お盆になると、普段空き家だと思っていた家に明かりが点いていたり、子ども達の遊ぶ声が聞こえてきたりと、平井も随分賑やかになります。僕自身は、帰省するような田舎を持っていなかったので、平井のお爺ちゃんお婆ちゃんの家に遊びに来れる子ども達が羨ましくてなりません。普段よりも集落が賑やかになると、関係無い僕も嬉しくなります。田舎で待っているお爺ちゃんお婆ちゃん達は、こんな気分なんだなぁと実感しました。ポツンと一軒家気付かれた方も多いかもしれませんが、昨日のポツンと一軒家は平井が登場していました。和歌山研究林の青い屋根の庁舎も映っています!平井の生活の一端が見れると思うので、興味のある方は是非見逃し配信をご覧ください!迎え火・送り火用の松明作りお盆を控えた季節になると、集落の方々が使う迎え火・送り火で使う松明作りが始まります。材は研究林のアカマツです。ちょうど前回、那智大社の60kgの松明をご紹介しましたが、研究林の松明は片手で持てるお手軽サイズです。集めてきたアカマツを、適度なサイズになるように括っていきます。アカマツなら何でも良いのかというと、そうとも限りません。上の写真は、一方が松明としては最高級で、もう一方は並品です。皆さんはどちらが高級だと思いますか?勘の良い方ならお分かりかもしれませんが、右側の濃い色をした方が高級品になります。色が濃くなっているのは、油分がぎっしりと詰まっている証拠です。火をつけたときに、それだけ綺麗に燃えることになります。実際に手で持ってみると、白っぽい方に比べてずっしりと重たく感じます。また、香りも全く異なっていて、白っぽい方はいかにも木材という感じの変哲の無い香りですが、油たっぷりの方は、お香のような良い香りがします。針葉樹の細胞にはテルペン類と呼ばれる揮発性有機化合物が含まれており、この物質が香りの元になっています。なぜ、木々がこうした化合物を生産しているのかというと、樹体が傷ついたときに、油で埋めて、ばい菌や害虫が入らないようにしたり、空気中に化合物を漂わせて虫よけに使ったりしているわけです。本当は他の生き物を寄せ付けないための物質なのに、それを好んで利用している人間は、やっぱり変な生き物です。迎え火こうして作られた松明が、お盆に入り平井で明かりを灯します。去年は撮りそびれてしまった迎え火。今年はしっかり撮ることができました。平井の送り火は、3本の松明を灯します。何で3本なのかは、調べきれませんでした(分かったらお伝えします)。めらめらと良く燃えていますね。さすが、高級アカマツを使っただけあります。最近、読んだ新聞記事の中で、国立歴史民俗博物館教授の関沢まゆみ先生が、日本のお盆行事の違いについて紹介している面白い記事がありました。それによると、そもそもお盆の時期すら8月中旬(旧暦7月15日)と統一されているわけではなく、場所によっては新暦7月15日に行っているところもあるそうです。これは、農作業の忙しさと関係があるようです。明治に入って太陽暦に移行する際に、新暦7月15日だと農村部はまだ忙しいので8月15日になり、都市部は関係ないので7月15日になったとか。もっと面白いのが、ご先祖の霊を迎える様式です。記事によると、近畿ではお盆にお墓参りを行わない地域もあるとのこと。また、同じ近畿地方でメジャーなのは、霊を3つに分類してお迎えする方法だといいます。こちらは蝋燭で代用代々のご先祖はお仏壇で、新仏は縁側、さらに先祖の霊にくっついてやって来る餓鬼仏は軒下となっているというのです。個人的には、くっついてくる見知らぬ霊にも一応居場所を作ってあげているのが、優しくて良いなぁと思いました。一方、中国・四国、東海・関東は庭先にかけた梯子や、盛った砂でご先祖を迎えるのが主流で、さらに足を伸ばして九州や東北に行くと、お墓の前で飲食して、ご先祖と交流する迎え方があるという。墓地で飲食なんて聞いたことなかったのでびっくりしました。ここで興味深いのは、上記のような異なる文化を共有する地域が、同心円状に広がっていることです。記事によると、このような現象を柳田國男は「周縁論」に基づく「遠方の一致」と唱えたといいます。ある文化的な中心地域があったとき、そこから生み出される文化が、まるで水滴が水面に落ちて出来る波紋のように広がる。新たな文化が生み出されると共に、その波紋は上書きされていく。すると、古い言葉や習慣は、中心部を挟んだ対極にある遠方で共通するというわけです。この理論でいくと、少なくともお盆行事は近畿が発信地だったのかもしれません。ふと、お隣を見ると、お寺のあたりで何やら賑やかな声がします。ちょっと見に行ってみましょう。約10年ぶり 平井の夏祭り表題の写真で、バレていたとは思いますが、お寺では夏祭りをしていました。ただ、この夏まつり、ただのお祭りではありません。実は10数年ぶりに行われた平井の夏祭りです。平井の方々や古座川の地域おこし協力隊の方々が、復活に向けて準備をされて実現しました。普段は閑静な平井ですが、この日は帰省してきた親戚さん達がたくさんいらっしゃて賑やかでした。