こんにちは、小島です。今日は、プラスという団体名の由来にもなっている、「ポジティブ・リビング」というキーワードについて。 海外事業マネージャー巣内からのレポートです。 みなさまがいつも支援してくださっている「プラス」は、英語で「足す」や「正数」を表す「PLUS」ではなく、「PLAS」と表記します。 実は、「Positive Living through AIDS orphan Support」の頭文字を取ってPLASという団体名ができました。 日本語にすると「エイズ孤児支援を通じたポジティブ・リビング」という意味ですが、そもそも「ポジティブ・リビング」とは何か?誰にとっての「ポジティブ・リビング」なのか?という疑問が沸いてこられるかと思います。 ポジティブ・リビングとはHIVやAIDSの文脈で「ポジティブ Positive」とは「HIV陽性(HIVウイルスに感染した状態)」を指すことが多いです。1981年に米国でエイズ患者が発見されて以来(AIDSという言葉は1982年に誕生)、エイズは「死の病気」、患者は「犯罪者」などと否定的(ネガティブ)に報道された過去があります。「エイズに苦しむ人のうつ状態は、社会が彼らを「表象する」行為と結びついた烙印の内面化の結果であることが少なくない」(ギルマン1992:89)という分析にある通り、こうした社会の反応によって、HIVに感染した人、エイズを発症した人が、自分自身を否定的に捉える結果を少なからず生み出したと考えられています。 現在ではHIV感染しても、できるだけ早く自分が感染していることを知り、医師の指導のもと、服薬を継続すれば、エイズ発症し亡くなることは少ないと言われています。そのため、患者さんには、「服薬も含め自己管理し、自身の健康を向上・維持できるようになること」が求められています(『HIV診療における外来チーム医療マニュアル』)。それは単に医療だけの問題ではなく、心理面や社会面でのサポートも必要とします。 ケニアのHIV専門外来(Comprehensive Care Centre) 私たちが活動しているケニアでは、HIV感染予防の観点から、HIV陽性の方の心理面を支援することで、予防行動を取れるようになってもらう保健省のプログラム(Prevention With Positives)が存在します。HIV陽性の方から他の方にウイルスが感染しないように、またHIV陽性の方も他の型のHIVウイルスに再感染しないようにする予防策です。 エイズ患者やHIV陽性患者は、社会によって自分自身を否定的に捉えられがちですが、特に医療面や公衆衛生の面から、自分の体や健康のためにHIV感染を受容し、目の前のストレスや課題に対処してより良く生きていくという考え方があり、これを「ポジティブ・リビング」と言うことができます。「陽性=ポジティブ」だけど「前向き=ポジティブ」に生きるという意味です。 ウガンダのカユンガ・グループの活動から上で挙げた「ポジティブ・リビング」は、治療や予防を中心に考えられていますが、生活のその他の領域でも様々な困難な状況は存在しており、「ポジティブ・リビング」は特定の領域を指すだけでなく、その人の生き方全体であると考えることができます。その意味で、「ポジティブに生きていく」という言葉の中には、たくさんの可能性があると言えます。それは誰かが誰かの状況を判断する手段ではなく、自分自身や自分の周囲にとっての幸福を追求していく営為と言えます。 ウガンダのジンジャ県で活動するカユンガ・グループは、1999年にHIV陽性者の自助組織として設立されました。活動を続ける中で、団体メンバーや貧困家庭の子どもたちへの支援も拡大しました。現在では、農業と養鶏で上げた収益を地域の支援を必要としている人、主にHIV陽性患者やエイズ孤児に対して、子どもたちの制服や文具などの支給、プライマリースクールの学費支援を行う支援を行っています。メンバー自身も決して裕福な環境に暮らしているわけではありませんが、自分たちのできることを少しずつ拡大しながら活動を継続しています。中心メンバーのジョイさんやジュリエットさんは、メンバーや地域住民からの信頼を受けながら、地域がより良くなるように前に進んでいます。 カユンガ・グループのジョイさん(左)とジュリエットさん(右) プラスがアフリカで活動を行う中で住民の方々から学んだことは、困難な状況に置かれても、悲観することなく前向きに挑戦し、その行動の積み重ねによって成長し続けるという姿勢です。HIV陽性患者やその家族がいかにポジティブに生きていくかは重要な問いだと思います。一方で、HIV感染やエイズ発症の問題以外にも、各個人は人生の中でそれぞれに様々な困難や課題を抱えて生きています。「ポジティブ・リビング」はHIV陽性患者だけに与えられた課題ではなく、エイズやHIVの問題に取り組む私たち自身も考え、行動していく課題と言えます。 ポジティブ・リビングの意味以上から「ポジティブ・リビング」を考えたとき、以下のように表現することができます。 自分に与えられた環境の中で自分の力の及ぶ範囲の資源を使って自分にできることを自分の感情や信念に左右され、ときには迷いながら、自分とその周囲の人がより良い状態に向かうために自分らしく生きていくこと プラスは「ポジティブ・リビング」を大切にしながら活動を続けていきます。 