【毎日更新】第6回『LOVE IS [NOT] DEAD.〜おやじパンクス、恋をする〜』 俺はというと、なんつうか、妙な違和感を覚えて、ぼんやりしていた。 何に違和感があんのかは分からねえんだけど、何か変だな、という感じ。 でもまあ、この細っこい階段で突っ立てるわけにもいかねえ、遅ればせながら店内に入ると、既に奴らは店の一番奥のテーブルを陣取っていた。全員がタバコに火をつけてて、何が可笑しいのかもうバカ笑いだ。客が他にいねえのが救いだが、仮にいたとしてもあいつらは何も気にしねえだろう。 そう、あいつらはどこにいても何をしてても、周りに誰がいても何も変わらねえ。まあ、相手に合わせてコロコロ態度を変える奴よか百倍いいけどさ。 なんてことを思いながら店を奥へと進んでいくと、「お連れさんね、奥へどうぞ」と、店員らしきおばちゃんが声をかけてきた。五十代後半くらいかな。俺のお袋よりは下だろう。白シャツに黒いベストの制服を着ている。うーん、こんな感じだったかな。なんか違うような気もするけどなあ。 店の雰囲気も、まあこんな感じだったと言われればこんな感じか? だがこのおばちゃんには見覚えがねえ。まあ、それは当たり前か。「ねえおばちゃん、この店って三十年くらい前にもあった?」俺は聞いた。「三十年? ああ、先代の時代だろうけど、それくらいは経ってるはずよ」 ふうん。じゃあやっぱ、ここなんだよな。 席について、やっぱりこの店がガキの頃行ってた店に間違いないらしいことを奴らに言った。予想はしていたが、ボンもタカも「へえ」と興味なさそうに答えただけだった。涼介に関しちゃは返事すらしねえ。昼間のライブの物販で買ったっていうポップスバンドのCDを開けて、忌々しげな表情で歌詞を読んでいる。そんな顔するなら、何で買ったんだよバカが。 タカはテーブルに置かれていたメニューを熱心に見て、何を食おうか考えているようだ。てめえそうやって悩んだ挙句いつもハンバーグじゃねえか。いい加減学習しろ。 俺は呆れて——いや、安心したんだな、多分、こいつらがいつも通りだってことに、俺の単なる思いつきに、こうしてつきあってくれたことに。俺はソファの背もたれに身体を預けて、リラックスした。さて、あとは飯食って帰るだけだ。 俺たちが座っていたのは店の一番奥のボックス席で、二人掛けのソファが二台、テーブルを挟んで置かれている。俺は涼介の隣、店のエントランスを背中にして座っていた。向かい側にボンとタカが座っていて、その向こうには窓がある。何年も掃除されたことがないような、白く濁った汚ねえ窓だ。 ターニングポイントってのはいきなりやってくる。 何気なくその外の風景を見ていた俺は、前触れもなく突然、強烈なデジャヴに襲われた。〜第7回に続く〜--本日はここまでです。少しでも続きが気になった方は、ぜひこのプロジェクトの「お気に入り登録」をお願いします。(登録していただくと、更新タイミングで通知が届くようになります)また、今回のプロジェクトでは、限定青カバー版(100冊限定)やオリジナルステッカー及びバッジ、著者と小説の舞台となったBARで飲む交流枠など、様々なリターンを用意させていただいています。ぜひチェックいただき、ご支援いただけますと幸いです。それでは、また明日。児玉ロウ