3年前に引っ越して以来、こんなに平井に人がいたのを見たことがありません。集落の方々も賑わいが戻って嬉しそうにしていました。お祭りでは、平井伝統の盆踊りが披露されました。正面に移っている方は、90歳を超えていますが、足並み軽やかに踊っています。練習会にも参加させて頂きましたが、平井の盆踊りは、捻る動作が多く、炭坑節や東京音頭よりも若干難しく感じました。それでも地域の方は、昔踊ったのを体が覚えているようで、あっという間に踊れるようになっていたので驚きです。ポツンと一軒家に登場された方も、久しぶりのお祭りを見に来ていました。昔は盆踊りの輪が2重にも3重にもなっていたと言います。そんなに人が居たのかと、驚くばかりです。来年以降も継続して実施できると良いですね。外来種と土壌菌類の地域性さて、今日は研究に関係する論文を一本紹介したいと思います。紹介するのは2013年にJounal of Ecologyに掲載された『Invasive plants escape from suppressive soil biota at regional scales』という論文です。著者はJohn L. Maron, John Klironomos, Lauren Waller, Ragan M. Callawayです。日本語訳すると、『地域スケールで土壌微生物の抑圧から逃れる外来種植物』となります。一体どういうことなのか、ご説明していきたいと思います。この論文の大きなテーマは、「外来種がなぜ移入先で大発生してしまうのか?」です。あまり詳しくない方でも、外来種に対して「知らないうちに入ってきて大量発生して、既存の生態系に悪影響を及ぼす」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。この外来種の対策として、とにかく駆除を頑張るというのも一つの手です。一方で、「なんで大量発生するんだ?」と言う部分のメカニズムが分かれば、外来種の拡大を抑え、少ない労力で、外来種対策を行うことが出来るかもしれません。外来種が大量発生してしまうことについて、大きな仮説が2つほどあります。一つは、原生地には居たはずの天敵が、移入先ではいなくなるため、増殖を抑制するものがいなくなり大量発生するという説です。もう一方は、外来種が他の種が成長しにくくなるような物質を生産することで、群生地を拡大するという仮説です。前者を『天敵解放仮説』。後者を『アレロパシー仮説』と言います。今回の論文では、この二つの仮説のうち、天敵解放仮説を詳しく見ていくことになります。では、外来種の原生地で天敵としての影響力が大きいものは何だったのでしょうか。筆者はここで、僕の研究にも関わりのある土壌菌類に注目しています。ある植物が分布している土壌には、その種と共生していたり、その種に対し専門的に感染したりする土壌病原菌が集まってきます。その結果、その周囲の土壌は、次に同じ種が入ってきたときに、無菌状態とは異なる成長や生存パターンを示すことがあります。このようなフィードバックの関係を植物-土壌フィードバック(PSF)と言います。有名なところでは、畑の連作障害などもいい例です。連作障害の場合は、同じ栄養素を使い続けることで、土壌の栄養バランスが崩壊することも一つの要因です。しかし、それだけではなく、害虫や病原菌が蔓延しやすいことも連作を避ける理由になっています。さて、このPSFは、多くの研究で負の方向に働くことが示されています。つまり、ある種類が生息した土壌は、同じ種類にとっては生き辛い環境になってしまうのです。では、外来種はどうでしょうか?長年生息し続けた原生地を遠く離れ、新たな土地にやってきた外来種。そこには、天敵がいない楽園のような土地が広がっています。つまり、天敵から解放されることで、大繁殖できる環境が整ってしまった!と考えることができそうですよね。ということで、この論文では、「外来種は本当に天敵から解放されているのか?」を検証していきます。先行研究これまで外来種のPSFに関する研究では、移入先における在来種と外来種のPSFの違いを検討するものがありました。それらの研究では、移入先において、在来種が外来種よりも強く負のPSFを受けていることが示されています。日本で例えると、二ホンタンポポの方がセイヨウタンポポよりも、土壌からの負の影響を強く受けているということです(例えなので実際のところは分かりません)。しかし、こうした研究は、移入先で在来種よりも有利になっていることは示せても、外来種が天敵から解放されていることは示すことが出来ていません。その場合、土壌菌類に抵抗性のある種が外来種として繁茂している可能性を捨てきれないことになります。つまり、天敵解放仮説を支持したいのであれば、原生地と移入地でのPSFの比較が必要になります。しかし、こうした研究は土壌を準備する手間が大変であまり行われてきませんでした。模範的な例としては、アメリカ原産のPrunus serotina(ブラックチェリー)があります。サクラの仲間です。