こんにちは。犬飼です。 ジュエルっ子物語の絵本は、2014年に、「おてらハプン!」という、私の所属する、モファというグループが企画しているアートイベントの中で初めてお披露目されました。 この年の「第7回おてらハプン!」のサブタイトルは、「レインボウ」。 7回目だから7色でレインボウっていう発想でしたか、実は、裏テーマにLGBTの問題を扱いたいというのがありました。 そういうテーマに向き合ってくれるアーティストを集め、カミングアウトをしている当事者さんにリサーチに行ったり、かかわってもらったりして、何度もミーティングを重ねる中で、やはり、カミングアウトをしても、しなくても、安心して、自分らしさを解放できる、アート空間をつくる。というコンセプトで行いました。 なので、そこに至るまでのミーティングでは、あんなにLGBTについて語り合ったのに、イベント当日は、全く、LGBT感ありません。笑 このイベントが成功だったのか、失敗だったのかを、 例えば、当事者が何人来て、カミングアウトしているのがそのうち何名で、などというデータをとって評価するのは、ナンセンスです。 もちろんモファは、そんなデータとっていません。 来場者がどんな立場の人であるかは、知りません。ただ、みんなが、自分らしさを楽しんだ表現をワークショップで体験できること。 展示作品をゆっくり見て、何かを感じられる時間を作ることのみに、力を注ぎました。 来場者はみんな、楽しんで行ってくれたと思います。 本日、そんなイベントを一緒に作ってくれたメンバーとの、集まりがあったので、ジュエルっ子物語の朗読をしてきました。 実は、2014年に発表した状態より、2016年版は、絵が倍くらいに増えています。なので、初めて見る絵もあるのです。 朗読の後、ボランティアで関わってくれている子が、 「なんとなくフラッと参加してこのモファのボランティアになったけど、こういう打ち上げの場や、ミーティングで、マイノリティの方達のナマの声や、支援の現場での話を聞いて、その後、社会の中でそういう人に出会ったときに、役立っている。全然、そういう世界を知らないと、どうしていいかわからずに、自分もパニクるし、相手の事も傷つけるかもしれないけど、自然でいいんだ、と思う。」 と話してくれた。 ジュエルっ子物語の朗読を、色んな所でする事で、きっかけがなきゃしない「そういう話」をできる場が作れる事は、ちょっと、興味深い。 今日のように、カミングアウトしている当事者がいなくても、「ジュエルっ子物語」の中の、アキとタクが、私の声を借りて語ってくれる。 やっぱり、絵本がひとり歩きして、対話の場を作っていってくれる環境を作りたいなー。 先日のイベントでも、私とアキさんで、朗読の仕方が違うという話から、「この本をいろんな人が、いろんなふうに読むのを見てみたいから、ぜひ絵本にして、2人が行けない場所にも置いてほしい」と言ってくださった来場者さんがいました。 今の段階では、資金不足な私達の歩みはすごく遅い。なかなか絵本を大量に印刷するという所までたどり着かないけど、それでも、一歩一歩、進みます。 皆さん、応援してください!!
『絵本・ジュエルっ子物語』は現在4冊のみ存在します。この絵本が私たちに重要なプロセスを起こして行きます。 『LGBTを知る』の本当の意味 『LGBT等の性的少数者』とは、全ての人に共通する「セクシュアリティ」の多様性の一部に過ぎない。 これが『LGBTとは』の答えになると思います。 頭で分かっていても、この『全ての人に共通する』ということが本当に腑に落ちていないと、私たちの活動は表現不可能なのです。 そこが『ジュエルっ子プロジェクト』の捉え方の難しさだと思います。 なぜ、こんなに私の想いは伝わらないのだろう。 『ジュエルっ子物語』のお話を書いた方の人、濱田アキです。 チャレンジ期間中、『ジュエルっ子プロジェクト』は新聞とテレビの取材を受けました。 その体験と、それによっての私の変化をお伝えしたいと思います。 『ジュエルっ子プロジェクト』をメディアに載せると、なぜ、こんなに私の想いは伝わらないのだろう。 何度か取材を受け、こんな気持ちを何度も味わいました。 実は、NHK大津放送局さまでの放映予定は、このことがネックとなり、中止になりました。 このことで、私は、何か私と社会の認識に、特にLGBTのテーマについては、大きなズレがあると気づかざるを得ませんでした。 (私の表現力の未熟さと、メディアが話題性の高いことに焦点を当てるということを差し引いても、です) 私は約10年間、のべ千人近くの当事者と関わって来ました。 当事者側の感情・思考はある程度慣れているつもりでいます。 でも、当事者と関わる一般の方の気持ちには無頓着でいたよなぁと気づいたのです。 