支援者のみなさま、こんばんは。株式会社アニマルウェルフェア/JAWCO 代表の岩田です。ぼくの原点である「と畜場の16年間」のお話を、聞いてくださってありがとうございました。今日は5月5日。 ゴールデンウィークの後半に入り、こどもの日です。夜の活動報告は、少しだけ肩の力を抜いて―― 「次の世代に、何を渡すか」というお話を、させてください。1|ぼくたちは、何を「渡している」のだろうこどもの日になると、いつも考えることがあります。ぼくたち大人は、次の世代に、何を渡しているのだろう、と。おもちゃ。 教育。 お小遣い。 家族の思い出。そういう目に見えるものは、たくさん渡せます。でも、もっと深いところで―― ぼくたちは、子どもたちに、 「世界の見方」を渡しています。何を大切にし、何を当たり前とするか。 何に手を合わせ、何に目を背けるか。それは、教えるのではなく、日々の暮らしの中で、自然と移っていくものです。2|「文化」とは、食卓から始まる文化というと、なんだか大げさに聞こえます。でも、文化は、いつも食卓から始まります。「いただきます」を言うこと。 「ごちそうさま」で終わること。 食べ物を残さないこと。そういう小さな所作の中に、その家庭が、命をどう見ているか―― それが、染み込んでいきます。子どもは、親の言葉ではなく、 親の所作から、世界の見方を覚えていきます。3|いま、日本の食卓にある「空白」ここで、ひとつ、率直に申し上げます。獣医師として、と畜場に16年立ち続けてきたぼくから見ると、今の日本の食卓には、ある「空白」があります。「いただきます」という言葉は残っているのに、その言葉の指し示す先が、どこかでぼやけてしまっている。スーパーのトレイに並ぶ、きれいに整えられたお肉。 そこから、生きていた動物の姿を思い浮かべるのは、 今の子どもたちには、難しい。ぼくたち大人ですら、難しいのです。これは、誰かが悪いわけではありません。 近代的な流通と、衛生管理と、 そして「見せない」という社会的合意の積み重ねが、 そういう食卓をつくってきました。4|「かわいそう」で終わらせないためにでも、空白を埋めようとするときに、 ぼくが大切だと思っていることが、ひとつあります。それは、「かわいそう」で終わらせないということです。「かわいそうだから、お肉を食べないようにしようね」 そう子どもに伝えるのは、簡単です。でも、それは答えではない、とぼくは思っています。人間は、何かの命をいただかなければ、生きていけません。 それは肉でも、魚でも、野菜でも、同じことです。問題は、「食べる/食べない」ではなく、その命が、生きている間、どう扱われていたか――。ここに目を向けることが、 次の世代に渡したい「命の文化」の、入り口だと思うのです。5|ぼくが渡したい「命の文化」ぼくが、次の世代に渡したい命の文化は、こういうものです。命をいただくことから、目を逸らさない。 でも、悲観もしない。「ありがとう」と手を合わせる。 そしてできれば、「ありがとう」と手を合わせるに値する命を、選んで食べる。同じ豚の命でも、 狭い場所で閉じ込められていた命と、 広い場所で豚らしく生きた命がある。どちらの命にも、人間として「ありがとう」を言う。 でも同時に、「豚らしく生きられた命のほうを選ぼう」という、 静かな意志を持つ。それが、ぼくが渡したい命の文化です。「動物がかわいそう」という感情論ではなく、 「命の扱われ方を選ぶ」という、ひとつの文化として。6|文化は、買い物から始まるぼくが、安定した公務員を辞めて、 株式会社アニマルウェルフェアを立ち上げたのは――「命の文化」を、経済の仕組みとして、社会に根づかせたかったからです。倫理を訴えるだけでは、文化にはなりません。 法律を待つだけでも、文化にはなりません。文化は、毎日の買い物から、始まります。スーパーで何を選ぶか。 お店で何を頼むか。 誰の畜産を、応援するか。その積み重ねが、何十年もかけて、文化を変えていきます。THE HOUBOQの一頭は、 その文化の、最初の入り口です。7|支援者のみなさまへ明日のこどもの日。 ゴールデンウィークの食卓。もし機会があれば、 お子さんやお孫さん、姪っ子甥っ子と一緒の食卓で、 ふと、「このお肉、どこから来たんだろうね」と、 口にしてみていただけたら嬉しいです。正解を言う必要は、ありません。「お父さんも、お母さんも、わかんないんだよね」 それで、いいのです。問いを、家庭の中で「あり」にする。 それだけで、次の世代の世界の見方は、確実に変わります。THE HOUBOQの一頭は、 そのきっかけのひとつに、なれるかもしれません。ネクストゴールに向けて、 最後まで、共に走らせてください。みなさまにとって、 やさしいゴールデンウィークになりますように。株式会社アニマルウェルフェア/一般社団法人日本動物福祉認証機構(JAWCO)代表 岩田 憲明