この種は原産地であるアメリカで、土壌菌類により強く抑制されている一方、移入地では、土壌微生物の効果が正になっていることが明らかになっています。その結果、移入地であるヨーロッパでは、原産地である北米の10倍もの密度で群生しています。このような研究を、多くの種を対象に行っていくというのが、この論文が取り組みたい内容となります。では、この論文における仮説と、予想をもう一度整理しておきましょう。仮説は天敵解放仮説。すなわち、「外来種は原生地の負のPSFから逃れることで、移入先で大量繁殖している」です。この仮説に基づく予想としては、原産地ではPSFが負の方向に働き、移入地ではPSFが中立または正の方向へ働く。となります。方法方法は詳しくは無そうとすると煩雑なので、めっっっちゃ簡略化してお伝えします。まず、北米を原産地とする草本種を何種類か選びます。次に、原産地である北米と移入先としてのヨーロッパの土壌を持ってきます。その土へ、別途育てておいた外来種の実生を植えて育てます。これが第一段階です。次に、せっかく育てた実生を引っこ抜きます。なぜならPSFを観測するためには、同じ種類の土壌を育てたときに、どのような反応が生じるか?という観察が必要だなので、次に同じ種を植える必要があるからです。育てた実生を引っこ抜いたら、半分はγ線で殺菌処理をします。この時点で、原生地・移入地の2種類と殺菌・未殺菌の2種類を掛け合わせた4種類の処理があります。その4種類の土壌でポットを作り、再び選ばれた外来種を植えます。そして、一定期間生育後、地上部と地下部のバイオマスを測定し完了です。特筆すべき点が二つあります。一つ目は土壌を採取する場所の条件です。ポットを作る際の土壌は、対象となる種にとって生息可能な環境、かつ人為的に管理されていない場所で採取されます。さらに、それらの場所には、対象となる種類(6種類)が生息していないか、もしくは、1種類のみ生息するという条件が加わります。後者の条件は、原生地と移入地での拡大可能性を比較するための条件です。外来種となる植物が、原生地では拡大できないのに、移入地では拡大できる理由を探るためには、どちらも「新天地」という条件で比較する必要があります。特筆すべき点の二つ目は、ポットの作り方です。今回の実験で使われるポットには、持ってきた土壌(サンプル土壌)が最低限の量しか用いられていません。プリンに例えると、表面のカラメルぐらいの量です。残りの大部分は、滅菌砂や鹿沼土のようなもので構成されています。なぜ、このような構成になっているかというと、今回の実験では純粋な土壌菌類の影響を観察したいからです。もし、サンプル土壌の間に、栄養や含水率などの物理化学性が異なっていた場合、出てきた結果が土壌菌類による影響なのか、物理化学性による影響なのか判断できません。そのため、可能な限り条件を揃えているわけです。結果や考察は次回の続きとします。どうぞお楽しみに。
いよいよ8月になりますね!平井でもカンカン照りの日が続いて、夏本番といった感じです。昼間の気温が上がってくると、毎年恒例のツチガエルの整列が見れます。この日は、8匹が微動だにせず並んでいました。単純に天敵から隠れるためにトタンの下に入っているのか、日よけのために隠れているのか。真相は不明ですが、何度見ても面白い光景です。近くで見てみると、かなり過密状態になっていることが分かります。ちなみにツチガエルの鳴き声は、低い音でグェー、グェーという感じで鳴きます。お腹に響くタイプの音です。彼らの天敵となるヘビもやってきました。ヘビの種同定は自信があまりないのですが、たぶんヤマカガシの関西特有の色をした個体だと思います。こうしてみると、結構可愛い顔をしていますが、強い毒を持っています。性格は大人しいですが、見かけたら気を付けましょう。名前の由来は「大きい蛇」の古語だそうです。一方、こちらは調査中に見かけたシマヘビの幼体。シマヘビと言えば、その名の通り、シマシマ模様が特徴的で灰色っぽいイメージがありますね。ただ、子どもの頃は写真のような赤い色をしているそうです。同じく赤いヘビとして、ジムグリと呼ばれるヘビも有名です。こちらは、普段は物陰に隠れており滅多に見ることができないそうです。名前は「地に潜る」が由来で、ネズミの穴などに入って捕食する姿から名づけられたそうです。視点を上にあげてみると、今度はツバメが並んでいました。来客用の布団が干されている光景も相まって、初夏の清々しい雰囲気が感じ取れます。人のいる建物を天敵避けに使ったり、田んぼ付近の材料で巣を作ったりと、上手く人間の作った環境を利用していて賢い鳥です。色んな天敵からの攻撃をかいくぐって、今年の春に巣立ったばかりの個体もいるかもしれませんね。とにかくみんな元気に飛んでいて一安心です。9月も中ごろになれば、再び数千㎞の旅路を南へ下っていきます。その移動に備えて、これからの期間はとにかく腹ごしらえをするそうです。来年も元気に平井に帰って来てくれると良いですね。シカの死体山の方では、崖から転落した仔鹿が道端に横たわっているという情報が入ってきました。