みなさん、おはようございます!養鶏という「天職」に出会い、かれこれ30年が経ちました。しかし不思議なもので、「これで正解だ」「ついに極めた」と思える瞬間は、今でもまったくありません。ただエクセルの数字とにらめっこしているだけでは、大自然の不思議を前にして、うまくいかないことばかりです(苦笑)だからこそ、30年にわたって愚直にデータを蓄積し、それでも読み切れない大自然の余白は、現場での泥臭い「経験」をプラスしてカバーする。常に挑戦。常に学び。そして、「試行錯誤の連続」です。しゅりの森自然農園の森の中を、毎日元気に走り回る子どもたち(鶏さんたち)。そんな彼らに「究極のごはん」を作ってあげたい!その一心で、今日もデータという「数字の根拠」と、現場の「経験」をすり合わせる日々を送っています。実は、鶏さんたちが1日に食べられるごはんの量は決まっています。「約115グラム」ほんの小さな、おにぎり一個分にも満たない量です。どんなに美味しくて、どんなに体に良いものをたくさん食べさせてあげたくても、彼らの小さな胃袋にはどうしても限界があります。だからこそ……その限られた、たった115グラムの中に、いかに栄養たっぷりな『生命の源』と愛情を込められるか?これが「鶏さんの管理栄養士」としての私の一番の腕の見せ所であり、理屈抜きの「親心」なのです。私たちの農園がある地域には、豆腐作りの過程で出る「生のおから」という素晴らしい未利用資源があります。栄養満点の宝物のような食材ですが、水分が多くてすぐに傷んでしまうのが最大の難点。これをなんとか、最高の形でおいしく食べてもらいたい。そこで試行錯誤の末にたどり着いたのが、生のおからと「米ぬか」を、重量比『1:1』で混ぜ合わせて発酵させるという挑戦でした。この比率で混ぜ合わせると、水分量はおよそ45%くらい。手でギュッと握るとおにぎりのように固まり、指で軽くつつくとホロリと崩れる……。発酵を大成功させるための、まさにドンピシャの固さになります。ここからが、私の体力勝負です!1日3回、汗を流しながら全身を使ってスコップで切り返しを行います。発酵の熱で、内部の温度はなんと50℃〜60℃にもなります!湯気がモワッと立ち込める中、48時間でピークを迎えた熱を、今度は床に薄く広げて一気に冷まします。発酵熱を利用することで水分を飛ばし、余分な雑味を抜きながら、旨味と栄養をギュッと一粒一粒に閉じ込める。実はここにも、私の大きなこだわりがあります。ボイラーのような人工的な機械の熱は、一切使いません。使うのは、目に見えない無数の微生物たちが、一生懸命働いて生み出す「生命の熱」だけです。甘く香ばしい発酵の香りがフワッと立ち上がる中、この大自然のエネルギーだけで水分が飛んだごはんは、魔法のように「サラサラ・ホロホロ」の極上の仕上がりに変わります。機械で強制的に乾燥させたエサとは、風味がまったく違います。生命力に溢れたこのごはんは、子どもたちの目の色が変わるほど食いつきが良く、小さな胃袋にも負担なくスッと優しくおさまるのです。まさに、大自然と二人三脚で作る『究極のふりかけ』です。※30年蓄積したデータから算出した詳しい成分推定値は、ぜひ添付の画像をご覧ください!計算で弾き出された「代謝エネルギー(ME)」と「粗蛋白(CP)」は、毎日のベースとなる飼料として、これ以上ないほど優秀な黄金バランスです。しかし、このごはんの本当の凄さは、決してエクセルの数字だけでは表せない「発酵の魔法」にあります。目には見えない大自然の小さな生命(微生物たち)の働きによって、圧倒的な付加価値が生まれるのです。① 胃腸にやさしい「事前消化」微生物が先にタンパク質や繊維質を細かく分解してくれているので、まだ小さな体でも、内臓に負担をかけることなくスムーズに栄養を吸収できます。② 骨を丈夫にする「有効リンの解放」米ぬかに含まれるリンの強固なロックを、微生物の酵素がパチンと外してくれます。しっかりとした骨格を作るための吸収率が、これで飛躍的にアップします。③ 病気に負けない「最強の腸内フローラ構築」乳酸菌や酵母菌が生きたまま腸に届き、これからやってくる夏の酷暑や病気を力強く跳ね返す、免疫力の土台になってくれます。そして極めつけは、有用微生物たちが自ら『ビタミン工場』となって働いてくれること!計算上でもビタミンB2や葉酸などの数字は出ますが、実際にはホカホカの発酵熱の中で、微生物が新しく作り出してくれるため、含有量はグンと跳ね上がります。特に、植物性のエサには本来含まれていないはずの「ビタミンB12」がわずかながら生成されるのは、発酵飼料ならではの本当に素晴らしい恩恵です。しっかりとした血液のベースを作る「鉄分」。その血液を力強く全身へ送り出し、生きるエネルギーに変える「ビタミンB群」。皮膚や粘膜を丈夫にし、厳しい暑さストレスから体を守る「ナイアシン」。これらが強力なタッグを組むことで、夏の酷暑の中でもバテにくい、赤々と立派なトサカを持った力強い鶏さんへと育っていきます。計算上で足りないカルシウムやビタミンは、お米はもちろん、化石サンゴや宗田かつお、そしてこの森の豊かな緑とたっぷりの日光浴で補ってあげる。これで、非の打ち所がないパーフェクトな自家製ごはんの完成です!先月19日にこの森へやってきてから、今日で24日目。年齢は136日令、人間にたとえると高校2年生の育ち盛りです。鶏さんの成長スピードはとても早く、1日1日が人間にとっての数ヶ月に匹敵するほど劇的です。いよいよ大人の体(産卵)に向けて完成していく、一番エネルギーに満ちあふれた「青春真っ只中」の時期です。この子たちが大自然の中で力強く生きていくための体づくりは、毎日のこの「115グラム」にかかっています。だからこそ、一切の妥協なく、究極のごはんを追求していきたい!「今日もよく食べたな!」と、空っぽになったエサ箱を見るために。明日もまた、子どもたちに語りかけながら、愛情を込めて究極のごはんづくりに専念します!それではみなさん、今日もよい1日を!