参考サンダー・L. ギルマン(1992)「エイズのイメージ-世紀末における性と病気の表現-」『現代思想』第20巻第6号pp.78-106厚生労働科学研究費補助金エイズ対策研究事業 HIV感染症及びその合併症の課題を克服する研究(2010)『HIV診療における外来チーム医療マニュアル(改訂第2版)』(Available at: http://www.haart-support.jp/manual/index.htm)Kenya Ministry of Health (2014) “Prevention With Positives: National Orientation Package for Managers and Supervisors”
こんにちは、事務局長の小島です。おとといスタートした、プラスを応援くださるみなさんのリレーエッセイ「わたしのポジティブ・リビング(前向きに生きる)」。第二弾は、2012年、プラスのインターンとして事務局を支え、卒業後は青年海外協力隊員として活躍された冨田 真理子さんのストーリーです。 高校を卒業されなかった冨田さん。プラスでのインターン決意、そして自分の軸を見つけてアフリカで青年海外協力隊員として一歩を踏み出すまでのストーリーには、今でも励まされます。ぜひお読みください。 こんにちは。 私は、大学生のときにインターンとして、プラスの活動に参加していました。今は青年海外協力隊で、西アフリカ・ベナン共和国に派遣されています。現地では、障害者NGOの収入創出活動支援、乳幼児や母親を対象とした発育・栄養調査を行っています。今日は、私のPositive Livingとプラスについてお話しさせていただきます。ズレたことで見えた世界 唐突ですが、私は諸事情で高校を卒業していません。退学するときは、自分の気持ちと裏腹に多くのことが進んでいきました。大好きな友人と離れる辛さ、もう授業を受けられない寂しさ、何をして明日を過ごすか決まっていない不安。当時は悲しいというか、自分が誰なのか分からないような感覚に襲われました。その後、大学を目指すことに。受験勉強がしたかったので大手予備校に行きましたが、入塾説明の段階で煙たがられ、志望校を言っても真剣に聞いてもらえませんでした。制服を着ていない、肩書がないだけで、社会はこんなにも冷たく厳しいのだと、この時期に知りました。明日、一歩踏み出すための支えになりたい ある教育機関で入塾相談を担当していたFさんとの出会いが、私にとってのターニングポイントになりました。彼女は、私の話を聞いてくれ、受け入れてくれたのです。言葉では表しきれないほど、嬉しかった。今でも思い出すと涙がでてくるくらいで、当時の胸の熱さは忘れられません。どんな人も、生きていくうえで励ましや支えが必要。そして、その必要度合いには個人差があると思います。それにも関わらず、支えが必要な人ほど、それを受けにくい社会になっています。私はFさんとの出会いをきっかけに、「誰かが一歩踏み出すための支えになりたい」と思うようになりました。これが私の大切にしている想いで、プラスのインターンに応募した理由の一つです。プラスでの日々、今できること エイズ孤児を応援したい、と始めたインターン。ですが、いつのまにかプラスに自分が支えられていました。(照笑)プラスで出会う人々は、皆前向きで温かい。応援“する”はずが“される”ばかり。私自身がまだまだ未熟なため「誰かが一歩踏み出すための支えになりたい」という想いは、依然として絵に描いた餅のままですが(苦笑)、いつか本物になるように今はベナンの人々と向き合う日々を過ごしています。▼著者プロフィール冨田 真理子2005年 学校の授業で、西アフリカ・シエラレオネの平均寿命に衝撃を受け、以来アフリカに興味を持つ。2012年 大学4年時に、プラスへインターンとして参加。主に資金調達に従事。2013年3月末より、青年海外協力隊/村落開発普及員として西アフリカ・ベナン共和国で活動中。現地では、障害者NGOの収入向上活動の支援、乳幼児を対象とした発育・栄養状態の調査等を行っている。
こんにちは、小島です。プラスでは、さまざまな方法で事業の評価を行っています。そこで大事にしているのは、「参加型」のアプローチです。 今回は、参加型評価をとおして、シングルマザーが自分たちでプロジェクトの課題とその解決方法を見出した事例をご紹介します。カユンガと実施した、「ペーパービーズ・ネックレス制作によるHIV陽性シングルマザーの収入向上事業」での評価について、海外事業マネージャーの巣内からのレポートです。 今回は「プロジェクトの評価」についてご紹介します。プラスではプロジェクトの評価に「参加型評価」をとりいれています。 「参加型評価」とは?プロジェクトの参加者自身がじぶんたちの関心や問題意識を評価計画に組みこみ、評価の目的にそって手法を選択していくアプローチです。関係者の主体性を高め、改善に活かしていくことができる新しい評価のあり方といえます。評価というと、評価をする人が対象(プロジェクトやプロジェクトを実施する人)を分析し、評価結果を出すのが一般的です。 現地のひとびとのオーナーシップを大事にし、あげる支援ではなく「つくる支援」を目指しているプラスでは、プロジェクトを実施している現地のひとたちが、自分たち自身でプロジェクトを振り返る機会を提供するため、現地で参加型評価を実践しています。