【マジメな毎日に、ひとさじのパンクを】DIY作家が人生を懸けた小説の増刷を応援!

<40代おっさんの無様なチャレンジ>小説本文はもちろん表紙デザインや版下データまで自分でつくるDIY作家「児玉ロウ」。初のヒット作品『LOVE IS [NOT] DEAD.〜おやじパンクス、恋をする〜』の増刷(第2刷)を応援

現在の支援総額

828,488

138%

目標金額は600,000円

支援者数

125

募集終了まで残り

終了

このプロジェクトは、2026/02/21に募集を開始し、 125人の支援により 828,488円の資金を集め、 2026/03/31に募集を終了しました

【マジメな毎日に、ひとさじのパンクを】DIY作家が人生を懸けた小説の増刷を応援!

現在の支援総額

828,488

138%達成

終了

目標金額600,000

支援者数125

このプロジェクトは、2026/02/21に募集を開始し、 125人の支援により 828,488円の資金を集め、 2026/03/31に募集を終了しました

<40代おっさんの無様なチャレンジ>小説本文はもちろん表紙デザインや版下データまで自分でつくるDIY作家「児玉ロウ」。初のヒット作品『LOVE IS [NOT] DEAD.〜おやじパンクス、恋をする〜』の増刷(第2刷)を応援

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【毎日更新】第11回『LOVE IS [NOT] DEAD.〜おやじパンクス、恋をする〜』 ベランダのないワンルームマンションの一室。彼女は赤いカーテンのかかった窓際から、こっちを見ていた。いや、こっちといっても、別に俺のことを見ていたわけじゃない。ただボンヤリと視線を宙に投げているだけという感じで、つまらなそうに、サッシに肘をついてさ。 彼女は肩くらいまでの髪で、肌が白かった。なんか外人みてえな目鼻立ちっていうか、クラスに居たら間違いなくかわいいランキング一位二位に食い込む顔だよ。もっとも、彼女の顔を間近で見たのはずっと後のことだ。二、三十メートルも離れたこの位置からじゃ、かろうじてその目鼻立ちらしきものが伺えるくらいだ。 とにかく、俺と同い歳くらいの女の子が窓際にいる、最初はその程度の認識だった。 さっきも言った通り俺はかなりのむっつりスケベだったから、社会がどうとか野球がどうとかいう酔った親父のつまんねえ話より、その女の子の方が気になった。 この店はけっこう流行っていたのか客は多かったし、しかも土曜の夜ってこともあってか家族連ればっかで、俺と同年代の子どもは店内にだっていたんだ。中にはもちろん、女の子も。 だけどまあ、これがまた俺の気持ちの悪いところなんだけど、傍にいる現実の女の子のことは、まともに見れたもんじゃねえんだ。こんなキモ男じゃ、視線を投げただけで悲鳴をあげられるような気がしてた。 そういう意味でも、「向こう側」にいる彼女は、何かと都合がよかった。 俺は緊張せず、彼女を見つめることができた。もちろん、俺が見ていることを彼女に気付かれたくはなかったし、あんまり露骨に見ていたら、両親にだって怪しまれるかもしれないから、あくまでさりげなくだけど。 次に来たときにも、彼女は窓際にいた。その次も、その次も。 彼女を見つけてから、俺はこのレストランに行くのが嫌じゃなくなった。楽しみってほどではなかったけど、嫌じゃなくなった。今日もいるかな、あ、いた、そんな些細な事で、楽しんでたわけさ。 彼女は別に何をするでもなくただ窓際にいて、ときどき立ち上がって姿を消し、すぐに戻ってくることもあったし、そのまま戻ってこないこともあった。 だけど、土曜のその時間、つまり六時から七時くらいの間だと思うけど、その一時間くらいの間は、ほとんど必ずと言っていいほど、彼女は顔を見せてくれた。 雨が降ってても、雪の日にも、彼女はそこにいた。まあ、あんまり大降りのときは俺たちの方が予約をキャンセルしていたから、彼女がどうしていたかは知らないけどさ。 彼女を見つけてから何度目だっただろうか、そんなにすぐってわけでもない、たぶん二ヶ月くらい経ってからだと思うんだけど、俺は彼女のいるその風景に、ひとつの違和感を発見したんだよ。〜第12回に続く〜--本日はここまでです。少しでも続きが気になった方は、ぜひこのプロジェクトの「お気に入り登録」をお願いします。(登録していただくと、更新タイミングで通知が届くようになります)また、今回のプロジェクトでは、限定青カバー版(100冊限定)やオリジナルステッカー及びバッジ、著者と小説の舞台となったBARで飲む交流枠など、様々なリターンを用意させていただいています。ぜひチェックいただき、ご支援いただけますと幸いです。それでは、また明日。児玉ロウ