そこで、世の中がLGBT等の性的少数者との関わりにとまどっているという現状をつかんだ上で、私にとっては初の『一般の方向け「すぐできる!LGBT支援講座」』を開催してみました。 これによって私は、社会の生の声を知り、自分とのズレを具体的に知りたいと思いました。 講座は、「当事者」と「一般の方が思う当事者」との違和感を埋められるよう考慮し、構成しました。 誤解を恐れずに分かりやすく言うと、なぜLGBT支援をしたいのに、当事者の痛いところに塩を塗り込み、援助が欲しいところはスルーするのか、ということです。 しかし、一般の方も、そこを恐れているのでしょうね。 だから接し方が分からないのでしょう。 お会いした受講者は熱心な方ばかりで、背筋が伸びました。 おうかがいしたことで印象的だったのは 「やっと、今、LGBTを学べる機会がやって来た。今まで学びたくてもさわることさえできなかった」 「今まで当事者に会ったことがなかった。でもそれは、ただの無関心だっただけではないのか」 皆さまの想いに接して、私、うるうるしてしまいました。 まとめてみると、こういう感じですね。 ・LGBTはほとんど目に見えない ・問題の根幹がどこにあるのかつかみにくい そこで、今回のポイントは『セクシュアリティとは?』でした。 ・セクシュアリティは人間に共通するもの ・LGBT等の性的少数者は、セクシュアリティの多様性の一部 ・自分もセクシュアリティの多様性の一部である ・LGBTが持つ課題は決して他人事ではない これが『根幹』です。 『LGBTとは?』から取り組むと迷宮に陥ってしまうのですが、『セクシュアリティとは?』から入るとLGBTが何なのかが見えて来ます。 先ほど表現した「痛いところに塩を塗り込む」とは、他人のようにして関わろうとして来る支援者に傷ついちゃってるのかも知れません。 「援助が欲しいところ」は、心ふれあう関係性なのかも知れませんね。 今回受講された方からご感想をいただきました。 自分の中に社会的性との葛藤があったのは新しい気づきだった (『LGBT支援』について)感覚を磨く ・第三者的に自分を見る ・レッテル貼り・弱者扱いしない ・相手から受け取るものがある 濱田さんはLGBTとのことだが別に違いはなく普通に楽しい人だった 『普通に楽しい人』!おお!(嬉) そうなんです。私、私がいることで人に楽しんで欲しいんです。 そのお言葉、すっごく支援されている気持ちです 濱田のカミングアウトの理由 今まで、私が公でカミングアウトをして来た理由は、クローゼットの人(ご自身のことを伏せて生活している人)のためでした。 遠く離れたクローゼットの人が必要と思った時にいつでも私にコンタクトを取れるように。 (実際、人知れずコンタクトいただくことが大変多いのです) でも、今回痛感したのは、理由をもう少し拡げる必要があると言うことです。 LGBT等の性的少数者を視覚化する象徴として存在し、なおかつ、セクシュアリティの学びを深める存在となること。 私は社会のここに働きかけて行く必要性を感じたのです。 気づいてしまったら、仕方ない。 やる必要性があるから気づいたのです。 私の仕事だから気づいたのです。 『ジュエルっ子プロジェクト』は、人間に共通するセクシュアリティを扱ったものと言えます。 でも、セクシュアリティは深刻に扱っては逆効果です。 犬飼がレポートアップしていたように、子どもが性の話をし出すとなぜかきゃあきゃあと盛り上がっちゃう。 そのようなものなんですよね。 大好きなんです。セクシュアリティ。 性は生に大きく関わっている。 それどころか一体化している。 セクシュアリティは人に共通している。 ただ留意したいことは、様々な理由からセクシュアリティに深刻な渦中にいらっしゃる方は、深刻さから無理に抜け出さなくていい。 ましてやカミングアウトなんかしなくていい。 だから『対話』の形が選べることは重要なのです。 私たちの想いは『ジュエルっ子物語』に全て詰め込みました。 私たちと言葉を交わさなくても、そこにもし共感してくださったとしたら、私と読者や来場者との対話は成立です。 この繊細な対話の場を、私は妥協することなく表現し続けます。 しかし・・・ ここまで深く踏み込んで来るメディアは・・・ たぶんいないでしょうねぇ・・・ いえ、私も表現できていなかったんです・・・ 自分の内にあるものを表現したい。そんな自分で存在しているだけ。 それが結果的に沢山の方の共感を得て行きました。
