【マジメな毎日に、ひとさじのパンクを】DIY作家が人生を懸けた小説の増刷を応援!

<40代おっさんの無様なチャレンジ>小説本文はもちろん表紙デザインや版下データまで自分でつくるDIY作家「児玉ロウ」。初のヒット作品『LOVE IS [NOT] DEAD.〜おやじパンクス、恋をする〜』の増刷(第2刷)を応援

現在の支援総額

828,488

138%

目標金額は600,000円

支援者数

125

募集終了まで残り

終了

このプロジェクトは、2026/02/21に募集を開始し、 125人の支援により 828,488円の資金を集め、 2026/03/31に募集を終了しました

【マジメな毎日に、ひとさじのパンクを】DIY作家が人生を懸けた小説の増刷を応援!

現在の支援総額

828,488

138%達成

終了

目標金額600,000

支援者数125

このプロジェクトは、2026/02/21に募集を開始し、 125人の支援により 828,488円の資金を集め、 2026/03/31に募集を終了しました

<40代おっさんの無様なチャレンジ>小説本文はもちろん表紙デザインや版下データまで自分でつくるDIY作家「児玉ロウ」。初のヒット作品『LOVE IS [NOT] DEAD.〜おやじパンクス、恋をする〜』の増刷(第2刷)を応援

エンタメ領域特化型クラファン

手数料0円から実施可能。 企画からリターン配送まで、すべてお任せのプランもあります!

このプロジェクトを見た人はこちらもチェックしています

【毎日更新】第9回『LOVE IS [NOT] DEAD.〜おやじパンクス、恋をする〜』 俺はメニューを置いて、また窓の外を見る。 俺の視線の先にあるのは、向かいのビルの中の一室、何の変哲もない古びたワンルームマンションの一室だ。赤いカーテンがかかった、あの部屋。「よお」 おばちゃんが裏に引っ込んでしまうと、俺は呟いた。「……なんだよ」 誰の声か分かんねえ、誰かが応えた。 俺はできるだけ何気ない風を装って、言った。「あの部屋、見てみろよ。向かいのビル、五階の、一番左の部屋」「部屋? なんだよ」 ボンとタカが一緒になって振り返り、電車の中でガキがするみたいに、ソファに膝ついて窓の外を見た。「向かいのビル? 五階の一番左?」タカが聞く。だからそう言ってんだろう。「なんだよ、女の生着替えでも見れるってのかよ」ボンが茶化して言う。「ちげえよバカ、カーテンが掛かってんだろ、赤いやつ」「赤いカーテンなんていくつもあるぜ」「タカ、俺は五階つったよな、五階には一部屋しかねえだろ」「だから、それがどうしたんだよ」いつの間にかCDから顔を上げていた涼介が口を挟む。 俺は変な気分だった。なぜなら、記憶が蘇ってくるに従って、この話が笑いのネタになりそうもないことに気づき始めていたからだ。 だが一方で、俺は話したがっていた。 なんでだろうな、三十年ぶりに思い出した「彼女」のことを、こいつらに聞いてもらいたかったのかもしれねえ。 問題のその部屋には今カーテンが引かれていて、中は見えない。だが、俺の目には、その部屋の向こう側からこっちを見ている、俺と同い歳くらいの女の子の顔がありありと浮かんでいた。あ、俺と同い年って、四十三の俺じゃねえよ、このレストランに来てた頃の俺。十二歳とか十三歳とかそんなもんの俺だよ。 そうだ。ハッキリ思い出した。ああ、なんだって俺は、このことを忘れていたんだろう。どうしてマカロニグラタンがどうのなんて、変な覚え方をしてたんだろう。 忘れたかったのかもしれない。いや、そうに違いねえ。「おい、なんなんだよ」 気付くと三人が俺を見てた。俺、変な顔してたんだろうな。「いや、まあ、信じねえと思うんだけどさ」 俺はそう言って、話し始めたんだ。〜第10回に続く〜--本日はここまでです。少しでも続きが気になった方は、ぜひこのプロジェクトの「お気に入り登録」をお願いします。(登録していただくと、更新タイミングで通知が届くようになります)また、今回のプロジェクトでは、限定青カバー版(100冊限定)やオリジナルステッカー及びバッジ、著者と小説の舞台となったBARで飲む交流枠など、様々なリターンを用意させていただいています。ぜひチェックいただき、ご支援いただけますと幸いです。それでは、また明日。児玉ロウ


