に提供する支援物資隔離施設には陽性患者に接触した人々が2週間滞在しているのですが、施設の状況は非常に悪いです。そのため、自身に感染の恐れがあっても、多くは陽性患者と接触していたとわかった途端に逃げ隠れしようとするような事が起こっています。(最終的にはほぼ全員が追跡され、施設に隔離されています)南スーダンに近い、アジュマニ県やモヨ県の隔離施設のほうが人が多く、大変な状況ですが、ここグルの隔離施設も先月、あまりにも環境が劣悪なので、収容された人々がデモを起こしたりもしています。(写真)隔離施設に支援物資を供与する様子今後、さらに感染が拡がっていくと陽性患者のみならず、濃厚接触者として隔離される人々の数は急増していくでしょう。しかし隔離施設内での感染拡大は、どうしても避けないといけません。検査をして2週間滞在して問題なければ、解放されるのですが、もし検査結果を待っている間に隔離施設で感染してしまい、無症状のまま解放されてウィルスを村々に持ち帰ることも考えられます。実は、今日、実質、県のNo1とNo2であるグル県知事とグルのRDC(中央政府から派遣された県代表)の2名が自宅隔離されることになりました。以前、陽性診断された政府高官と濃厚接触していたからです。RDCはタスクフォースチームのリーダーも担っているので、県のトップ2が隔離される状況でタスクフォースはリーダーなしで頑張っていく必要があります。何れにしても、日本と同様に、誰が感染するかわからない状況かと思います。ただ、一方で、ウガンダの感染対策は、ロックダウンしかり、PCR検査しかり、クラスター追跡しかり、かなり厳しく取り締まっており、行政のトップであろうと関係なく、すぐさま隔離され、公表されています。(報告:小川真吾)
ウガンダでは、ここ2週間ほどで感染が急激に増えてきています。厳しいロックダウンをせずに初期に感染が爆発したタンザニアを超えて、522人まで増えています。(2020年6月5日時点。) 中でも、北部の南スーダンとの国境でトラックドライバーやその接触者の感染がかなり広がっています。先週末(5月30日)には、一気に84人の感染者が見つかりましたが、そのうち50名は南スーダン国境で見つかったトラックドライバーで、32人は隔離施設にいた接触者らです。 現在、ウガンダでは全国で16の大きな公共病院がコロナ患者を受け入れているのですが、北部では私たちの活動地域であるグル病院が最も多くの患者を受け入れています。 グル病院は、66名を受け入れて(1名は退院)おり、ウガンダでは最も多くの患者が集中している状態です。 写真:ウガンダで最も多くの患者が集まるグル病院。*陽性患者の病棟ではありません。◆ロックダウン下で迫る命の危機患者数を増やしているのは新型コロナウイルスのみではありません。現在、ロックダウンの影響で、コロナ以外の感染症や病気によって、多数の命が奪われているのです。コロナ以前から、毎日約60人がマラリアや結核で死亡している状況ですが、ロックダウン下では、移動手段がなく病院にもいけず、さらに多くの(特に乳幼児が)既存の病気、感染症で命を落としていることが予測されます。写真:マラリアやその他の感染症で重症化した人たちの病棟、入院する子どもたちの様子。このグル病院も元々は11名くらいしかコロナ患者を受け入れられないとも言われていましたが、現在は、なんとか陽性患者66名を隔離病棟に受け入れています。これは、日本人から見ればほぼ医療崩壊状態です。(一応、75名のコロナ患者用にベットを用意しましたが、それを超えるのも時間の問題です。)この状況を見て、地元国会議員や地域リーダーたちが、「これ以上、グルにコロナ患者を入れるな!グル病院は既にキャパを超えている!」とデモをして道路封鎖するようなことも起こっています。◆グル病院への医療機器支援こうした状況を鑑みて、テラルネとしても、グル病院での院内感染を防ぐためのサポートを即開始しました。グル病院には、軽症患者に対応するための十分な基本的な医療機器も不足しているため、一般患者と共用している状況です。つまり、院内感染のリスクが極めて高くなっています。そこで、グル病院の院長や担当医師、医療機器のエンジニアらと協議した上で、最低限、必要な医療機器を調達中です。この支援は急ピッチで進めており、早ければ明日には、首都のカンパラから機材が到着して、来週初めには供与・設置を完了できるようになります。ただ、もちろんこれだけで十分ではなく、政府や他の援助機関の医療支援も必要です。とにかくこれ以上、感染者を増やさないことが何より重要です。◆隔離施設からの感染と感染の恐怖現在、感染者が隔離施設からも出ており、隔離施設内で感染が広がっている可能性も危惧されています。(補足:ウガンダの南スーダンとの国境近くにあるアジュマニ県では、国境を行き来する多ラックドライバーや不法にウガンダに侵入した南スーダン難民の方たちを3つの隔離施設に2週間隔離している。)