話を聞いた2日後に、早速見に行ってみると、トンビが肉を啄んでいました。他にも、ルリセンチコガネという宝石のような昆虫や、スズメバチ、シデムシがうじゃうじゃたかっていました。この時の写真は流石にショッキングなので、載せるのは控えておきます。ということで2週間後に再び見に行きました。すると、見事に骨だけになっていました。たったの2週間で、これだけきれいさっぱり無くなってしまうなんて、森の掃除屋は仕事が早いですね。嫌な臭いも一切しませんでした。写真は脊椎ですね。頭部と脊椎や骨盤が離れた位置にあったことから、哺乳類がひっぱった様子がうかがえます。死体に集まってくる動物のなかには、研究林周辺だと、テンやタヌキがいるそうです。また、カルシウムが不足しがちな地域では、動物たちが残った骨を舐めることで、カルシウムを補給することがあるそうです。そうした地域では、森を歩いても骨が見当たらないそうな。その一例かは分かりませんが、以前、北大の札幌キャンパスでリスを撮っていたとき、骨をかじっているリスがいました。もしかしたら、このリスもカルシウムを取りたくて、必死に骨をしゃぶっていた可能性があります。森のなかでは、生き物の死骸がこうした連鎖によって土に戻り、再び植物の栄養となって、生態系ピラミッドを登っていきます。もし、こうした分解の連鎖がなければ、森は死骸であふれ、植物は栄養を使い果たし、生態系が崩壊してしまいます。死骸の分解と聞くと、少し目を覆いたくなるような現象ですが、このステージが全ての始まりにつながっているわけです。和歌山研究林には僕の他に、もう一人学生がいます。彼は、まさにこの「死体の分解」をテーマに研究を行っているところです。古座川にあるジビエ工場から、シカの頭を何個かもらってきて、研究林内のあちらこちらに設置し、分解過程を観察しています。この日は、置いてから2日後の観察に行くというので、ついていくことにしました。緑色の網の中に、鹿の頭が入っています。網は哺乳類に持って行かれないようにするためのものです(ただ、昨年はこの努力もむなしく、一部のお肉が持ってかれてしまったそう)。まだ2日ということもあり、まだお肉が残っています。周辺には、死骸を食べたり産卵場所とする昆虫が集まっていました。殺伐とした光景の中で、一際目を引くのが、キラキラ輝くこちらの昆虫。先ほどご紹介したルリセンチコガネです。緑色や青色に輝いて、まるで宝石のようですが、糞や死骸に集まってくる昆虫です。色は地域によって異なり、バリエーションはこちらのニュースに載っているぐらい沢山あります。山で調査していると、ときどきこの虫が飛んでくるのですが、ずんぐりむっくりしていて上手く飛べないのか、重たそうな羽音を響かせてきます。頑張って飛んでいる感じがして健気です。手のひらに乗せると、指の間をこじ開けるように下へ行こうとします。地面でも、とにかく地表に露出しているのが嫌なようで、葉っぱの裏や地面を少し堀ったところでごそごそやっていることが多いです。意外と力が強いことにびっくりします。こうした動物によって分解されたのち、さらに細かく分解してくれるのが菌類です(写真は枯れ木についているサルノコシカケの仲間の写真なので、動物の分解とは関係がありません)。動物の死骸だけでなく、樹木も最終的には、彼らの手によって細かく分解され土壌に戻っていきます。彼らがいなければ、森の中の土は形成されません。何かの破片がいつまでたっても転がっているような空間ができてしまいます。目立たないどころか、ほとんどの菌類は目に見えませんが、それでも非常に重要な仕事をしているのが彼ら菌類です。彼ら菌類が作り出す面白いものが転がっていました。こちらは菌の働きによって、青く変色した朽ち木です。カビっぽく見えることもあるので、材の価値を落としてしまうこともありますが、綺麗な青色をしていることから、木工芸では重宝されることがあります。青っぽいものが珍しい林内では、結構目を引いています。古座のお祭り前回は、那智のお祭りをご紹介しましたが、7月後半は古座川の河口でもお祭りがありました。本来であれば、賑やかな装飾をほどこした船を使って、盛大に行われるお祭りですが、コロナ禍と言うこともあり規模を縮小しての開催。それでも、久しぶりのお祭りに、賑やかさが感じられました。本番の獅子舞は、都合で見ることが出来なかったので、練習会の様子を少しだけご紹介します。練習会は、ふもとの地域の青年団集会所で行われていました。この建物自体も、大正時代建造でなかなか手の凝った木製の装飾が興味深い建物です。青年団は互盟社と呼ばれ、創設は明治時代だそうです。地域のお祭り運営や、敬老の催し、クリスマスのイベントなどを運営しているといいます。獅子舞を見るのは10数年ぶりですが、改めて見ると、手足の流れるような動きが一朝一夕の技ではないことが伝わってきます。先輩社員から細かい指導が入っているところなどを見ると、こうして脈々と受け継がれてきたのだなぁと実感しました。3年間で一度は本番のお祭りを見てみたかったものですが、この練習の様子を見れただけでも価値がありました。お祭りがフルで出来るようになったら、是非皆様も古座川へ見に来てください!研究進捗温室実験の方は、10週間経過後にバイオマス測定へと移る予定です。そのため、8月中に新たなデータが得られることはありませんが、関係する論文などを次回以降紹介できればと思っています。どうぞお楽しみに。