【毎日更新】第8回『LOVE IS [NOT] DEAD.〜おやじパンクス、恋をする〜』 だが、おばちゃんは困った顔をして、言ったんだ。「すみません、グラタンはやってないんですよ」 驚く俺。「え? やってない?」「そうなの、ごめんなさいね」「そんなはずねえよ。俺、ここのグラタンが好きだったんだぜ」「あら……それじゃ、前はあったのかもしれないわね。でも、今はやっていないの。ごめんなさい」 おばちゃんは店員らしく丁寧に、けどあくまで頑なにマカロニグラタンなんてもんはねえから他のものを頼め、そういう内容のことを仰った。 まあ、そういうことも、あるか。三十年前にあったからって、今も残ってるとは限らねえよな。だいたいマカロニグラタンが特別好きってわけでもないんだし、別にいいじゃねえか。 俺は無言で納得して、急いでメニューをめくり、チキンソテーのセットを頼んだ。隣で涼介が何か言いたげにこっちを見ていたが、無視した。 それに俺自身、このレストランで自分がグラタンを食っていたというその記憶自体に、自信が持てなくなっていた。 いや、グラタンだけじゃねえ。なんていうか、この店にまつわる記憶全体がテキトーなんじゃねえかってさ。記憶の中でテーブルは丸くてクロスがかかってたのに実際は四角でクロスはねえし、店員は白シャツに蝶ネクタイだったのにおばちゃん蝶ネクタイなんてしてねえし。 もちろん三十年前と同じ家具、同じ制服を使ってなきゃいけねえ道理もねえし、むしろ変わってて当たり前なのかもしれねえけど、なんかそういうんじゃなくて、やっぱり俺の記憶の方が間違っているんじゃねえのか、おかしいんじゃねえのかって思ったんだな。 だけど、そう思ったのは、テーブルクロスが理由じゃねえ。 さっき窓の外に見つけた、あれのせいだ。〜第9回に続く〜--本日はここまでです。少しでも続きが気になった方は、ぜひこのプロジェクトの「お気に入り登録」をお願いします。(登録していただくと、更新タイミングで通知が届くようになります)また、今回のプロジェクトでは、限定青カバー版(100冊限定)やオリジナルステッカー及びバッジ、著者と小説の舞台となったBARで飲む交流枠など、様々なリターンを用意させていただいています。ぜひチェックいただき、ご支援いただけますと幸いです。それでは、また明日。児玉ロウ


