旧版でデザインを担当しました、mai works のmaiです。新版では編集とデザインの会議に横断的に参加しておりますので、私からは、現在進行形の絵本づくりについてお届けいたします。本日は7月3日の編集編に引き続き、デザイン編です。-----編集編では、新版の絵本が、子どもの対話相手になれること、この本は自分の味方なんだと、子どもに感じてもらうことを目指してつくられていると書きました。そんな理由から、今回はレイアウトもガラリと変わることに。旧版では絵と言葉にそれぞれページがわかれていましたが、新版では、子どもへの問いかけと「子どもの権利」の説明の間、ちょうどページをまたぐ場所にmomoさんの絵を配置しています。子どもがハテナを受け取ってから、きもちが言葉を見つけるまでには時間が必要。問いと出会って、なんだろうな、こうかな?ああかな?と思い巡らす間、momoさんの絵が隣に寄り添ってくれ、言葉を見つけるヒントにしてもらえたら、という仕掛けです。これは、デザイナーの小林未央さんが見つけてくださった新しいかたち。はじめてみた時には、さわやかな風がふわっと吹き抜けたような新鮮さを感じました。それと同時に、まるで最初からこうする予定だったようなしっくり感もあり、チームのみんなが一目でこのデザインを気に入ったのでした。「こうしたら、もっと子どもが楽しんで読めるよね」「こうしたら、もっと子どもが言葉を見つけやすいかも」どの会議でも、いつもこんな言葉が飛び交っています。子どもの最善の利益を考えるーこれは子どもの権利条約を貫く基本原則ですが、子どもを宛先にした絵本をつくることは、まさにその実践。そのことを、絵本づくりの専門家さんたちとの作業を通して、ひしひし実感しています。冒頭の写真は、刷り上がってきたテスト校(仕上がりの色の確認のため、印刷会社さんに出してもらった試し刷り)を、デザインチーム with momo さんで確認しているところです。太陽光の下で原画と見比べながら、「ここは赤が強いのでひく」「もっとにごりをとる」など、印刷会社さんへの指示を赤字で書き込んでいき、まるで印刷会社さん宛のお便りみたい。6/27の活動報告でmomoさんが書いてくださったように、旧版では原画よりもくっきりとした仕上がりでしたが、今回はより原画のやさしい色調に近づいた仕上がりを目指しますので、どうぞどうぞお楽しみに!-----以上、デザインの現場からのご報告を読んでくださり、どうもありがとうございました。引き続き、子どもの権利絵本出版プロジェクトへの応援とご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。
旧版でデザインを担当しました、mai works のmaiと申します。新版では編集とデザインの会議に横断的に参加しているので、その視点からご報告したいなと思います。本日は編集会議編。どんな絵本になるのか、モクモク想像を膨らませて読んでいただけたら嬉しいです。 --------- 6/30のmomoさんからの活動報告にもあったように、元の本があってもなかなか一筋縄ではいかない!編集会議。難しさの理由でもあり、旧版から一番大きな変更点となるのが、メッセージの宛先の矢印がぐるっと変わった、ということです。 旧版では、コロナ禍において国連から出された声明=【子どもの権利を奪わないため、国や社会や大人は何に気をつけなければいけないのか】を伝えることが目的だったので、どうしても主なメッセージの宛先は大人になっていました。それを子どもも一緒に読むことで、「本当は自分はこんなふうに大切にされる存在なんだ」と知ってもらいたい。そして、コロナ禍のただ中で、感じていること、内側に溜め込んでいるきもちを、言葉にしてもらいたい。そんな想いから、子どもがきもちを書き込むためのスペースを設けた、「大人と子どもがともに手にとって対話を始められる本」を目指しました。 でも、今度の絵本の宛先の矢印は子どもです。ページを開いて真っ先に飛び込んでくるのは、子どもに対する問いかけ。「何をしているときが さいこうの気ぶん?」「本当は言いたいこと ある?」 普段あえて言葉にしないことも、問われることで、きもちが言葉を探しはじめます。問いかけというアイディアは旧版から引き継いでいますが、その内容はコロナ禍に限らず、もっと暮らしに近い表現になりました。そして、子どもが自分のきもちを探るステップを経た後で、 「今、あなたが思い出したこと、言葉にしたきもち、実はこんな“子どもの権利“とつながってるんだよ。あなたにはこんな権利があるんだよ」と知ってもらうという順番。旧版では、隣の大人と対話するきっかけになれる本を目指しましたが、今回は、本が子どもの対話相手になれること、この本は自分の味方なんだと、子どもに感じてもらうことを目指してつくっているのです。 ----- 以上、編集の現場からのご報告を読んでくださり、どうもありがとうございました。冒頭の画像は、最新のページレイアウトです。次回のデザイン編では、こちらのレイアウトについて現場からご報告いたしますので、どうぞお楽しみに。引き続き、子どもの権利絵本出版プロジェクトへの応援とご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。