こんにちは!今日は涼しげな話題と、ホットな話題を用意しました。温度差を楽しんでいただければと思います!川へ涼みにあっという間に梅雨が終わったと思ったら、再び梅雨っぽい天気が続いて季節がよく分かりませんね。それでも晴れの日は、日差しに初夏のまぶしさを感じます。平井は雨とお天気が交互にやってくるので、蒸し暑くて仕方ありません。夏っぽいときの平井こうも暑いとやっていられないので、川へ涼みに行ってきました。平井は古座川でも最も上流に位置する集落の一つなので、川の綺麗さはピカイチです。ダムよりも上流に位置しているので、溜めた水特有の匂いもしません。山から湧き出たばかりの冷たい水が、滔々と流れています。何度か紹介しているように、この川にはオオサンショウウオが棲んでいます。僕はまだ見たことがありませんが、教育実習に行った学校の生徒達は、「あそこの渕にいるよ!」と何カ所も教えてくれました。流石、地元の子は川の中まで把握しているようです。折角なので、レンズを水中に入れて写真を撮ってみると、10匹ぐらい魚が写っていました!魚は全然分かりませんが、南蛮漬けに良さそうなサイズです。あちらこちらにいますね。水の透明度が高いので、陸上からでも魚影が良く見えます。オオサンショウウオは岩陰に隠れていて、動くものがあればパクッ!っと噛みついてくるそうです。おとなしそうな顔をしてますが、噛む力は非常に強く、指が引きちぎられるぐらいなので、オオサンショウウオのいる川に入るときは気を付けましょう。どんぶらこネムノキ小魚と戯れていると、綺麗な花が流れてきました。この季節に咲いているネムノキですね。マメ科植物で共生菌を連れて裸地に真っ先に入ってくる先駆種です。あんまり綺麗なので、古くから和歌や俳句にもよく詠まれてきました。例えば松尾芭蕉は奥の細道で、象潟や雨に西施がねぶの花 と読みました。象潟というのは地名で、西施は呉越同舟で有名な越から呉に送られた絶世の美女のことらしいです。遠くの地で雨に濡れる美しいネムノキを見て、ついつい昔の物語を思い出したといったところでしょうか。陸上で咲いているときは、こんな感じです。ピンクと白のグラデーションが綺麗な部分は、花弁ではなくて、雄しべです。証拠に、よく見ると先端に黄色い葯が付いているのが分かるかと思います。花弁や雌しべは、花の中央部にひっそりとたたずんでいます。ピンクのボンボンが木全体に咲いているので、非常に鮮やかできれいです。この写真を撮った日は、もうシーズンが終わりかけて茶色くなっていたので、美しさがイマイチ伝わりませんね…。来年こそは、綺麗なときに写真を撮ろうと思います!先に紹介した歌の他にも、ネムノキの美しさを詠った作品はこちらのページでたくさん紹介されているので、興味があれば見てみて下さい!このネムノキ。暗くなると葉っぱが閉じるという面白い特徴があります。概日リズムで朝になると開いて、夜になると閉じます。写真を撮ったのは夕暮れどきだったので、既に葉っぱを閉じていました。この葉っぱを閉じる様子が、まるで就寝しているように見えることから、眠る木⇒ネムノキ、となったと言われています。それなら漢字は睡眠木とでも書くのかなと思って調べてみたら「合歓木」と書くそうです。合歓とは、仲睦まじい夫婦の様子を指す言葉らしく、葉っぱがぴったりくっついている様子から名づけられたとか。昔の人のネーミングセンスはなかなか面白いですね。材はこんな感じ。色相も綺麗で比較的柔らかく、乾燥もしやすいそうです。ただ大径木が取りにくく、耐久性が低いので建材向きではありません。小物や器具材程度の利用がほとんどです。一方、樹皮は古くから漢方薬に使われてきました。また、道管が非常に大きいのも特徴で、木口面をルーペで覗くと無数の穴が見えます。年輪に近い部分に、特に大きな道管が。外側に向かうに連れて小さい道管があるのが分かるかと思います。那智の扇祭り涼しい話題が続いたので、ホットな話題もご紹介します。隣町の那智勝浦町にある熊野那智大社で、3年ぶりに「那智の扇祭り」と呼ばれるお祭りが開催されました。全国的にも有名なこのお祭りの一番の見どころは、50kgを越える松明を持って石段を駆け上がったり駆け下りたりする御火神事です。扇を御輿にしてやってくる神様たちを迎えに行くために行っているとのことです。人と比べると松明の異常な大きさが分かると思います。火をつける前に、山の上の方にある御本社から、那智の滝まで声を掛け合いながら持っていかなければなりません。見ているだけで、筋肉痛になりそうです。材は分からなかったのですが、松明ならアカマツでしょうか?よくまあ、こんな大きくて重いものに火をつけて走り回ろうなんて思ったなあ、と感動しました。