こんにちは。犬飼です。先日「絵本ジュエルっ子物語 対話型原画展」を開催した出会いの広場では、常に「ジュエルっ子物語」が読める状態になっています。お手にとってご覧になりたい方はぜひお越しください。ここ↓http://shinshinren.or.jp/deainohiroba/ クラウドファンディングの支援の仕方、Webへの登録の仕方、また、クレジットカードの登録が不安な方のための、私たちの代理決済の方法など、9日(土)、13日(水)、14日(木)なら私がいますので、ご説明します!10:00〜18:00にあいてます。 (注意:土曜日の13:00〜16:00ごろまで席を外していますのでそれ以外でお願いします) 私たちがクラウドファンディングを始めてから、何度も聞かれるのが、「どうして、普通の寄付じゃなくて、クラウドファンディングにしたの?」という質問です。 きっかけは、経済的に活動が困難になりかけていた私たちに、前回の対話型原画展を見た人が、クラウドファンディングを紹介してくれたことにありますが、「知り合い」や「仲間」だけでなく、「一般的」にこの活動を伝えるために、いろんな言葉で考えたり、自分たちのやっていることを整理し直したりする中で、見えてきたことが色々あります。 直前の打ち合わせの時だったか、アキさんが、言いました。「この活動、私たちがやりたいだけなのか、それともちゃんと社会にニーズがあるのか、確かめたい。」まさに、それ! クラウドファンディング期間に入ってから、私たちは二手に分かれて、いろんな人に会いに行きました。ネット上だけの告知でなく、実際に、絵本を持って会いに行ったのです。 前から、応援してくれている友達や、仕事仲間、アーティストたち、とは違うジャンルの人、今まで、こういう話をしてこなかった人にの所へ、というのが、私たちの密かな目標でした。 その結果、新しく出会ったいろんな人が、支持してくれたり、興味を持ってくれたり、今後の展開を一緒に考えてくれたりしました。 わざわざ社内で時間をとって、絵本を読ませてくれた会社もあります。 その中で出てくる様々な、エピソード。実は友人にセクシャルマイノリティの子がいたとか、お子さんが学校に行ってなくて困っているママ友がいる、とか、密かに自分もそういう活動をしている、とか、実際に相談員さんや、公の施設から問い合わせがあったり、この1ヶ月、本当に色々な事がありました。 取材も来ました。 この対話の場を本当に必要としている人が、どういう状況を望んでいるのか、外側から見ている人が、どんなストーリーを期待しているのか、私たちが本当に届けたいところはどこなのか、どうやって動けば、一番そこに届く動き方ができるのか、どんな形の活動支援を受けるのがベストなのか、本当に、たくさん、勉強になっています。 全てがお金の支援に結びついたわけではないけれど、クラウドファンディングをやらなきゃ出会わなかった人、広がらなかったこと、がたくさんあります。 もう、それだけで満足、と思いかけたところ、昨日、前から応援してくださっている方が、「こういう活動は絶対に、失敗しちゃダメなんだ。大切なことなんだ。何としてでも達成しよう!」と気合を入れに来てくださいました。 カウントダウン始まりました。 私たちまだあきらめていません。 なぜかハンマー持ってキメポーーズ!笑 (ちなみに後ろに見えるのは、私が引きこもっていた時に書いた53日分の日記がプリントされたドレス。パフォーマンスで着て、世界中の人に、その53日間を見せています) すでに、私たちは、その先に向かっています。先ほど、リターン品のクリアファイルのデザインも決まりました 100%を上回った場合、絵本の印刷できる冊数を増やせるかもしれません。この活動を通して、絵本出版の業界の人に話を聞けたり、印刷に詳しい人に話を聞けたりして、より現実的にその先を想像できるようになってきました。 このプロジェクトを呼んでくれる先も受け付けています。 必要な人のところへ伺います。そういう活動です。答えのない私のまま、表現を見たり、表現したり、して、心のほわっと温かくなる体験を、一緒にしましょう
みなさんこんにちは!ジュエルっ子物語で絵を描いている方の犬飼です。先日行われた「絵本ジュエルっ子物語 対話型原画展」のワークショップとパフォーマンスの様子を紹介しつつ、私が支援の場にいるわけを書こうと思います。 ジュエルっ子展の中で行われたお絵描きワークショップ。「絵の具の染みを見つめて、何かが見えてきたら、そこから絵を作っていこう」というお題。実際に、ジュエルっ子の絵の中に、そうやって描いたものが何枚かあります。 さて、参加者の皆さんの作品をごらんください。 左上:草原の中の羊、右上:雨上がりのカエルと紫陽花左中:木としゃがんでる少年、右中:飛ぶうさぎと木左下:大好きなAAAと虹、右下:琵琶湖と鳥始め、ただのシミだけの画用紙を見つめて、みんなで、あれに見える、これに見えると、それぞれ違った意見。人によって同じシミでも違ったものに見えるなんて不思議だよね。