【毎日更新】第10回『LOVE IS [NOT] DEAD.〜おやじパンクス、恋をする〜』 親父、お袋、俺っていう三人だったウチの家族は、外食に行くと親父とお袋が並んで座って、その向かい側に俺っていうのがルールだった。いや、ルールなんて固いもんでもねえけど、まあ普通に毎回そうだった。空いた席は荷物置き場になって、カバンとかコートとかが置かれてさ。 家族向けの飲食店は、だいたい四人席だろ。親父お袋、そんで向かい側に俺と荷物、そういう図式な。で、親父たちは上座っていうのか、店の入り口から遠い方の席に座る。俺は下座。 なんでこんなことを詳しく説明するかっていうと、つまりこの店「キッチンクリハラ」に来た時も、俺はいつも窓側を向いて座ってたってことを言いたかったからだよ。 この店は奥に長い長方形をしていて、入り口から入って店の中ほどまでは厨房やらトイレやら棚やらが占めていて、客席はその奥に集中している。 もともとテーブルが十もない小さな店だ。どのテーブルに案内されても、俺は窓の外の景色を見ることができたわけだ。 モヒカン頭でヘビースモーカーの今からじゃ想像もつかねえだろうが、三十年前の俺はいわゆる「真面目くん」ってやつだった。 勉強以外に脳がねえっていうか、我ながらテンションの低いつまんねえ野郎だったよ。運動はからっきしだし、絵とか彫刻とかそういうののセンスもゼロだし、そもそも性格が暗いしであんま友達もいなかった。 小学校高学年ともなれば、そろそろ色気づいた話も出始める頃だが、俺はクラスの女子と楽しくおしゃべりするどころか、目を合わせることすらできねえチキンでさ。 だからって興味がなかったわけじゃないんだぜ。いやむしろそういう意味では早熟だったんじゃねえかな。クラスの可愛い子とあんなことやこんなことって、スケベなことを妄想して、悶々としてたんだから。 で、当時の俺には休みの日に一緒にバカやる仲間もいねえし、親に誘われるままホイホイこの店にも来てたわけだ。 毎週とは言わねえが、月に一回か二回、そう、決まって土曜の夜、毎回わざわざ電話で予約してさ。とはいえ、当たり前だが親との話が面白いはずがねえ。それも、通い慣れて新鮮さのかけらもない店なら、なおさら退屈だ。 だから、慣れねえワインで饒舌になっている親父の話を聞き流しながら、俺はいつも向こう側の、窓の外の景色をボンヤリ眺めていたわけだ。そんなある日、俺は彼女を見つけたんだよ。〜第11回に続く〜--本日はここまでです。少しでも続きが気になった方は、ぜひこのプロジェクトの「お気に入り登録」をお願いします。(登録していただくと、更新タイミングで通知が届くようになります)また、今回のプロジェクトでは、限定青カバー版(100冊限定)やオリジナルステッカー及びバッジ、著者と小説の舞台となったBARで飲む交流枠など、様々なリターンを用意させていただいています。ぜひチェックいただき、ご支援いただけますと幸いです。それでは、また明日。児玉ロウ


