本日当社もようやく上水道が復旧しました!まだ飲用にはできないそうですが、これでトイレは普通に使えるようになりました。悪天候の中、会社の上水道工事をしていただいています地震後、全国から道路・電気・水道その他インフラ工事、また自治体の業務支援など、多くの方々が救援のために能登に入り、復旧作業にあたられています。日本各地の地名が入った給水車やトイレカー、県外ナンバーの作業車も多く見かけ、スーパーに買い物に行くと各地のお国訛りも聞こえてきます。地元だけではどうにもならない状況の中で、日本中から集まったご支援が復興へのたいへん大きな力となっています。こちらの写真は、工房内の消火設備の復旧作業の様子です。地震の揺れで固定金具が外れて前に倒れてしまっていたのですが、元の位置に起こして復旧作業をしていただきました。多くの皆様のおかげで、ライフラインも正常に戻りつつあります。大変な作業をしていただいている皆様へ、この場をお借りして心より御礼申し上げます。
工房内で無事だった製作中の品物を見つけると、とても嬉しくなります!こちらは胴張型汁椀の木地。下地塗工程の木地固め→木地磨きまで進めていました。屋根の損壊でひどい雨漏りがあったため少し濡れていましたが、木地は傷や割れもなく無事でした。この後布着せ、下地塗から始め、塗りと研ぎを何度も繰り返して仕上げていきます。完成すると、こちらの商品になります。1日も早くお客様の元へ届けられるよう、工房の復旧を急いでいきたいと思います。
リターン品として、新たに「ひこばえカップ」を追加いたしました。思わず両手で包み込みたくなる、コロンとした愛らしいかたちのカップです。「ひこばえ」とは、樹木の切り株や根元から新たに生えてくる若芽です。こちらは弊社の2024年度の新作としてご用意する予定だったものですが、震災からの復活と命の再生への願いを込めて、「ひこばえカップ」と名づけました。内側は白塗り、外はピンク・洗朱(オレンジ色)・常盤(深緑)の3色です。この3色は植物の色(ピンクは花、洗朱は実、常盤は葉)を表しています。また当社では1997年から岩手県二戸市浄法寺で漆の木の植栽をしており、その漆山で採れた漆を使用しています。採取が終わった漆の木は秋に切り倒されますが、その木から新たに生えてくる「ひこばえ」を大切に育て、10数年後にまた採取できるようにする「萌芽更新」の作業を行います。「ひこばえカップ」の名には、日本の漆の森の再生への願いも込められています。岩手県浄法寺、当社の漆山にて*この商品はまだ完成品がありませんので、掲載した商品の画像はCGイメージです。そのため実際の商品と色味や質感が若干異なる場合があります。【サイズ】φ80*h80【木地】天然木【塗料】漆塗り
今日は3月11日、東日本大震災から13年目の日です。あの未曾有の災害が、今年は肌感覚としてより近くに感じる…と言っていいのか、 2ヶ月あまり前の能登半島地震から復興途上の私たちにとって、今年は昨年までとは少し違う気持ちでこの日を迎えています。上の写真は、大規模火災に見舞われた輪島市河井町にて。捜索に参加された自衛隊員の方々は、焼け出されたお家の方が戻られたときのために、焼け跡から取り出した器をこのようにきれいに並べてくれていたそうです。弊社が復元した明治の町家「塗師の家」の焼け跡の前にも、鉄瓶や瓶子などを取り出していただいてありました。悪天候の中での大変な作業に加えて、このような細やかなお気遣いをしていただき、本当に感謝の念に堪えません。鉄瓶は「塗師の家」の茶の間で使われていたものです今回、東日本大震災や阪神大震災、熊本地震など大きな震災を経験された方からのメッセージ、ご支援も数多くいただきました。ご自身も大変な思いをされた方からの暖かいお気遣いは、私たちにとってたいへん大きな励ましとなっております。私たちもいつかこのご恩をお返しできるように、1日1日を大切に努めてきたいと思っています。
筆づくりで有名な広島県熊野町の白鳳堂様から、当社は以前より大きなご縁をいただき、化粧筆の軸の漆塗と蒔絵など、これまでに多くのお仕事をさせていただいております。このほど白鳳堂様より、輪島の皆さんへ、と沢山の化粧筆と蒔絵用の筆を当社宛に贈っていただきました。一昨日当社社長が、化粧筆を輪島市役所の職員組合へ、蒔絵筆は蒔絵組合長の新出さんにお届けしてまいりました。化粧筆をお渡しした市役所の女性職員さんは、こんなにたくさんこんなに良いものを、みんな喜ぶよ!と声を弾ませ、今はあまりお化粧する余裕もないけれど使うのが楽しみです、と喜んでおられました。市の職員さんは皆、地震以来大変な激務を続けておられます。皆さんにとって、とても元気の出るご支援だったと思います。蒔絵用の筆をお渡しした新出組合長は、今後に不安を抱えている職人が多い中、この筆が大きな後押しになる、伝統の技を守り、このご恩に応えなければ、恥ずかしい仕事は出来んなぁ、と気持ちを高めておられました。蒔絵組合長の新出さん(右)と、弊社社長の中室(左)今回のご支援は、この地で立ち直ろうとする私たちに大きな希望を与えてくれました。暖かい励ましをいただいた白鳳堂様に、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。