身体を極限状態に追いやることで、ある種のトランス状態に入り込んで、神様と近づこうという意図でしょうか?古座川の鯛釣り祭りもそうですが、お祭りの催事の起こりを考えるのはとても面白いですよね。12個の松明と12台の扇神輿が那智大社の石段を移動していく光景は、非常に迫力がありました。個人的に好きだったのは、御田植式と呼ばれる儀式。田んぼに見立てた胡座の上を、牛役の人、農民約の人が歩いて回ります。なかでも牛役の人が「モ~~ゥ」と大声で叫ぶシーンは、非常に好きな光景でした。牛のお面も木製ですね。年期も入ってそうですが、どんな樹種が使われているのでしょうか。能面などはヒノキ材、中でも木曾檜が目の細やかさや材の柔らかさから重宝されています。一方、神楽や獅子舞の面は、軽快な動きを可能にする軽さが重視されます。そこで、日本トップクラスの軽さを誇る桐の出番となるわけです。以前沖縄の木で紹介したデイゴも、その軽さからお面に使われていましたね。一連の儀式が終わると、御田刈式です。稲を刈るようです。よく見ると、最初は鍬だったのが、鎌に代わっています。田んぼの作業が儀式に組み込まれている点を見ると、五穀豊穣の祈願の意味もありそうですね。以上、那智大社のお祭りでした!興味を持った方は是非来年、御足労いただき、その足で古座川にも立ち寄ってください!
今晩は。梅雨があっけなく終わってしまいましたね。ムシムシして嫌な梅雨ですが、これほど短く終わってしまうとちょっと名残惜しい気もします。まして、こんなに暑い日が続くとなれば、なおさらです…。そんな梅雨の話題から入っていきましょう。梅雨どきの平井は、雨が無い日でも雲の中のような湿度です。霧に包まれた朝は歩くだけで肌がしっとりと湿っていきます。保湿にはピッタリかもしれませんが、汗疹で皮膚がかゆくなるのでトントンです。梅雨を代表する花、アジサイの下には、おたまから大人になったばかりの蛙やカタツムリが隠れています。生垣のアジサイの葉っぱは地上付近から幾重にも重なっていることが多いので、かっこうの隠れ家になるのかもしれません。それにしても、カタツムリとアジサイは似合いますねぇ。梅干し作り丁度、この頃の季語の一つに「黄梅雨」というものがあります。意味はそのまま、梅が黄色に熟すころに降る雨、すなわち梅雨のことを指します。この季語通り、2月の活動報告で紹介した平井の梅たちも、たわわに実った梅の色が変わり始めていました。その梅たちを雨の合間に収穫していきます。2月に咲いていた梅熟した梅の色は本当に綺麗で、球面の緩やかなカーブの沿って、淡くグラデーションを描いている様は、さながら朝焼け空のようです。そういえば、梅や桜の葉っぱの紅葉の色合いにもそっくりです。実も葉っぱも同じメカニズムで色が変わっているのでしょうか。気になるところです。収穫した梅は、塩漬けにして赤紫蘇漬けにして、晴れが続きそうな日を狙って天日干しにしていきます。この画像は天日干しの3日目ぐらいのときの写真です。可愛らしい淡い色はすっかり消え、見るからに酸っぱそうな丹色です。赤紫蘇の成分と梅の塩漬け汁に含まれるクエン酸で綺麗に発色しているそうです。 一方、田んぼにはアオサギの若い個体が来ていました。川下の方では見かけますが、平井ではこれまでそんなに見かけた記憶がありません(僕だけかも)。若いので色んなところに飛んで良いところを探しているのかもしれません。串本の漁港に行くと、釣り人のおこぼれを狙って待っているアオサギを目にしますが、こうして田んぼを歩いている姿も良く似合っています。サギはじーーーっとこちらを見つめている感じが、何を考えているのか分からず神秘的です。森の哲学者と呼ばれているニホンカモシカよりも、よっぽど哲学者のような感じです。こちらは郵便局の軒先で生まれたツバメの子ども達。あと一息で巣立つというところで、巣も窮屈そうです笑。集落にはヘビやらイタチやら、子ども達を狙う天敵だらけなのでここまで無事に大きくなれる兄弟も多くありません。実際、この写真を撮った日の夕方には、この子たちもヒヨドリの襲撃に遭ってしまいました。土壌処理実験の準備先週、土を準備するところまで終わった土壌処理実験の準備。今回からいよいよポット苗を作っていきます。まずは、土の物理構造を均質にするため、赤玉土を混ぜ込み、処理ごとにポットへ入れていきます。今回は240ポットあります。昨年の実験が180ポットなので、それより若干多くなっています。ここで、育ててきたどんぐりとサクラの出番です。1ポットにつき2個体ずつ、アカガシとヤマザクラを植えていきます。つまり480個体ほど植え替えていくことになります。こちらは播種土壌から引き抜いたアカガシ。どんぐりから桃太郎のように元気に出てきているのが面白かったので、ついつい写真を撮ってしまいました。ここから土を落として、漂白剤で殺菌し植え替えていきます。こうして植え替えた苗にたっぷりと水をやり、定着を待ちます。どんぐりは、ずんぐりむっくりの樹形で、幹もだいぶ太いのですが、サクラは細長く華奢な感じです。このような違いは、それぞれの種の生存戦略の違いから生じていると考えられます。