【毎日更新】第7回『LOVE IS [NOT] DEAD.〜おやじパンクス、恋をする〜』 外の風景ったって、別に特別なもんが見えるわけでもねえ。上半分は空で、下半分は向かい側に建つ古いマンションだ。 だが、俺はその何の変哲もない風景に、なんていうか、見覚えなんて言葉じゃ足りない、「焦り」みたいなもんを覚えたんだ。 いきなりハッとしてさ、視界とか意識とかがスローモーションになるときあるだろ。ああいう感じで、俺はその瞬間、その「焦り」がコマ送りみてえなスピードで俺をぶん殴ろうとしてるのを感じた。 ああ、そうか。 これだったんだ。 よく考えてみれば最初から何かおかしかった。 普通なら、店に入った瞬間に、いや、ロゴを見た時に、あるいはビルの外観を見た時に「うわあ、ここだ」って感動っつうかさ、そういう驚きがあってもよかったはずだろ。だが、俺はそうはならなかった。何となくこんな感じだったけど、でも違ったような気もする、そんな曖昧な感じだった。なぜか。 これだったんだ。 俺がこのレストランを覚えていた理由は、これだったんだ。 その時、四人分の水を盆に乗せたおばちゃんが近づいてきて、「何にしますか?」と、伝票とボールペンを用意しながら言って、俺は現実に引き戻された。 CDの歌詞を熱心に読んでいた涼介が一番に、「ナポリタン」と言って、「俺もそれ」とボンが続き、タカが嬉しそうに「ハンバーグセット」。ほらやっぱそうじゃねえかよ。ともあれ、俺はちょっとした動悸を感じながら、だが努めて冷静に「マカロニグラタン」と言った。〜第8回に続く〜--本日はここまでです。少しでも続きが気になった方は、ぜひこのプロジェクトの「お気に入り登録」をお願いします。(登録していただくと、更新タイミングで通知が届くようになります)また、今回のプロジェクトでは、限定青カバー版(100冊限定)やオリジナルステッカー及びバッジ、著者と小説の舞台となったBARで飲む交流枠など、様々なリターンを用意させていただいています。ぜひチェックいただき、ご支援いただけますと幸いです。それでは、また明日。児玉ロウ


【毎日更新】第6回『LOVE IS [NOT] DEAD.〜おやじパンクス、恋をする〜』 俺はというと、なんつうか、妙な違和感を覚えて、ぼんやりしていた。 何に違和感があんのかは分からねえんだけど、何か変だな、という感じ。 でもまあ、この細っこい階段で突っ立てるわけにもいかねえ、遅ればせながら店内に入ると、既に奴らは店の一番奥のテーブルを陣取っていた。全員がタバコに火をつけてて、何が可笑しいのかもうバカ笑いだ。客が他にいねえのが救いだが、仮にいたとしてもあいつらは何も気にしねえだろう。 そう、あいつらはどこにいても何をしてても、周りに誰がいても何も変わらねえ。まあ、相手に合わせてコロコロ態度を変える奴よか百倍いいけどさ。 なんてことを思いながら店を奥へと進んでいくと、「お連れさんね、奥へどうぞ」と、店員らしきおばちゃんが声をかけてきた。五十代後半くらいかな。俺のお袋よりは下だろう。白シャツに黒いベストの制服を着ている。うーん、こんな感じだったかな。なんか違うような気もするけどなあ。 店の雰囲気も、まあこんな感じだったと言われればこんな感じか? だがこのおばちゃんには見覚えがねえ。まあ、それは当たり前か。「ねえおばちゃん、この店って三十年くらい前にもあった?」俺は聞いた。「三十年? ああ、先代の時代だろうけど、それくらいは経ってるはずよ」 ふうん。じゃあやっぱ、ここなんだよな。 席について、やっぱりこの店がガキの頃行ってた店に間違いないらしいことを奴らに言った。予想はしていたが、ボンもタカも「へえ」と興味なさそうに答えただけだった。涼介に関しちゃは返事すらしねえ。昼間のライブの物販で買ったっていうポップスバンドのCDを開けて、忌々しげな表情で歌詞を読んでいる。そんな顔するなら、何で買ったんだよバカが。 タカはテーブルに置かれていたメニューを熱心に見て、何を食おうか考えているようだ。てめえそうやって悩んだ挙句いつもハンバーグじゃねえか。いい加減学習しろ。 俺は呆れて——いや、安心したんだな、多分、こいつらがいつも通りだってことに、俺の単なる思いつきに、こうしてつきあってくれたことに。俺はソファの背もたれに身体を預けて、リラックスした。さて、あとは飯食って帰るだけだ。 俺たちが座っていたのは店の一番奥のボックス席で、二人掛けのソファが二台、テーブルを挟んで置かれている。俺は涼介の隣、店のエントランスを背中にして座っていた。向かい側にボンとタカが座っていて、その向こうには窓がある。何年も掃除されたことがないような、白く濁った汚ねえ窓だ。 ターニングポイントってのはいきなりやってくる。 何気なくその外の風景を見ていた俺は、前触れもなく突然、強烈なデジャヴに襲われた。〜第7回に続く〜--本日はここまでです。少しでも続きが気になった方は、ぜひこのプロジェクトの「お気に入り登録」をお願いします。(登録していただくと、更新タイミングで通知が届くようになります)また、今回のプロジェクトでは、限定青カバー版(100冊限定)やオリジナルステッカー及びバッジ、著者と小説の舞台となったBARで飲む交流枠など、様々なリターンを用意させていただいています。ぜひチェックいただき、ご支援いただけますと幸いです。それでは、また明日。児玉ロウ


