7月12日の活動報告「見えない労働力を正式な労働として認めよう」で掲載しましたバングラデシュの英字新聞デイリースター紙の社説、続編をお伝えします。どうぞ合わせてお読みください(前編はこちら)。バングラデシュの家事使用人の少女たちがこのコロナ禍で置かれている状況への理解が深められます。 ********************************************** 住み込みでない家事使用人が抱えるリスクは失業だ。正式な統計はないが、「パートタイム」の家事使用人は簡単にやめさせられるという報告を数多く目にする。運転手や警備員も、住み込みでないという点では同じであるが、家事使用人の方が解雇されやすいのは、コロナ禍においてジェンダー間の格差が顕在化した例と言えよう。人権擁護団体Sunitiがダッカ市内4か所で実施した調査で、失業した後何らかの支援を受けたと答えたのは回答者のわずか35%であった。85%はこの経済食料危機下で、失業したため家庭内暴力を受けたと答えた。 「政府指定休日」(注:バングラデシュ政府はコロナ感染拡大を抑えるため3月末から5月末までを「政府指定休日」と定め、人の移動や経済活動を厳しく制限した)は、「パートタイム」の家事使用人には適用されなかったため、家事使用人本人、その家族、雇い主を感染の危機にさらしながら通勤を続けた。自分で決めることのできない一方的な関係ということだ。十分な貯金をもたず月々の給与がなければ生活が成り立たない生活をしている。2019年のILO調査では、家事使用人の3分の1は借金を負っているという結果が出た。給与支払いを受けつつ、自宅待機したいと言いだせる家事使用人はまずいないだろう。それでいながら雇用主が感染したら、真っ先に疑われるのは家事使用人なのだ。 このような状況で、家事使用人が主体性を発揮し、権利を求めて交渉できるようになるために何ができるであろう。Charity begins at home(慈愛は家庭から始まる)と言われるが、雇い主の多くは「働いている間は、少なくとも児童婚から守られるのだから」「工場で働くよりは安全だから」と、うわべだけの慈愛の言葉を発する。冒頭に述べたアスマが必要としているのは、慈善ではなく法的・社会的保護であり、私たちの社会・経済における重要な労働力であるという公的な承認なのである。 これらを念頭に、政府は2015年に家事使用人の保護福祉政策を決定した。この政策は、家事使用人を職業として認め労働条件や福祉に関するガイドラインを示す一方、最低賃金には触れていない。重労働に従事しないという条件で12歳以上の雇用を認めた。児童労働は複雑な問題で、一晩で解消できるものではない。しかし、中進国入りしようというバングラデシュで、モニタリングが難しく暴力の犠牲になりやすい児童労働労働を許しておくことはできない。 「政策」が進むべき方向性を示しているにも関わらず、家事使用人は必要とする保護を受けられていない。労働法(2013年)は家事使用人を排除しているため、法的権利を持てず組合を結成することもできない。結成の権利が認められないため、家事使用人は権利を求める声が挙げられないという悪循環が続く。 コロナをきっかけに新しい社会の在り方について議論がされている。ポスト・コロナの時代に、この悪循環を断ち切ることはできないだろうか。アメリカでは、家事使用人の労働者団体がコロナ支援基金を立ち上げた。私たちは、家事使用人が人間らしい仕事と尊厳のある人生を要求できるように、慈善によって家事使用人を助けるのではなく、アメリカのような組織を作ることを全力で支援しなければいけない。 シュプロバ・タスニーム(Shuprova Tasneem)デイリースター紙編集委員訳 藤﨑文子(元シャプラニール事務局次長)