クラウドファンディング、20%達成しました。たくさんのご支援、心より感謝申し上げます。そして、いつも活動報告を読んでくださり、ありがとうございます!私たち作者チームも、いつも作品をつくりながら気持ちを共有しているのですが、それでも基本作品の話で終始するので、ああこんな気持ちでお仕事されていたんだな、って活動報告を読んで気づかされます。さて、今日は、長瀬がいろいろな場所に子どもの権利をお伝えしにいくお話。旧版『子どもの権利と新型コロナ』を発刊してから、タイトル通り、子どもとコロナをテーマにお話しさせていただくことが増えました。今年度に入ってから、3つの場所に行かせていただきました。1つ目の保育団体主催のハイブリッド講座ではなんと700人の方がご参加…。もう想像できない感じです。その後、その講演をきいてくださった保育園の方から「再度スタッフ全員で学びたい」とご依頼いただいていて、ありがたいです。2つ目は、長年学ばせていただいてきたCAP(子ども暴力防止プログラム)でのオンライン講座。各地で子どもに権利を伝えている活動をされている方たちだからこその鋭い質問!こちらも学ばせていただきました。そして、先日は、大阪市の子育て支援をされている方たち、民生委員をされている方たち向けにお話させていただきました。写真は、館内にある子どもの権利条約のパネル!担当の方が、旧版『子どもの権利と新型コロナ』をとても大切に読んでくださってのご依頼でした。最近、このテーマでお話しする時は、参加者の方に問いを投げかけます。それは、「みなさんは、コロナによって どのような影響を受けていますか?そして、どんな気持ちでいますか?」というものです。今回は、黄色に子どものこと、青色にご自身のことを書いていただきました。子育て支援の現場も大きな影響を受けています。気軽に子どもと触れ合えなくなったこと、親のストレスを感じておられること、行事がなくなったこと…。ご自身の生活での変化もつづってくださり、「気もちがふさぐ」、「体が重い」といった気持ちを共有してくださいました。制限されている日々に慣れきっているからこそ、私たちには、時々気持ちの点検が必要なように思います。改めて問いかける、聞いてみることで、気づかされる自分の気持ちと、本当はどうしたいのかという希望のような思いもよみがえってくるように思います。旧版『新型コロナと子どもの権利』に書きこみスペースをつくったのは、私自身が、この厳しい状況を生きる術として、気持ちの共有が欠かせないと考えたからです。こうした非常事態には、子どもは自由にふるまっているように見えて気持ちをかためてしまいがちであること。それは、現在を生き延びるために必要な対応だけれども、のちに子どもの人生に制限をかけてしまう危険性があること。気持ちを言葉にしたり、あるいは他の方法で表現されることでかためないですむこと。そして、聴かれる機会と場所があって、子どもは気持ちを話せるということ。子どもと大人で助け合って、この日々を乗り切れたらと思うこと。そんなことをお話しさせていただきました。終了後、さっそく参加者の方の感想を見せていただき、「タイムリーなテーマで学ぶことができてよかった」「子どもの意見を聴くという視点を得た」等のコメントがあり、ホッとしました。私は、いただいた感想をノートに貼りつけて、マーカーをひいて、次の講演に向けての学びにします。一期一会の参加者の方からの声には、「子どもに権利を伝える」ことを考える際の大切なヒントがたくさん含まれています。『きかせてあなたのきもち 子どもの権利ってしってる?』の出版の際にも、出版記念オンライン講座が予定されています。今から、どんなことを話そうかなあと考えています。
本日応援メッセージをいただいたのは、DEMOの武田緑さんです。緑さんは、民主的な学び・教育=デモクラティックエデュケーションを日本中に広げることをミッションとして、教育関係者向けの研修の企画運営、現場の課題解決のための伴走サポート、教材やツールの開発・提案、キャンペーンづくりなどに取り組んでおられます。 2020年4月、国連声明を知り、多くの人に伝わりやすい言葉にする作業をしようかどうか、悩んでいた時に緑さんとお話しました。「こんなこと考えてるんだよね…」と話したところ、「まさぴ、それ絶対だいじ。」と即答。 いつもその時その時に必要なアクションをやわらかに企画する緑さんがそういうなら…と私はその作業をスタートとしたのです。緑さんの一言は大きかった。 