【毎日更新】第9回『LOVE IS [NOT] DEAD.〜おやじパンクス、恋をする〜』 俺はメニューを置いて、また窓の外を見る。 俺の視線の先にあるのは、向かいのビルの中の一室、何の変哲もない古びたワンルームマンションの一室だ。赤いカーテンがかかった、あの部屋。「よお」 おばちゃんが裏に引っ込んでしまうと、俺は呟いた。「……なんだよ」 誰の声か分かんねえ、誰かが応えた。 俺はできるだけ何気ない風を装って、言った。「あの部屋、見てみろよ。向かいのビル、五階の、一番左の部屋」「部屋? なんだよ」 ボンとタカが一緒になって振り返り、電車の中でガキがするみたいに、ソファに膝ついて窓の外を見た。「向かいのビル? 五階の一番左?」タカが聞く。だからそう言ってんだろう。「なんだよ、女の生着替えでも見れるってのかよ」ボンが茶化して言う。「ちげえよバカ、カーテンが掛かってんだろ、赤いやつ」「赤いカーテンなんていくつもあるぜ」「タカ、俺は五階つったよな、五階には一部屋しかねえだろ」「だから、それがどうしたんだよ」いつの間にかCDから顔を上げていた涼介が口を挟む。 俺は変な気分だった。なぜなら、記憶が蘇ってくるに従って、この話が笑いのネタになりそうもないことに気づき始めていたからだ。 だが一方で、俺は話したがっていた。 なんでだろうな、三十年ぶりに思い出した「彼女」のことを、こいつらに聞いてもらいたかったのかもしれねえ。 問題のその部屋には今カーテンが引かれていて、中は見えない。だが、俺の目には、その部屋の向こう側からこっちを見ている、俺と同い歳くらいの女の子の顔がありありと浮かんでいた。あ、俺と同い年って、四十三の俺じゃねえよ、このレストランに来てた頃の俺。十二歳とか十三歳とかそんなもんの俺だよ。 そうだ。ハッキリ思い出した。ああ、なんだって俺は、このことを忘れていたんだろう。どうしてマカロニグラタンがどうのなんて、変な覚え方をしてたんだろう。 忘れたかったのかもしれない。いや、そうに違いねえ。「おい、なんなんだよ」 気付くと三人が俺を見てた。俺、変な顔してたんだろうな。「いや、まあ、信じねえと思うんだけどさ」 俺はそう言って、話し始めたんだ。〜第10回に続く〜--本日はここまでです。少しでも続きが気になった方は、ぜひこのプロジェクトの「お気に入り登録」をお願いします。(登録していただくと、更新タイミングで通知が届くようになります)また、今回のプロジェクトでは、限定青カバー版(100冊限定)やオリジナルステッカー及びバッジ、著者と小説の舞台となったBARで飲む交流枠など、様々なリターンを用意させていただいています。ぜひチェックいただき、ご支援いただけますと幸いです。それでは、また明日。児玉ロウ