ついに支援者が100人を突破し、寄付金額は1,438,000円 となりました。ここまで応援してくださった皆さま、本当にありがとうございます!これまで1日たりとも寄付が途絶えたことはありません。多くの方がこの問題に関心を持ってくださっていることを、心から嬉しく思います。目標達成まで残り1,762,000円!引き続き応援お願いします!さて、今回は支援センターで人気のプログラム、お料理教室について紹介します。お料理教室は少女たちが支援センターで楽しみにしていることのひとつです。料理は火や包丁を使用するなど危険が伴います。普段の家事において、けがなどの危険を防ぐだけでなく、ミスを理由に雇い主に怒られないようにするためにも、とても意味があります。怒られずに家事をこなすことは、少女たちのその後の自信にもつながるのです。料理教室ではバングラデシュで定番の軽食など、家で作って食べるられるだけでなく、売ることもできるようなメニューを選んでいます。将来少女たちが店を開く際に役立つように、と考えてのことです。料理教室で教わった新しい料理を披露して雇い主から褒められた子もいますし、料理の才能を開花させ給与が上がったという女の子もいます。また、雇用主などに料理の先生役として参加してもらうことで私たちの活動への理解が深まった、という新たな効果も得られています。
児童労働は「どこか遠い世界のお話」ではなく、今もこの地球上で実際に起きている悲惨な「現実」です。
6月20日から開始をしたこのプロジェクト。あと30日となりました!!!これまでに、99名の方から1,370,000円のご支援をいただいております。皆さま、本当にありがとうございます。ご支援とともに、たくさんの温かいメッセージをいただいています。一つ一つ、大切に読ませていただいております。「現地で支援されている方や国内でサポートされている方には頭が下がる思いです。微力ですが、応援させていただきます。」「日本のメディアが途上国での影響を報道しないので、クラウドファンディングを通じて多くの人が情報に触れることができると良いなと思います。現地との行き来が難しくなったり、事務局業務のテレワーク化など、新しい局面が多々あるかと思いますが、きめ細かい感情のこもった支援ができることがNGOの強みだと思いますので、これからも頑張ってください!応援しています! 」「途上国の状況、つい日常にまぎれて忘れがちになってしまいます。世界すべてを助ゖようと思うと無力感にさいなまれます。でも、縁のあったところへの協力を各自がやれば、世界を覆うネットができるかなと期待しています。」「活動が制限される今はもちろん、COVID-19が収まった後にこそ、シャプラニールの力が必要になるに違いありません。誰も取り残さないを長年掲げてきたシャプラにしかできない支援を、よろしくお願いします。 」私たちの挑戦はまだまだ続きます。 残り30日!引き続き、温かく見守っていただけますと幸いです。よろしくお願いいたします!
先週金曜日は私たちの挑戦をより多くの方に知ってもらうための、「シェア祭り」を実施しました!たくさんの方にシェアのご協力をいただくことができました。本当にありがとうございます!本日は、認定NPO法人国際子ども権利センターの甲斐田さんからの応援メッセージを紹介させていただきます。甲斐田さんは、開発途上国における子どもへの支援や児童労働、人身売買、性的搾取について人権の視点から研究され、また子どもの人権を守る活動を自ら実施されています。 シャプラニールの評議員をしております、甲斐田万智子と申します。私とシャプラニールの出会いは、1982年ごろで、当時、大学生だった私は、バングラデシュで駐在員の方々の帰国報告会で話を聴くのが楽しみで多くのことを学ばせていただきました。1983年には、卒業旅行でシャプラニールの事業を見学させてもらうためにバングラデシュに行き、大好きな国となりました。 その後、1988年を最後に、長い間バングラデシュを訪問する機会がなく、昨年、行く計画を立てたときはとても楽しみにしていたのですが、コロナの感染拡大によって、行くことができなくなり、日に日に感染者数が増加する状況に心を痛めています。バングラデシュの家事使用人の問題は、90年代インドに住んでいる頃から関心があり、シャプラニールが事業を始めて嬉しく思っていました。少女たちが外から見えない雇用主の家の中で、さまざまな虐待を受けていることはもっと広く知らされるべきと考えています。 コロナ禍により、NGOの目が届かない状況が続き、虐待がひどくなる危険性が高まっているため、すべての少女たちが教育センターに戻ってくることが必要です。多くの皆さんが支援の輪に参加してくださることを願っています。どうぞよろしくお願いいたします。 認定NPO法人国際子ども権利センター(シーライツ)代表理事 甲斐田万智子甲斐田さん、応援メッセージありがとうございます。シャプラニールの活動はたくさんの方々の想いにより、支えられています。皆さま、引き続き応援のほど、よろしくお願いいたします。