【毎日更新】第33回『LOVE IS [NOT] DEAD.〜おやじパンクス、恋をする〜』 窓が少し開いていて、笑い声はそこから漏れてきているらしい。だが窓にはスモークが貼られていて車内の様子はわからない。 俺たちはなんつうか、まともじゃない人間同士のにおいって言やいいのか、妙に引きつけられるもんを感じてさ、窓の向こうで爆笑している顔の見えない「そいつ」に注目した。 車は古いセダンで、車高が低く改造してある。うーん、俺らが若かった頃のセンスだぜありゃ。 んでそいつ、事もあろうにこの狭っまい二車線道路で、Uターンかまそうとしやがった。小せえ車じゃねえし、一気に回るのは無理だろと思ったが、全く躊躇しないでそいつは車を回転させて、ほとんどギリギリ、こっち側のガードレールにピッタリ寄り添う感じで方向転換を成功させた。 すげえドライビングテクニックだなと思う前に、こんなギリギリなUターンを躊躇なくできる精神構造を疑ったね。だってマジで煙草の箱一個入らねえくらいギリギリなんだぜ。頭がおかしいとしか思えねえ。 それでまた、その停車位置がさ、要するに俺らの目の前なわけだよ。俺らに文句言うためにUターンしたんじゃねえかってくらいの目の前で、ああほら、涼介がもうビキビキなっちゃてんじゃねえかよ。 余計な揉め事はゴメンだぜとか思いながらも、俺は俺である意味では失恋したばっかの状態だったわけで、車の中から聞こえるアホな笑い声に、目の前を塞ぐその不快な黒い鉄の塊に、イライラしてきた。 ボンはボンで、自分の座ってるガードレールギリギリに寄せてきたその車を、妙にうつろな感じのアブねえ表情で見つめているし、パッと見いちばん危なそうに見えるタカだけが、何だかオロオロしているような感じだった。 やがて運転席がバタンと開いて、中から、おいおいこんな分かりやすいチンピラがいるかよって格好をした小太りの兄ちゃんが出てきた。 歳は多分、二十代後半か、三十ちょいくらいか。紺色のスーツに襟の高い白シャツ、頭は坊主で、金色のネックレスと時計をして、ティアドロップのサングラスをかけている。 携帯電話を耳に当て、「だからー、女集めねえとヤベエんだって、はあ? 店ぇ? いやだから店はこっちでやっから、女だっつってんだろこのバカ」と、ジャイアンの独演会のごときボリュームでお話していらっしゃる。〜第34回に続く〜--本日はここまでです。少しでも続きが気になった方は、ぜひこのプロジェクトの「お気に入り登録」をお願いします。(登録していただくと、更新タイミングで通知が届くようになります)また、今回のプロジェクトでは、限定青カバー版(100冊限定)やオリジナルステッカー及びバッジ、著者と小説の舞台となったBARで飲む交流枠など、様々なリターンを用意させていただいています。ぜひチェックいただき、ご支援いただけますと幸いです。それでは、また明日。児玉ロウ