そして、見えたものを軸にして、自分の絵を描いて行きます。 なるべくシミ感を残したままにね。そして出来上がったものを見て、やっぱり深層心理が出ちゃうのかもね、など話しながら、その人が持っている世界観をみんなで堪能します。そして、朗読とパフォーマンスの Liveでやったパフォーマンスは、私の代表作のひとつ。Breathing harmony(ブリージングハーモニー)。呼吸を通して、私とみんなが、みんなとみんなが、コミュニケーションをとってゆくパフォーマンス。伝えたい想いを込めたみんなの息を、みんなとハグしながら割っていきます。ハグが恥ずかしい人は、後ろから割ってね。最後に残ったものは、私が責任を持って抱きしめて、割りました。ちなみに持っているヒマワリは、午前中に見に来てくれた、可愛いオトモダチがくれました。 このパフォーマンスに名前をつけてくれたのは、インドネシアのギャラリーのオーナーでした。「君は呼吸でハーモニーを奏でているんだね。草や動物や虫もいつの間にか、君と一緒にハーモニーの一部になっていたよ。」と。 アキは絵本の中で、「このまま、息をしているだけで終わっちゃうのかな?」と言っているけど、息も、一人ではなくて、みんなですってはいてしたら、なぜか、一体感を感じられるんです。 私はこのブリージングハーモニーのプロジェクトを小児科病棟でもやったことがあります。「ただ息をしているだけ」と、「みんなで呼吸を合わせて息をする」ことは、似ているけれど、ものすごく違う。そんな風にしてみんなで作った息に抱きついてみたら、ホワホワで気持ち良い。 私はカウンセラーではないし、社会福祉士の資格を持っているわけでもない、無資格のただの表現者です。でも不思議な事に、この10年間、支援の場にいることが私の仕事です。もっと言うと、カウンセラー側に立つなんて、もっての外、カウンセリング受ける側の人間です。(プチカミングアウト)今でも時々、私がそんな仕事をしていてもいいのかと、カウンセラーさんに相談するくらいに。この10年の現場での体験の中で、私は、誰かを理解するとか、癒すとか、治すとか、回復とか、そんな大層なことを考えたことがないんです。ただ、きれい、楽しい、気持ちいい、と感じる時間を作ること。悲しいや、苦しい、イライラする、を他人の事のように、画面に載っけることができる時間を作ることが必要なのは、私だけじゃなくて、もしかしたら、誰にでも、必要な時間なのかなと思っています。支援のプロではなくて、表現のプロだから気がつく何か、だからこそ、その思いを昇華に導ける方法を使って、感情を上手に出してゆく、そしてそれを見せてゆく、受け止めてもらえる時間の大切さを味わってもらう。 それが私にできることで、こんな私なんかが、すっかり支援の場にいる人になっている不思議な事態。 アートは支援じゃないんです。「自分讃歌」のための方法で、コンプレックスほど魅力になって、それをじゃんじゃん見せちゃえる世界。それがいいと言ってくれる人がいる世界。 作品を真ん中にして、対話が生まれる。それは作者が個人的な思いを込めているから、見る人も、自然に自分の個人的な思いが震えたりする。そのために、私は、今、ここに、この支援の場にいるんだろうな、と思っているので、一生懸命、表現者であり続けます。気がノったら、声かけてください。見てるだけじゃなくて、絵を描いたり、パフォーマンスしたり、一緒にやってみましょう。自分讃歌。
私たちが作ろうとしている『場』は、こんな空間です。本日の会場設営完了しました 2日前、急遽取材のご依頼がありました。 NHK大津放送局さま。 7月2日、出会いのひろばで開催される『対話型原画展』を1日密着取材されたいとのこと。 。 ・LGBTが入り口なのに、LGBTを前面に出さない活動・生き辛さを抱える人たちへの取り組みがなぜ『対話型原画展』という方法なのか・この取り組みに対する『絵本』の存在の意味は という箇所に興味を持っていただいたようです。 私たちの意図を充分汲んでくださっていると感じましたので、お受けしました。 放送日は、クラウドファンディングチャレンジ期間終了後ですが(残念過ぎますが)、メディアがどのような受け止め方をしてくださるか楽しみです。 というわけで、本日の『対話型原画展』は終日取材隊が詰めています(笑) 来場者さまのプライバシーには最大限配慮いたします。また、無理矢理ご自身のことを明かされなくても、充分楽しんでいただけます。 どうぞ、お気軽にのぞいてくださいね。 今日の様子は、『ジュエルっ子プロジェクト』Facebookページ・イベントページで随時アップして行こうと思っています。 https://www.facebook.com/events/1757620011128233/?ti=icl