隔離施設に行くと怖いという理由で、陽性患者と接触した人たちが逃げてしまったり、隔離施設に来ることを拒むこともあります。(結局は強制的に連れて行かれます。)その理由は、自分が感染していないかもしれないのに、感染する恐れがあるという「恐怖」と、隔離施設の生活状況が劣悪だからです。院内の感染予防は不十分で、十分な食事も提供されていない状態で、テラルネからも食糧や物資の支援を続けています。◆地域から偏見を受けていた元子ども兵らのマスクが、地域を救う生活維持支援として、ロックダウン下で洋裁店を強制的に閉めざるを得なかった元子ども兵たちに、マスク生産の仕事を作り、彼ら彼女らが収入を得られるようにサポートしています。生産されたマスクは主にグル県内の病院や診療所などで医療従事者や、病院のスタッフ、患者さんらに使用してもらえるように配布を行っています。写真:生産されたマスクを医療従事者や病院のスタッフ、患者さんらに配布する様子。また、マスクは、援助関係者らの中でも持っていない方々も多くいるので、コロナ対策に従事する援助関係者や行政官らの集まり(タスクーフォースチーム)のメンバーたちにも配布しました。評判も非常によく、最近、どこに行っても、マスクを欲しいと声をかけられます。(県知事も使っています。)先月、政府はマスクの着用を義務化して、マスク着用を条件に諸々のロックダウンの規制を緩めていくと発表しました。同時に、政府も全国民(6歳以上)にマスクを配布するとは言いましたが、人口4000万人を超える国民全てに配布するには、数ヶ月かけても、まずまず、不可能です。現地の人たちも、さすがにそれは期待していませんが、それでもマスク着用しないと、様々な社会経済活動ができないので、なんとか手に入れようと、自宅で作っている人たちも多くいます。ただ、現状は工場は稼働していますが、街の洋裁店はいまだロックダウン下で営業は禁止されているので、マスクの供給量は圧倒的に不足しています。 また、これは以前からですが、輸入物の使い捨てマスクなどは、通常価格の数十倍の値段で販売されていたりするなど、とても貧困層には購入できるものではありません。こうした中、当会を卒業した、元子ども兵や最貧困層らが毎日、自宅で作業して作っているマスクは、本当に社会全体、感染予防にも役立っています。 写真:医療従事者の方にマスクを手渡す様子。10年前は、社会やコミュニティから、差別や偏見を受けたり、バカにされたり、家族親戚からもお荷物扱いされていた元子ども兵たちが、今、社会の人々にとって、なくてはならないものを供給していることに感動を覚えたりもします。今回はご紹介したのはグルの様子ですが、アジュマニ県の難民居住区でもマスク生産、配布中です。可能な限り、国民が安心して生活できるようにマスク生産は継続していきたいと思っています。また、ロックダウンが来週くらいから少し緩和される予定ですが、そうすると人が動き始めてマスクの需要はますます高まることが予想されます。(政府の生産するマスクがいつになるかは全く見通しが立っていません。)ですので、これからも急ピッチでマスクの生産、配布を行っていきます。今回の緊急支援プロジェクトにご協力頂いた皆様のおかげで、本当に多くの活動を、ロックダウン下で行うことができました。改めて、心より御礼申し上げます。報告:小川真吾◆ファンクラブ会員として、私たちの活動に参加しませんか?「新型コロナウイルス対策緊急支援プロジェクト」では、5月31日をもって、本キャンペーンにおけるご支援の呼び掛けを終了しました。結果、921名の方々から24,460,616円のご支援をお寄せいただきました。日本国内も大変な状況であるにも関わらず、お一人お一人からの温かいお気持ちとご支援が本当に嬉しかったです。重ねて御礼申し上げます。新型コロナウイルスの感染拡大のなか、弊会の事業地であるコンゴ民主共和国では大規模な洪水災害が発生し、多くの人々が生命の危機にさらされる事態となっています。また、ウガンダやコンゴに加え、私たちが活動する隣国ブルンジにおいても新型コロナウイルスによる被害が深刻化しています。その中で、テラ・ルネッサンスだからこそ「できることがある」と考え、感染予防活動や生活に困窮している人々へ生計支援活動を実施しています。キャンペーンとしてのご寄付の呼びかけは終了しましたが、これからも活動地でのコロナ対策のための支援は続いていきます。テラ・ルネッサンスでは、月々1,000円から継続的に支援していただけるファンクラブ会員制度をご用意しております。ファンクラブ会員になって、テラ・ルネッサンスの活動を継続的に支えてくださいませんか。これからも、みなさまと一緒にテラ・ルネッサンスの活動を推し進められることを心よりお待ちしております。2020年6月15日 テラ・ルネッサンス一同