【毎日更新】第8回『LOVE IS [NOT] DEAD.〜おやじパンクス、恋をする〜』 だが、おばちゃんは困った顔をして、言ったんだ。「すみません、グラタンはやってないんですよ」 驚く俺。「え? やってない?」「そうなの、ごめんなさいね」「そんなはずねえよ。俺、ここのグラタンが好きだったんだぜ」「あら……それじゃ、前はあったのかもしれないわね。でも、今はやっていないの。ごめんなさい」 おばちゃんは店員らしく丁寧に、けどあくまで頑なにマカロニグラタンなんてもんはねえから他のものを頼め、そういう内容のことを仰った。 まあ、そういうことも、あるか。三十年前にあったからって、今も残ってるとは限らねえよな。だいたいマカロニグラタンが特別好きってわけでもないんだし、別にいいじゃねえか。 俺は無言で納得して、急いでメニューをめくり、チキンソテーのセットを頼んだ。隣で涼介が何か言いたげにこっちを見ていたが、無視した。 それに俺自身、このレストランで自分がグラタンを食っていたというその記憶自体に、自信が持てなくなっていた。 いや、グラタンだけじゃねえ。なんていうか、この店にまつわる記憶全体がテキトーなんじゃねえかってさ。記憶の中でテーブルは丸くてクロスがかかってたのに実際は四角でクロスはねえし、店員は白シャツに蝶ネクタイだったのにおばちゃん蝶ネクタイなんてしてねえし。 もちろん三十年前と同じ家具、同じ制服を使ってなきゃいけねえ道理もねえし、むしろ変わってて当たり前なのかもしれねえけど、なんかそういうんじゃなくて、やっぱり俺の記憶の方が間違っているんじゃねえのか、おかしいんじゃねえのかって思ったんだな。 だけど、そう思ったのは、テーブルクロスが理由じゃねえ。 さっき窓の外に見つけた、あれのせいだ。〜第9回に続く〜--本日はここまでです。少しでも続きが気になった方は、ぜひこのプロジェクトの「お気に入り登録」をお願いします。(登録していただくと、更新タイミングで通知が届くようになります)また、今回のプロジェクトでは、限定青カバー版(100冊限定)やオリジナルステッカー及びバッジ、著者と小説の舞台となったBARで飲む交流枠など、様々なリターンを用意させていただいています。ぜひチェックいただき、ご支援いただけますと幸いです。それでは、また明日。児玉ロウ


【毎日更新】第7回『LOVE IS [NOT] DEAD.〜おやじパンクス、恋をする〜』 外の風景ったって、別に特別なもんが見えるわけでもねえ。上半分は空で、下半分は向かい側に建つ古いマンションだ。 だが、俺はその何の変哲もない風景に、なんていうか、見覚えなんて言葉じゃ足りない、「焦り」みたいなもんを覚えたんだ。 いきなりハッとしてさ、視界とか意識とかがスローモーションになるときあるだろ。ああいう感じで、俺はその瞬間、その「焦り」がコマ送りみてえなスピードで俺をぶん殴ろうとしてるのを感じた。 ああ、そうか。 これだったんだ。 よく考えてみれば最初から何かおかしかった。 普通なら、店に入った瞬間に、いや、ロゴを見た時に、あるいはビルの外観を見た時に「うわあ、ここだ」って感動っつうかさ、そういう驚きがあってもよかったはずだろ。だが、俺はそうはならなかった。何となくこんな感じだったけど、でも違ったような気もする、そんな曖昧な感じだった。なぜか。 これだったんだ。 俺がこのレストランを覚えていた理由は、これだったんだ。 その時、四人分の水を盆に乗せたおばちゃんが近づいてきて、「何にしますか?」と、伝票とボールペンを用意しながら言って、俺は現実に引き戻された。 CDの歌詞を熱心に読んでいた涼介が一番に、「ナポリタン」と言って、「俺もそれ」とボンが続き、タカが嬉しそうに「ハンバーグセット」。ほらやっぱそうじゃねえかよ。ともあれ、俺はちょっとした動悸を感じながら、だが努めて冷静に「マカロニグラタン」と言った。〜第8回に続く〜--本日はここまでです。少しでも続きが気になった方は、ぜひこのプロジェクトの「お気に入り登録」をお願いします。(登録していただくと、更新タイミングで通知が届くようになります)また、今回のプロジェクトでは、限定青カバー版(100冊限定)やオリジナルステッカー及びバッジ、著者と小説の舞台となったBARで飲む交流枠など、様々なリターンを用意させていただいています。ぜひチェックいただき、ご支援いただけますと幸いです。それでは、また明日。児玉ロウ


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