開発秘話⑪「ギュッと包んでみました!」さて名前も決まったので、今日から「おにぎりをそのまま温められる2層袋」改め「ホットプラス」と呼ぶことにし、さっそく開発状況の続きを。「いつ起こるか分からない災害に備え、いつまでも保管しておきたい」 この課題に応えるため長期間の保管も重要ですが、本当にそれだけで良いのかな・・・前々回の開発秘話でお伝えした方法により、発熱剤を高温にさらし続けると、袋が少しパリッとします。一言で言うと「袋の劣化」です。「劣化」と言ってもその原因は様々で、”熱”による劣化もあれば、”紫外線”による劣化もあります。「洗濯ばさみ」をベランダに置きっぱなしにすると、すぐもろくなったりするのも身近な例です。もし劣化によって袋に穴が開いてしまったら・・・発熱剤は空気中の水分とも少なからず反応しますので、いざ使おうとした時に熱が出ない場合があります。「まぁ、きちんと保管すればそんな事起こらないだろうけど、自分がそうなったら嫌だなぁ。」と、考えた私は袋の中の空気を抜き”真空パック”にすることに決めたのです。空気を抜けば限りなく劣化を防げ、もし穴が開いても一目でわかります。もちろん1つあたりのコストは多少上がりますが、その分”ホッと”安心をプラスできたらいいなぁと・・・あとは企業努力でなんとかカバーしようと、自分を追い込む私なのでした。(汗)続く・・・
開発秘話⑩「君の名は・・・」文章を書くのが苦手で・・・続けるのがもっと苦手な私ですが、なんとこの開発秘話も奇跡の10回目!自分で自分を褒めたいと思います!!という事で、発熱剤設計の途中でしたが今回は少し脱線して、まだ決まっていなかった「名前の由来」についてご紹介します。(だいたい想像つきますよね・・・汗)開発スタートからずっと「加熱袋」と呼んでいたのですが、海外のエージェントと会話をするとなぜかいつも「加熱袋」では通じないのです。いつも「袋?どの袋?」といった具合に・・・うーんこれは困ったという事で、いよいよ名前を付けるのでした。そういえば子供の名前を決める時、最初に言い出すのってちょっとだけ恥ずかしくなかったですか?私だけかな・・・(笑)まさに子供の名前を付ける時と同じ気持ちで悩みました。ちょっと恥ずかしがりながら・冷たい食べ物に温かさ(HOT)をプラスしたい。・温かい食べ物で”ホッ”とやすらぎをプラスして欲しい。以前ある東日本大震災の被災者の方が仰られた、「当時は雪もちらつく中、温かい食事がとれず本当につらかった」という言葉が今でも頭から離れません。この”2層袋”が少しでも安心に繋がってくれたら・・・と、壮大な夢を託し「HOTPLUS -ホットプラス-」という名前に決めたのでした。続く・・・
開発秘話⑨「GoTo タイムカプセル」「おにぎりを温める」ための発熱剤候補生も数人に絞れ、”2層袋の理想の恋人”になれるよう、発熱剤の長所を伸ばし短所を補う作業が本格的にスタートしました。まず最初に・・・「いつ起こるか分からない災害に備え、いつまでも保管しておきたい」コレ特に重要です!せっかくタンスに保管しておいたのに、いざという時に使えなかったら何の意味もないですよね。(最近タンスってあんまりない?笑)でも、5年後にちゃんと使えるかを実際に試すなら発売が5年後になります。そこで、発熱剤をこの「ずーっと同じ温度を保てる機械」に投入!この機械の中で高温にさらしストレスを与え続けると、たった数日で”数年経過”したものと同じ状態になると言われています。まさに「タイムカプセル!」実は”食べ物の賞味期限”や”家電の耐用年数”もこういった方法で計算し求められているものが多いです。※難しい内容ですので、かなりかみ砕いております。誤解のないよう「加速劣化試験」や「アレニウスの法則」などでお調べになる事をおすすめします。ただタイムカプセルとはいえ、5年後の状態にするにはかなりの日数が必要となるため、温度を設定し投入した後はひたすら待つしかなく、それまでの間発熱剤候補生は次のオーディションに挑むのでした。続く・・・
開発秘話⑧「恋人さがし」「おにぎりを温める」ための熱源となる”発熱剤”の設計は、袋の開発とほぼ同時にスタートしました。一言で「発熱剤」と言ってもその特性は様々で、水をかけると「激しく片想いのように熱を出すヤツ」もいれば「長い時間やさしく見守るように温めてくれるヤツ」もいます。(笑)単純に熱が出れば良いという訳ではなく袋との相性も必要です。多くのサンプルと向かい合う毎日は、まるで「恋人さがし」のようでした。(><)これまで「発熱剤で調理するなべ サポット」で培ったノウハウを持ってスタートしましたが、”2層袋”用としての設計では、新たな課題もたくさん出てきたのです。そしてその課題をクリアできないと、とても信頼できる製品とは言えません。・袋に合わせたサイズでなければいけません。・何をどれくらい温めるかによって量も変わります。・水をかけてすぐに蒸気が出ると袋の密封が大変です。・不織布が細かくないと中の「粉」が出て危険です。・色んな保管状況に耐えられる袋はどれか・・・そんな課題を一つ一つクリアするための試験を重ね、ようやくいくつかのモノに絞ることができたのでした。続く・・・
開発秘話⑦「昔から意外と身近に」「おにぎりをそのまま温められる2層袋」だけを作れば良いかというとそうではなく、温めるため必要となるのが”熱源”です。弊社ではこれまでご紹介したとおり「発熱剤で調理するなべ サポット」を開発してきましたが、サポットに使用する発熱剤をそのまま流用することはできず、こちらも新たに設計・開発する必要があるのでした。そもそも”発熱剤”ってなに??”発熱剤”とは酸化カルシウムやアルミニウムの粉末などが不織布に包まれていて、水に触れると科学反応を起こして発熱し、高温の水蒸気を出します。ひと昔前、美味しそうな駅弁とお茶を片手に電車にゆられ、ヒモを引くとホカホカのお弁当に早変わり!窓から見えるキレイな景色とアツアツの駅弁を楽しむ旅も話題になりました。これも発熱剤が熱源です。(私も小さい頃から電車の旅に憧れ、今ではアツアツの駅弁とビール片手に雪景色・・・ほんと年取ったなぁ笑)さてそんな発熱剤ですが、お隣中国では日本よりもポピュラーで、ほとんどのお弁当に発熱剤がついているといっても過言ではありません。中国料理といえば”熱くて美味しい料理”というイメージですが、”冷たい食事は免疫力を落とす”とも言われていて、原材料も調達しやすい上に電車に乗ってる時間も長い。他にも色んな条件が重なって身近なモノとなったのでしょう。※写真は中国の発熱剤を使用したお弁当です。なんと麺類まで!続く・・・