どんぐりは暗い林床で耐えて耐えてやがて大木になるように設計されている一方、サクラはギャップなど日照条件の比較的良いところで、一気に成長する戦略を取っています。そのため、幹を太くするよりも、より早く垂直方向に成長出来る方がサクラにとっては重要です。ちなみにこの葉っぱがアカガシで、こっちがサクラです。さて、丸3日かけて、ようやく植え終わりました。ここから身体測定です。樹高と基部直径、葉っぱの枚数と全ての葉っぱの長さを記録していきます。葉っぱは全部で約3000枚なので、これまた骨の折れる仕事です。しかも、このあたりから梅雨が明けてしまい、連日の灼熱地獄。温室も大変なことになっていました。このとき、100枚の葉っぱを使ってヤマザクラとアカガシの葉の面積を予測するモデルを作っていきます。測定した葉の大きさ(長さ)と、画像編集ソフトで求めた面積をグラフにすると下のようになります。見て頂くと分かる通り、長さの二乗に比例するような形で面積が増加しています。これは、葉の形が小さくても大きくてもだいたい同じで、スケール感だけが変化していることを示しています。そこで、横軸を長さの二乗値にして、モデル式を求めます。その結果、図のように式が求まりました。これを使って、葉の長さから全ての葉っぱの面積を予想していきます。そんなことをしてどうするのか?というと、食害処理を定量的に行うために、この数値を使います。模倣食害を全ての葉っぱに対し、一定の割合で行うためには、全ての葉っぱの面積が分かる必要があります。しかし、画像編集ソフトで一枚ずつ、3000枚解析するのは限界があるうえ、終わるころには、最初の方の葉っぱが成長してしまいます。そこで、モデルを使って簡略的に面積を求められるようにして、必要な食害面積を求めることになります。模擬食害に使うのは、こちらの一穴パンチ。半径が0.25㎝なので、穴の面積は約0.2㎠です。この道具を使って、葉っぱの面積に対し、およそ8%の割合で食害が起こっている状態を模倣していきます。例えば、7㎝のアカガシに対しては5個の穴。5㎝のサクラに対しては2個の穴。といった具合です。これを120個のポット。240個の苗。およそ1500個の葉っぱに対して行っていきます…。…3日後。ついに必要な全ての葉っぱに穴を開け終わりました。あとは経過を見守るだけです!10週間経過後に、バイオマスや樹高・直径などの成長情報を測定する予定です。良い結果になるよう、平井の神社にもお参りしておきます。ちなみに実験をしている温室はこんなところです。すっかり夏の空になった背景が、楽しい夏休み感を演出していますが、実際は灼熱地獄の観察日記でした。季節外れに暑い日が続いていますが、皆様も体調にはお気をつけてお過ごしください!
6月になりました。関東の梅雨入りのニュース以降も、しばらく平井は晴れが続きました。今年は梅雨入りが遅いのかなあと思っていたら、14日に梅雨入りが発表され、天気予報も傘マークが続いています。梅雨時に林内で淡く咲いているのが、タイトルの写真にしたコアジサイです。庭木などに使われているアジサイよりも、小柄で目立ちにくいですが、暗い林内で咲いているのを見つけると、ぼんやりと光がともっているかのように見えることもあります。梅雨前最後の晴れ5月の後半から6月の初めにかけて、古座川をはじめ紀南で楽しみなのがホタルです。去年は隣の集落の用水路で大量に飛んでいて、まるで天の川のようでした。今年も期待して行ったところ、去年と同じ場所ではそれほど飛んでおらず、別の沢で沢山飛んでいるのを見つけました。カエルの声を聴きながら、田んぼの湿っぽい草と土の香り、そして蛍火を楽しめるのも贅沢なものです。蛍6月の楽しみとして忘れてはいけないのが、漁の解禁です。6月に入ると、古座川流域で鮎漁が解禁されます。平井の方も早速山ほど釣ってきたというので、見せてもらいました。予想以上の量でびっくりです。聞くと、古座川の中でもダムより上の鮎は格別に美味しいようです。確かに、ダムの上下で川の水の匂いが全然違っていて、味が変わるのも納得です。鮎また平井では養蜂も盛んで、独自のゴーラと呼ばれる丸太をくり抜いた道具を使って蜂を飼います。写真は丸太を使ったものではありませんが、せっせと蜂が密を集めているところでした。今年は木々の花が例年より多く咲いているそうなので、蜂たちも大忙しかもしれません。買い物に行く道中でも、クリの花が一斉に咲いているのが目につきました。蜂栗の花は長く見えますが、白い部分は沢山の小さな雄花の集合体です。この中に雌花が二つだけ紛れています。栗の花土壌操作実験の準備ようやく一通りの用事が終わったので、研究を再開していきます。今回は以前紹介した実験のうちの一つ。土壌操作実験の準備を始めました。実験では、土壌の採取位置(母樹の足元、人工林側へ30m、天然林側へ30m)、殺菌処理の有無、模擬食害の有無という3つの処理を行います。これらの処理それぞれに実生を栽培するための土壌が必要なので、重たい土を研究林から採取してくる必要があります。