今回と次回の2回に渡り、ペーパービーズ事業で実施した参加型評価の事例をご紹介します。参加型評価事例①:事業の進捗をグループで評価する試み ウガンダのルウェロ県で実施しているペーパービーズ事業では、①ペーパービーズの質、②シングルマザーの心理的な状態、③現地の事業管理について参加型評価を行っています。シングルマザーとパートナー団体のスタッフとプラスの三者が集まる機会に、ひとつひとつの項目に対してシングルマザーやスタッフがどのように感じているかを三段階で点数付けをしていきます。定期的な打ち合わせの様子 シングルマザーたちが自分たちの制作したビーズや自分たちの現状について、自分たちで点数を付けることは慣れないことですが、皆で話し合いながら合同で点数を付けるのを楽しんでいるように見えました。点数を付けるための話し合いを通して、どこに課題があるのか、どの点に気を付けてビーズを作っていけばよいかといったことをシングルマザー自身が確認する機会となります。 評価のやり方について説明するパートナー団体スタッフ 評価の目的や項目についてはプロジェクト設計に基づいて用意されており、完全な参加型評価とは言えませんが、自己評価をすることでプロジェクトの課題がどこにあるのか、プロジェクトは成果があがっているのかについて考えるきっかけとなります。「外から与えられた」評価やプロジェクトではなく、「自分たちで作り上げていく」プロジェクトへシフトすることで、プロジェクト全体の質も上がり、プロジェクト終了後も彼らだけで継続した運営ができるものと期待しています。 自分の意見を述べるシングルマザー参加型評価事例②:自分たちで見つけた課題を自分たちで解決しようとする試み 2015年2月にジンジャ県で事業を実施しているカユンガグループを訪問しました。このとき参加型評価を実施しましたが、グループから課題として挙げられたのが、紙を裁断するためのペーパーカッターを持っていないことでした。カッターは街まで出かけてお金を払って貸してもらっていました。グループで話し合い、少しずつお金を貯めてカッターを買いたいという意見が出ました。 2月に訪問したときの打ち合わせの様子2015年6月に再訪すると、カッターを買うためにお金を貯め始めたと教えてくれました。グループで打ち合わせがあるときに、ひとりひとりのシングルマザーが30円や50円程度の小額を拠出します。これを繰り返すことで高価なものも購入できるようになります。プラスに頼って機材を購入するのではなく、自分たちのできることを考え、実行していました。これは参加型評価を通して、プロジェクトの課題を自分たちで発見し、自分たちで解決方法を提案したことで、主体的に解決に向けた実行ができている例です。プロジェクト内でこうした変化が見られたことはとてもうれしいことで、プラスの目指す「つくる支援」に一歩近づいたといえます。 6月に訪問したときの打ち合わせの様子 このような評価の在り方は、実はプラス自身にとっても挑戦です。プロジェクト管理では、自分たちで決めた枠に沿って動いていく方が容易ですが、プロジェクトのハンドルを現地の人たちに渡すことに躊躇していては、いつまでも「与える/与えられる関係」が継続されてしまいます。参加型評価のアプローチを使うことで、プロジェクトの管理を現地の人たちの手に委ねていこうと試みています。参考文献源由理子(2011)「地域社会における行政と住民の協働による評価-評価プロセスの活用(Process Use)の観点から-」『日本評価研究』Vol.11 No.1: 61-74田中博(2011)「市民社会におけるNGO/NPOと評価の役割-マネジメント能力を高め、NGO/NPOの進化を加速させる参加型評価-」『日本評価研究』Vol.11 No.1: 75-90 いかがでしたでしょうか?シングルマザーたちが、自分たちで見つけた課題を自分たちで解決しようとすることで、「自分たちのプロジェクト」としてより積極的に携わることができると考えています。今回のクラウドファンディングのプロジェクトでも、事業開始から半年ほど経つ頃に、プロジェクト評価を行います。当初の目標に対して、実績はどうだったのか、次にいかせる課題は何なのか・・ こうしたプロジェクトの準備から実施、評価までをプラスと一緒に行うことで、シングルマザーたちに知識や技術が定着し、彼女たちが運営するカユンガの能力強化も期待できます。
こんにちは、小島です。昨日のシェア祭りにご協力、ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!おかげ様でたくさんの方にシェアいただき、このプロジェクトページをご覧いただいた方の数もぐんと伸びました!こちらは、クラウドファンディングがスタートしてからの、ページ訪問数(PV数)の変遷グラフですが、開始直後(一番左)のあと下がってきた訪問数が、昨日一晩でぐんとのびました(一番右)!スタート前は43万円だったご支援も、50%の大台を越えて、現在【529,000円】です!ご支援いただいたみなさま、シェアいただいたみなさま、本当にありがとうございます!あと15日ですが、最後まであきらめずに頑張ります!