【毎日更新】第4回『LOVE IS [NOT] DEAD.〜おやじパンクス、恋をする〜』 ともあれ、レストランだ。そんな何もねえ、つまんねえ所までやってきたんだ。二十分もかけて、バス代も使って。 意地でもマカロニグラタンを食ってやるぞという気で、目的のビルを探した。バス停の名前がスッと出てきた割に、肝心の所在地は曖昧で、ビルの外観はイメージできるんだが、どこをどう行けばそこにたどり着くのか分かりゃしねえ。 結局俺たちが目的のビルを見つけたのは、太陽が低くなり始めた頃、バス停を降りて三十分近く経ってからのことだった。 ひと目で古いって分かる、寂れたビル。ガキの頃は立派だと思っていたが、今は背後にもっと大きなビルが建っていて、みすぼらしく見えた。二階部分から最上階までつづく縦長の看板がかかっていて、それに各階のテナントロゴが書かれてある。株式会社なんとかとか、なんとか不動産とか、ほとんどが企業のオフィスのようだったが、五階部分に「キッチンクリハラ」という、なんとなく覚えのある名前を見つけた。 バカ面で見上げるオッサン四人。「あれじゃねえの、五階にあるやつ」タカが言う。「他に飲食店ねえしな」涼介の冷静なツッコミ。「で、どうなんだよ」「うーん、確かああいう名前だった、かな」「三十年もやってんのか? それ、すごいなあ」ボンが感心したように言う。奴の実家は食堂なので、その凄さが分かるんだろう。まあ、あのきったねえ食堂でも同じくらいか、下手したらもっと長くやってるわけだから、まあ何とかなるもんなのかもしれない。 とにかく、ここが目的地だ。 エレベーターがなかったので俺たちは老体に鞭打って階段を上った。酔っ払いのオヤジにはキツイ道のりだ。昔の建物だからか通路の幅が一メートルくらいしかなくて、余計に疲れる。日曜日でオフィスは休みらしく、一階から四階までは全く人気を感じなかった。何となく俺たちは無言で、最後の折り返しを過ぎた。 「キッチンクリハラ」というさっき見たのと同じロゴが、壁に埋め込まれた木製の看板に書かれてあった。同じく木でできたロッジ調のドアには「OPEN」のパネルがかかっている。涼介が躊躇なく扉を開けて「やってっかー」と中に入っていく。ボンものんびりとその後に続き、最後にタカが、「なんかいい感じじゃん」とウキウキした様子で入っていく。〜第6回に続く〜--本日はここまでです。少しでも続きが気になった方は、ぜひこのプロジェクトの「お気に入り登録」をお願いします。(登録していただくと、更新タイミングで通知が届くようになります)また、今回のプロジェクトでは、限定青カバー版(100冊限定)やオリジナルステッカー及びバッジ、著者と小説の舞台となったBARで飲む交流枠など、様々なリターンを用意させていただいています。ぜひチェックいただき、ご支援いただけますと幸いです。それでは、また明日。児玉ロウ


新しいアイデアや挑戦を、アプリで見つけるcampfireにアプリが登場しました!
App Storeからダウンロード Google Playで手に入れよう
スマートフォンでQRコードを読み取って、アプリをダウンロード!