私は子どもの頃から本が好きだった。でも両親や家族が本を読む家なんかでは全然なくて、むしろ親は商売でずっと忙しく、しかも物心ついた頃から父がギャンブル依存症で、ずっと両親の仲が悪かった。だからこそ本は私の一番の逃げ場所だった。古本屋で文庫本を買ってきては親の夫婦喧嘩が始まったら布団の中にもぐってボロボロの本を貪り読んだ。本の中で私は世界を旅したり、大富豪になったり、何百年も前の人に出会ったり…。私は本の中で別の人生を、何度も生き直すことができる。それは大人になった今でも変わらないこと。そして本に登場する人たちが話す言葉にどれほど助けられているか。言葉は人を傷つける刃にもなるけれど、人を温める毛布にもなる。ヤバいことを踏みとどまらせるお守りにもなる。私が今話していることの8割はかつてどこかで読んだ本で誰かが話していた言葉たちだ。動画やインターネットもいいけれど、本は軽くて電源がなくても触れられる一番持ち運びやすい“別世界”。時空を超えて、人に、コトに出会える場所。そんな「逃げ場所」や「楽しみ」を知る人が一人でも増えたらいい。うちのお店にもお客さんがこの本いいよって勝手に置きにくる。本は天下の周りもの、会ったことない人からの言葉の贈り物だ。誰の素敵な言葉がまた誰かを通して次の人に届くといいな。そんなことを思いながら今回のプロジェクトを応援しています。スナックひきだし 紫乃ママ 木下紫乃