そんな緑さんが応援メッセージを寄せてくださいました。(長瀬)子どもが気持ちを大人に伝えるきっかけをつくる DEMO 武田 緑友人の長瀬さんから、この絵本の構想を聞いた時、とても強く、「これは今必要なことだ!」と感じました。この段階で、全国の学校はまだ一斉休校中。家庭と学校は大混乱していました。外で遊べない、友達に会えない、人と思うようにコミュニケーションがとれない。学校の授業も受けられない。いろんな課題はあるにせよ、学校は多くの子どものセーフティネットです。問題は「勉強が遅れる」ということだけではまったくありませんでした。安否確認の連絡すら、十分になされない学校もありました。たくさんの課題が配られ、それを終わらせるために躍起になって子どもを叱ってしまう保護者の方もいました。家庭が安心・安全な場ではない/なくなっていく子どもたちの声は誰が受けとめるのか。休校が明けてからも、禁止事項だらけの学校で、子どもたちは過ごしています。多くの子が仕方ないと諦めて過ごしています。逆にウィルスが怖くて、不安を抱えている子たちも少なくありません。きっと、子どもの命が失われたり、心が傷ついたりということが、平時以上にたくさん起こっている。新しい本のアイデアを聞いたのは、そのことを強く感じていた時でした。子どもと大人が、この本を一緒に眺めながら、コロナにまつわって自分の気持ちを、伝え合えるきっかけをつくってくれるツールです。もうすっかり、大人も子どもも、我慢することに慣れ、気持ちが麻痺してしまいそうになっている今、あらためて自分の気持ちに気づき、大切に感じなおす、意味づけなおす機会が、この本とともに広がることを心から願っています。武田緑さんのnoteはこちら。https://note.com/mido1022作者長瀬のおすすめ記事はこちら自分の感情に気づき、言葉にして客観化する練習「いま、どんなきもち?」https://note.com/mido1022/n/na37651faaf64緑さんがかかわるプロジェクト フキダシby School Voice Project\学校は、もっとよくなる。/ 学校現場の声を「見える化」し、対話の文化をつくる「School Voice Project」の公式アカウントです。https://note.com/schoolvoice_pj緑さんがかかわるプロジェクト 多様な教育の博覧会 EDU ★COLLEエデュコレ online は、 特色のある公立・私立の学校や、フリースクール・オルタナティブスクール、教育事業を行う企業やNPOなど、多種多様な教育のあり方を学べるオンラインの学びの場です。https://dem0.work/home/educolle-online/
2021年3月上旬、絵本を再編するための新たなチームが立ち上がりました。長瀬さん、maiさん、momoに加えて、版元になって下さる「ひだまり舎」の中村真純さん、多くの絵本の編集に携わってきたフリーの編集者の山縣彩さん、子育てをしながらまちづくりや場づくりの活動に力を入れてきたデザイナー・カメラマン・ライターの小林未央さん。「子どもの権利」って大事だよね、広めたいねという篤き6人です。現在、7月中の入稿を目指して作業は進んでいます。当初は、元となる本があるのだから作業は円滑に進むだろうと思っていました。ところが、そんなに簡単なものではありませんでした。10歳くらいの子どもが、飽きずに最後まで楽しく読めるものにしたい…。参考にと、国内外の子どもの権利の絵本も読んでみました。そこで気がついたことは、海外の絵本は「権利」や「人権」が、子どもの頃から当たり前に根付いていることが前提で描かれているということでした。どうして日本では、「権利」や「人権」がこんなに難しいものになってしまったのでしょう…?憲法とも通じるとても大切なことです。伝えたいことは、「あなたは、どんなときでも人間らしく大切されていいんだよ」ということ。でも、それがとても難しい。だって現実はそうではないから。どうしたら、子どもたちに、本来あるべき国や社会の姿があり、あなたはそれを要求していいんだと説得力を持って伝えられるのか? 6人が知恵を出し合い、言葉と絵とデザインの総力を持って向き合っています。国連子どもの権利委員会がコロナ禍に出した声明に光を当てた旧版の絵本。新版ではコロナ禍の後も読まれる本であって欲しいという願いから、その声明の下支えとなる子どもの権利に光を当てています。テーマは「非常時における子どもの権利」。これからも起こるであろう、災害や感染症の流行。そして家庭や学校に居場所がないことだって、子供にとっては深刻な非常事態です。「きかせて あなたの気持ち」気持ちは、権利が守られているかどうかの目印です。★次回予告: 7月1日(木)「DEMO武田緑さんから、応援メッセージが届きました!」引き続き、応援と拡散のご協力をよろしくお願いします。