去年、この土壌採取を行った際には、余りの重さに膝の爆弾が爆発して、途中から職員さんに手伝ってもらいました笑。さっそく山へ土取りに出かけます。土を取りに行くのは大森山試験地と垣内山試験地と呼んでいる場所にある12カ所のポイントです。雨が降ると土が重くなってしまうので、数日晴れの日が続いた期間に採取に行きました。写真は天然林内の表土を採取しているところです。ご覧いただければ分かる通り、天然林内は落葉が敷き詰められています。照葉樹の葉っぱは落葉してもてかてかツルツルしていて、重心の置き場を間違えると、一瞬で滑ってしまいます。そのため、スパイク付きの足袋が本領を発揮する環境です。僕は、足袋だと膝が痛くなってしまうので、登山靴で慎重に歩くようにしています。土を取る際はこれらの落葉をどけて、分解が活発に行われており、菌類も豊富にいるとされる表層付近の土壌を拝借します。土を掘っていると、表層にはぎっしりと木の細根が密生していることが分かります。スコップを差した時に、畑に差した時のグサッという感覚ではなく、プチプチという感覚がします。根っこが切れているようです。土の匂いは天然林で強く、葉っぱが発酵しているような独特の香りがします。終わったら落葉をかぶせて元の状態に戻しておきます。こうしておけば、また落葉が分解され有機物に富んだ土壌が再生します。僕の研究レベルの規模では、落葉を元に戻さなくても自然と葉っぱが覆いかぶさっていき元に戻るかもしれません。しかし、この面積が大きくなっていった場合、元の土壌が再生するのに時間を要してしまうことになります。例えば、粗雑な仕事をする事業者による皆伐や、自然災害などがそれにあたります。大面積の土壌に影響を及ぼすので、供給される落葉の量の劇的現象など、環境をがらりと変える可能性があるからです。だからこそ、森林施業は慎重に、かつ丁寧に行う必要があります。さて、山から土を持って帰ってきたら、篩にかけて粒のサイズを揃えていきます。この作業をするのは、処理以外の物理化学性は揃えたいためです。意図した結果となった場合でも、こうした余分な可能性を十分に減らしておくことで、説得力が増していきます。ただ、この篩の作業が思ったより大変です。去年制作した大型篩処理機は解体してしまったので、今年はこの小さな篩で土壌を準備しました。この小さな篩に100kg程度の土壌を少しずつ載せて、ゆすり続けなければなりません。腹筋に力を入れて振るわないと、なかなか土壌がはけないので筋トレのようでした。実際、この後背筋が張っている感覚になったため、プロテインを飲んでおきました。振るい終わると、大量の根っこが出てきました。こうした根っこに絡みついている土壌は、なかなか落ちません。根っこが上手く土壌を捕捉しているのです。そのため、根っこにからみついた土壌がある場合、大根おろしのように根っこの束を、篩のアミにこすりつけながら土壌を取りだしていました。これだけの根っこが土の表面を覆っていれば、土壌が簡単に流出することは無さそうですね。 今度は殺菌処理です。去年同様、電子レンジを使って殺菌していきます。まず耐熱袋に入れます。これをレンチンしていきます。600Wで7分半です。電子レンジを稼働中はずっと電子レンジの前で待っていなければなりません。そのため、半日の間ずっと電子レンジの前で待っていることになります。そんな様子を見た職員さんからは、「コインランドリーを待っている人みたいだ」と言われました(笑)。そうしてできたのがこちらの土。合計で100kgぐらいあります。明日から苗を作っていく段階です。今月後半の活動報告にて、続きを紹介したいと思います。林道作設で出た材の搬出土を取っている最中、何やら作設中の林道の方で声がするので様子を見に行ってきました。すると、林道を拓くときに伐採した材を搬出しているとのことだったので、暫くの間、作業を見学させてもらうことになりました。間伐区の材は、研究プロットの影響を鑑みて、私の卒業後に出材する予定ですが、林道の方は、研究への影響がないと考えられるので、一足先に出材が始まっています。和歌山研究林には、グラップルのような高性能林業機械はありませんので、既にある機械を使って工夫して集材していきます。主役は写真左手の黄緑?色の機械です。この先端に道の脇に置かれた材をくくりつけます。道の脇から材を引き上げたら、持ち替えてトラックへ積んでいく作業です。操縦するのは今年和歌山研究林へいらっしゃった職員の方です。器用にアームを動かしながら、丸太を置く位置を見極めます。大きな機械を使って繊細な動きが求められるので、なかなかに難しそうです。最後はアームの先端で丸太の木口面をちょいちょいと押していきます。この正確性、非常に難しそうですが、今回運転された方はとても簡単そうにやっておられました。本人曰く、まぐれで上手くいったそうですが、とても素人の動きには見えないしなやかな動きを見せていました。こうして集められた材は、土場へ貯蔵され必要な場所へと供給されていきます。どれくらいで売れるのか非常に気になりますね!では月末もどうぞお楽しみに!