こんにちは、小島です。プラスのプロジェクトをFacebookで一斉にシェアする「シェア祭り」まであと1時間となりました! お仕事帰りに、ご自宅で、ちょっとすたスキマ時間にお気軽にご参加いただけます。ひとりひとりのシェアが集まることで、ウガンダのシングルマザーたちの未来を応援するプロジェクトをたくさんの方に知っていただくことができます。引き続き、みなさまのご参加をお待ちしています!https://www.facebook.com/events/338394779962806/ ----------------------------------------------------------------------------------12/6(水)21:00~23:00 ウガンダのママとエイズ孤児のために一斉にシェアしよう! 【開催日】12/6(水)21:00~23:00インターネットにつながる場所であれば、どこからでも、スマホで、パソコンで、どなたでも気軽に参加できます! 【参加方法】①まずは、このイベントの「参加予定」をクリックしてください! ②12/6(水)21:00~23:00になったら、下記のリンク先アドレスとハッシュタグを、ご自身のタイムラインへ貼り付け投稿してください。その際に、一言応援コメントを添えていただけるとありがたいです。https://camp-fire.jp/projects/view/53524#ugandamama 応援コメントに迷う方は、以下の文章を使ってください。 <サンプル1(そのままコピペして使えます)>【応援しています!いいね&シェア歓迎!】https://camp-fire.jp/projects/view/53524目標まであと57万円!エイズ孤児支援NGO・PLASがクラウドファンディングに挑戦しています。PLASが活動するアフリカのウガンダでは、エイズで夫を亡くし、自身もHIV陽性であるシングルマザーたちがエイズ孤児を育てています。貧困のため、小学校さえ卒業できない子どもたちもいます。12月22日までに100万円を集め、お母さんたちが農業のスキルを身につけ自立し、子どもたちが学校に通えることを目指しています。目標額が集まらないと、0円になってしまうので、100万円を達成できるよう応援よろしくお願いします!3,000円から支援できます!#ugandamama <サンプル2 (PLASに友達がいる方はこちらを!●●にPLASスタッフの名前を入れて使ってください。タグ付けも歓迎です!)>【応援しています!いいね&シェア歓迎!】https://camp-fire.jp/projects/view/53524目標まであと57万円!エイズ孤児支援NGO・PLASが12月22日までクラウドファンディングに挑戦しています。PLASはお友達の●●さんが活動している国際協力団体です。PLASが活動するアフリカのウガンダでは、エイズで夫を亡くし、自身もHIV陽性であるシングルマザーたちがエイズ孤児を育てています。貧困のため、小学校さえ卒業できない子どもたちもいます。12月22日までに100万円を集め、お母さんたちが農業のスキルを身につけ自立し、子どもたちが学校に通えることを目指しています。目標額が集まらないと、0円になってしまうので、100万円を達成できるよう応援よろしくお願いします!3,000円から支援できます!#ugandamama ④ 投稿完了!よければ、このイベントに「シェアしました!」の一言をコメントお願いします!わたしたちの、そしてシェア祭りに参加する皆さんの励みになります!! ⑤ 可能であれば、ご自身が所属しているグループLINE、Twitterなどでも投稿をお願いします。 ⑥ 投稿終了後は、#ugandamama を検索してシェアまつりがどこまで広がっているか確認してみてください!